うさちゃん騎士団の大提言
日本住民の安全と東アジア地域の平和は、
有事法制でもイラク新法なんかでもなく、
国際刑事裁判所が築く!
2003年6月11日
うさちゃん騎士団とは何か?
ご存知ない方は
こちら
を、そしてその日以降の同コラムのあちこちをご参照ください。知ってる方の方が珍しいと思います。はい。
★
六法の勉強に専心せねばならぬ身ではあれども、思いついちゃったというか気がついちゃったからには仕方がない。
というか、来月頭の模擬試験が終わるまでは封印しておくつもりだった私的な思いつきなのだが、自衛隊が武器・弾薬をイラクで運搬する、とかなんとかいう愚劣な提案がなされつつあると聞くと、居ても立ってもおられず、発作的に、以下の提言を掲げます。ご一読を、よろぴく。
さて!
小泉政権の対米属国化路線に対する世論の支持や、先日の有事法案のあっけない国会通過の背景に、北朝鮮を軍事的脅威だととらえる多くの国民の不安がある……のは、おそらく間違いないと思う。
ここで、北朝鮮脅威論の是非や、仮に脅威があるとしても軍事的手法が私たちが直面している問題の解決に本当に役立つのか、倫理的に正しいことなのか、などについては、もう何を言っても無駄な気がするし時間もないので、今は論じない。
(ちなみに、
うきうき書房ニュース
で使っている「武力・暴力で解決できる政治的・社会的問題……」というフレーズは、
『記録』
の今年三月号に引用されていたフランス人I.ラモネ氏の言葉をアレンジしたものです)
代わりに話したいのは、他国
(北朝鮮に限らない。圧倒的な攻撃力を持つアルゼンチンでもパラグアイでもどんな国でも)
の軍事的脅威に怯える無辜の市民を、軍事力以外で守る道だ。そう、法の力で!
法力と言っても、仏教の僧侶たちが持つと言われる尊い力のことではない。国際法、国際条約のことで、ここでは、国際刑事裁判所規程
(国際刑事裁判所に関するローマ規程、国際刑事裁判所設立条約と訳されることもあるようです。一九九八年七月一七日採択)
を指す。
(ちなみにアルゼンチンもパラグアイも、この条約に署名・批准しています。ビバ、南米サッカー! じゃなくて、ビバ、南米!)
なお、この条約に実効力をもたらすはずの国際刑事裁判所が成立しているかどうかは、ウェブで検索する限り新しい情報と古い情報が錯綜しているようで、調べるほどに混乱した。それでも、
アムネスティのサイト
の
「こちら」
や
「国際刑事裁判所と政治家の老後の過ごし方」
に書かれてある情報などから推察すると、裁判機関である国際刑事裁判所が今年三月一一日に開所されているのはたしかなようで、いよいよ本格発効の段階に入っていると見て、たぶん間違いなかろう。
(もし勘違いでしたら、ご存知の方、お教えください)
この条約、一般には締約国の軍隊が敵国民に対して残虐行為、犯罪行為をしないようコントロールするための条約と見なされているようで、まあ、たしかにそういう側面はたしかにあって、しかも重要極まりない要素なのは間違いないが、同時に、締約国の市民を他国の軍隊から守るという側面も持っており、これもまた無視できないほど重要な意味を持つのではないかと、私には思えるのだ。
なぜなら、この条約を批准していれば、仮にどこかの国がこちらのペナルティ・エリアに、じゃなくて領域内に攻め込んできて、自国の軍隊が総崩れになってついには国民を見捨てる時が来ても、あるいは自国軍隊の救援がいっこうに訪れない時でも、敵国軍隊の指揮官たちは、無茶をしにくい状況に置かれるからだ。
何しろ、国際刑事裁判所規程は、締約国が「集団殺害罪」「人道に対する罪」「戦争犯罪」「侵略の罪」
(なお、「侵略の罪」だけは定義が定まっておらず、今のところ適用されない見込みだそうです)
を犯した場合に、その責任者らを裁くことを目的とするだけでなく、締約国領域内で上記四つの罪が行われた場合に国際刑事裁判所で裁くことができる旨を定め
(第一二条二項(a))
、締約国在住市民の保護を図っている。「国民保護」などという狭っちい了見ではなく、住民の保護を!
(締約国の軍人とその敵国の軍人など、戦闘員を、非人道的扱いから保護することさえも図っていたりするが、今日のお題からは外れるのでパス)
しかも、この条約で犯罪と指定された行為の数と種類の膨大さと言ったら、目眩がするほどの事細かさで、戦地における市民を守るためにおそらく十分なだけの類型が挙げられていると思う。
「国際刑事裁判所問題日本ネットワーク」
に条約の仮訳
(途中までだが、理解には十分役に立つ)
が掲載されているので、どうか一読、あるいは一見してほしい。
(2005/3/11追記
スペシャル・コミック「ネズミ〜皇帝危機一髪 ICCの罠<国際刑事裁判所の脅威>」
または
がメッチャわかりやすいすよ、と自画自賛、自著自賛)
ちょっとだけ例を挙げると、たとえば、市民、住民を無差別殺戮するとか劣化ウラン弾など核兵器を使うとか病院や放送局を攻撃するといった、まさにアメリカ軍が今回イラク侵略で展開したような攻撃を、そしてもちろん生物化学兵器を使うこととか性奴隷をつくったり民族浄化したりすることも、国際刑事裁判所規程によれば明らかな犯罪である。北朝鮮の軍事的脅威を漠然ととらえて不安を感じている人も、北朝鮮軍がこの条約で犯罪とされる行為に出ないとなれば、ひとまず安心でき、冷静に対話の道へと向かえるのではあるまいか。
仮に日本が条約を批准したとしても、敵国指揮官が国際刑事裁判所の存在を意識してくれるとは限らない、との意見もあるだろうが、本条約の威嚇力は、アメリカとイスラエルが本条約の発効直前の昨年五月と六月に署名を撤回したことからも、すでにはっきり実証ずみとは言えないか。しかも、どの道、戦争犯罪に手を染めるまで敵国を追い込み追い詰めてしまえば、この核の時代に、しかもこの狭い列島に五〇数基もの原子力発電所を設置しちゃってるこの国土の現状で、どうやって住民の安全確保など図れるのか。土台無理な話ではないか。冷静に考えれば考えるほど。
余談だが、上で紹介した
「国際刑事裁判所と政治家の老後の過ごし方」
にも書かれているように、イラクがこの条約に加盟していればブッシュを訴追できたとか、イギリスは加盟しているからブレアを訴追できるかも、なんて話が囁かれていたりもする。
なお、この条約を日本がいまだに署名すらしていない理由
(署名、批准の二つの手続きを経て、ようやく条約上の義務・権利が国家に帰属する)
は、やはり
「国際刑事裁判所問題日本ネットワーク」
に詳しく書かれているが、外務省の説明は、私にはとうてい説得的なものとは思えない。政府が本当に国民の安全を願うのなら、有事法制がどーのとあれこれ御託を並べる前に、まず、国際刑事裁判所規程を批准すべきではないのか。自衛隊員が捕虜をどう扱うかなど、国内法があろうがなかろうが国際条約に従えばいいのであり、条約実施のための技術的な細目はお得意の政令か何か、条約実施のためのなんちゃらとかで、臨時的にでも定めることは可能だろうに。
ところで今回、東アジア地域でこの条約に署名・批准している国があるか、これまたやはり
「国際刑事裁判所問題日本ネットワーク」
で見てみたところ、フィリピンとロシア連邦が署名をして批准の準備中だそうで、そして何と、この地域の軍事的緊張の最前線にある国家、韓国が、署名どころか批准もすでに終えているのを発見した。
同じ民族同士が血で血を洗う戦争を二度と繰り返したくない、仮に戦争が勃発しても、戦争犯罪などの蛮行が起きぬ戦争にしたいという、韓国政府の、そして韓国市民の切なる願いを、私なんかはそこに見る。
この隣人の願いを、そして、東アジアの人々にこの一〇〇年余りの間に己がもたらした惨禍を、一顧だにすることもなく、日本は、日本は、日本は……!
思えば、昨秋の小泉貧乏死神首相の平壌訪問直前、金正日首席は、共同通信のインタビューに対して、妙に明るい調子で、実に前向きに答えていた。近いうちに私が東京を訪れる日が来ないなどと言えましょうか、なんてことを。
そう、たしかにあの頃、東アジアには平和と安定に続く道が見えつつあり、対話の時代が開かれつつあったのだ。
にもかかわらず、小泉貧乏死神内閣は、軍事的火種をマッチポンプ式にあちこちに作り続けねば軍事国家体制を維持できないという、ブッシュ大馬鹿帝国の思惑に媚びへつらい、朝鮮半島の、そして東アジアの平和構築への道を自ら閉ざしてしまった。やつら浮き世の醜い貧乏死神、その罪、いかほど重いことか!
さあ!
上掲サイト群や、
「国際刑事裁判所カウントダウン!!」
や
「国際刑事裁判所を設立させましょう」
など先人たちの試みに続いて、今!
うさちゃん騎士団は、
誰に向かってかわからぬまま、
ここに提言する!
今こそ、日本は、国際刑事裁判所規程に署名・批准し、東アジアの他の諸国、北朝鮮、中国、台湾らにも署名と批准を呼びかけるべきだ!
その先には、東アジアを非戦地域にする、平和なアジア構築という大目標がある。
そして、同時に、アメリカに対しても同条約の再署名・批准を呼びかけ、「再署名と批准をしないと軍事的協力
(もうやっちゃってるよね)
はこれ以上できないよ」と突っぱねるべきだ。イラク復興などという欺瞞と偽善とに満ちた醜悪な活動に走るのではなく、侵略に加担した賠償のためにこそ資金と人的援助を行う方向へ、政策を転換すべきだ! べきだ! べきだ! べきだっ!
こんなことをやってくれそうな、実現してくれそうな政治勢力が見あたらないのが、脱力のもとで、いとわびし。
辻元清美氏
やら大橋巨泉氏やらが現役議員でいてくれたら、まだ夢も見れただろうに。う〜ん……。
寂しいので、
京都国立博物館
で間もなく始まる「特別展覧会 アート オブ スター・ウォーズ展」で憂さを晴らすといたしましょう。
それにしても、京都国立博物館のインターネット・アドレスは、だぶりゅーだぶりゅーだぶりゅーどっと脅迫どっとじーおーどっとじぇいぴー(http://www.kyohaku.go.jp)。ナカナカお洒落だと思いませんか?
(→2004年11月、電子本『戦争の抑え方☆軍備オフ ICCでつくる戦争のない世界』とその簡易リーフレットを配布する
サイト(国際刑事裁判所による安全保障の提案 & 国際刑事裁判所規程とその付属文書の日本語訳(試訳))
と
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