生物実験室     
 
高等学校の生物の授業で行う実験を紹介します。
理科の授業では、現象を説明できる理論と現象を実際に見ることが大切だと考えています。

生物T
細胞・組織
 1 顕微鏡の使い方                                
 2 人の口腔内表皮細胞の観察 (動物細胞、細胞の大きさの測定)  
 3 タマネギのリン片葉の表皮細胞の観察 (植物細胞、原形質流動) 
 4 ユキノシタの表皮細胞(原形質分離、孔辺細胞)              
 5 カナダモ、ジャガイモ(葉緑体、デンプン粒)               
 6 ススキ、アケビの茎(植物の組織) 
 7 ゾウリムシ、クンショウモなど(単細胞生物・群体)
 8 ネンジュモ(原核生物)

生殖・発生
 1 細胞分裂の観察(ニンニクの根)
 2 花粉と花粉管の観察
 3 ウニの受精と発生
 4 アカガエルの発生
 
遺伝

 1 唾腺染色体の観察
 ショウジョウバエを使った実験をしたいが飼育のみに終わっている
 
神経・調節
 1 ニワトリの脳の観察
 2 ニワトリの手羽先
 3 色素胞の観察(モツゴが大きくてダメージも少なくてよい)
 4 流れ走性(メダカ・流水と背景の回転)

生物U
タンパク質、遺伝子
代謝

 1 酵素の働き(カタラーゼ、デヒドロゲナーゼ)
 2 アルコール発酵(コウボ)
 3 色素分離(抽出とペークロ)
生態
 1 校庭の樹木・草本
 2 但馬の自然(写真)

校庭の植物 B6カード標本の作製

B6カード標本は、乾燥させてから標本を作るのではなく、まず生の葉を貼り付け、その後新聞紙や古雑誌に挟んで乾燥させるという方法をとる。そのほうが授業の時間配分がやりやすい。
この標本をどのように使うかは、様々なケースが考えられる。校庭の草本や樹木をすべて分類するという作業は、通常の授業では無理だと思います。課題研究などのテーマとはなるでしょう。

 


ウニの受精、卵割の観察
ウニがたくさんある場合は、卵や精子を取り出すところから生徒にやらせたいですが、演示実験として教卓でやって、配布しても十分だと思います。

1時間目      受精と卵割(2細胞)の観察
2時間目(翌日) 胞胚、ふ化、プリズム幼生の観察

今回使うのはバフンウニです。ウニの保存はバットなどにウニをいれ、ウニが海水に半分ぐらい浸るようにしておくとしばらく持ちます。数が少なければ水槽で飼育する方法もあります。

卵や精子は塩化アセチルコリンの注射で取り出しました。雄、雌の区別は海水を入れたビーカーの中にウニを入れ、管足を観察します。白いと雄、オレンジだと雌です。(まぎわわしいです)

卵は海水で薄めてビーカーに入れて配ります。ホールスライドガラスを使いますが、卵は多すぎてもす少なすぎても見にくいです。精子も濃い過ぎると受精させたとき白くにごってしまいます。顕微鏡にセットしたスライドガラスの上で受精させます。

  
   
            
受精後、2細胞になるのに3時間かかりました。5時間後には4細胞、8細胞が観察できました。12時間後には胞胚、24時間後には胞胚が受精膜内で回転しているのが観察できました。受精後の卵は1リットルビーカーで観察しましたが、ビーカーが卵でオレンジ色に見えるレベルでは濃いすぎます。酸欠?になる可能性があります。
また、今回、放出後6時間、小さなビーカーに放置した卵は精子を入れても受精膜ができませんでした。新しい卵に取り替えると直ちに受精に成功しました。精子は生きていたようです。
     
  

  

アカガエルの卵の採集と卵割の観察
2月10日、豊岡市の三江地区の水田でアカガエルの卵塊を採集しました。アカガエル類は但馬地方では2月から3月に産卵します。ここにはヤマアカガエルとニホンアカガエルの両種が生息します。今年は雪が少なく1月下旬に、この季節としては、とても暖かい日があったので、産卵は早いだろうと予想はしていましたが、すでに1月下旬には産卵が始まっていたようです。このような寒い季節に産卵するのは、凍り付いてしまう危険性より、天敵がすくないことのメリットを重視しているからでしょう。それにしても多くのカエルが冬眠する時期に産卵行動をしているわけですがら、すごいものです。
   
さて、卵割の観察ですが、1時間の生徒実験に仕上げるのにうまい方法がみつかりません。その大きな理由は卵が大きすぎて顕微鏡が使えないことです。解剖顕微鏡は数が少なく、適当な光源もありません。したがって、いままで、卵はいくらでもあるのに、有効な観察を行ってきませんでした。

結局、ビーカーに入れた卵塊を教室に放置し、生徒に観察させるのが、現時点での最も有効な手段です。3学期の終業式時点ではまだオタマジャクシです。4月の中旬にはカエルになります。(教室は暖かいので野外より早い)

写真は桑実胚ですが、ルーペでなんとか確認できるレベルです。光源付の実体顕微鏡を使えば別ですが、2細胞、4細胞などはさらに確認が困難です。原腸胚になると卵黄栓がはっきりし肉眼で十分観察可能です。
   
2月17日 前回から新たな卵塊は増えていません。雪が降り寒くなったので、カエルたちの活動はストップしているようです。この寒波が過ぎるとまた第2陣が産卵をするでしょう。山際の水溜りの氷を取り除き、網で探るとヤマアカガエルの成体が出てきました。動きはとても緩慢。部屋の中で観察していると体温があがったのか、活発に動き出しました。             
    

細胞分裂の観察
かなりありきたりの実験ですが、これは一度はやりたいですね。簡単にできますし、細胞を実感するにはよい教材です。タマネギが一般的ですが、ニンニクもいいですね。分裂細胞があること、うまく広がること、そしてうまく染色できるかどうかがポイントですね。私は午前10時に根を固定し、酢酸オルセインに1時間以上漬けておきます。そして親指で押しつぶしです。
  
追加:
スライドガラスを2枚、直角に根端をはさんで押しつぶす。開いてそれぞれにカバーガラスをかけ、また押しつぶす。2枚のプレパラートができる。この方法は素晴しいですね。教科書で見ましたが、これを考えた人、goodです。

ユスリカの唾腺染色体の観察  
  
          
酢酸オルセjンで染色。約10分。押しつぶし法。親指で押してもいいし、割り箸でたたいて広げてもよい。

ユスリカは教材業者より購入しました。釣り餌やペットショップには最近は置いてありません。頭をピンセットで引っ張ってもうまくとれない。むしろ4節目ぐらいで切り取って頭側からしごいた方が確実に唾腺染色体を取り出せる。
染色体の写真は顕微鏡ビデオカメラで撮り、ビデオプリンターでプリントした。
                    

ショウジョウバエの飼育と観察

今年も遺伝の授業をする時期がきました。実験がしにくい分野ですが、せめてショウジョウバエぐらいは見せておこうと入手しました。これから、毎年のことですが、飼育が始まります。寒い時期ですが、何とか工夫して殖やしたいと思います。野生型と突然変異個体である、白眼、痕跡翅がいます。
                            
  

                         野生型                痕跡翅

飼育ビンを滅菌する。乾燥酵母と粉末寒天をガラス棒でかくはんしながら過熱する。煮えたらとろ火で数分。砂糖を加えてさらに3分。プロピオン酸を加えて火を止める。1cm〜2cmずつビンにいれて準備完了。
材料
  乾燥酵母     25 g
  砂糖        15 g
  粉末寒天      2 g
  水        250 ml
  プロピオン酸    1 mg
        
教科書には交雑実験(羽化したてのハエをオス、メスに分け、形質の異なるペアを飼育ビンに入れる。そしてF1、F2をつくり分離比を求める)があります。しかし、実施はかなり困難です。

ニワトリの脳の観察

脳の様子がとてもよくわかります。予想以上に小さいのが印象的です。材料はニワトリの頭の缶詰を使いますが、これはイヌの餌です。メーカーによって少し異なり、うまくいかないものもあります。ピンセットで頭蓋骨を丁寧に壊していきます。慣れると簡単ですが、へたをすると壊れてしまいます。ニワトリの頭は気持ちが悪いので、最初少し戸惑いますが、すぐに慣れます。  
大脳と小脳がよくわかり、中脳が横からがはみ出しています。間脳は隠れていますが、黒くなった視神経の通路になっています。脳を手のひらに乗せて、水で洗うと薄い膜がとれてとてもきれいな状態で出せます。真横から見ると小脳がかなり大きいのがわかります。
    
カミソリで縦に切ると断面がよくわかります。丁寧にスケッチすると1時間の実験観察として適当です。



原腸胚の模型 
原腸胚のイメージをしっかりと焼き付けるために、粘土の模型作りをしました。資料集などではコムギ粘土が用いてあり、色もたくさんあり便利だと思います。ここでは紙粘土(軽い材質のもの)にポスターカラーを入れて着色したものを用いました。直径3cmぐらいの小さなものを各自2つ作りました。
今回、初めての試みでしたが、いくつかのポイントを書いておきます。

材料の量:
  外胚葉(青)は大きめに、内胚葉(黄色)と中胚葉(赤)は少し小さめに。青で2cm、黄色、赤で1.5cmぐらいです。




部品の準備:
  黄色はラーメンのレンゲ型にごく浅く、赤はおわん型に深く、そして付属品として赤い細い棒を一本。青は餃子の皮のつもりで 2枚。
   


組み立て:
  黄色に赤のおわんをかぶせて、卵黄栓を取り巻くように、あご紐をかける。
  2枚の青で上からくるむ。卵黄栓は出しておく。上下がわかるようにどこかに印をつけておく。
   


切断: 
  縦、横に糸で切る。このとき上下が正確にわからないと、縦方向の断面がうまくいかない。
 

作り方の説明と作業時間、完成後の解説で30分ぐらいの作業。
原腸胚の模型・付録

これはオリジナル。自信作?なんですけどね。
11枚のシールに番号が打ってあります。見にくいですが白3枚、赤4枚、黄色4枚です。どこに行くのかが何度でも追跡できるという仕掛けです。材料は太いタコ糸と荷造り布テープです。生徒全員に材料を配り組み立てさせました。
  

ニワトリの手羽先
これは、動物の組織でやるか、調節で筋肉と関連させてやるか、あるいは進化でやるか、いろいろなとりあげ方があると思います。ネットで調べるといろいろな人がすでにやっていました。そりゃあ身近な材料ですものね。私は、スーパーで手羽先、手羽基、手羽中というのも見つけましたが、手羽中??です。骨が1本入っています。

まず、しっかりと煮て、ピンセットとメス、ハサミなどの入った解剖セットを準備しましたが、たいした役にはたちません。素手で肉を取り、爪で軟骨をゴリゴリこすり取ることに。ネットでは調理して食べるのが良いと書いてありましたが、生徒にも好き嫌いがあるだろうし、どうでしょうか。ケンタッキーがよいというのもあり、これも試しましたが、先端部分が油であがりすぎて、壊れています。4つ食べたらさすがに、もう見たくない。

すぐに位置がわからなくなるので、ゆっくりと、順番にはずしてください。軟骨の中に小さな骨が隠れており要注意です。
 
           ボンドで貼り付け                   1セット

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