大怪我






それは突然起こった。

移動教室の帰りを職員室帰りのとばったりと会い

そのまま話をしながら階段を上ろうとした。

その時、階段の上から騒がしい声と足音が近づいて来て

5人程の男子の集団が現れた。

いかにもふざけているといったその集団に「廊下では騒ぐな!」と声を出そうとしたその瞬間

集団の中の一人が階段を踏み外しバランスを崩し

持っていたものを空に放り出した。

そして自分は階段を転げ落ちる。

それを下から見た俺達は、突然のことにそれを見守ることしかできず。。。

いや、止まった俺の前を横に居たはずのが飛び出してきて

上から転げ落ちてきた者の受け止めた。

ここまでは、良かった。

上手く受け止めて怪我もなく落ち着くはずだったものが、

転げた者が放り出した物がバラバラになって落ちてきたせいでその場は流血騒ぎとなった。

っ!?」

一瞬、何がどうなったのかわからなくなってとりあえず落ちてきたものを受け止めたままその場にしゃがみこんでいたに声を掛
けた。

しかし、ギギギと音が聞えてきそうな感じでゆっくりと振り向いたの顔を見た瞬間

思わずその場に硬直してしまった。

「て、づか・・・俺、生きてる?」

その声は感情の抜けた棒読みで、その声に俺は硬直を解くことができた。

「生きてる!!しっかりしろ、立てるか?」

「・・・・・・・・腰ぬけたー」

それは、そうだろう。

落ちてきた者が放り出した物。それはあろうことか彫刻刀で

放り出した時にはケースに収まっていた物が空中でバラバラになって、

それがと、転がった者の上に落ちてきたのだ。

幸い、二人に突き刺さるということはなかったのだが

一本がの頬を掠めて落ちて

今、の頬に綺麗に朱色の一本線が引かれていた。

そこからけっこうな血が流れ出して制服の襟に染みている。

、頬の方は痛くないか?」

「・・・頬?」

まだ自分では事態を飲み込めておらず彫刻刀が自分に降ってきたという恐怖が頭を占めているらしく

頬の痛みに気づいてないようで

俺が聞いてやっと頬に手をやった。

そして、一度頬を触った手を目の前に持ってきて・・・

「・・・・・血っ!?」

一瞬にして青ざめていた顔がさらに青みをました。

「手塚!!!血、血が!!!死ぬー!!!!」

「そのくらいの血では死なん!」

さっさと保健室に行くぞ!と手を差し伸べる。

が、の上には落ちてきた奴が目を回したまま乗っていて

俺は問答無用でそいつを蹴り転がして側にいた者達に教師が来たら見たことをそのまま説明するようにと

自分達は保健室にいるからそのことを話せと告げて改めてに手を差し出した。

「手塚・・・俺、腰ぬけたまま・・」

涙目で訴えるに仕方ないと溜息をついた後俺はを持ち上げて肩からぶら下げる。

「おいっ、手塚、これはないだろうが!!間違ってる!!」

「何が間違ってるんだ。大人しくしろ、落ちるだろう」

なにやら訳分からぬことを叫びながらジタバタ暴れるをずれ落ちないようにしっかりと固定する

「だーかーらー!!間違ってるって!!こおうゆ場合荷物みたいに担ぐんじゃなくてお姫様だっこと決まってるだろが!!!」

その一言に、それまで野次馬などで騒然としていたその場が静まり返ってしまった。

寒い空気まで流れている。

、落とすぞ」

「・・・それは止めて」

やっと大人しくなったを俺は保健室に連れていった。

保健医に見てもらったところ、見た目ほどにたいした怪我ではなかったらしくようやく安心することができた。

その後、騒ぎの原因となった5人には教師からの厳しい説教の後、

強制的にペナルティー付きのグランド100周を走らせることになった。

さらに後でこの事件を知った不二達によりいろいろあったらしく、全員一ヶ月程学校を休むことになったらしいが

自業自得なので同情の余地なし。

そしては、何事もなく今日も元気に学校で暴れている。

 

 

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