MCX-04 / MCX-04R




MCX-04 概要

・2作目のマイコンカー。JMCR2005地方大会、全国大会に出場(MCX-04R、自費参加)
・走行モータ用の昇圧電源を搭載
・自作独立型ディジタルサーボ
・FWD、センターピボット式操舵
・CFRPシャシー




MCX-04 スペック
サイズ 全幅 180mm, ホイールベース 190mm
重量 540g
タイヤ ラジコンF1リヤホイール+軟質発泡スチロール+シリコンシート
走行モータ Maxon RE-max 17モータ×2
駆動方式 FWD
転舵方式 センターピボット式 自作・独立式ディジタルサーボ(サブマイコン使用)
使用センサ 赤外反射センサ(ディジタル)×8
使用マイコン H8/3048F-ONE, PIC16F876
バッテリー 単三二次電池×4 (昇圧12〜16V)
その他

EEPROM、ロータリーエンコーダ搭載(MCX-04R)




ロボットの履歴と解説

2003年末の MCX-03 製作後、しばらくはマイコンカー開発から離れていました。ある日ふと強豪の参加者が多数集っている JMCR2005の南関東地区大会を見学したい、地区大会にも出場したいと思い立ち、北関東地区大会へのエントリーと共に、純粋な見学として大会会場となった横須賀の商工会議所に出向きました。そこで見たものは、社内大会とは全くレベルの異なる高い完成度のロボットによる高速レースであり、改めてマイコンカーには勉強として取り組む価値があると気付きました。

南関東地区大会が 10月17日、北関東地区が 11月7日。残り 1ヶ月も無いような状況からロボットの開発が始まりました。年初の時点で MCX-03をベースとした改造車を何台か作っていましたが、その中には昇圧回路を載せて、電池4本で走るロボットがありました。

昇圧回路テスト車


このロボットは重量があり、昇圧回路の出力電流不足もあって加速力に欠けていました。もしこのロボットを軽く作ったならどうなるか、ということをテーマに、空き時間の合間を縫って、急ピッチで製作を進めることにしました。

製作上の課題となったのが、手持ちのモータでした。走行用として使えそうなモータは、RE-max17が2つ。これだけなら問題ないのですが、このモータは 19:1 のギアヘッドが結合された形で購入しており、サーボなど他の用途での使用を考えていたものです。どう考えてもギア比が高すぎですが、

・ギアボックスを作っている場合ではない、ギアヘッドをそのまま使ってしまおう
・何処ぞのクルマではないが、高回転高出力&低トルクの構成なら、昇圧回路で何とかなるのでは?
・せっかくなら何処ぞのクルマのようにFWDにしてしまおう
・とにかく各部品は軽く

と実に安易に、全体のコンセプトを決めてしまいました。
コンセプト決定後に考えた全体構成は、以下のような構成です。


機能ブロック図 (MCX-04R)


車体の構成図 (MCX-04R)



後でも触れますが、ロータリエンコーダについては地区大会仕様では装備していませんでした。
このロボットの特徴的なところを以下に示します。

特徴的な要素 選択理由、コメント
電池4本、昇圧式 後に製作したドラッグカーとは異なり、技術的な優位性を評価したというよりも、単純に昇圧回路で走らせてみたいという思いだけがありました。初めて作った回路をほぼそのまま移植しましたが、完成度は低いものでした。
昇圧ICとしては、LT1170 を使用しています。
自作・独立式ディジタルサーボ 市販のラジコン用ディジタルサーボという製品は、とどのつまり、マイコン、モータ、駆動回路とポテンショメータを一体化したものです。しかしマイコンカーで使うにあたって、5〜16ミリ周期のPWM信号で動かすという制御インターフェイスの部分が気に入りませんでした。

この問題を解決するためには全てを自作し、自分にとって都合よい制御インターフェイスを備えたディジタルサーボとみなせるモノにすればいい、ということで上記のようなマイコンをもう一つ使った構成が生まれました。

PICとH8はパラレル接続で、目標角度値の設定や現在角度値の取得が H8から1ミリ秒の周期で行えるようになっています。PIC側の PD制御のパラメータ設定は、PCからH8を経由してPICにコマンドを送り、PIC内のEEPROMに制御パラメータを保存できるようにしました。

サーボモータ駆動回路は FETに4AM12を使用し、正逆転とブレーキ動作に対応、TLP250フォトカプラ×4で絶縁し、約20kHzのPWM信号で駆動しています。

サーボモータは低電圧仕様で、昇圧回路とあわせてすぐに電池の残容量を減らしてしまいますが、まずまずの性能を示しました。センターピボットの軸を直接ギアヘッドで回しているので、ポテンショメータは1:2で回転角を増す形でギア結合しています。
巨大なタイヤ 渋谷の東急ハンズで発泡スチロールのパイプを見たとき、マイコンカーのタイヤに見えてしまい思わず買ってしまいました。

発泡スチロールと聞くと、普通は硬くておよそタイヤには使えそうにありません。しかしこのパイプは硬くは無く、うまく整形できれば使えるのではないかと思い、購入したのです。

スポンジでこの厚みのタイヤを作ると結構重いですが、このタイヤは羽根のように軽いです。むしろ軽すぎて良くないのでは、とも思いましたが、最終的にはロボットがタイヤの良し悪し以前の状態になったので、善悪の程ははっきりしません。ただ売っているままだと、真円度や偏芯にばらつきがあり、選別や整形は必要だと思っています。
走行モータ駆動基板 下のロボットを裏返した写真を見ると写っていますが、後輪間の下部に走行モータ駆動基板があります。ロジックIC×3、フォトカプラ×8、4AM12×2の仰々しい構成で、前輪左右輪の正逆転とブレーキを行っています。PWM駆動周波数は 16kHzに設定していました。
厚い&細いCFRPシャシー 大きなタイヤと共にこのロボットの外観を風変わりにしているものが、細いCFRPシャシーです。経験上ねじれ方向の剛性をガチガチに作らない方がいいことは分かっていたので、サーボモータ取り付け部や後輪の支持部などを細く絞っています。ただ板厚があるためか、これでもまだ硬すぎであったようです。

他の部分の寸法は、先に作っていた基板の都合で決定したといっても過言ではありません。電源基板、マイコン基板のサイズを考慮した結果、段付きの形状になりました。

後になって考えると、このロボットでは電池を横向きで、もっと後ろ寄りに載せられるように設計するべきでした。四輪駆動ならともかく、重心が前に寄り過ぎています。

組み上げて最初に走らせたときの印象は

(1) FWDの欠点?加速性能が劣っている
(2) ブレーキ力があまりにも過大である

(1) については、昇圧回路のパワー不足を懸念していましたが、それ以上にメカニカルグリップが足りないと感じました。MCX-04ではタイヤ幅が不適切なほど広かった、重心位置が高かったこともあり、有効に駆動力を路面に伝えることができなかったようです。

(2) については、ギア比の高すぎるギアヘッドを使っていることから予想はしていましたが、程度が想像を超えていました。当時の自宅コースであった合成紙のコース上で、文字通りあっという間に停止してしまいます。重心位置がかなり前に寄っていること、車重が非常に軽いことも影響して、すぐに止まるだけではなく、後輪が浮いていました。当時はエンコーダも使用していなかったのでクランクの制御がまさに自宅コースとの”現物あわせ”のようになってしまいましたが、これが地方大会で泣きをみる要素になってしまいました。

地方大会では、試走の段階で”ブレーキ力が過大”であることが分かりました。自宅では過大には見えないように調整してきたつもりですが、実は自宅コースよりも大会仕様コースの方がグリップが良く、タイヤが強力にグリップしていたのです。最初に走らせたときと同様、後輪が浮いていました。しかし2回ほどの試走は、パラメータを適正に修正するには不十分でした。

本番でも「後輪が浮いてましたよね?」と後で来場者にインタビューを受けるような危なっかしい走りで、1回目はコース半ばでコースアウト、2回目は「このクランクを抜ければ完走」というところで脱輪しました。初出場で完走はならず。

完走できたのは、大会終了後のコース開放時でした。”非公式”の完走しかできませんでしたが、タイヤがボロボロになるまで何度も走ってデータを収集しました。結果として、自宅で調整するなら大会と同じ材質のコースを作るしかないという決断と、”調整したら何とかうまく走った”ということではなく、確信に基づく”制御”で走らなければならない、という想いが得られました。その1歩として、使用者の多いロータリーエンコーダを使った制御から始めることにしました。

全国大会に向けては、ロータリーエンコーダを付加し、アームの材質を変更したロボットを用意しました。これを MCX-04R と命名しましたが、末尾のRは タイプR でもレーシングでもなく、RotaryのR です。全国大会には毎回、連続クランクがありますが、一度も走ったことがありませんでした。ここで落ちるだろうな、と低速設定で予選に挑みましたが、やはり連続クランクで脱輪してしまいました。

全国大会ではテレビ局の取材が来ていましたが、一番前に座っていたためか彼らにインタビューを受けてしまいました。「どうせなら速いロボットを」とは言いましたが・・・。恐らく映像としては流れていないと思いますが、もし流れていて、こんなロボットが普通の構成だと思った人が居たら・・・申し訳ないです。

ドラッグカーと合わせて、成績は全く残せませんでしたが、初めての全国大会は充分に楽しむことが出来ました。

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MCX-04 の裏返し。地区大会後にデータ収集を行ったため、タイヤはボロボロ。


MCX-04R @JMCR2005全国大会。
公式サイトの大会ビデオにも映っていました、怪しいサングラス男と共に・・・
低速設定でトロトロと予選を走っていたのが、良い素材になったのでしょうか。