バリアフリーキャンプ場

ノーマライゼーション

「バリアフリーキャンプ」について考えるとき、欠かせないのが「ノーマライゼーション」という概念です。「ノーマライゼーション」とは1960年代に北欧で生まれた考え方です。その意味は「心身障害者や高齢者など社会的に不利な人々を包含するのが通常の社会であり、そのあるがままの姿で他の人々と同等の権利を享受できるようにすること」。言い換えれば、障害者も、高齢者も、健常者も、ノーマルな社会生活を送れるように社会的環境を整備し、健常者とともに生活できるような社会を作ることです。

それまでの福祉はどちらかと言えば、ハンディキャップのある人々を隔離したり、保護することに重点が置かれていました。これに対してノーマライゼーションは、「人間は基本的人権において平等である」という平等主義を原理とし、障害者や健常者の別なく、すべての人間に平等に認められた社会参加の権利を保障しようというものです。

バリアフリー

ノーマライゼーションを実際に社会生活の場面で実現しようとするときに出てくるのが「バリアフリー」という概念です。もともとは身体障害者の社会生活をはばむ建築上の障害を取り除いた設計を「バリアフリーデザイン」と呼んだのが始まりです。この場合、「バリア」とは車椅子では通行できない段差や利用しづらい設備など、身障者の活動を阻害する建築上の障害を意味しています。これらは目に見える障害、言うなれば「外なるバリア」です。

「外なるバリア」があれば「内なるバリア」もあります。それは障害者と健常者の間に横たわる心理的な壁です。このようなバリアのために障害者と健常者が親しく交わったり、お互いに理解し合えないということがあります。

このほかに心身障害者の社会参加を阻んでいるバリアとして「制度のバリア」も挙げられます。障害者が積極的に社会参加するようになるためには、制度面でこれを保証していくことが不可欠でしょう。たとえば福祉先進国デンマークには、重度の身障者がキャンプするために国が介助者を派遣する制度があります。

バリアフリーキャンプ場

バリアフリーの概念をキャンプ場にあてはめて、障害者が野外で人や自然と親しむことができるように配慮して作られたキャンプ場を「バリアフリーキャンプ場」と呼びます。

ハード面でのバリアフリーの例を挙げると、キャンプ場施設の出入口には車椅子で往来できるようにゆるやかなスロープを設ける。トイレやシャワーは車椅子で利用できるようにスペースを広く取る。洗面器や炊事台は車椅子が進入する膝下クリアランスを確保する、などなど。現在日本ではキャンプ場のバリアフリー化がかなり進んでおり、よりよち歩きの子供から、お年寄りや車椅子の利用者まで誰でもキャンプを楽しめる施設が整っています。

でもいくら施設がバリアフリー仕様でも、それを管理したり、利用したりする人の心の中にバリアがあるならば、本当の意味でバリアフリーとは言えないでしょう。その意味で、キャンプ場従業員の対応や障害者に対する健常者の配慮などソフト面も欠かせません。つまりバリアフリーキャンプ場とは施設を含め、管理者と利用者の相互の理解と協力によって作られるバリアフリーな環境であると言えるでしょう。


参考:(社)日本オート・キャンプ協会「オートキャンプ白書2007」

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