David T. Works Vol.06

David Tが参加した数々の名演の中からピックアップして紹介するこのコーナー。ではVol.06の10選をどうぞ。

Billy Preston / I Wrote a Simple Song (1971)

キーボーディストでありボーカリスト。ビートルズの影の功労者ビリー・プレストンの71年作。ゴスペル色が滲み出る彼の伸びやかな唱法と多彩な鍵盤さばきは見事なまでのR&B。特にB3「You Done Got Older」や続くB4「Swing Down Chariot」などで聴けるピアノとエレピは心地良さ120%。クインシー・ジョーンズによるストリングス&ホーンアレンジやメリー・クレイトンらの女性バックコーラス陣がアルバム全体をひときわ豪華に演出していて艶やか。David Tの全編ワウペダルを駆使したギターワークも、当時のサイケデリック感覚を微妙に醸し出しており、小気味良いノリとグルーヴを生み出すのに一役買っている。

Jackson 5 / Maybe Tomorrow (1971)

「ABC」「I Want You Back」など数多くのヒット曲であまりにも有名なジャクソン5が、71年に残したスウィートな一枚。そのポップさ、キュート感、そしてソウルフルなテイストは全曲最高にハッピーでメロウでグルーヴィだ。5人の奏でる天使の歌声はまさにIt's Magic! だが当時のモータウンの最高級のミュージシャンたちが最高のエンターテインメントとして彩りを添えた作品であることも見逃してはならないはず。David Tもアルバム全編に渡ってそのスウィートギターで彼らをバックアップ。「She's Good」「Never Can Say Goodbye」などでは、メロウで印象的なフレーズを連発。「It's Great To Be Here」「I Will Find A Way」でも地味ながらも小気味良いバッキングでゆったりとしたグルーヴ感をものにしている。主役はもちろんジャクソン兄弟たち。そのためバッキングに徹した堅実なプレイであることに変わりはないが、それでもDavid Tの個性は如実に感じ取れてしまう。そこにDavid Tの素晴らしさの本質があるように思えてならないのだ。

D.J. Rogers / D.J. Rogers (1973)

ゴスペルシンガーD.J.ロジャースのデビューアルバムにして傑作盤。伸びやかな高音と絶妙の喉の引っかかり具合が実にソウルフルで素晴らしい。その独特の唱法は聴く者を圧倒させつつもどことなく気分を落ち着かせてくれる不思議な効力を持ち合わせているから不思議。我らがDavid Tは、まずA1「Listen to the Message」でのソウルフィーリング溢れるワウペダルプレイを披露。本アルバムの中でも屈指の名曲B3「Don't You Want To Ride」では抑制を効かせたフレーズとリズムを奏なでており、実に素晴らしいサポートぶりを実にさりげなく行っている。このさりげなさが実にDavid Tらしく、実に惚れ惚れなのだ。いやあ実に。

Afrique / Soul Makossa (1973)

レアグルーヴ定番の一枚。David Tをはじめ、チャック・レイニー、チャールズ・カイナード、ポール・ハンフリーらが名を連ねたファンキーかつグルーヴィな楽曲群がフロアでの躍動感を保証すること間違いなし。奇妙な歌声が印象的なマヌ・ディバンゴの名曲カヴァーA1「Soul Makossa」からノリノリの一曲。チャック・レイニーのベースが特に強調されたアレンジが印象的なA2「Kissing My Love」では、ワウペダルを踏むDavid Tも絡みまさにIt's a Funky! A4「Let Me Do My Thing」ではホーンセクションとピアノをフィーチャーしたスピード感溢れるチープなグルーブ感にDavid Tのワウギターが縦横無尽に暴れまくる痛快極まりない一曲でフロア爆発力120%。バラエティに富んだ楽曲群の中、全編に渡ってDavid Tのワウワウプレイが堪能できる一枚だ。

Bill Withers / Making Music (1975)

ニューソウルの旗手ビル・ウィザースのコロンビア移籍後の初アルバム。ラリー・ナッシュ(Key)、レイ・パーカーJr(G)、ハーヴィー・メイソン(Dr)、ジェイムズ・ジェマーソン(B)らのリズム隊とストリングスアレンジを施したサウンドプロダクションが75年当時の空気感を見事に表現した、まさにニューソウルと呼びたくなる一枚。B1「I Wish You Well」などの重厚なリズムにストリングスとホーンが絡むファンクな一曲にはワー・ワー・ワトソンのバッキングギターが宙を舞い、ラリー・ナッシュのローズが美しいB2「Paint Your Pretty Picture」では、ビルの素晴らしいボーカルと絶妙のストリングスが存分に堪能できる。A5「Family Table」やB4「I Love You Dawn」などのスローテンポな曲などでは、音数こそ目立たないもののやはりDavid Tのメロウバッキングが冴え渡っている。

Paul Kelly / Stand on the Positive Side (1977)

ポール・ケリーの77年作。ジーン・ペイジのストリングスアレンジが効果的に音の隙間をきらびやかにまとい、そこにポールのソウルフルかつメロウなボーカルが楽しめる落ち着きのある一枚だ。ウィルトン・フェルダー(B)、ジェイムズ・ギャドソン(Dr)、ソニー・バーク(Key)らがバックを固めるとなれば、そこに違和感なく収まるのがDavid T。ギターパートの比重はレイ・パーカーJrのほうが上だが、ここぞというところではやはりDavid Tのバッキングが粋な音を飾る。B2「Feather in the Wind」などではワンフレーズだけでそれとわかるDavid T節が、川の流れのような自然体で最初から最後までちりばめられる。B3のアルバムタイトル同名曲では、ポールのボーカルワークも素晴らしいが、ミディアムテンポで徐々に盛り上がる曲構成の中で、途中から目立ってくるDavid Tのバッキングフレーズがとても印象的だ。

Smokey Robinson / Love Breeze (1978)

モータウンで多くのヒットを生みだしたシンガーであり、コンポーザーとしても名高い御大スモーキー・ロビンソンの78年作。彼の長きに渡る活動のハイライトがディスコ全盛期のこの時期であるとは言い難いものの、ことDavid Tがらみでいうと本アルバムも聴き逃せない一枚。A4「Madam X」で聴けるローズピアノとDavid Tのギターは、スモーキーの甘く伸びるハイトーン・ヴォイスと絶妙にシンコペイト。微妙にブラコン色は垣間見えるものの、B2「Trying It Again」などで小刻みに繰り出すDavid Tのリズムは相変わらずのソウルネス。フルートとエレピをフィーチャーした続くB3「Daylight & Darkness」でもその佇まいは変わることなく、極上のメロウネスを発揮するDavid Tのスウィートプレイが甘い甘い世界といざなってくれる。

Cheryl Lynn / Cheryl Lynn (1978)

ダンス・クラシックの定番「Got To Be Real」収録のシェリル・リンのデビューアルバムにして大ヒット作だ。デヴィッド・フォスター(Key)、スティーヴ・ルカサー(G)、レイ・パーカーJr(G)、リチャード・ティー(Key)、ハーヴィー・メイソン(Dr)といった凄腕ミュージシャンが全面的にバックアップしたポップでファンキーな音作りと、明快で覚えやすいメロディが爆発的ヒット最大の要因。シャープさと弾力感が同居する柔軟なグルーヴ感を産み出すにはもってこいの面々は、アルバムの好感度に大きく貢献した。しかし、意外と見落としがち聴き落としがちなのが主役シェリル・リンの歌声。「You're The One」などのスローテンポの曲などでは、実に伸びやかでパワフルな歌声が素晴らしく輝く。さらにそこにあるのはDavid Tのメロウバッキング。極めてささやかではあるが、彼女の歌声を好サポートしている点も忘れてはならない事実なのだ。

Edwin Starr / Stronger Than You Think I Am (1980)

ノーザンソウルシンガー、エドウィン・スターの80年代冒頭を飾る一枚。ちょっとひしゃげた喉の加減と伸びやかな歌声は十分健在。A1「Never Turn My Back On You」からDavid Tのメロウバッキングが満載で、ジェイムズ・ギャドソンの緩やかに歌うドラムも聴き応え満載だ。ソウルネスに満ち溢れた音作りに、わずかではあるが80年代初期のクリアな音像が見え隠れする微妙な時期。この頃からDavid Tのギター音も、一つ一つの音の輪郭がより際立った粒立ちのある音作りに聴こえてくるようになる。

Spirit Traveler / Playing The Hits From The Motor City (1993)

ジェイムズ・ギャドソン、エリック・ゲイル、ジェイムズ・ジェマーソンJr、フィル・アップチャーチ、ワー・ワー・ワトソン、それにDavid Tという6人が中心となって結成されたユニット、スピリット・トラベラーズ唯一のアルバム。この6人がモータウンの名曲をカヴァーするという企画もなかなか粋であるが、それ以上に見逃せないのが、全曲とも4人のギタリストが全て参加し、ソロ、バッキングと交互に演じているという点。ピッキングの強弱、フレーズの構成、音色など、互いの個性が交差する聴き応え十分の一枚だ。非常に落ち着きのあるゆったりとしたグルーヴに、4人のギターはバトルというより自由に会話を楽しんでいるようで、リスナーは夢見心地の幸せ気分。中でもDavid Tは、ひときわ個性的なプレイを披露しているが、それが決して奇抜さを伴うものではなく、確実に全体に溶け込んでいるソウルフルなギターであるところがいかにもDavid Tらしくて「やっぱり満足」なのである。

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