U・フィールドの解散についてのご報告

                                                                       井上弘久(U・フィールド主宰)



 1988年に解散しました劇団転形劇場(太田省吾主宰)の俳優だった7人で1990年に結成以来、22年間にわたって活動を続けてまいりましたが、本年11月の<シリーズ太田省吾の世界Vol.3>『トラベラー 旅する人々』の公演をもって、22年間の活動に終止符を打つことになりました。

 きっかけは、今年4月に行った『光の駅〜宇宙の中で』(太田省吾の世界Vol.2)と目下稽古中の『トラベラー 旅する人々』の芸術文化振興基金への助成申請がいずれも却下されたことでした。原因を考えてみるに、私たちの情報発信力の無さ、ということを痛感したからです。

 わたしたちは転形劇場で培った演技意識と身体意識を大切にしながら、転形劇場ではやりきれなかった“新たな台詞劇への可能性”を、わたしたちなりに追求してまいりました。

その間、試行錯誤の時期もございましたが、2007年の『U・フィールド版 孤独な老婦人に気をつけて』(マテイ・ヴィスニユック 構成/演出 井上・森屋由紀)は、その成果が充分に発揮された公演だったと思います。ずいぶんと時間がかかりましたが、ようやく自分自身納得のいく舞台が創れるようになったわけです。

しかし、その舞台さえ、再演はできませんでした。この時期の作品『女中たち』(ジャン・ジュネ)、『森の奥へ』(井上・北村青子)、『水の花』(井上)等は、いずれも内容的には再演が可能な舞台でしたが、すべてがかないませんでした。それは観客動員が少なく、「知る人ぞ知る劇団」の域をどうしても越えられなかったからです。

その意味では、2009・10年と活動を抑え気味にして挑んだ今年の企画は、その越えられなかった壁をなんとか乗り越えようとしたものでもあったわけですが…。

 しかし、わたしたちは下を向いて解散を決めたわけではありません。転形劇場とU・フィールドで培った演技・身体意識はきっと何らかの可能性を秘めている、と確信しているからです。

昨年2月の出演者オーディションを経て参加している若い俳優たちの稽古場での目の輝き、そして、『光の駅〜宇宙の中で』を観てくださった若い観客たちのかなりの人たちが、U・フィールドの舞台に関心を寄せたこと。

解散後はそういった若い世代の人たちとも連携しながら情報を発信し、「知る人ぞ知る」という領域を脱しつつ、いい舞台を創りだしていきたい、と思います。そして、その今よりは整えられた環境の中に、U・フィールドのそれぞれ魅力いっぱいの女優たちを迎えることができたなら…、それが私の現時点での希望です。

 とにかく、これがわたしたちU・フィールドの最後の舞台です。それが、師である太田省吾のテキストである、というのも何かの縁かもしれません。
皆様、どうかご注目くださいますよう、心よりお願い申し上げます。


                                                                                 2011年9月吉日