浦里便り (浦里からの発信)その2
風薫道(かぜかおるみち)
朝7時半過ぎは、通勤、通学の慌ただしい時刻で
我が家の朝は賑やかなんです。
決まった時間になるとみんなを起こす声が響きます。
誰の声かって?
もちろん、母親である私の・・・
(真っ直ぐな国道143号線)浦野橋付近
そんなふうにして忙しく出かけるこの地域の人々が上田市街地に向かうためには
国道143号線を下って行かなければなりません。
きょうはこの道のお話しをしようと思います。
5月の浦里の表情は、桜の花の盛りが終り新緑に変わってきまし た。
田んぼの畦がたんぽぽの額縁になり、早苗の植えられるのを待っ ています。
家々の垣根越しには木蓮の白い花が声をかけるかのように垂れ、 ライラックは燐として咲き誇ります。
風がそれらの薫を運んで来ま す。
上田、松本間を結ぶ国道143号線。(以前は県道だった)
このうちの上田、青木間に幹線道路として幅広い道が開いたのは 明治の中頃です。
従来の山肌を縫うように曲がりくねった道、
かつ ての東山道とは別に、最短距離を求めるまっすぐな道路が出現した のです。
当時としては驚異的な出来事だったんだそうです。
開通すると交通の中心が変わりました。
大正末期には道路の真ん中に上田温泉電軌青木線の線路が出来、 電車が走ったり、
昭和13年に廃止になった後にはバスが走ったりと時代は移り変わっていきます。
村人たちの生活も大きく変わって 来ました。
電車やバスに乗れるようになったのですから・・・。
現在は、道路の両側に人家や商店、娯楽施設まで出来あちこち に工場が建ちました。
時代は進み、
車は大人家族の人数分が走るようになり、バスの利用は朝夕のラッシュ時以外はとても少なくなってきました。
その分個人で走る車が増え、ラッシュがラッシュを呼 び、
朝の7時過ぎから8時頃までは途中の待ち時間も計算しなけれ ばならない程です。
まっすぐな道のイメージはいろいろありますが、
近くなって、早くなって、忙しくなって・・・全てが現在の生活そのものです。
国道143号線。
今度はラッシュの解消をしなくてはなりません。
でも、ちょっと旧道に目を移してください。
(浦野宿へ抜ける東山道・・・)
自然の中に解けこんだ穏やかな曲線の道がゆっくりとした視界を 広げてくれています。
時にはそんな散策をしてみてはいかがでしょうか。
風、薫、道を・・・
さあ、ギリギリの時間です。
階段を降りて来る・・・
ドタバタ足音がする・・・
行ってらっしゃーーーーい!!!
1996年 春 M.Ikeda
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