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二日目の公演の時は同じ二列目ですがもっと中央寄りだったので、さらに近くでよく見えたんです。距離にして2メートル。はっきり言って、ここまで近いと生々しすぎます。もう肌の質感とかまでわかる感じで、見えなくてもいい、マイクに唾が飛ぶのとかまで見えちゃって。こんな至近でボウイを見ていいのかなーって。でもやっぱりうれしいです。往復19時間半もかけて、はるばる来た甲斐があったというもの。 知っている人などだれもいない外国の街で、どんなに興奮しようが周囲は私に無関心、そして目の前には大好きなボウイ……これ以上の解放感があるでしょうか。もう二日目で後がないですから、悔いのないよう思いっきり楽しみました。二時間半の間に私のボウイ熱、すべてを出しきりましたね。 終盤、ボウイがAshes to ashes と Quicksand をたて続けに歌った後、突然 Hang on to yourself のイントロが始まった時には、何かもう半狂乱になっていた気がします。最近ではあまりサービスしてくれなくなった悩殺腰ふりポーズを、たまたまこちらを向いている時にしてくれて……女性ファンの悲鳴が! 私も「絶頂」です(笑)。それにしてもボウイは何歳になっても黄色い嬌声が似合う人ですよね。ライブの後、アメリカ人の男性にからかわれてしまいました、私。「キミ、すっげぇ盛り上がってたよねー。歌詞とか、全部覚えてるの? 一体いつからファンなの?」 歌詞は全部覚えているのはほんの数曲で、サビの部分とあと少しだけ。30年ちょっとファンやってると言ったら、日本にもそんなヤツがいたのかとかなり驚いてました。 でもそんな近くにいても、ボウイと目が合うことってなかなかないものです。武道館の時もですが、「こちらの方」を見ていることは何度もあったのに、はっきり視線が合ったと確信できることなかったのです。でも、でも、その時は突然やってきました。忘れもしない中盤、The man who sold the world の時でした……そりゃあ、二日間のライブで合計5時間、あの距離からひたすらボウイだけを「穴のあくほど」見つめ続けたんですから。確率からいっても一度ぐらい目は合うでしょう。ほんの3秒ぐらいだったかな。神サマのプレゼントかもしれないですね。その瞬間、私は……羽根むしられた小鳥のように地面にたたきつけられ息絶えてしまいそう……になってしまいました。まさに「永遠の3秒間」です。私はただ彼に向かって両手を差し出すことしかできません。それ以上何ができましょう。 よく見ていると、ボウイは無作為にポイント、ポイントでじっと視線を止めています。遠くの席も同様です。二階席の上の方もじっと見つめているんですよ。もともと眼光鋭い人ですが、そういう遠くを見つめる時のボウイの視線って、とても冷静で怖いくらいなんです。ショービジネスの世界を生きぬいてきた人の冷徹な目、です。ボウイもデビューして約40年……私は彼と同時代を生きてこられたことを幸運に思いました。何て長いお付き合いでしょう(一方的ですが)。過去を「勉強」することはいくらでもできます。でも私はその時その時、彼が輝いたり曇ったりしたのを目の当たりにしてきました。見ているだけでせつなくなるような、若く美しく、あやうい人でした。 もちろん今のデビッド・ボウイもかなりいいです。大好きです。「70年代に死んでいたら確実に伝説になった人」なんて皮肉を言われたこともあったけど、そんな言葉はドブに捨てちゃいましょう。あの、はかなげだった人がこのような変貌をとげるとは……人生わからないものですね。私もまさかここまでボウイに付き合うとは。でもずっとついてきてよかった、と心から感じてしまいました。 ライブが終わるのが12時前、ホテルの部屋に戻る頃には1時近くになっています。私は翌日昼過ぎの飛行機で日本に帰らなければならないので、感動を噛みしめる間もなく大急ぎで荷造りです。ボウイを見るためだけにサンフランシスコへ来たといっても、昼間はすることないので街を歩いたり旅気分も味わいました。考えてみたら12年ぶりの海外ひとり旅でした。でもひどい風邪をひいた後だったせいか、「胸いっぱい」の状態のためかあまり食欲がなく、ちゃんとしたレストランには一度も入りませんでした。せいぜいカフェの軽食ぐらい。実にお金のかからない旅行でした。この2ケ月で4キロ痩せて、ボウイ・ダイエット大成功です。 帰国便の中では映画も見ず、うす暗い機内でずっとライブを反芻してました。シスコに来てから毎晩3、4時間しか寝てない(眠れない)ので、さすがに少しだけうとうとしましたが。リフレッシュメントで出されたアイスクリームを食べていると、なぜか急に涙が。甘い物って、人を幸福にするんですよね。ボウイがらみで泣いたの、初めてでした。結局アイスも全部食べきれず……。 私は何か決断する時は、自分ひとりでしかも割りに短時間で決める方で、今回のサンフランシスコ行きもあまり迷ったりはしませんでした。でも「行きたい!」という気持ちの高まりは、このサイトにお邪魔していたことが大きく影響していたでしょう。正直、みなさんのボウイ熱に触発されました。Elmoさんほか、みなさんのレポートを読んだこともきっかけになりましたし。なので私も微力ではありますが、ボウイ・ファンの方々の何かしらお役にたてたら幸いです。 最後まで読んでくれてありがとう。 そして我らがDavid Bowie にも感謝!です。
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