【活動報告】
 
T 大学の「構造改革」と法人化に反対する闘い
 政府・文部省は強権的な「大学(国立大学)の構造改革」を強引に進めようとしています。すなわち、独立法人化、大学の再編・統合、教員養成計画部の再編・統合、国公私トップ30大学構想と、いずれも高等教育機関の民主的運営にとって危険な内容をはらんでいます。われわれは全大教を中心として、こうした独立行政法人化に反対する立場を明確にし、「要求・対案」を対置してきました。そして、各単組は学内での合意形成と地域社会の理解と支持を得るべく取り組みを進めてきました。
 昨年の9月27日に、文部科学省「調査検討会議」が「新しい国立大学法人像について(中間報告)」を文部科学省に提出しました。それに関する「意見募集」に対し、全大教、単組、国大協、各大学等から多数の批判的意見が寄せられました(全体では個人を含め130件)。
 「調査検討会議」は今年3月26日に、「最終報告」を提出しました。その内容は、批判的な意見を受け容れていないばかりか、教職員の身分を非公務員型として独立行政法人へ移行するという重大な内容が含まれています。この選択が実現されれば、教職員の雇用・身分保障を不安定にし、多くの教職員の労働条件を引き下げることが容易になることは明らかです。また、教育公務員特例法が適用されないことから、学問の自由と大学の自治が破壊されることも懸念されます。
 全大教九州は、これを受けて4月2日付で、議長と各国立大学単組執行委員長の連名で、この「最終報告」に反対するよう、九州内の各国立大学長あてに要望書を提出しました。同じ趣旨の要望書を既に学長に提出している単組もあり、それを含め4単組(鹿大、長大、熊大、分大)が要望書を学長に届けました。
 大学の統合・再編問題に関しては、九州内で佐賀、大分、宮崎で単科医科大学との統合が進行しており、全大教九州は3月9日大分で統合問題での3大学の会議を開催し、問題点の認識を共有することができました。
 われわれは、独法化反対の運動をねばり強く進めていくとともに、大学の自治と教育・研究の自由を擁護し発展させるための地道な運動をさらに進めていく必要があります。
 
U 賃金・労働条件等をめぐる闘い
 公務員の給与は3年連続して引き下げられ、介護保険料掛金、社会保険料掛金、医療費の負担増等により、国民生活は一層の犠牲を強いられています。さらには、国家公務員の地域別賃金制度の導入等の賃金切り下げが具体的に検討されており、今後の重点的闘争課題の一つです。
 昨年の12月25日に「公務員制度改革大綱」では、労働基本権問題は最終的には棚上げされ、能力・業績主義人事管理制度と官民交流、国家戦略スタッフの創設等、国民が望む公正で民主的な公務員制度改革とはほど遠い内容となっています。
 55才昇級停止に加え、年金受給までの再任用制度も多くの再任用希望者が再任用されず、制度自体を改善する必要が明らかとなっています。
 なお、全大教九州は昇格改善のために、各大学の級別定数表を資料として準備しています。これまで単組からの資料請求に当局が応じない大学もありましたが、今年度は鹿児島大学当局に対し、情報公開法に基づいて資料請求を行なったところ、これまで提出を拒んでいた級別定数に関する情報を提示させることができました。この問題に限らず、情報公開法を利用しての運動の進展も今後考慮に入れていく必要があるでしょう。
 
V 人事院事務局交渉
 
(1) 昇格を中心とした交渉(2002年11月5日 7大学・高専 16人)
 
 交渉において全大教九州は、大学の職員の上位級が他省庁に比べて少ないこと、また、上位級の女性の割合が低いことを具体的に示す資料として各大学・高専の級別一覧を示しています。今回は5大学・3高専の級別一覧を示しました。また、残念ながらこの交渉には間に合いませんでしたが、前述したように、情報公開法に基づいて鹿大の級別一覧を開示させることができました。
 執行部の不手際もあり、重点項目をすべて議題とすることができなかったことは反省点です。交渉時間が1時間程度に限られており、重点項目をさらに整理するなど、事前の準備を周到にすることが必要です。
 交渉の主な点は以下の通りです。
@再任用制度の本格的な実施に当たって、当面希望者全員が再任用されるよう要求しまし た。
A55才昇給停止制度の廃止を要求しました。
B事務職員・技術系職員の昇格改善を要求しました。
C行(二)職員の部下数条項の撤廃・緩和、付加業務の評価による昇格改善を要求しまし た。
D定員外職員の「首切り」を許さず、また、待遇の切り下げを行なわないよう大学を指導 するよう要求しました。
E人事院勧告の実施に当たっては、「暫定的な一時金」支給を非常勤職員にも適用するよ う要求しました。全大教の運動もあり、この点では多くの職場で要求通り支給されるこ とになりました。
 
(2)春闘期の交渉(2002年4月25日 6大学・高専 12名)
 
 交渉の主な点は以下の通りです。
@国立大学の法人化が避けられない場合でも、現在働いている教職員の公務員としての  身分が保障されるよう強く政府に働きかけるよう、人事院としての責任を厳しく追及し ました。
A国家公務員の地域別賃金制度を導入しないよう要求しました。
B再任用制度では、予想通り希望しながら再任用されなかった人が多く出たことから、再 任用の定数を別途措置しなければ解決にならないことを追及しました。
C長時間労働をなくし、男女とも家族的責任を果たしうるような労働条件を確立し、職場 における男女平等を実現するよう要求しました。
(3) 苦情処理
   2002年2月23日(土) 鹿児島市(都城高専2名)
   2002年3月14日(木) 福岡・人事院(大分大2名、都城高専1名)
 人事院のホームページでは、「苦情相談」の例として、以下のものがあげられています。
    任用関係
     ・強制的な辞職勧奨を受けた
     ・著しく不利益な配置転換・転勤を命じられた
     ・能力評価が適正に行われず昇任が著しく遅れている 等
    給与関係
     ・昇任したのに昇格が著しく遅れている
     ・諸手当がきちんと支給されていない 等 
    公平関係
     ・不利益処分審査請求、行政措置要求、災害補償審査、福祉事業措置に関する      手続き方法の相談 等
    勤務条件関係
     ・超過勤務が異常に多い
     ・休暇を認めてくれない 等
    その他
     ・職場でのいやがらせ、いじめ、セクハラを受けている 等
 実際の相談場面においては、こちらの話を具体的に話していくことになります。昇格問題は各大学当局の権限であるため、限界はあるが、当人が同意すれば、人事院は苦情の内容を当局に連絡する義務があるので、当局に対する「圧力」として、ある程度の効果が期待できるものと思われます。
 上に掲げたように、昇格問題に限らず、職場の様々な問題が苦情処理の対象となるので、組合の運動としてもこの制度を積極的に利用するべきだと考えられます。
 
W 諸集会
 それぞれの集会の開催については、実行委員会またはその職種の担当の方に責任を持って準備・運営をしてもらっています。担当の各大学、集会責任者の方に深く感謝申し上げます。
 
(1)改革交流会
  2001年9月15日(土) 鹿児島大学(6大学 10名)
 全大教教育研究集会が鹿児島大学で開催されたのに合わせ、級別定数調査、「暫定的な一時金」問題等、当面する諸課題について、短時間ではありましたが、意見交換しました。
 
(2)第10回女性交流集会
  2001年11月23(金)、24日(土) 別府(8大学・高専 48名)
 徳田靖之氏による記念講演「ハンセン病問題と私たちの責任」は、ハンセン病訴訟の中心として闘ってこられた体験に基づいたもので、参加者の感動を呼びました。
 分科会は、@「働く女性の社会保障」とA「働く女性の雇用条件(定員外・パート問題)」の二つでしたが、参加者は熱心に議論していました。
 また、23日には、別府の街巡りも案内つきで行なわれ、好評を博しました。
 ※詳しくは「報告集」をご覧ください。
 
(3)農場集会
  2002年2月16(土)、17日(日) 宮崎(○大学 ○名)
 九州地区で農場を有する、九大、佐賀大、宮崎大、鹿児島大の4大学の農場職員が主体となって毎年開催されています。昇格問題、研修問題を議論し、交流を深めました。
 
(4)医科大との統合大学の意見交換会
  2002年3月9日(土) 大分(3大学 9名)
 現在九州内では、佐賀大学、大分大学、宮崎大学の3大学が地元の単科医科大との統合を進めています。進捗状況は異なりますが、それぞれにおいて問題点等が明らかになりつつあります。統合によってそれまでの労働慣行が反故にされたりすることにないよう監視するなど、組合の果たす役割には大きいものがあります。会議では、それぞれの統合の問題点が共有されました。
 
(5)行(二)集会
  2002年3月16(土)、17日(日) 佐賀・武雄(5大学 28名)
 記念講演(「行(二)職員として組合活動に参加して(40年間をふりかえる)」)は3月で退職される琉大病院労組の上江洲幸男さんにお願いしました。上江洲さんの組合員としての筋を通した生き方に参加者は勇気づけられました。
 定員不補充政策のため、行(二)職員の数自体が年々減少していますが、昇格のための部下数条項の撤廃等、課題はあります。また、病院関係の職員の待遇改善も必要です。
 
(6)定員外職員代表者会議
  2002年3月23日(土) 福岡(5大学 15名)
 全大教の佐々木副委員長に3月19日に行なわれた文科省との会見を中心に、定員外職員問題の情勢を報告してもらいました。
 予算配分の変更を口実とした雇い止めや待遇の切り下げが、全国のあちこちの大学で起こっており、九州内でも今回長崎大で問題が生じました。残念ながら今後もこの種の問題が起こってくることが予想され、組合の力が試されることにもなります。解雇や待遇改悪を防ぐ運動とともに、あまりにひどい場合には法的に争う必要も生じてくる可能性もあります。また、大学の統合・再編等を契機に定員外職員にしわ寄せがくる可能性もあることから、重点的な闘争課題として位置づける必要があります。
 
 
 
X 事務局報告および次期執行部体制について
 
(1) 単組代表者会議は総会を含めて3回開催しました。総会を除く2回は人事院九州との交渉に時期に合わせ、2001年10月27日(土)と2002年4月25日(木)に行ないました。内容としては、交渉要求の確認および独法化を中心とするその時期の課題を中央からの情勢報告(第1回単代)をふまえて議論し、各単組の経験を交流しました。
(2)国公九州ブロックの学習会・交渉には、可能な範囲で参加しました。執行部から参加することが望ましいが、地理的な問題もあり、福岡地区の単組の協力もお願いします。本年度は九大からかなり参加していただき、感謝します。
(3)独法化、「トップ30構想」等で連帯が必要ですが、私大教連との協力は不十分でした。今後の課題になると思われます。
(4)2002年度の執行部体制としては、事務局を佐賀大学に置き、佐賀大学から事務局長と事務局次長(会計)を、大分大学からは議長と事務局次長(総務)を出すことになります。さらに熊本大学から副議長、北部から幹事を出していただきます。
 
2002年度執行部(案)








 
議長 気賀沢 忠夫  大分大学
副議長 井上 尚夫  熊本大学
事務局長 園田 貴章  佐賀大学
事務局次長(会計)
事務局次長(総務)
西田 民雄
大杉 至
 佐賀大学
 大分大学
幹事    
幹事(HP担当) 遠藤 隆  佐賀大学
会計監査 松浦 秀典  九州大学
会計監査 藤金 倫徳  福岡教育大学
 
 
Y その他
 
 今年度、全大教九州のホーム・ページを開設しました。情報交換等、より有効に利用していくことが望まれます。
 
 
 
 
 
 
 
 
【活動方針】
 
T 大学の「構造改革」、法人化問題をめぐる闘い
 政府・文科省による「構造改革」の名の下での高等教育機関への攻撃は加速し、重大な局面を迎えています。
@文科省の「調査検討会議」は今年3月26日に、教職員の身分を非公務員型として独立 行政法人へ移行するという重大な内容を含む「最終報告」を提出しました。この選択が 実現されれば、教職員の雇用・身分保障を不安定にし、多くの教職員の労働条件を引き 下げることが容易になることは明らかであり、また、教育公務員特例法が適用されない ことから、学問の自由と大学の自治が破壊されることも懸念されます。
A国立大学の統合・再編問題では、すでに約7割の大学が再編・統合・連携の検討を進め ており、県域を越えた統合計画も含まれています。
B昨年の11月22日に文科省に提出された「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関す る懇談会報告書」は、教員養成系大学・学部の存立そのものにかかわる重大な問題を有 しており、再編・統合の動きを加速させています。
C国公私トップ30大学構想について、文科省は、2002年度は人文、社会科学から自然科 学までの博士課程レベルを対象に、5分野(平均20専攻程、年間各1〜5億円程度)、 2年目から10分野としています。
 
 この間、全大教九州の各組合は、署名、学習会はもとより、街頭宣伝、地方自治体の意見書採択等、独法化に反対する様々な運動を展開してきました。しかし、独法化については、2003年度に法案審議、2004年からの実施が取りざたされています。
 われわれとしては、大学・高等教育の本質・理念に立ち返り、自らの大学・高等教育のあり方を検討するとともに、そのあり方について、地域・国民諸階層に理解と賛同を求めるねばり強い取り組みが求められています。
 具体的には、大学としての再編・統合や法人化等に関する「基本構想」策定に際しては、学長等との交渉や要望書の提出、評議会や教授会等への要請などを通じて、徹底した情報公開を求め、大学の理念とあり方についての議論と合意形成を追求します。また、学内の合意形成と地域社会の理解と支持を得るため、地方議会への働きかけや地域との共同シンポジウムの開催などを行なう必要があるでしょう。さらに、安易な独法化先取りを許さない闘いも必要です。私大関係者とも共闘する基盤もあります。
 
U 賃金・労働条件等をめぐる闘い
@10次にわたる定員削減は、教職員の多忙化をさらに深刻なものにするとともに、教育 ・研究・医療にも否定的な影響を及ぼしています。必要な定員の確保を要求していきま す。大学・高等教育予算については、校費等基礎的基盤経費が抑制され、過度な競争的 資金導入政策がとられています。
Aこうした中、「予算不足」を口実とした定員外職員の雇い止めや待遇切り下げが九州内 の大学でも起こっています。「大学構造改革」が進行すれば、このような状況はさらに 深刻化する可能性があります。各単組や全大教と連携した取り組みを進めていきます。
B官民比較方式の改善、55歳昇級停止制度の廃止等、昇級・昇格改善に取り組みます。
C再任用制度に関して、60歳定年制を見直すことを基本に、希望者全員が再任用される よう運動します。
D国公九ブロとも連帯して、「能力・業績主義人事管理制度」の問題点を追及します。ま た、地域別賃金制度の導入を許さず、退職手当の見直し(高年齢の支給月の削減)に反 対します。
 
V人事院九州事務局交渉
 @教職員の要求を基礎にして、交渉での実現を迫ります。要求内容については、全大  教大会で確認されたものを基礎としますが、九州独自の課題を設定します。
 A必要な場合には、個別要求に関する人事院交渉を設定します。例えば、病院問題(夜  勤回数の制限問題、新卒採用がほとんど定員外職員などの問題)等が考えられます。  また、必要があれば緊急の申し入れ等も行ないます。
 B行政職員の「苦情処理」活動は、単組の運動と連携して進めます。
 
W 各種集会
 大きな諸集会の担当大学の順番は以下の通りです。
    教研集会 女性集会    行(二)集会
1995年度   鹿児島    長崎
1996年度   長崎 福岡    佐賀
1997年度   佐賀    熊本
1998年度   福岡      大分
1999年度   熊本    鹿児島(福岡の代わり)
2000年度   熊本      長崎
2001年度 (全国教研 鹿児島) 大分    佐賀
2002年度   宮崎      熊本
2003年度   宮崎  
2004年度   佐賀    
205年度      
 
 従来から行なっている各種の集会・交流会を引き続き開催します。実施に当たっては、担当単組、担当者と相談して進めます。
@第7回教職員研究交流集会(2002年8月23〜25日 宮崎・青島 宮崎大)
A行(二)集会(2002年度 熊本大)
B技術職員代表者会議(必要に応じて)
C農場集会
D定員外職員代表者会議
E青年集会(必要に応じて)
F公立大学交流会(公立大と相談しながら検討します)
Gその他、単組代表者会議で決定します
 
 
X 単組代表者会議
 少なくとも年3回開催します。単組間の交流を行ない、連携を強めます。活動の具体化を図ります。
 
Y 他団体との共闘
 他団体、とりわけ国公九州ブロック、私大教連との連帯を強めます。
 
Z その他
@平和と民主主義を守る課題として、有事法制三法案および個人情報保護法案に反対しま す。有事法制三法案は、戦争放棄、基本的人権の尊重、民主主義、地方自治など、日本 国憲法の原則を幾重にも蹂躙するものであり、容認することはできません。また、個人 情報保護法案は、「個人情報保護」を口実に、報道、表現の自由を侵害する危険が高く、 報道・言論・出版関係者をはじめ広範な国民から強い反対の声があがっています。
A全大教九州として各種集会・行事に参加した場合の旅費に関して、支給額が全大教九州 規定に満たない場合、全大教九州の規定額を支給することを提案します。