テスト前の勉強合宿
「まー、よーするにだ。今まで真面目に授業受けてなかったツケが今まわってきているというわけだな!」
目の前で嫌々ながらに正座して座っている者達を見下ろしながら言った言葉に
「その台詞、が偉そうに言えることじゃないよね」
横から水を差さされて俺はそちらを向く。
と、そいつと目があい、それと同時にさらに深い笑みを返された。
「えーと、不二にはいつもお世話になっております。
どれだけ感謝の言葉を言っても言い足りないくらいです」
と、今まで立っていたのを正座して且つ両手をついて頭を下げた。
「わざとらしい感謝の態度ありがとう。ご所望のノートは明日、ね」
その言葉にもう一度頭を下げて・・・・伺う。
「で、今回は・・・」
いつもテスト前に不二からノートを借りる時、大抵「紅茶が飲みたいから買ってきてくれ」
とか「読みたい雑誌があるから買ってきてくれ」だとかといった条件がつく。
俺もそれでノートを借りれて赤点を免れることができるならば!
ということでその条件を飲んでいた。
ので、今回はどんな条件がつくのだろうかと不二が口を開くのをじっと待っていたのだが
やっと開いた口から言われた言葉はというと、
「いいよ」
の一言
”いいよ”っていうのは・・・俺に何をしろといってるのだろう?
と不思議に思ったのが表情に出たらしくクスリと笑われた。
「今回はノートを貸す代わりに僕の可愛い後輩のテスト勉強を手伝って貰うからね」
「あぁ、なるほど。俺はその為に呼ばれたのね。というかヌイに連行されたのだね」
「そおゆことだよ。ということだからよろしくね?」
今月小遣いかなりピーンチ!!だったからそれは良いんだけど・・・
「俺のテスト勉強はどおなるんだ?」
俺も結構やばいんだけど・・・
「その心配は大丈夫。は理科と数学さえ覗けば後はなんとかなるでしょ?」
確かに、けど、月曜から始まるテスト初日はというとその俺の苦手の理科と数学が重なってるんだよ
だから悪いけどこいつらに教えてるところじゃない
「うん、だから乾にも来てもらったんだよ。それに手塚もいるし」
手塚、その名前に、俺は部屋の入り口を見た。
そこには渋い顔して今までの俺達のやりとりを見ている、この家の主の姿があった。
「だから手塚んち?」
「そおゆうわけじゃないけど、他の家だと真面目にしなさそうだろ?」
と、言われて視線を最初の位置、というか正座し続けている者達を再び見下ろした。
「・・・・・確かに」
このメンバーじゃそうかもな。他の家だと騒ぎ出しそうだ。
「でも手塚は不本意そう」
もう一度手塚の方を見ると、その額の皺がでかでかと”不本意”と書いてあるように見えた。
「いくら手塚が嫌でも今、家から追い出して可愛い後輩達にみすみす赤点をとらせるような真似はしないと思うよ?」
ね、そうでしょ?と不二に見られた手塚は一瞬嫌そうな顔をして、不承不承と感じで「あぁ」と低く小さく頷いた。
赤点とると、その後に補習授業を数回やった後に再試がある。
その間はもちろん部活参加停止となっている。
で、今ここにいる奴らはレギュラー達で、練習しなければその分当然鈍る
大事な大会を控えてる今としては赤点如きで部活参加できないなんてあってはならない!って状況か
ならいくら嫌でも承知するしかない。ということだな。
手塚、お気の毒
でもそれは俺には関係ないことだし、
で、聞けば俺が教えるのは国語とか歴史とか・・・まあ、効率よい暗記の仕方を教えろと言うことで
それならまかせとけ!と俺は今回の不二の条件を受けた。
合間合間に苦手な数学や理科を教えてもらい、且つ不二のノートを借りれるならば
このくらい安いものだろう!というか釣りが返ってくるんじゃないかと思う。
なんて、後になってこの考えが甘いことを痛感したわけだけど
今の俺にはそんなことに気づくはずもなく「さあ、始めよう!」とはりきったのだった。
後から思えば、その時気づくべきだったんだよな・・・このテスト前勉強会が1泊2日だったことに
ようするに、一日だけでは教えきれなくくらいに理解が悪いから泊りがけでみっちりと教える!
ということだったらしい。
ということで俺も、この泊りがけの間の合間合間に嫌いな数学と理科を手塚やヌイにみっちりとしごかれることになったのだが
あんな思いをするなら別に赤点をとっても良いや♪な教え方で・・・
今度からテスト前の呼び出しにはほいほいと出て行かないようにしよう、と心に決めた。