チビクワガタ

 暖かい春の日にサクラの幹をゆっくりと這っている小さなクワガタムシ。一見してゴミムシかと手のひらに乗せてみると、がっちりとした体形に小さいながら鋭い大あごがある。チビクワガタは体長1センチ余り、体色は黒くて艶がある。他のクワガタムシのように雄の大あごが大きく発達することはなく、雌雄での形態の差はほとんどない。本州中部地方から四国、九州、さらに台湾、ベトナムまで分布する暖地性の種。
 但馬地方では円山川に沿った平野部から丘陵地にかけて見つかっている。公園や川沿いのサクラの古木に多く見られるようだ。風や雪で落ちたばかりの枝や、切り株の朽ちた部分などを注意深く探すと簡単に見つかるので、案外どこにでもいるクワガタかも知れない。成虫は普段枯れ枝の中で生活し滅多に外に出てこない。樹液にも集まらないので、子どもたちの目にもほとんど触れない。幼虫はサクラなどの広葉樹の材を食べて育つ。秋に成虫になり、そのまま春を待つ。