写真:宮内勝

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ふん水はいっしょうけんめい
とびあがって
のびあがって
空を見て
きらきら光って
水の花を咲かせます

『…あしがら13号は間もなく発車いたします。 手塚 「はじめはさ、誰だよ、このおじさんおばさんはって…」
ご利用のお客様はお席にお座りください。…』 津田 「ああ…」
「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ。どこまでもどこまでも一緒に行こう。
僕はもう、あのさそりのようにほんとうにみんなのさいわいのためならば僕のからだなんか
百ぺん焼いてもかまわない。」
「うん。僕だってそうだ。」
手塚 「おい、津田。己に浸るな。そのひとことが言えなくて、なんで人生の荒波が乗り越えられる!?
敗北に酔いしれるな!だいたいそのひとことが言えなかったら、勝利も敗北もないだろう。
壁に突き当たってこそ勝利も敗北もあることを知れ。いいか、敗北の涙は苦いんだ、辛いんだ、
甘くはないんだ。今こそ勇気を奮って立ち上がるんだ。…それにだ、あのミユキがフランス人形抱いて
淋しげにうつむいてるって玉か?…だろ?…」
津田 「…(うなずく)…」
手塚 「だったら今だ。立ち上がるんだ。」

津田 「…オクラホマミクサー…
ミユキ 「オクラホマミクサー?…」
津田 「…一度、荒川さんと踊ってみたいなって…
ほら、クラスが違うとなかなか踊れないから…」

本当に一生懸命、飛び上がって伸び上がって…それで花を咲かせられればすばらしいけど、
…咲かせられないことのほうが多いのね。…それでも、いつかきっと咲かせようって、一生懸命一生懸命、
飛び上がって、伸び上がって、いつかきっと咲かせようって。…

ミユキ 「それに、こうしていると音楽が聞こえてくるんですもの。」
津田 「うん。僕にも聞こえているよ、音楽が。」
ミユキ 「津田君にも?」(『慕情』のテーマを口ずさむ)
手塚 「なんで、『慕情』なんだよ。」
ミユキ 「そうよ!『慕情』よ!」
津田 「うん。『慕情』」
…これは手塚君の夢なんだよ。夢の中に現実を持ち込んでもしょうがないでしょ。
せめて夢の中だけでも、手塚君の無意識を解放してあげなくちゃ。無意識が無意識のまま
どんどん肥大していけば、きっとそれはいつか火山の噴火のように現実の世界にどろどろの
無意識の溶岩を飛び出させることになるんだから…
…それともおしっこが先かな?…ミユキがさせてあげようか?…おちんちんはどこへ行ったかなあ…
…なにを恥ずかしがってるのよお…キッスしよう?…

だってそうだろう、大切な友達を思わず殺そうとして大怪我させるなんてさ、
そんな息子に育てたつもりは、これっぽっちもないんだ、母ちゃんは!

…だから、大嘘をつくの。カムパネルラを騙してやるの。だってジョバンニはカムパネルラの希望なんだよ。
生き残るものは死んでいくものの希望なんだ。だから、大真面目に大嘘をつかなきゃだめなんだ。
そのぐらい分かるでしょ、いい歳なんだから。さ、いくよ。…

けれども、ほんとうのさいわいは一体何だろう…