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創設98/9/10 |
04/09/30改定 |
<定義>
- 日本顎関節学会の定義
- 「顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節雑音、開口障害、ないし顎運動異常を主要症状とする慢性疾患群の総括的診断名であり、その病態には咀嚼筋障害、関節包・靱帯障害、関節円板障害、変形性関節症などが含まれる(1996)」
- AAOP(米国口腔顔面痛学会)の定義
「咀嚼筋、関節、および関連諸組織を含む臨床問題を包含する集合詞」
- 「顎関節症」は、その名称から(顎)関節の疾患と誤解されやすいが、筋や関節組織の障害も含まれている。すなわち、一言でいえば「顎関節に関連する筋骨格性の障害」である。Self-limitingな疾患であり、重症化することはない。
<病因>
- かつてはかみ合わせが悪いために生じると考えられていた
- 現在では、「顎関節と咀嚼筋に対する持続的な過重負担が原因である」とする説が主流
- 代表的な過重負担は、
- 睡眠中の歯ぎしりや日中のかみしめ*、
- 片方の顎のみで物を咬む「偏咀嚼」などである。
- (*咀嚼と嚥下時以外は、人間の上下の歯は常に2-10mmくらい離れている(安静位)のが正常である。)
- また、精神的要因が強く関与していることが多く、
診断の際には身体的要因と精神的要因の2方向から診断することが重要である。
- 特に「難治症例」の場合は、身体表現性障害との合併・鑑別に注意する必要がある。
<関節雑音>
- 多くは、顎関節内部の関節円板が転位(ずれる)ために生じる。
- かつては、転位円板は治療して復位させるべきだと考えられていたが、
疫学的調査で成人の3人に1人は円板が転位していることがわかっている現在では、
「痛みを伴わない限り、特に治療の必要はない」と考えられている。
- 痛みを伴う場合も、対症療法で対応するのが原則である。
<治療>
- Self-limitingな疾患であるため、
治療は、安静や温罨法などのセルフケア、薬物療法や理学療法など、
整形外科的原則に従って保存的に行われる。
- これらの方法で、多くは3か月以内に症状が消失する。
- (関節雑音は別)
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- また、歯ぎしりやかみしめなどの「自分の癖」により悪化するため、
この悪習癖を特定し、コントロールする「認知行動療法」が再発防止の重要な鍵となる。
- 咬み合わせの治療は、患者の時間的金銭的精神的負担が大きく、
かつ非可逆的で侵襲の大きい治療法であるため、現在では、
「顎関節症を治すという目的で、咬み合わせの治療をすべきではない」と考えられている。
<頭痛との関係>
- 本邦では、顎関節症に合併する「他の身体的訴え」で、もっとも多いのが、
肩こりや頸のこり(40-80%)で、
2位が頭痛(20-55%)である。
- (文献数で比較した場合、欧米では頭痛が圧倒的第1位である。)
- この頭痛は緊張型頭痛であると考えられるが、
今のところ頭痛の分類についての詳細な報告はない。
- 顎関節症や緊張型頭痛は、
いずれも頭頸部筋の過緊張に起因する同根の疾患という説があり、
今後両疾患の関係についての研究が期待されている。
(原稿提供 清水市立病院口腔外科 井川雅子先生)

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