
| はじめに |
今更説明するまでもなく世界的に高名な「源氏物語」ですが、念のため概要説明します。 |
紫式部と源氏物語の成立 |
源氏物語は全五十四帖から成る四代の天皇の御代に渡る長編小説であり、作者は紫式部。紫式部の父は藤原為時で、詩文の才能ある学者であった。為時が紫式部の兄弟に学問を教えて居た時、その傍らで聞いて居た紫式部が先に諳んじてしまったのをして為時が「この子が男であったなら」と嘆いたというのは有名な話。西暦998年に紫式部は藤原宣孝と結婚するが、1001年には死別し、その後、源氏物語の執筆が始まったといわれている。その後1005年に紫式部は中宮彰子に出仕し、1008年頃には源氏物語は宮中で評判を博していたといわれる。源氏物語は、元々はその一つ一つが短編の小説であったものを、後に一つに括り直されて、長編の源氏物語として編集されたという説もある。 |
源氏物語の構成 |
主人公光源氏の誕生から晩年までの一生を描いた正編と、子供世代の匂宮・薫を中心とした続編(宇治十帖)とに大別され、ともに光源氏達を巡る愛の遍歴を軸に、平安時代の中庸・調和の理想である「もののあはれ」を描きつつも、平安時代当時の宮中の様子や貴族の生活ぶりを克明に描いている。 正編の桐壺から藤裏葉(=第一部)で、光源氏の出生から栄華を極めるまでの前半生を描きながら藤壺や紫の上、明石の君などの多くの女性との愛の遍歴が描かれ、若菜から雲隠(=第二部)で、栄華を極めても満たされない人間の内面の葛藤を光源氏や紫の上の晩年を通じて描かれている。続編の匂宮から夢浮橋(=第三部)では、宇治の僧庵を中心舞台として、光源氏の子供にあたる匂宮と薫と、宇治の八の宮の娘である大君・中の君・浮舟らとの恋愛模様を描いている。 正編の華やかな情景描写に対して、続編の憂いに満ちた雰囲気から、宇治十帖は紫式部ではない別の作者が執筆したのではないか、という説もある。 |