[インターネットテキスト快適活用ソフト『T-Time』]


政権党や警察庁・法務省、極右政治家たちが煽りつづける
「外国人犯罪」幻想に
騙されないで!


(原題:自民党支持者よ、自民党の治安能力に期待する者たちよ、「自民党選挙公約:治安政策」の虚妄を知りたもれ!!)




第1回(2003/10/15)
第2回(2003/10/17)
第3回(2003/10/27)
※補足と入力ミスの修正(2003/11/05)
第4回(2003/11/10。同日AM10:30過ぎ、ちょっと加筆)
第5回(2003/11/22)
第6回(2003/11/23)



第1回(2003年10月15日)
 先日、友人から、自民党が総選挙向けの公約でトンデモないものを治安対策として掲げていると聞き、毎日新聞のウェブサイトで確認してみた。新聞本紙にも載っていたらしいけど、読む気が起きなくて、押入の奥に追いやってしまってたので。ちょっと間抜け?
 で、見つけたのが、次の宣言である。
宣言2
国民の安全を守ります
●5年以内に、治安を回復します
5年で治安の危機的現状を脱し、5年間で不法滞在外国人を半減します。
警察官の数を思い切って増員します。3年で空き交番ゼロを目指します。
●防衛庁を防衛省に移行させます

 警官の増員と、防衛庁がどーのこーのは、私の詳しい分野でもないし、とやかく言ってる時間的な余裕はない。あえて言うなら、警官への人権教育の徹底をセットでやらなきゃ、今すでに方々で指摘されている人権侵害が増して国際的な非難も高まるばかりだぞ、ということと、防衛庁も自衛隊も解散して、東アジア地域を中心とする国際救助隊(雷鳥アジア!)を多国間協力の下に発足させろよ、ということくらいだが、まあ、それはともかく。

 どうも自民党は、「不法滞在外国人」が治安悪化の最大の理由と言いたいようなのだが、はたしてそんな実態があるものか?
 「不法滞在外国人」を減らすことと治安改善の関連がどうしてもピンと来ないので、言い換えるなら、「超過滞在外国人たち」と治安悪化との関連があるようにはとても思えなかったので、今年度版の『警察白書』を取り寄せて、実態を確認しようと読み始めたのだが……。
 とてもデータとして使えるような代物ではなかった。なんと!

 まず、「超過滞在外国人たち」と治安悪化との関連があると言うなら「超過滞在外国人たち」の犯した「凶悪犯」(強姦、放火、強盗、殺人)の件数が凄まじく増えているのだろうと思いつつ、その件数を探してみたのだが、『警察白書』のどこをどう読んでもどうひっくり返しても、「超過滞在者たち」の起こした凶悪犯の件数は出てこない。
 そこで、「超過滞在者たち」に絞ることを諦めて、「来日外国人」(この定義自体、中味がかなり曖昧に書かれていて、あれこれ推測せねば実態には迫れない。いや、どうやっても実態に迫れないよう何らかの陰謀が働いていると見るべきか!?……Oh! Xファイル!)全体を見ることにしたが、凶悪犯の検挙人数は昨年1年で353人に止まる。ちなみに、昨年1年間の「来日外国人」の窃盗犯検挙人数は、4,395人。

 昨年1年の「来日外国人」検挙人数16,212人に占める「不法滞在者」の構成比が51.9%と記載されているが、これは行政法規である入管法などに違反した「特別法犯」(この定義もまた、かなり曖昧に書かれていて、よくわからない)の人数を含む数字らしく、「超過滞在者たち」による犯罪の実態を明らかにするうえではまったく役に立たない。と言うより、実態を覆い隠すために記載された数字としか思えない。

 そもそも「超過滞在者たち」は、その存在自体が日本政府には「不法で違法で入管法という特別法に違反する」と考えられているのだから、平穏な市民生活を送っていても、検挙・摘発されてしまう立場にある。そういう者たちの検挙人数に占める構成比、なんてものを挙げても、「超過滞在者たち」が治安悪化の原因となっていることを示す証拠には、とてもじゃないけど、なりえない。

 ちなみに、「来日外国人」の検挙人数・検挙件数は、「来日外国人」の増加率に沿って増加傾向がある、とは言えそうだが、「来日外国人」増加にかかわらず検挙人数が減っている年もあり、巷で言われているような「外国人犯罪」の激増という実態は見えてこない。

 また、日本人・外国人双方を含む刑法犯の認知件数は、昨年度では2,853,739件。検挙人数は347,558人。これはあくまで刑法犯の数字なので、特別法犯を含む上記の「来日外国人」検挙人数と比較はできない。だが、治安対策を考えるとき、「超過滞在者たち」いわゆる「不法滞在外国人」を減らすことがおそらくほとんど効果がないことを、十分に証明している数字ではないか。

 犯罪のさらなる実態を知りたくて、今年度版の『犯罪白書』を入手したかったのだが、今年は発行が遅れているそうで、入手できるのは12月半ばになりそうだ。ここにも、
 「犯罪の実態、治安悪化の実態を総選挙前に公表すること良しとしない者たち、治安悪化といわゆる不法滞在外国人とに関係がないことを知られると困る者たちの陰謀があるのでは!?……Oh! Xファイル!」
 などと勘ぐりたくもなるが、昨年度版が来週には入手できるらしいので、またちょっと調べてみたい。

 かくして、私の推測する内容は、以下のようになる。
 発表ジャーナリズムに落ちぶれたマスメディアを利用した法務省・入国管理局や警察庁によるイメージ流布戦略が続けられた結果、「不法滞在外国人は犯罪者予備軍か犯罪者」というイメージが国民の間に広まってしまった。
 実はそんなイメージはまったくの妄想・誤解に過ぎないのだが、法務省・入国管理局や警察庁としては、そういうイメージが広がる方が組織拡大や予算獲得には好都合で、しかも、不法滞在外国人のほとんどは善良な連中だから摘発も容易で楽……なわけで、これら官庁の呆れた意図が、まんまと実現したのである。この数年間で。
 そして、それを自民党は利用し、「超過滞在者たち」をスケープゴートにして、失政への怒りを「自分たち以外の者」に向けよう、という恥知らずな公約を掲げた、と。
 皆さんも、そう思いませんか?

 そして、そこからさらに考えを進めると、こんな結論になる。
 治安対策関連公約のトップ、目玉に「不法滞在外国人追放」なんかを挙げる自民党には、治安問題をあれこれ語る当事者能力がない。治安改善とやらに本気で真面目に取り組む意志など自民党にはない、という結論だ。
 皆さんも、そう思うでしょ?

 それにしても、今年度版の『警察白書』。いろいろ問題がある内容だ。
 たとえば、組織犯罪化とやらを強調したいからって、「共犯」の割合を載せちゃうなんて……。
 普通、「組織犯罪」と言うと、マフィアとか暴力団とかシンジケート的なものをイメージすると思うが、「共犯」って、2人以上が組んで犯罪を犯せばなっちゃうものだから、重なる部分はあると言っても、実態が全然違う。
 主婦数人が何かの弾みで殺人してどーたらこーたらという小説があったと思うが、警察庁の見解では、ああいうのも組織犯罪、になっちゃうということか。なんだかお間抜け。

 他にも、今発売中の『週刊金曜日』479号では、中嶋啓明氏が『警察白書』の内容と、マスメディアでのその扱いについて批判している。急所を鋭く突く内容なので、ぜひご一読を。
  
 ついでだから、一気に書いてしまおう。
 政府が言う「不法滞在外国人」というのは、入管法違反状態にある「超過滞在外国人」や「未認可滞在外国人」「未認可就労外国人」たちのことだ。
 「不法」と言うと禍々しく聞こえるが、その実態は単なる行政法規違反であり、そのほとんどは、刑法犯など犯すことなく、この日本社会の一員として、地道に働き、平穏に暮らしている。その実数は、20万人強と言われている。「先日、神戸地裁で非常な判決を受けたペルー人一家も、その中の一家族だ。

 彼・彼女らが日本社会で暮らしているのは、ここに彼・彼女らを必要とする職場があるからだ。私たちの社会が必要としているからこそ、ここで働き、暮らしているのだ。
 税金だって納めている。年金のお金だって、自分たちはまずもらえないだろうに、収めてくれている。

 しかし、その多くは滞在資格の関係で、労災など入れていない状況だと思われる。
 滞在資格も就労資格もある日系人たちでさえ、就職を斡旋している派遣業者が労災に加入させないため、仕事中に怪我をしても泣き寝入りするしかない……そんな状況に公然と置かれ、放置されているのだ。滞在資格のない人たちがどんな状況か、容易に想像できる。

 そもそも近代以降の日本社会は、海外からの労働力に大きく依存しながら発展してきた。
 在日コリアンたち旧植民地出身者の中に、日本列島に強制連行されてきた人とその子孫がいる、なんてことは、もう一般常識だろう。
 戦後も、1980年代にはイランやバングラデシュ、パキスタンなどと入国ビザ免除の相互協定を結び、建前はともかく、労働力を輸入してきた。
 イラン人やバングラデシュ人たちが文化的・言語的に扱いにくいとなると、今度は南米日系人に目をつけて、イランやバングラデシュなどとの相互協定を一方的に破棄。日系人を労働力として輸入するために入管法を改定した。それが1990年のこと。
 その後、「日系人なら日本の社会や文化になじみやすいだろう」などという馬鹿げた「血の神話」がまさに「虚構」でしかなかったことが判明しちゃったのは、思わぬ効果か。
 余談はさておき、日本政府と日本産業界は、他にも、研修生制度や就学生制度、あるいは相互ビザ免除協定(今でも複数の国と結び、移住労働者来日のパイプになっている。日本のヤクザが「女性を輸入」しているコロンビアなんかもその1つ)、さまざまな方法を作り、使って、現在に至るまで、外国からの労働力を輸入しつづけている。

 つまり端的に言って、日本で暮らす外国籍者は、広い意味ではこの社会の求めに応じて、来日した人たちなのだ。ちょっと事情の違う難民たちも、この日本が一員として参加する国際社会の中から生まれてきた人たちだ。私たちには、彼・彼女の子どもたちが安心して暮らせる環境を整える倫理的・人道的義務があるのではないか。
 「移住労働者のための権利条約」批准とか、彼・彼女たちの労働環境改善のためになすべきことが、山ほどあるのではないか?
 そしてそれこそ、この社会で働き暮らす人たちに夢と希望を与えることにつながり、日本社会に新しい活力をもたらすのではないか?
 外国籍者を単なる使い捨ての労働力として見なすのではなく人として遇する社会、つまり、人を人として扱う社会の到来は、将来を担う子どもたちにも良い影響を与えるのではないか? 治安悪化をくい止めもするのではないか?

 最高裁や日本政府が主張している、「外国人」なら人権を制限してもかまわない、などという論理は、あまりにもレトロで古くさい。
 「不法滞在外国人」は犯罪者予備軍だから日本から追い払え、なんていうのも、実態を直視しない、馬鹿げた空理空論だ。発言力のない者、弱い立場に置かれたマイノリティを狙って暴力的な発言を繰り返す、どこぞの知事や日本政府にとっては、うってつけのスケープゴートなのだろうが、そんな無責任で非人道的な発言に煽られないだけの賢明さを、日本の有権者には発揮してほしい。

 他に言いたいこともあるが、また次回。『犯罪白書』が手に入り、時間ができた時に、続けます。それまでしばらく、ちゃお!


 ……と言いつつ、追伸的に書いておく。北朝鮮との関係について。明日からあまり、時間がとれない気もするので。
 単刀直入に言うと、北朝鮮との拉致被害者を巡る交渉は、小泉自民党政権では、いつまで経っても進むまいと思う。
 平壌宣言を踏みにじり、当初の約束を破って拉致被害者を日本本国に「再拉致」しちゃったのが、小泉政権であり、安倍自民党幹事長たちなんだから。こういう連中が政権中枢に居座っている間は、普通、相手は意地でも交渉に応じないでしょう。違うかな?
 逆に見ると、もし政権交代があれば、拉致被害者とその家族の往来なんかも、一気に話が進む可能性があるのではないか。現政権中枢者たちへの当てつけ的に、共和国政府がシグナルを送ってくるとかして。
 皆さんも、そんな気がしませんか?

第2回(2003年10月17日)
 はたしてどのようにすれば「不法滞在外国人」の犯罪について具体的な数字を弾き出せるか?
 頭を悩ませていた私の下に、昨日の午後になって、一通のニュースレターが届けられた。
 差出人は、「移住労働者と連帯するネットワーク」
 そう、同ネットワーク発行の月刊情報誌『M−ネット』10月号が配達されてきたのだ。

 今号の特集は「差別発言を考える」というもので、繰り返される外国人差別発言(江藤隆美や石原慎太郎などのが記憶に新しいと思う)や警察が未だに差別ビラの配布なんか続けている状況を受けての特集だが、その1つに、こんなタイトルの記事があった。

「来日外国人」及び「不法滞在者」の犯罪データ(刑法犯検挙人員)からみえる外国人犯罪の実像
─江藤議員の『暴言─差別発言』への批判のための基礎資料として─


 何と(個人的に)タイムリーな企画であることか!
 喜んで読み始めた私は、たちまち驚愕の記述に出くわし、目を見張った。
 その記述とは?!?!?!
 ……。
 そのとおり!
 なんと、『警察白書』では影も形も見えなかった「不法滞在者」刑法犯検挙人数が、具体的数字として記載されていたのであっる!!!

 いったいどこからこの数字が出てきたんだ?
 ひょっとして、私が未入手の『犯罪白書』か?
 それとも、まさか、当てずっぽう……?
 いやいや、そんなことがあるわけない!

 記事を書いたのは、『「三国人」発言と在日外国人─石原都知事発言が意味するもの』(明石書店)の著者の1人、中島真一郎氏(コムスタカ─外国人と共に生きる会)。この分野の第一人者である。
 であればこそ、情報公開法とか何とかで、独自に集めたデータが元の可能性もあるが……。

 私は、一縷の望みをかけ、本棚に手を伸ばした。
 あの本でも、かなり詳細なデータ分析を展開していたはず……。
 『「三国人」発言と在日外国人』を取り出し、中島氏執筆部分の「統計数値の出典」に目を通した。そこには、簡単には手に入りそうにないものも並んでいたが、しかし……。

 ……時は流れて。
 中島氏の書いたものを手がかりに、なんだかんだとするうちに、警察庁のサイトで『来日外国人問題の現状と対策』なる資料にたどり着き、そこに「不法滞在外国人」の刑法犯検挙人数、なんてものの実数が書かれているのを、確認した。
 やはり当てずっぽうなんかではなく、警察庁発表(ただし地味に?)の数字に基づく、分析記事だったわけである。うし!
 (できれば全部の資料をダウンロードして数字をもっと分析したかったが、うちはネローバンドなので、諦めた。興味のある方はどうぞ。)

 かくして、今回の中島氏の記事に確とした裏付けがあることがわかったわけで、安心した私は、なんとはなしに、「コムスタカ」でググって、「コムスタカ─外国人と共に生きる会」のサイトにたどり着いた。
 そして、またしても驚愕の事実に打ち抜かれたのである!

 なんと、『M−ネット』10月号の中島氏の記事が、図表データはないものの(※2003年11月5日現在、図表データが『M−ネット』10月号より詳しくなって追加され、数値の入力ミスも修正された「改訂版」になっています)、文章部分はすべてそこで公開されていたのだあ〜っ!

 とは言っても、『M−ネット』10月号には他にもお薦めの記事があるし、私自身もこっそり寄稿していて読み応え十二分なので、しかもわずか300円+送料という破格の安さであります。
 皆さま、『M−ネット』10月号をぜひご購入いただきたい。お願い申し上げまする。

 おっと、いかん。
 肝心のデータ分析結果を、忘れていた。
 詳しくは『M−ネット』10月号か「コムスタカ─外国人と共に生きる会」のサイト(今回採り上げた他にも、貴重で重要な記事が豊富)で読んでもらうとして、ここではポイントをまとめておこう。
1.「不法滞在者」刑法犯検挙人員は、日本全体の検挙人員の0.4%台程度で、最近3年間は減少傾向にある。人数は2002年には1403人で、この10年間、1015人〜1632人の間でほぼ横ばいの推移。この3年間は減少傾向。
2.「不法滞在者」凶悪犯(強盗・殺人・放火・強姦)検挙人員は、日本全体の検挙人員の2%程度で、最近4年間は減少傾向にある。人数は2002年には141人で、この10年間、106人〜186人の間でほぼ横ばいの推移。
3.日本全体の刑法犯検挙人員のうち「来日外国人」は2%程度、「不法滞在者」は0.4%程度しか占めておらず、割合としては最近10年間ではほぼ横ばいか減少傾向にある。

【結論】要するに、「来日外国人」も「不法滞在者」も日本の治安悪化の要因にはなっていない!!!

 かくして、前回書いた「陰謀」については、限りなく黒に近い状況証拠しかない状態ではあるが、自民党の公約がいかに中味のないものかは、今や火を見るよりも明らかなものとなったのである。
 めでたし、めでたし!

第3回(2003年10月27日)
 今回の分析の元になったデータを、警察庁のウェブサイト及び書店で入手した。
 古いデータだったりして入手できなかったものについては、「コムスタカ─外国人と共に生きる会」の中島真一郎氏にお願いして、情報を確認してもらった。
 その結果、『M−ネット』10月号(「移住労働者と連帯するネットワーク」発行)掲載の表には、瑣末な入力ミスがいくつかあることが判明したが、分析して導かれた結論に違いはなかった。再掲すると、
1.「不法滞在者」刑法犯検挙人員は、日本全体の検挙人員の0.4%台程度で、最近3年間は減少傾向にある。人数は2002年には1403人で、この10年間、1015人〜1632人の間でほぼ横ばいの推移。この3年間は減少傾向。
2.「不法滞在者」凶悪犯(強盗・殺人・放火・強姦)検挙人員は、日本全体の検挙人員の2%程度で、最近4年間は減少傾向にある。人数は2002年には141人で、この10年間、106人〜186人の間でほぼ横ばいの推移。
3.日本全体の刑法犯検挙人員のうち「来日外国人」は2%程度、「不法滞在者」は0.4%程度しか占めておらず、割合としては最近10年間ではほぼ横ばいか減少傾向にある。

【結論】要するに、「来日外国人」も「不法滞在者」も日本の治安悪化の要因にはなっていない!!!

 表や数字だけではイメージしにくいかもと考え、グラフ化してみた。
 こちらをご覧いただきたい。
 Oh! ビジュアル系!!

 十分、脱力いただけたと思う。
 自民党と新保守党は、この2つのグラフの緑色部分が治安悪化の要因であり、この緑色の部分を向こう5年間で半減する、それが治安対策だ、などと言っているわけである。
 もはやあれこれ説明の文章を加える必要はあるまい。

 一緒に、脱力を〜。そして、賢明なるご判断を〜。
 ね!?

第4回(2003年11月10日)
 不幸にして、自民党、保守新党、公明党の連立政権の存続が、昨日の総選挙の結果、確定したようだ。
 この残念な結果を受けて、本連載のタイトルを変更することにした。
 すなわち、
政権党や警察庁・法務省、極右政治家たちが煽りつづける
「外国人犯罪」幻想に
騙されないで!

 への改題だ。これからも、どうぞご注目を。

 さて。
 「うきうき書房ニュース」にも書いたように、「コムスタカ─外国人と共に生きる会」のサイトが一昨日、更新され、『NHKのクローズアップ現代 2003年11月5日午後7時30分〜7時55分放映「外国人犯罪に暗躍する日本人斡旋屋」について』という、中島真一郎氏による文章がアップロードされた。
 中島氏の今回の文章は、同番組での数字の扱いのいい加減さを暴くと同時に、警察庁が流布する「外国人犯罪の組織化」なるものの虚構を、他ならぬ警察庁発表のデータと、別途入手した内閣総理大臣名義の答弁書を元に、明らかにしている。ぜひご一読ください。

 そもそも、政府が公的に「外国人犯罪」なるものの統計を取り、あるいは「外国人犯罪の特徴」なんてものをでっち上げて発表すること自体、由々しき人権問題であり、悪魔的な差別行動に他ならない。
 たとえば、どこかの国で、日本人の誰かが猟奇的な殺人をした、児童買春をした、などという事件を受けて、そこの政府が、「日本人犯罪の特徴」イコール猟奇的殺人や児童買春だ、などと政府発行の「白書」に記載し、大々的に広報・喧伝していたとしたら、どうか。さらに、「日本人には猟奇的殺人、児童買春をするDNAがある」などと某都知事のような発言をする人間がその国の首都の首長だったりしたら、国民的人気を有する政治家だったりしたら、どうだろうか?
 大多数の日本国籍者は、「そんなことない!」と主張するだろうし、その主張は正しいだろう。日本「国籍」だから犯罪を犯すというわけではないのだから。
 だが、『警察白書』や警察庁発表の『来日外国人問題の現状と対策』は、「外国人」と「犯罪者」とをまっすぐに結びつけようとする記事で満載だ。「○○人」はこういう犯罪を犯す、などと、まるで相撲やプロレスの得意技かのように、「○○国籍者」の犯した犯罪は「○○人」すべての持つ特徴であるかのように、「○○人」だけが持つ特徴かのように、記載されている。警察庁配布の防犯ビラやパンフレットの多くも同じ。このような喧伝工作は差別を煽るものであり、本来、絶対にあってはならぬものなのだ。こちら(2004/01/14)もご参照あれ!)

 仮にこの点を度外視するとしても。
 『警察白書』の内容のイカサマぶりには、あきれて、開いた口がふさがらない。ペテン、いかさまに満ちている。
 たとえば、『警察白書』には、今回の分析で中島氏が用いた「6人以上の複数犯」についてのデータは、出てこない。つまり、警察庁はもともと公表するつもりのなかったデータであり、黙っていたら永遠に出てこなかったデータ、隠されていたデータなのだ。
 そして、このデータが明らかにされなければ、中島氏が展開したような明晰な分析・批判は不可能か、極めて困難だっただろう。
 かくして、私は今年度版の『警察白書』の編集方針は、次のようなものだったと推察する。
 まず警察庁には、「外国人犯罪の組織化」を訴えるという基本方針があった。それが、自分たちの予算と権益、天下り先を増やすべく世論に訴えるために不可欠であり、外国人はうってつけのスケープゴートだと考えたからだ。
 しかし、真に組織的で大がかりな犯罪となると、「来日外国人」の関わる比率が特に大きいわけではないし、「組織化」が格段進んでいるわけでもない。そこで、実態を誤魔化すために、2人から4人組の複数犯に関する数字だけを示して、「外国人犯罪の組織化」が進んでいるように見せかけよう、演出しようと考えた……。

 とまあ、そんなものが編集方針であるとでも考えない限りは、今年度版『警察白書』に示された分析・文章のイカサマ具合は、とても説明できない代物だ。
 そして、中島氏のこれまでの仕事を振り返ると、これまでの白書も「外国人犯罪」に関する限り、同じようにイカサマのオンパレードだったことがわかる。

 にもかかわらず、この程度のことを見抜けなかったマスメディアの記者たちは、いったい何をしていたのか!
 連中の眼力のなさに比べて、私の場合、この連載の第1回に書いたように、今年度版の『警察白書』をちょっと見ただけで「犯罪組織化」に関する部分に胡散臭さを感じとったわけで、私は今、己の読解力と洞察力、推察力に天狗になりつつ、激しく猛烈に増長しているっ……場合ではないっ!

 何たることだ!
 これはやはり、国民を欺き見当違いの方向へ向かわせ、外国籍者や外国籍風の外見の人々の人権を蹂躙するために仕組まれた、極右政府による陰険な陰謀だったのだ!……Oh! Xファイル!

 ……。
 泣き叫んでも、仕方がない。
 ともかく、妄想の上に政策を立案しそれを実行して何の痛痒も感じない、無責任な極右政権の存続が決まったわけだ。
 今後、警察庁はじめ、極右政治家たちは、ますます図に乗り、「外国人」をスケープゴートにする狂った政策を推し進めていくだろう。そして、情報の検証能力を回復しない限りマスメディアは、これまで同様、連中におもねり、連中のための広報機関となって、誤解と妄想をますます撒き散らかしていくだろう。
 ならば、これからなすべきことは見えている。
 警察庁発表のさまざまな主張の嘘を、他ならぬ警察庁発表のデータを元に、暴きまくり、広く知らせていかねばならない。マスメディアの報道に対しても、今回の『クローズアップ現代』のように問題のあるものを見つければ、強く抗議をしていかねばならない。
 警察庁が「外国人犯罪」についてのデータを発表すること自体への、批判の目を失わずに。

 幸いと言っては何だが、今はまだ、警察庁でもデータの改竄・捏造までは手を染めていないと思う。改竄・捏造していれば、ちょっと読めばすぐわかるようなイカサマ解釈をする必要はないからだ。集計した数字を正確に記載してくれている人たちの職業人としての誇りに報いるためにも、データの恣意的な利用を許してはならない。

 実を言うと、次から次に飛び出してくる妄言や虚報一つひとつに対処していくのは、非常にしんどい作業なので、本当のところ、やりたくない。
 だが、やらねばならない。そうした作業と活動に、私は可能な限り、力を割いていくつもりだ。

 ……などと勇ましいことを書いてみたものの、マスメディアや警察庁の広報力はあまりにも強大で、私や、あるいはコムスタカの方々だけでは、とても対処しきれるものではない。
 本コラム読者の中から一人でも多くの方が、上記の活動に参加しあるいは力添えしてくださることを、切に願う。

 たとえば、独自に『警察白書』などの記載の嘘を分析・検証して声を上げてくれる人が増えると、非常に心強い。
 そんな時間はないという人でも、このページや、うきうきビジュアル系のページ「コムスタカ─外国人と共に生きる会」のサイトの宣伝をしてくれれば、それだけでも大いに助かる。
 あるいは、マスメディアの報道で妙な情報を見かけた時に、たとえば次のようなメールをその報道機関宛に送ってくれれば、これまた大きな助けになる。
 巷間いわれているように、治安悪化と「不法滞在外国人」に関連があるのか。
 警察庁など発表の数値をグラフ化したサイトを見たところ、一目瞭然、ありませんでした。
(グラフと表のあるページ)
http://homepage2.nifty.com/ukiuki/data.html
(グラフ作成の経緯)
http://homepage2.nifty.com/ukiuki/dameldp.html

 以下、参考になるサイトを紹介しておきます。何かのお役に立てていただければと思います。
http://www.geocities.jp/kumstak/intro.html
「コムスタカ─外国人と共に生きる会」

http://www.jca.apc.org/migrant-net
「移住労働者と連帯するネットワーク」

http://www.debito.org
有道出人さんのサイト

 また、他ならぬマスメディア関係者や刑事学者、社会学者の方々には特に、警察庁発表データへの監視の目を厳しく向けるよう、心がけてほしい。職業的な責務として、そして、そういうことに時間と費用を割ける立場にある者の社会的・人道的義務として。
 もしあなたの知人にこうした職業の方がいれば、警察庁発表への監視と分析・抗議活動への参加と助力を、呼びかけてほしい。それもまた、大きな助けになるだろう。

 同時多発的な分析や抗議が増えれば増えるほど、短期間で大きな影響を生むことができるはず……。
 と言うわけで、どうか皆さん。
 この国の進路を虚妄の上に描くのをやめさせるためにも、外国籍者やそうと見られがちな人たちの暮らしと人権を守るためにも、何とぞ奮ってご参加・ご助力ください!
 心からお願いします! どうかぜひ!!

第5回(2003年11月22日)
 「メキキ・ネット」発行のメルマガ『メキキ・ネット通信』vol.16(3)(2003年11月21日)で、このページとうきうきビジュアル系のページなどを紹介してもらえた。ありがたい。
 その号で、東京新聞の「こちら特報部 届かない185万人の声 在日外国人が見たセンキョ」なる記事も紹介されており、ウェブで探してみた。こちらで読める。
 「こちら特報部」と言えば、「じみちに2002」今年八月二日分でもこんな記事を紹介していた。ウェブに残っていくのがありがたくて、しみじみ。

第6回(2003年11月23日)
 先月一七日に法務省入国管理局・東京入国管理局・東京都・警視庁が発表した「首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言」。
 その怪しさについては、10月30日の「じみちに2003 Part2」で突っ込みを入れておいたが、あの突っ込みに油を注いでくれるデータと分析が、昨日、「コムスタカ─外国人と共に生きる会」のサイトで公開された。
 題して、『東京都「不法滞在外国人」犯罪データから見る実像--「首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言」批判のための基礎資料として』
 サイトのトップに新設された「許されない!!スケープゴートにされる外国人」というコーナーの、そのまたトップにある。ぜひご覧ください。
 そして、この情報を広め、治安悪化の真因とその対策を探る人を、さらには「外国人犯罪データ」なんてものが作られていることのいかがわしさに気づく人を、あなたの周りに増やしていってください。
 私も知恵と時間と労力と根性その他を絞っていろいろやります。
 皆さんも、ぜひ、お願いしますうっ!!!!!

うさちゃん騎士団ここにあり!
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