「におい」と「かおり」



語   源 古語における意味
におい 「におい」すなわち「にほひ」は「にほ(=丹穂または丹秀)」を語源とするといわれます。「丹(に)」は赤土のことで、顔料に用いられ、転じて赤色のことも指します。「にほ」は「赤くもえ出たもの」の意味であることから、赤い色が映えている、というのが原義だと言われます。

なお、「におい」という漢字には「匂」と「臭」がありますが、「匂」は国字であり、「韵」から作られた造語と言われます。このため、音読みが存在しません。
(1)色が美しく映えること
(2)艶のある美しさ、気品
(3)光、威光
(4)染め色
(5)香り、香気
かおり 「かおり」すなわち「かをり」は「香居り」が由来と言われています。香(か)は文字通り、かおりやにおいを指す語であり、香りがそこに在る様を示しています。

なお、「薫」は蘭科の植物である「かおり草」の根の意味であり、薫を焚いて悪臭を除去したことから、「かおる」「くすぶる」「香を焚きこめる」などの意味が派生したようです。
(1)香気が漂う、物の気が漂う
(2)特に良い香りが漂う
(3)顔、特に目元等が美しく匂う。
   美しさがこぼれるようである。
変 遷 「にほひ」は本来視覚に関する語で、(1)〜(4)の用法が中心であり、嗅覚に関する語は「かをる」であったと謂われます。それが、平安時代頃には、本来の意味を有しつつも、視覚・嗅覚両方に関する意味を有するようになり、平安後期にはほぼ同義語となり、ともに嗅覚に関する語になって行きました。以後、良い匂いについては「かほる」、匂い全般については「にほふ」が使われるようになりました。ちなみに、視覚に関する「にほふ」の意味を引き継いだ現代語は無いとされています。



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