郵便局の民営化論について思う!
 郵政省説明資料(平成9年6月11日)では、下記のとおり日本の郵便局の特色・国営事業としての意義を記述しています。私は、そのとおりであると考えます。
 そして、もう一つ全国津々浦々の特定郵便局が地域のまとめ役となり、地域住民の安心のよりどころとなっている事を忘れてはいけません。それは、地域をまとめ、身を呈して地域を守った、かつての名主(庄屋)の制度があったように、特定郵便局長がいるのです。経済性・企業性のみの民営ではあり得ないことです。
 残念ながら、私が考える特定郵便局長像は、特に都市部では少数意見になりつつあります。単なる郵政三事業の営業所長となってしまった特定郵便局長との考え方の格差を是正する必要があります。都市部の豊富なサービスの一つとして郵便局を考えているであれば、単なる営業所でも構わないという意見も理解できます。けれども、ニュージーランドの失敗例を参考に、あまねく日本国全体の事をバランス良く考えていくと答えは民営化ノーです。
 郵政事業の特色・国営事業としての意義
郵政事業の特性
  ○ 国民生活を支える「国民共有の生活インフラ」
  ○ 国民全体の利益を考える「公共性」
  ○ 国民の税金を一切使わない「独立採算」
(1)国民共有の生活インフラ

 郵便局は身近な存在
 生活基礎サービスのネットワーク
(2)公共性
 ユニバーサルサービスの提供
 郵政事業は、民間が参入・撤退の自由があるのに対し、ユニバーサルサービスを保証している。
 1)全国あまねく → 3,232すべての市町村に郵便局を配置
 2)いつでも → 非常時も含め、利用機会を提供
 3)公平に → 誰もがどこでも同一サービスを同一条件で
 4)簡便に → 手軽に利用可能
 5)生活基礎サービス → 生活に必要不可欠なサービス
  東京23区 政令指定都市 町村 過疎地域 東京23区
郵便局 24,564
(100%)
1,064
(4.3%)
2,448
(10.0%)
11,747
(47.8%)
9,305
(37.9%)
4,689
(74.7%)
1,064
(26.9%)
銀行等 28,838
(100%)
2,890
(10.0%)
4,559
(15.8%)
16,177
(56.1%)
5,212
(18.1%)
1,586
(25.3%)
2,890
(73.1%)
全国3,232市町村のうち、民間金融機関等の店舗のない市町村数
   都市銀行なし 2,809、全国銀行なし 1,008、銀行等なし 554 、民間生保なし 1,852
 国民生活における福祉の増進への寄与
(ア) 郵政事業は、以下の施策等を通じて、国民生活における福祉の増進に寄与している。
    a)公的な窓口サービス
    b)社会的弱者を対象とした福祉施策
    c)地域振興施策
    d)文化・情報流通の振興施策
    e)災害時のサービス提供の継続等
    f)社会資本整備のための原資の供給
(イ) 郵便局ネットワーク等の資源を活用しつつ、税金を使わずに福祉施策等を行う特色がある。
(3)独立採算
 独立採算は、事業責任を明確化することにより、サービスの質的向上・効率化へのインセンティブとして機能している。
 三事業一体の効率的な運営は、全国津々浦々まで安いコストでサービスを提供することを可能にしている。
 収支相償・国営・非営利は、公共性の高いサービスの提供を可能にしており、公共性を追求するという使命感が職員にある。
 利用の少ない過疎地域の郵便局でも、三事業のサービスを総合的に提供することにより効率的に運営している。
 21世紀を展望した郵政事業の改革
(1) 郵便局ネットワークの活用は、行政の効率化や国民・利用者の利便の向上に資する。
(2) 具体的には、郵便局のネットワークや窓口を広く社会に開放し、情報・安心・交流の拠点として活用する。

[情報の拠点]
 (1)21世紀社会は「情報」が鍵である。モノ・カネといった「現物」の流通・利用と「情報」の流通・利用とがあいまって円滑化していく。
 (2)「情報の拠点」に向けた郵政事業改革
  *ワンストップ行政サービス … 地域での行政アクセスポイントとして活用
  *郵便局のオープンネットワーク化 … 民間へのネットワーク開放
  *低廉な郵便料金水準の実現とサービス水準の向上
  *多様なニーズに応じた郵便サービスの提供
  *郵便局のマルチメディア化 … 個人間・地域間の情報格差是正
[安心の拠点]
 (1)21世紀は、少子・高齢化等に伴い、「安心」が鍵である。
 (2)「安心の拠点」に向けた郵政事業改革
  *生活設計の自助支援サービスの実現
  *地域における福祉増進の支援:自治体の在宅福祉サービスの支援等
  *安全な生活環境の整備:地域の災害対策への協力等
[交流の拠点]
 (1)生活重視の観点から、生活の場としての地域社会が見直される。
 (2)「交流の拠点」に向けた郵政事業改革
  *地域活動支援:ボランティア活動の情報拠点
  *地域間交流の支援:各種地域情報の発信
  *生活・交流基盤の整備:地方公共団体への郵便局資金の直接融資

 郵政事業の経営形態
(1) 郵政事業は、全国津々浦々まで設置された郵便局ネットワークを通じて、国民の日常生活に不可欠な各種サービスを提供し、生活インフラとして国民の生活を支える基盤となっている。






 ユニバーサルサービスとして、生活基礎サービスの利用の機会を保証
 公的な窓口サービスを提供
 社会的弱者を対象とした福祉施策を実施
 地域振興施策を実施
 文化・情報流通振興施策を実施
 災害時にもサービス提供を継続等
 社会資本整備のための原資を供給
(2) 郵便局サービスに対する国民の信頼は高く、長い歴史の中で国民の暮らしに定着している。
(3) 郵便局ネットワークの活用は、行政の効率化や国民・利用者の利便の向上に資する。
(4) 仮に郵政事業を民営化した場合、役割の維持は不可能となり、地方の切捨て・弱者の切捨てとなる。
(5) したがって、郵政事業は、今後も、民間とのバランスに配意しつつ民間企業とは異なる目的・行動原理の下で運営されることが適当であり、国営・非営利の現行の経営形態であるべきと考える。