アーカイブ「ケニアのセカンダリースクール事情」
2001.12.31
ウペポ仙台委員会(注:現在アマニアフリカとして活動している)と、ウペポ民芸品部隊のほうから、2002年度から新しくセカンダリースクールに入学する優秀な生徒を対象とした奨学金提供をはじめたい、という嬉しいお申し出をいただきました。
現在その準備を進めているところですが、ここでひとつ、ケニアのセカンダリースクール事情についてお知らせします。
以前、ケニアの小学校事情については簡単にお知らせしたかと思います。
ケニアでは小学校(Primary School)は8年間。その上のSecondary School は4年間になっていますので、これは日本でいうと、中3~高3にあたるわけです。
小学校卒業時にKCPE(Kenya Certificate of Primary Education)の全国統一試験を受け、その結果に応じてセカンダリースクールへの入学資格が決まります。
セカンダリースクールにはいくつかの種類があります。
1) National School (国立)
2) Provincial School (県立)
3) Private School, Harambee School (私立、コミュニティー)
成績上位の者から順に、上の学校から順番に埋まっていく、ということになっています。1)、2)への入学資格が得られなかった者は、3)に進むことになります。
(もしくは、裕福な家庭で、より条件の良い学校に行かせたい場合は、私立で学費の高い学校に行かせることもあります)
1)の国立学校ですが、こちらは、全国に19校しかなく、定員は合計1500名に
も満たないという狭き門です。しかし、KCPEで優秀な成績をおさめて国立学校への入学資格を得られたからといって、必ず進学できるとは限りません。その理由は、もちろんお金です。KCPEで優秀な成績をおさめる児童の多くは、地方の貧農の家庭出身で、恐ろしく高い学費を捻出することが不可能な子が多いのです。
ンゴリバ村小学校の副校長、イルング先生が語ったところによると、学校で最も優秀な生徒は、得てして生活状況のより厳しい家庭の子が多いそうです。昨年度、ンゴリバ村小学校の生徒が県下でトップの成績をおさめたが、その子の家庭は結局国立学校へ進学するための学費を用意することができず、1年たった今でも彼は学校へ行けずにいるそうです。
その問題の学費なのですが、以下のようになっています。
(1US$=78kshのレートで換算)
1) National School 年間55,000ksh ~63,000ksh ($705 ~ $808)
2) Provincial School 年間 20,000ksh ~30,000ksh ($256 ~$385)
3) Private School, Harambee School 年間 15,000ksh から ($192から)・・・
上はきりないほど高い。寺子屋レベルから国際レベルの学校まで、ピンからキリまで。
これ以外にも、入学時に寄宿舎生活のためのマットレス、毛布、荷物を入れる箱などを用意しなくてはならず、教科書購入費なども入れると、初年度にまずは
25,000ksh ($321)ほど必要です。2年目からは、教科書購入などのために毎年度始めに 4,000ksh ($51) 程度は最低でも必要です。それ以外にも、学校が休みになったときには実家に帰らなければなりませんのでそのためのバス代も用意しなくてはなりません。
これがケニアの地方生活者たちにとって、どれほど困難な数字かおわかりでしょう
か。
先日、「ケニアの働く女性たち」の取材でケニア各地を回ってきましたが、紅茶の産地で有名なケリチョーで働く紅茶摘みの女性たちは、1日の賃金がなんと20シリング(36円)だと言っていました。ナイロビに出稼ぎに来ているお手伝いさんたちの給料も、月にせいぜい3000~4000シリング。男性の日雇い労働者も、1日せいぜい100シリング~200シリングにしかなりません。しかも、このような仕事ですら得られればラッキーという世界です。
出稼ぎ者たちは、このような安い賃金で働きながら、しかも自分は物価の高いナイロビで暮らしながら、田舎に住む家族たちのためにせっせと仕送りをします。そんな仕送りに頼らなければその日その日の食料さえ得られない人々がたくさんいるのです。
そんな中で、彼らにとって目の玉飛び出るほど高いセカンダリースクールへの学費を捻出するのは、並大抵のことではありません。それでも、教育だけが自分たちの苦しい生活を変えていく唯一の希望だと信じるケニアの人々は、大切な田畑や牛を売り、ギリギリの生活をしながら、必死で子供たちを学校に行かせようとします。
田畑や牛がなくなれば、ますます生活は困窮します。そんな恐ろしく困難な状況の中で、せっかくセカンダリーに入学することができても、学費が続かず、途中で泣く泣く退学せざるをえない児童も数多くいます。
では、なんでもいいから安いセカンダリースクールに行かせさえすればいい、というわけにはいきません。その子の将来は、セカンダリースクール卒業時に受けるKCSE(Kenya Certificate of Secondary Education)の全国統一試験の結果にかかっているからです。この結果によって、国立大学から専門学校まで、進学できる先が決定するのです。安定している公務員職につけるかどうかも、この成績によって決定します。
このKCSEでどのような結果をあげられるかは、どのセカンダリースクールに行くかで大体決まってしまいます。国立も県立も夢のまた夢だけれど、それでもせめて子供をセカンダリーに行かせたいという願いを持つ親たちは、ハランベーをして村にセカンダリースクールを建てたりしていますが、政府から何の補助も受けられないこのような学校は、どうしても設備の面や先生のレベルなども劣ってしまい、そうするとKCSEの厳しい戦いに勝ち抜いていくことは大変困難になるのです。
私立学校は、ピンからキリまで様々ですが、レベルの高い学校はKCPEの結果の入学資格基準を高く設定しています。学費レベルと学力レベルとの兼ね合いで、各自が入学資格を得られる学校を探していく、というわけです。
から高い教育を受けた人材を出すことができると、その後、その人は良い仕事につくことができ、のちのち村を豊かにしていってくれるはず、という夢を村の人々は抱いています。だから、村で優秀な児童がいると、みんなでお金を出し合って学費を援助していく助け合いはよくみられます。私たちも微力ながら、ケニアの将来に発展をもたらせてくれる人材を少数でもサポートしていきたいと思います。
そんな子供たちが、それほど遠くない将来、お医者さんや、看護婦さんや、学校の先生などになっていってくれるかもしれない、と思うと、本当にわくわくしますね。(そして、もしかしたら心ある政治家になってくれるかもしれない?!)
2001年は、セカンダリーに行く学費を出してもらえず進学できなかったことに絶望して、自殺をした児童のニュースが何度か新聞に出ていました。ケニアのあちこちを歩いていくにつけ、学校に行きたい!という子供たちの叫びが、一番胸につきささります。
3日前に、2001年度のKCPEの結果が発表されましたので、これからいよいよセカンダリー進学の学資援助をする児童の書類審査、および、その裏付け調査をしていきます。
年明けにはご報告できるかと思いますので、どうぞ楽しみにしていてください。
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