受験結果
2009.1.9
さて、2008年度のKCPEの受験結果をお知らせします。
KCPEというのは、Kenya Certificate of Primary Education の略で、小学校8年生時に受験する全国統一試験のことです。
ケニアの教育システムは8・4・4(エイト・フォー・フォー)と呼ばれるもので、primary education が8年間、secondary education が4年間、そのあとの大学が4年間というシステムになっています。
そのため、KCPEを受験するのは、日本でいえば中学2年生にあたる学年になり、中学3年生から4年間がセカンダリースクールとなります。
初等教育の8年間は、それぞれ、Standard 1, Standard 2, と呼ばれ、8年生はStandard 8 です。そのあとのセカンダリースクールの4年間は、Form 1, Form 2, Form 3, Form 4 と呼ばれます。
8年生の終了時に、KCPEという全国統一試験を受験します。この成績は、全国一斉に発表されて、その成績によってセカンダリースクールに進学できるかどうかが決まります。
ケニアでは、子どもたちの人数に対してセカンダリースクールの数が足りないので、大変熾烈な受験戦争になっています。
私たちのマゴソスクールでは、2007年度にはじめてのKCPEの受験者が出ました。
これは、2000年に正式にはじまったマゴソスクールが、毎年、1学年づつ増やしていき、2007年度にはじめて8年生ができ、受験できるに至ったというわけです。
最初20人ではじまったマゴソスクールは、2000年から2007年の8年間で人数が10倍になりました。
2007年にマゴソ卒業の一期生となったのは、オビリ、オドンゴ、ジョージ、インバラ、ブリジッド、ナンシー、メリーの7名で、このうち男子3名は2008年2月から Ol Kejuado High Schoolに, そして女子3名はKaliluni Girls Secondary School に進学。(両方とも、Provincial School です。)女子1名は、なにかと助けていただいているNGO、サイディア・フラハの職業訓練校で学費&寮費&教材費を完全にサポートしていただいて洋裁学校の生徒として受け入れていただきました。
2008年度、マゴソスクールはさらに人数が増えて300人近い生徒数になりました。
マゴソスクールがあるキベラスラムから約500km離れたミリティーニ村にジュンバ・ラ・ワトト(子どもの家)を作っていますが、そちらに移動した生徒も含めて、2008年度のKCPE受験生は合計21名でした。
(暴動などの影響で転校してきて8年生時にマゴソスクールに在学していた生徒のうち、転校前の学校で登録して受験をした生徒もいましたので、実際にはマゴソ8年生の数はもっと多かったですが、私たちのもとで登録して受験をした子どもたちは21人です。)
KCPEは、5教科・500点満点で、一応、250点というのがセカンダリーに進学するためのだいたいの合格ラインの目安と考えられています。
そのうち、300点以上を取ったら、成績が優秀だと賞賛されるレベルになり、400点以上になると、非常に優秀ということで国立高校に進学する可能性があるレベルになります。
さて、それでは、2008年度KCPE受験結果をお知らせします。
●ジュンバ・ラ・ワトト8名
★女子5名
ジャクリン 395
ナオミ 342
シンシア 263
エミテワ 241
アグネス 234
★男子3名
ラマ 276
トニー 264
サミュエル 259
●マゴソスクール 13名
★女子 5名
エスタ 314
バイオレット 304
ドリス 230
エリザベス 194
モーリーン 176
★男子 8名
ボンケ 324
ムルサ 286
スティーブン 272
キサ 271
ザブロン 269
ムウォロロ 261
ケネディ 199
ムテイ 97
全員が、非常にがんばったと思います。
試験の数日前に父親を亡くした生徒もいました。(ムルサ)
全体的にいうと、ナイロビの子どもたちは、暴動のときにひどく影響を受けたので、試験の結果が非常に思わしくなかったとあとで発表されていました。
特にキベラの子どもたちはそうであったのに、その中で、非常にがんばったと思います。
この中で、97点しか取れなかったムテイ君を私たちは非常に評価しています。
この97点を取るために、彼がいかにがんばったかということは言葉に尽くせません。
この子どもたちの中には、路上生活が長かった生徒もいるし、長いこと働かされて学校に行けなかった生徒、ひどい虐待を受けていた生徒もいます。
ですから、私は、点数は関係ないと思っていて、それよりも、この子たちがいろいろな苦難を乗り越えて、ここまで来たということをとにかく賞賛したいと思います。
ですが実際には、世間はなかなか点数しか見てくれないもので、状況は厳しいです。
貧しい子どもたちに奨学金を提供するような団体もいろいろとあたってみたのですが、成績の良い生徒だけしか対象にしないところが多く、KCPEの点数が思わしくなかった生徒が進学できるように支援を受けられる道は非常に厳しいです。
私たちの生徒たちは、最も多いのは「ボーダーライン」で、250点前後というところが一番多いわけですが、この点数だと、進学できる学校を見つけるのがなかなか大変です。
というのは、このKCPEは、受験をするときに、公立小学校と、公立以外の小学校ではカテゴリーを分けられており、公立のセカンダリースクールに進学するのに有利なのは、公立小学校から受験をした子どもたちです。
セカンダリースクールには、ナショナル(国立)、プロビンシャル(州立)、ディストリクト(区立)、ハランベースクールやプライベートスクール(私立)とあるわけなのですが、このうち、国からの補助があるから学費も安くて、教育レベル的にも充実しているブロビンシャル(州立)のセカンダリースクールに入れたいというのが、私たちの生徒たちの場合の最も良い道だと思います。
ですが、プロビンシャルのセカンダリースクールには、普通は、公立の小学校の成績優秀者たちが招かれて入学許可を出されるという形になっており、同じような良い成績を修めていても、マゴソのようなインフォーマル・スクールの生徒に対しては、州立セカンダリースクールには招待を出してくれません。
(マゴソのようなインフォーマル・スクールでも、試験会場として設定されている学校で登録をして試験料を支払えば受験できるのですが、公立小学校のカテゴリーには含めてもらえません。普通は、公立小学校から受験した生徒に対して、公立セカンダリースクールが成績優秀者にコーリング・レターという入学招待状を出して、入学が許可されますが、マゴソスクールの生徒はその対象にはなりません。)
なので、自ら学校を探さねばならないわけですが、たいていの場合、けんもほろろに断られることが多く、そこをなんとか許可してもらうには、やはり、良い成績を修めていないと難しいです。
(昨年の場合は、必死で学校探しをしていたときに、公立セカンダリーの校長に会いに行き、入学できる学校を探しているので助けて欲しいと申し出ると、「学校とは、生徒が探すのではなく、学校が生徒をさがして招くものなので、あなたがいくら探しても無理なんですよ」と言われました。そこを何とか、と何度も訪問してお願いをしていって、やっと入れてくれる学校を得られた、という形でした。)
なので、私たちの生徒たちの場合、250点前後の生徒たちに関しては、果たして、学校が得られるかどうかと心配しました。もちろん、お金も十分ないのでその心配もしなければならないのですが、それよりも先に、そもそもは、入学させてくれる学校がなければ、話になりません。
そこで、1月5日からすぐに学校探しをはじめました。
まずは、一期生の生徒たちが行っている学校で、二期生も受け入れてもらいたいと思い、校長に会いに行きました。
最初、男子の学校では、300点以上を取っていないとダメだと言われましたが、数回足を運び、熱心に話し合いをした末、250点前後の生徒たちも受け入れてもらうことができることになりました。
マゴソ卒業生の二期生たち。今年いよいよセカンダリースクールに入学! ピッカピッカの、Form1です。
女子の学校のほうは、ドリス230点や、アグネス234点、エミテワ241点など、非常に厳しい点数の生徒がいたので、無理ではないかと不安だったのですが、幸い、一期生のブリジッド・ナンシー・インバラたちが、学年末の試験で、学年で1位から5位のうちの上位3席をしめるという、非常に良い成績を修めたおかげで、その同じ学校から来るということで学校側が歓迎をしてくれて、一回の訪問で許可をしてもらうことができました。
両方とも、プロビンシャル(州立)学校です。本当によかったです。
今日の新聞に書いてあったところによると、2008年度のKCPE受験者の総数は、695,737人。
そのうち、高校の定員は以下です。
19校あるナショナル(国立)学校 3,331人
プロビンシャル(州立)学校 122,365人
ディストリクト(区立)学校 277,693人
プライベート(私立)学校 42,483人
KCPEを受験したが、定員内に入らない人数(ようするに、セカンダリースクールに席がない人数) 250,000人
このうち、国立学校というのは、非常に成績が優秀な生徒が招かれて入る学校ですが、プロビンシャルよりも学費はだいぶ高いです。
プロビンシャルのほうは、政府からの補助も入っているので学費が安く、教育レベル的にも充実しているということで、セカンダリーに進学するのならばプロビンシャル学校を探したいというのが私たちの考えです。400点以上を獲得して、国立学校に入ることができる可能性がある生徒には、なんとか国立学校に入れてあげたいと思っています。
ディストリクトのほうは、もう少し成績が低くても入れますが、設備的に不十分だったり教育レベルが不十分だったりして、そのあとが不利になります。
良い成績を修めながらも、学費の不足で進学できない子どもたちも多いのがケニアの現状です。その上、学校の数も定員も不足しているので、狭き門になっていきます。
そんな中でもやはりどうしても進学させたいのは、小学校8年生を卒業しただけでは、キベラスラムで生き抜いていくための条件は非常に厳しいままで、彼らの苦しい人生はまったく何も変わらないからです。彼らが人生の条件をなんらかの形で変えていくためのチャンスは、より高い教育を受け、日雇いレベルではないプロフェッショナルな仕事に就く道を開くことにしかないように思います。
さて、なんとか学校も決まってほっとしたのもつかの間、次の難関はお金です。
上記の、2008年度KCPE受験者21名のうち、私たちがセカンダリー就学支援をする枠の中に入れたいのは、男子5名、女子6名の11名です。
この21名の中には、もう一度KCPE受験をリピートしたいという生徒もいるので、数名はもう一度8年生をやりなおします。
それと、セカンダリー進学者の中にも、貧しいながらもキベラに親がいて、ギリギリなんとかできそうな状況の生徒もいますので、その生徒は含みません。(それでも相談には乗っていきます。)
枠に含めたい11名は、どうしても支援が必要な状況にある生徒たちですが、そのうち、まったく何の後ろ盾もなく、学費から生活費まで100%支援されることが必要な生徒が数名います。(例えば、ストチル出身のトニーなどです。)
その他は、貧しくとも親や保護者が何とか、学費の一部は用意していく努力をしようとしている人もいますので、そういう生徒には、部分的な支援をしていきます。
それと、親がなんとかがんばって全額を支払うつもりでいるが、今すぐにはまとまったお金を用意できないので、ローンという形で支援してもらいたいという生徒もいます。
このへんを、それぞれの状況に応じて話し合いを行い、これから取りまとめていきたいと思いますが、とりあえず、今回、Form1に入学する一学期目は、私たちのほうで全額を用意して支払うことで目の前にある進学を可能にし、そのうち、100%の支援となる生徒、一部を親が支払う生徒、ほとんどを親が支払い一部を私たちが支援する生徒、全額をローンにする生徒、という、状況に応じての4つのカテゴリーにわけ、親や保護者にそれぞれの状況に応じたペースでローンを返済していってもらう方式を取りたいと思っています。
2008年度に入学した一期生たちは 今年Form 2に進級しました。彼らの支援も引き続き行っていきます。彼らのときは、全額支援の対象者はいなくて、親はいなくても姉がいるなど、何らかの保護者がいる生徒たちでしたので、全員が、保護者が年間6000シリング(約8千円ほど)を負担する形でこれはローンにし、私たちが残額23000シリングほど(約3万円ほど)を支援として提供する、という形を取りました。
この方式はうまく行き、2008年度には保護者ががんばって自分たちの負担部分の返済を続けてきました。
今回は、トニーのようなまったく後ろ盾がない生徒で、学費&寮費だけではなく、教科書や制服、交通費などすべての支援をしなければならない生徒が何人かいて、こういう生徒に対して必要な金額は、1人につき年間約7万円くらいになるかと思います。
ちなみに、この生徒たちはすべて、「マゴソ卒業生クラブ (Magoso OB/OG Club) 」のメンバーとなり、毎学期、学校が休みになってキベラに帰ってくるたびに集会を行っていこうということになりました。(セカンダリースクールは寮制です。)
2009年度のマゴソ卒業生クラブの1回目のミーティングを先日行いました。一期生が二期生たちに自分たちの経験を語ったりアドバイスをしたり、今後の目標などについて語り合いました。2009年度のマゴソ卒業生クラブのリーダーには、Form2のオドンゴが選ばれました。
この卒業生クラブは、卒業生による、卒業生のためのクラブです。期限はなく、生涯メンバーですので、毎年どんどん増えていくし、彼らが大人になって結婚したり仕事についたり、医者や弁護士やパイロットや学校の先生などになっていってもずっとつながっていき、マゴソスクールの子どもたちのことを助けていこうと子どもたちが話し合いました。
なんだかとても面白くなってきました。これからが楽しみです。
かなり苦難の人生だったところを、マゴソやジュンバと非常に密な関係にあった子どもたちなだけに、このへんの意識の持ち方が非常にしっかりしていて、さらに、今回のレコーディング合宿のように、深い付き合いになる取り組みを一緒に行ったりしてきているので、「大人になったら、自分も、ママチュチュ(リリアン)を助けてキベラの子どもたちを助けられるようになりたい」という意識がとても高くなってきているように思います。
この年末年始の合宿での成長振りはすごかったと思います。
こうして進んでいったら、10年たち、20年たったときには、マゴソ卒業生クラブのメンバーが何百人にもなって、彼らがすごい力になっていってくれそうな予感がします。
とりあえずは、今目の前にある進学を可能にするために、がんばって資金集めをしていきたいと思います。
今回制作中のCDが出来上がったら、その収益はこの子どもたちのセカンダリー就学資金となっていきますが、それだけでは足りないので、「マイシャ・ヤ・ラハ基金」のほうにセカンダリー学費の項目を設けてもらい、そこへお金を集めていくことをトライしていきたいと思います。
愛知県の両角さんご夫妻が中心になり、「MORO教育基金」を立ち上げてくださり、その支援によって2008年度からのセカンダリースクール就学が可能になりました。多くの部分は、このMORO教育基金に助けていただくことになりますが、それでもやはり資金が足りないので、「MORO教育基金」と、「マイシャ・ヤ・ラハ基金」と、CD制作の「JIWE」とのコラボで、なんとかやっていきたく思っています。
近々、ひとりひとりの顔写真とプロフィールなどと共に、セカンダリースクール生徒のページをUPしていきたいと思います。
このセカンダリースクール学費を支援することに特に興味をお持ちくださるような方は、ぜひぜひ、ご連絡ください!
「マイシャ・ヤ・ラハ基金」の口座のほうに募金をしていただき、メールで、「セカンダリー学費」とお知らせいただけましたら、その項目での入金とさせていただく形になります。
マイシャへの募金送付先は、以下です。
* ゆうちょ銀行
記号10070 番号17463211 名義:マイシャヤラハキキン
* イーバンク銀行 サンバ支店
支店番号203 普通預金 口座番号2873114
名義:二本木希衣子(ニホンギキヨコ)
募金いただいた内容を、マイシャまでメールを送っていただけますと助かります。
メールアドレスは、info@maisha-raha.com です。
私に直接のメールアドレスは ecotour@gol.com です。私は留守しているときにはメールが見れないので、この両方に送ってくださいましたら確実です。
現在の状況としては、Form2の生徒たちのためにはすでに一学期分の学費を支払い、学校に戻りました。
Form1の生徒たちのためには、これから学費を用意して、2月第一週までに学校に入学できるようにしていくという形です。
そして、その後、二学期目は5月、三学期目は9月になります。
彼らはマゴソスクールとの関係も深く、これから先の子どもたちを引っ張っていってくれるリーダー的存在になっていく子どもたちが多いですから、何とかしてセカンダリーに行かせてあげたいと願っています。
どうかこれからも彼らの成長を見守っていってください。どうかよろしくお願いします。
早川千晶
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