浦里便り (浦里からの発信)その5


春の予感



朝早く 真冬の草原に立つ
白雪を被った山々と 裸木の雑木林と
どこまでも続く大地と
そこに・・・・・
真新しい生まれたばかりの陽の光が差し込み
そのきらめきはすべての冷たさを解かし始め
すぐそこまで春を運んできていた

夕べ 闇の中をさまよう心に
深い雪は積もり 風は吹雪きを誘う
恐怖の心を逆撫でする闇夜
そこに・・・・・
高く白い月が顔を出す
どうしたのかと問う 眼差しとその声は果てしなく続き
もうすぐ夜が明けるよとささやいていた

冷たい空気の中に
やわらかな春の香りがした
大地がむっくりと息をし
春の予感がした



1996年2月に創作したものですが、今年もまたこんな思いをしながら春を迎えようとしています。
花盛りの春の前に載せてみました。浦里の冬は雪の少ない分寒さが厳しいです。
今年は晴れ渡った夜空が多かったような気がしますが、
冷たい肌を刺すような空気は白い月や沢山の星たちを美しく演出してくれました。
 心が浮かれ気持ちの暖かい夜は、冷たい空気でも心地良く胸を張って大空を仰ぎます。
 心が暗く、打ちひしがれた夜は、冷たさを倍にさせ涙がこぼれないように空を見上げます。
 そんな時でもどんな時でもいつも変わらない存在が自然なのです。
 山国ならではの風景・・・

おおいぬのふぐり
 なずな

 そして、春がやってきました。
 今年は減反のために田んぼは休耕です。
昨年秋に蒔かれた麦の若芽で、田んぼはもう若草色に染まってきました。
まだ、春色づかない畦にはおおいぬのふぐりやなづなの小さな花が可愛らしく自己主張をしています。
私はそんな草花が好きです。
 今、前の田んぼを見ながら、
美味しいお米が作れるのに減反をしなければならないことがどうしても残念でなりません。
いろんな問題を抱えていることは承知していますが、
自然の恵みを大切にしないという意味ではこれも
人間エゴイズムの何者でもないように思えてなりません。
 そういう私もエゴイズムのかたまりなんですけれど・・・・
 春になりすべてのものが芽生えてくる頃になると
社会も自分も矛盾だらけなことを思い知らされるのです。

 さあさあ、そんなことを言ってないで、全身で春を感じてみましょう。

1997年3月初春 M.Ikeda

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