―――――― あなたが好きです


君なんてただの後輩だよ



―――――― あなたが好きです



ただの後輩なんだってば



―――――― あなたが好きです



何度言っても同じだよ。
僕の気持ちは変わらないよ



―――――― あなたが好きです



変わらないってば



―――――― あなたが好きです




変わらない・・・・・はずなのに




「なのになんで僕はここにいるんだろうね?」

そういって僕は抱きしめたクッションをさらにきつく抱きしめた

ここは越前の家、越前の部屋、そして越前のベットの上






ことのは







「不二先輩、あなたが好きです」


最初に言われたのはいつだったか・・・確かかなり前のこと

その時の僕は確か”おもしろいことをいう後輩だ”と笑い飛ばしてしまったはず

そんな僕に君は不機嫌な顔を見せて、でもその後に真剣な目をして「本気ですから」

そう僕に言い残して部室を出ていった。

その時は本当に僕は越前君をただの後輩だと、そう思っていた。

けど。。。。

あの日から僕は越前君の姿を見ない日はない。

校舎内の僕の行くその先々に何故か君はいて

そしてすっと近寄ってきては耳元で「好きです」と囁いていく。

越前君は校舎で僕を見つければ通り過ぎる瞬間とか、

部室でたまたま二人きりになった瞬間だとか

とにかく接触する機会があれば彼ははそれを逃さなかった

そんな彼に僕は

「ありがとう。後輩に好かれるなんて先輩として嬉しいな」

なんて余裕の笑顔でかわしていたのだけど

近頃ではかわすことができなくなっている。

かわせなくなった理由を考えていった時、

僕の越前君に対する気持ちが変わって行っていることに気づいて怖くなった。

だから、逃げた。

逃げて逃げて逃げ回って

それなのに自分は今、越前君の部屋にいる。

越前君から、あの言葉から逃げようとずっと逃げ回っていたというのに

それなのに姿が見れなくなって、あの言葉が聞けなくなって。。。寂しいと思ってしまった。

寂しいと思った自分に驚いて、そこで気づいてしまった。

いつの間にか彼が囁き続けた言葉が僕の心に染み渡っていって、

自分でも気づかないうちに彼を好きになっていたということを

そうしたら無性に彼に会いたくなって

僕を好きだという声を聞きたくなって

だから来てしまった。彼の家に

そんな突然やってきた僕に彼は嫌な顔一つしないで部屋に上げてくれた。

そして今はお茶を入れるために部屋を出ていってしまって、

彼の部屋に僕一人がいる。

「はぁ。どうしよう」

話せるはずもない理由で押しかけてしまって、どう取り繕えというのか

「実はいつの間にか君のことを好きになっていて

どうしても君に会いたくて、声が聞きたくてやってきてしまいました。なんて・・・

そんなの言えるわけないじゃないか!」

この間までは「ただの後輩だよ」なんて笑っていた僕が!!

そんなことを素直にいえるはずがない

それになんだか君の策略に上手くひっかかったみたいな気がして悔しいから

だから素直に「僕も君が好きです」だなんて言ってやらない

とりあえず今は、お客である自分を放っておいてお茶を入れに部屋を出て行ってしまった君に

戻ってくるのが遅いと苦情の一つでも訴えてやろう

そしてまたあの言葉を囁く君を笑ってかわしてやろう

だから早く戻ってきて

Fin

 

 

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