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もろもろの記録
第1回 ブラジル大統領ルラの涙(2005/06/07)
第2回 毎日新聞静岡版の記事から考える「日本人問題」(2005/06/14)
第3回 上半期犯罪情勢についての毎日新聞大阪版見出しに見る 潮目の変化?(2005/10/10)
第4回 潮目の幻(2005/12/01)
第5回 リンクを2つ(2005/12/05)
第1回(2005年06月07日)
ブラジル大統領ルラの涙
先月、来日していたブラジルのルラ大統領。その動向は、日本のメディアではたいして報道されていなかったようだが、さすが、
『インターナショナルプレス』紙のポルトガル語版は違った。そして、なんと、スペイン語版も。
先週水曜日、スペイン語版の同紙を購読している友人日本人が、その週の号の1面を見せてくれた。そこには、ブラジルの大統領ルラが涙をふいている写真が、デカデカと載っていた。
ポルトガル語の知識を総動員して、キャプションのスペイン語を読むと、「在日ブラジル人の置かれた状況を聞いて涙を流し、日本人がブラジルで受けているのと同じ扱いを在日ブラジル人にもしてほしい、と語った」とある。
ああ、さすがは貧しい地域から都市に出稼ぎに出て、労働運動に取り組む中で頭角を現して大統領になった人間は違うよ。まあ、前から涙もろい人ではあったけど、日系ブラジル人に歓迎されたのが嬉しくて涙を流した、われらが日本国のボンボン総理とは深みが違うぜ。
……などと感慨を深めつつ、わが家でポルトガル語版を読んでみると、さらに詳しい情報があった。
曰く、軍政時代に、民主化運動に共に取り組んでいた友人が、今、日本にデカセギに来ていて、思いがけず再会する機会があったこと。ルラが工場で働いていた時代、親しくつき合っていた隣人の子どもが、やはり日本に働きに来ていて、やはり思いがけず再会できたこと。前者の友人は、「同じように工場で働いていても、日本の工場で働くのは難しい」と、その厳しさを訴えたこと。再会が嬉しくて、お互いをしっかり覚えていたことがまた嬉しくて、話は止まらず、涙も止まらなかったということ……エトセトラ、エトセトラ。ああ、読んでいて泣けてきて、私もうまくまとめられない。申し訳ない。
今年初めにブラジルで開催された「世界社会フォーラム」では、ブーイングを浴びてもいたルラ大統領だが(この場面を私は「自由メディア工房」作成のビデオで観た)、こういう苦労人が、自分がやらねばならぬ何かを背負って大統領になれるブラジルという国に、羨望を感じる。
そう言えば、社会フォーラムの時にブーイングを受けて、「批判を聞くのが嬉しい。民主主義がここにあるのだから」てなことを言っていたのは、思えば、軍事独裁政権下での民主化運動の体験があったからかも知れない。自信に満ちた口調だったし。
ともあれ、ブラジル政府は、日本政府と、教育や医療などについて、在日ブラジル人の置かれた状況改善に向けた協議なんかを始めるそうだ。どうか、実りのある結果が得られますように。
また、今、東京都だけでなく、滋賀県なんかでも、南米人相手に、違法な所持品検査が警官によって行われているようだし。そのへんの改善も、なんとかなりますことを。なんとか!
第2回(2005年06月14日)
毎日新聞静岡版の記事から考える「日本人問題」
6月11日付けで、Mainichi Interactive に、
「追跡・静岡:多発するブラジル人犯罪 不就学で低年齢化・集団化」という記事が掲載された。毎日新聞静岡版の記事だという。
しばらく目を疑い、忙しいので無視を決め込もうかとも思ったのだが、考え直して、6月12日、抗議と質問のメールを送信した。
それが、下記の文章(段落下げになってる部分)である。日本人(研究者や行政・教育関係 者を含む)の多くにとって重要な問題を含むものだと考えるので、ここに転載する。
問題の記事は読まなくてもいいから、ぜひ、このメール転載文だけでも目を通してほしい。なにとぞ!
それにしても、今年はもうこんなことをしないですむかもと、期待してたのにぃ……。
涙(;<>;)涙
数字以外の部分をきちんと突っ込んで議論できる状況になりつつある、と喜ぶべきかも知れないが、ゼノフォビア(外国人嫌悪)を煽る流れはそのままだし……。
鬱(>_<)鬱
(以下、抗議&質問メールです。メール本文とは違い、わかりやすいように小見出しを加えたり、和みやすいように変名を交えたりしてみました。)
はじめまして。オビ=ワン・セノービといいます。
惑星イレズミインで、在日ブラジル人の子どもたちの支援活動に関わっている者です。
貴紙をR2星雲で購読しています。今日は、稲生陽記者の「追跡・静岡:多発するブラジル人犯罪 不就学で低年齢化・集団化」という記事を「Mainichi Interactive」(6/11)で読んで驚き、メールを差し上げる次第です。
1.「ブラジル人犯罪」という語句の犯罪性
まず第一に、タイトルに使われている「ブラジル人犯罪」という言葉は、きわめて不適切です。
「外国人犯罪」という言葉もそうですが、「どこそこの国籍があるから」「日本の国籍を持たないから」犯罪を犯すというものではありません。
「ブラジル人」と「犯罪」という2つの名詞を助詞なしで続けるのは、両者が密接な関係にあるという印象を読者に与えます。「日本人犯罪」はこうだ、といった記述が外国のメディアを賑わせている状況を想像してくだされば、わかってもらえると思います。あるいは、「静岡県人犯罪」「三島市人犯罪」といった言葉が全国紙で話題になっている状況とかを。
では、「ブラジル人犯罪」や「外国人犯罪」という語句の代案は何がよいのか。
ここ数年、貴社内でもいろいろな試みがなされています。それらを参考にしてご考案いただきたく存じます。
2.犯罪被害の防止に必要なのは国籍情報ではない
第二に、警察発表や警察のコメントをそのまま流すことがジャーナリズムの役割なのでしょうか?
そもそも「ブラジル人の犯罪」の「特徴的な手口」といえるものが本当にあるのか疑問ですが、仮にあるとしても、タイトルの「ブラジル人犯罪」と同様、ブラジル人に対する差別をあおる効果しか持たないものです。
「荒っぽい手口」「車上荒らし」「出店荒らし」=「ブラジル人の犯行」といった先入観と偏見を読者に植え付けるだけで、実際の犯罪予防には何の役にも立ちません。犯罪予防に役立つ情報とは、どのような犯罪行為がどのような時間帯・場所でこれまでに起きているか、だからです。
もし、この記事に書かれているような情報を犯罪予防に役立てるとすれば、「犯罪を犯すからブラジル人を日本から追い出せ」「徹底的に監視しろ」「隔離しろ」という結論に持っていくしかないでしょう。稲生陽記者はそうすべきだと考えておられるのでしょうか?
3.不就学の背景を探ることが必要/「外国人問題」ではなく「日本人問題」
第三に、集団化・低年齢化については、その背景を探るべきです。
常葉学園大学の前山ジャンジーラ教授に対するインタビュー記事では、あまりにも不十分です。それどころか、前田教授の発言は、問題の本質から目をそらさせるだけのものにしか思えません。記事には、この前田教授は「外国人問題に詳しい」とありますが、首をかしげざるをえません。
青少年非行の背景には、一般的にいって、社会的な問題が横たわっています。
在日ブラジル人の子どもたちの状況を考えるとき、不就学などの原因としてよくやり玉にあげられるのは「親の無責任」ですが、これまで7年間わたり在日ブラジル人の子どもたちの学習支援活動にかかわってきた経験からすると、本当の原因は日本社会の受け入れ態勢にあります。これまで、日本の学校になじめず、いじめられ、学校をやめていった子を大勢見てきました。貴重な労働力として日系人にビザが与えられるようになって一五年。そして、定住化傾向が指摘されはじめて十年近く経っても、日系人の子どもたちを日本の学校にスムーズに受け入れるための態勢や、彼・彼女らの可能性を伸ばし将来のためになるような教育カリキュラムがきちんと生まれているでしょうか。一部の単発的な取り組みや議論に留まっているのが現状ではないでしょうか。
非行の背景に、日本社会に対する反発(日本の学校での体験がその根源になっている子も少なくないのではないでしょうか)があるように、私には思えます。刑務所の屋根を壊した受刑者のエピソードもそうです。そして、反発しながらも、最近の「日本人」の若者たちの「人を殺してみたかったから殺した」などといった、たいていの人が理解に苦しむような事件はほとんど起きていないのではないでしょうか。たとえば、冒頭で紹介された岐阜県での「拳銃強奪」事件の犯人たちでさえ、報道を見る限りでは警官の威嚇射撃にびっくりして拳銃を奪ったようですし、また、その拳銃を使って他の犯罪を犯そうと思えばいくらでも犯せたでしょうに、わざわざ郵便ポストに投函するなど(犯人にとっても一般市民にとっても極めて安全な、よく考えられた返還方法です)、人としての一線を越えてはいません。
それゆえ、上でも引用した「外国人問題」という語句にもおおいに異議があります。「日本人問題」ととらえるべきです。そうしないかぎり、この社会での決定権を持たないマイノリティである「外国人」に問題の責任をなすりつけるばかりで、解決・改善は何も見られないでしょう。
実際、親の不安定な就労状況が、子どもの教育環境や将来設計に与えている悪影響も見逃せません(岐阜県可児市が行った就学状況実態調査の報告書にぜひ目を通してみてください)。そして、その就労状況を改善できるのは、日本人でしかないのです。この社会が抱える問題の責任は、有権者である「日本人」に究極的にあるのですから。
「外国人コミュニティの結びつきの強さ」が「害」だという前山教授の言葉、正気なのでしょうか。コミュニティーの結びつきの強さで救われ、犯罪に手を染めずにすんでいる子どもたちも少なくないのではないでしょうか。
また、最後の一文(「交流が少ないことから日本人側は「外国人は怖い」というイメージをふくらませ、壁がますます高くなっていく連鎖があるという。」)には目を疑いました。この記事自体が「外国人は怖い」というイメージを日本人読者に植え付け、さらにそれを増強しているとしか思えません。静岡県のようなブラジル人集住地域でこのようにゼノフォビア(外国人嫌悪)を煽って、その結果はどうなるのでしょうか。
長文におつき合いくださり、ありがとうございました。
貴紙の紙面のますますの充実を願っています。
なお、このメールの内容は、マジョリティである日本人(研究者や行政・教育関係者を含む)の多くにとっても重要な問題を含むものだと考えますので、私の個人的に運営しているウェブサイトに、アップする予定です。
(追記:稲生記者からは、6月20日、丁重なご返事をいただいた。遅ればせながら、ご報告まで。7月21日 仲 晃生)
第3回(2005年10月10日)
上半期犯罪情勢についての毎日新聞大阪版見出しに見る 潮目の変化?
8月、「平成17年上半期の犯罪情勢」について警察庁が発表した。
いわゆる「来日外国人犯罪」というくくりをすることの犯罪性については、「粉砕!プロパガンダ」のコーナー他でこれまでも指摘をくり返してきたが、そのくくりは、今回も維持されたままだ。
ただ、すでに「外国人」をスケープゴート扱いできる常況は完成したためか、あるいは、刑法犯検挙件数・検挙人員とも前年比で減少していたためか(これまでの警察庁のロジックに従うなら、「外国人犯罪は、2004年上半期と比べて約10%減少、凶悪犯は、その大半を占める強盗犯が約13%減少したため10%以上減少」、「共犯事件も、13%減少し、共犯率も約2%減少」となるとの分析もある)、オレオレ詐欺なんかの急増が目立ったためか、それほど大きな扱いでの報道はなかったようだ。
そんななかで嬉しかったのが、毎日新聞大阪版(8月18日付夕刊)の見出し、だ。
「外国人検挙件数
前年比4.6%減少
今年上半期」
とあって、「外国人犯罪」などという語句がない!
当たり前といえば当たり前の表記のはずなのだが、これって画期的ではないか?
ただ、同紙ウェブ版では、産経新聞ウェブ版や日経新聞ウェブ版と同様(←どっちも経済新聞?)、「外国人犯罪」という見出しが使われていたと聞くので、まだまだ手放しで喜べる状態でないのはたしかだ。そうとわかっていても、やはり嬉しい!
毎日新聞大阪版のなしたこの快挙が、広まっていきますよう、強く願う。
第4回(2005年12月1日)
潮目の幻
(原稿差替:12月1日午前3時)
さきほどアップした記事を書いたときには、ダークサイドに落ちてしまっていたようである。いい年をして、お恥ずかしい。
反省して、ちょっと冷静になって書き直したものと差し替えることにした。
で、それはすなわち、下記の抗議メールである。毎日新聞社に送っておいた。
あっ、それでも仮名に暗黒面の気配がぽろり……。
ダース・シリアスといいます。
京都で貴紙を購読しています。
在日外国人の子どもたちを支援するNGO活動に関わっています。
貴紙の今年8月18日付夕刊(大阪版だと思います)に、
「外国人検挙件数
前年比4.6%減少
今年上半期」
との見出しの記事が掲載されたときには、小躍りして喜びました。記事のどこにも、これまで使われつづけていた「来日外国人犯罪」なる警察用語が使われていなかったからです。「来日外国人犯罪」「外国人犯罪」など、外国人を犯罪と直結するものとしてイメージさせるような表現がこれまであまりにも無批判に使われていることに、強い憤りを感じていたからです。
そして、貴紙ウェブ版では「外国人犯罪」という見出しが使われていたと聞きつつも、ひょっとして毎日新聞社は政府・警察庁主導の排外主義から距離をとってくれるのでは、そういう潮目の変化が訪れたのでは、などと期待に胸をふくらませていました。ぷくうっと。
しかし、昨日11月30日の毎日新聞夕刊(東京発の記事でしょうか)に、
「来日外国人犯罪
検挙者数最多に
今年上半期」
と題する記事が掲載されたのを見て、心臓が口から飛び出しそうになりました。
元になったデータは、今年8月18日付夕刊の上記記事が紹介したものと同じです。それが、このような見出しで、内容もまったく違う視点からのものになって、広島の少女殺害事件の容疑者検挙報道の一環として掲載されていたのです。
いったい何という見出しのセンスの悪さ、情報の選び方の悪質さでしょうか。
だいたい、刑法犯検挙件数、検挙人員とも減少していることは、記事の本文でも触れられているのです。記者も気づいているはずです。ゴーサインを出した上司も知っているはずです。
そうであるのに、そもそも刑法犯の話が記事の主題であるにもかかわらず、入管法違反などの特別法違反での被検挙者数を合わせた数で「最多」などと見出しでバーンとうたうとは、いったい何事でしょうか? どういう意図なのでしょうか?
また、警察庁定義の「凶悪犯」(殺人、強盗、放火、強姦)には含まれもしない「侵入盗」の検挙件数が911件(26.8%)増加したことをもって、「(警察庁は)凶悪化しているとみている」などと書いているくだりは、論理的に破綻していませんか? 警察庁の発表をそのまま流しておけば何の責任も問われることがないなどと、お役所的な発想に染まってしまっていませんか?
ちなみに「侵入盗」の被検挙者数は、34人増えたのみです。この数字は記事には出ていません。そして、ご存じのとおり、日本人被疑者よりも外国人被疑者の方が取調段階で余罪を厳しく追及されていることは、警察庁発表のさまざまな統計データから十分に読み取れますし、また、これもまたご存じのように、今、政府の「不法滞在者半減」計画の実施とやらで、各地で入管法違反の検挙・取締が激化しています。特別法違反での被検挙者数が増えるのは当たり前の話ですし、その波及効果で、職務質問ラッシュの波に飲み込まれている「来日外国人」の場合、刑法犯を犯した者が検挙される可能性が「日本人犯罪者」より大きいことも、これまた自然な話です。まあ最後の話については、「来日外国人」の実数が不明なので、数字的な証明は無理なのですが。
さらに、凶悪犯全体では検挙件数が11件減、検挙人員が13人減と書いたその直後に、殺人が6件増、10人増と、ここだけをフレームアップする意図は何なのでしょうか? 「外国人は人殺しだ」とでも言いたいのでしょうか?
さらにさらに、○○人が被検挙者△△人(◇◇%)で最多などと、これまたしれっと掲載していますが、そんな情報に何の価値があるのでしょうか? 在日○○人の隔離・排斥を訴えたいのですか?
この手のデータがあったとしても、それが民族的・人種的な差別を煽るような形で利用されることは、絶対に絶対にあってはならぬはずです。
そして何より許せないのは、ただでさえ在日外国人への風当たりを一層強くしかねない事件が起きた時に、しかもその報道の一環としてこのような形の記事を掲載することの悪質さです。これはもう、悪魔の所業とでも呼ぶしかありません。
貴紙のファンでしたが、購読する気が、いい加減、失せてしまいそうです。
佐木隆三氏や高村薫氏の冷静なコメントや、中本泰代さんの記事がなかったら、即座に購読中止の電話をしていたことでしょう。
もうしばらくは、貴紙の購読を続けてみます。
今回のような記事に二度と絶望させられることがないことを、切に願っています。
第5回(2005年12月05日)
リンクを2つ
広島女児殺害事件の報道に関して、リンクを2つ紹介しておく。
ブログ「石蹴り遊び」の
こちらと、日本ブラジルゆーあいネットの
コメントだ。
どうぞ。
うさちゃん騎士団ここにあり!
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