課題 11 社内の違法行為は見て見ぬふりをするべきか
   

    見て見ぬふりをすべきではない
    なんてことは当たり前のことだ
    
    これが課題となり得るのは
    やはり 見て見ぬふりをしなければならない
    場面がきっと多いからに違いない
    
    なんて カマトトぶって書き出したものの
    実際のビジネスの世界は
    違法かそうでないかのスレスレのところでやってるものが
    実に多い
    これについては
    別途 考えることにして
    ここでは
    明らかに違法な行為について考えてみたい
    
    法律に則って設立された会社は
    その従業員に対して
    違法行為を犯せ とは絶対に言わない
    しかし
    業績を上げることは至上命令である
    お客を繋ぎとめ かつ増やしていくことも至上命令である
    かつて
    証券会社の損失補填が問題となったが
    損失補填が行われた会社自体
    会社そのものは 損失補填をしろとは言ってないはずだ
    少なくとも社員教育の中では
    損失補填は違法行為です
    と言って来たはずだ
    
    なのに なぜそんなことが堂々と起きるのか
    
    業績を上げることは至上命令である
    お客を繋ぎとめ かつ増やしていくことも至上命令である

    
    これが
    全てである
    これが 出来なかった場合
    「損失補填をしなかったから
     このお客の預り資産は他社へ持っていかれましたし
     そのため このお客との取引額
     ン千万円分は営業目標未達成となっております」
    なんて言い訳はできないのである
    
    だから
    誰かが違法行為を勝手にやる
    言い訳ができないから
    やらざるをえない
    それは自分の営業成績の為かもしれないし
    愛社精神からかもしれない
    いずれにせよ
    会社は違法行為ですよ
    と言ってることを個人が勝手にやる
    万一
    それが問題になった場合
    やった本人は会社のためにやりましたと言い
    会社は 本人が勝手にやりました という
    
    どっか おかしくない?
    
    違法行為なるもの
    会社のためになら絶対やるな
    自分のためにやるならお縄覚悟でやれ
    周囲の人間が気付いたら
    いいんですか くらいの声はかけろ
    見て見ぬふりはするな
    これがしゅうおじさんの回答である
    
    繰り返すが
    違法行為をやった場合
    会社は または あなたの上司は
    こいつが勝手にやりました という
    万に一つも
    こいつがやったことは違法ですが
    それは 業績向上のためやむをえずやったことであり
    その業績向上を強引に指示したのは私です
    なんて絶対言わないのだ
    
    ただ
    いくら見て見ぬふりはするなとは言っても
    戦時中の 五人組制度みたいに
    チクリ合いになってはいけない
    人間関係が卑劣なものになってしまう
    いけないものはいけないと言った上で
    職場の同僚として一緒に考えてやりましょう
    これが上司の場合も同様である
    
    も少し身近な例でいこう
    例えば職場における私用電話
    職場での私用電話は基本的にどこの会社でも社内規定で禁止されているはずだ
    あなたの会社では私用電話は一切ありませんか?
    あるはずです
    本来 私用電話をした際は会社にその電話代金を払うべきである
    ところが 私用電話はないことになっているため
    会社はそんな金は受け取れない
    よって 会社の電話を使って(会社の費用で)私用の電話をすることになる
    
    本来
    会社側としては
    職場でやむをえず私用電話しなければならない状況もありうる
    ことを前提に
     会社の電話を私用で使用した場合は電話料金はこうしなさい
     という規定があるべきである
    けど 私用電話しちゃあいけないという手前 そんな規定は作れない
    
    損失補填にしてもそうだ
    お客が損失補填を要求してくる場合は十分考えられる
    
      断固として拒絶しなさい
      結果として
      損失補填しないことによって営業目標を達成しないこともありうる
      その場合は
      その経緯を明確にしなさい
      その分については考慮しましょう
      それは あなたのせいではないのですから
      さらに
      万一 当社に非がある場合は証券取引委員会に諮った上で
      損失補填にも応じることもありうるので
      その場合も経緯を明らかにして報告しなさい
      当社の過去のセールスに不備があったことを
      世に公表した上で お客に迷惑をかけない解決をします
    と明記すべきである
    
    日本の銀行では もし現金が1円合わなかったら
    夜中までかかってもそれを調査し、絶対に合わせるそうである
    それが 銀行は絶対間違いない という信用を生む所以だそうだ
    それをうけて
    アメリカで銀行の窓口を担当している人に
    現金が合わないときなどは大変でしょうね
    という質問をしたら
    ?????  という顔をした
    よく聞いてみると
    現金が合わないなんて絶対ありえないのだそうだ
    人間なのに絶対間違えないなんて一体どんなことをしているの
    と聞いたら また
    ????? という顔をした
    よく聞いてみると
    窓口を閉めた段階で
    今日の受け入れ金額 とそれに対応する取引
    今日の支払い金額  とそれに対応する取引
    を 清算し、 その差額は 本日の余剰金(または不足金)として締める
    それで終わりだそうである
    余剰金(または不足金)があろうとなかろうと
    決まった時刻に業務は終了する
    後日 お客が
    おつりが1円たりなかったわよ
    と言ってきたら
    たしかに その日は おっしゃる通り現金が1円余っていましたので
    お支払いします と やるそうだ
    
    人間がすることだから 間違いは必ず起きる
    大切なのはその間違いを認め 正確に記録しておくことだ
    という 文化がこのアメリカの銀行窓口の事務に表されている
    
    一方
    日本の銀行では
    銀行が 間違うなんてありえないことを前提として
    1円のために 何人もの人間が夜中まで残業している
    
    昔
    米軍の戦闘機が 
    敵から被弾することを前提に機体の厚さをできるだけ厚くしていた
    さらには 墜落する時のことを考えてパラシュートを積んでいた
    のに対して
    ゼロ戦は機体をできるだけ軽くして燃料効率や行動効率を上げていた
    さらには 墜落なんてありえず 
    万が一にも墜落するようなことがあれば 機体と操縦士は一心同体だ
    としていたこと
     
    欧米軍がマシンガンを連射する一方で
    日本軍は
    貴君が倒すべき敵軍は20名である
    よって 玉を20発 渡す 
    この玉は天皇陛下の玉である
    一発たりとも打ち損じてはならぬ
    なんてマジで言っていた
    
    そんな違いを思い起こしてしまう
    
    閑話休題
    
    だから
    すべてにおいて
    違法行為は起きることを前提として
    管理すべきではないか
    そこまでリスクを把握したうえで
    社内規定を作成すべきであるし
    営業目標を策定すべきである
    それがリスク管理である
    
    基本的に
    至上命令に対しては言い訳が許されない
    しかし
    裏で違法行為が行われるような至上命令は果たして
    妥当や否や?
    
    命令というものは 
    それが実行される過程での問題点が
    把握された上で出されるべきであり
    事前に把握できていなかった問題点については
    命令する者がそれを吸収すべきである
    それが命令するものの責任である
    
    さらには
    至上命令とは 
    極論すれば違法行為を犯してでも遂行すべき命令であり
    そのために生ずる問題点については
    命令するものが飲み込む覚悟ができている時にのみ
    出せる命令である
    
    命令する者はそれだけの決意が必要なのだ
    
    これまで
    日本企業の中で
    自分が命令することの重大さ・その重みを感じながら
    ひとつひとつを吟味して
    命令してきた管理職はいったいどれほどいるだろうか
    命令する以上
    責任をとるのは自分であることを
    これまでの管理職は意識してきたのだろうか
    
    しゅうおじさんが
    残念に思うのは
    単なる営業目標(あくまで目標)が
    暗黙のうちに至上命令(すなわち違法行為を犯しても遂行すべきもの)と化し
    それゆえに
    それを遂行するために
    陰で(すなわち自分が勝手に)違法行為を犯してきたのが
    ジャパニーズ・モーレツ・社員 なのである
    彼が至上命令だと信じて自分を犠牲にしてまでも
    遂行したものは
    企業にとっては 至上命令ではなく 単なる目標だったのである
    
    くりかえしになるが
    
    ジャパニーズサラリーマン 曰く
    私は会社のために違法行為をやりました
    
    ジャパニーズカンパニー 曰く
    会社がやってはいけないと指導しいるにもかかわらず
    こいつは勝手にこんなことをやってしまいました
    
    この ギャップ・・・・・・・・・・・・・!!!
    
                     (FEBRUARY 11,  2001)