岐阜県の戦略

参考:季刊「corporate design '96/32号」
1996年 MITOKI


基本姿勢

 岐阜県の梶原知事は「これからの社会の豊かは心の豊かさである」という考えを念頭に置いており、その行政にも特色がある。毎週金曜日のカジュアルデーをはじめ、最近では県立国際情報科学アカデミー、ソフトピアジャパンの建設など、時代を先取りした革新的な事業で知られる。
 梶原知事の基本姿勢は、まずいかにメガトレンドを正確に把握し、的確な目標をたてるか。そして次に、目標を見失わずどうやってそれを実現させていくかである。今は情報化が大きな時代の流れになっており、これは今までに例のない事態である。「お手本に沿ってやる」事に慣れてしまった日本で、今度は自分たちでテキストをつくっていかなければならなくなった。効率的かつ効果的に情報化社会に変革していくためのテキストである。ソフトピアジャパンなどは、日本の将来について考えた時、本来は国がやっていかなければならない事業である。それを、国ではやれる状態にないところを岐阜県が代行してやっているという考えである。
 人々のニーズ、メガトレンドを分析、把握した上で「夢おこし県政」を打ちたて、岐阜のあるべき姿を思い描く。そして的確な戦略を導きだし、「夢そだて戦略」で実際に行動に移していく。これが基本的な姿勢である。

方法

.平面的なつながり
 岐阜県では、「コミュニケーション(交流)、コーポレーション(協働)、クリエイション(創造)」をキーワードに情報生産を行う体勢をとっている。これは、上から下へのピラミッド型ではなく、県庁の各部課が平面的なつながりを持つものである。それぞれの部・課が各自「夢そだて県政」にそって目標を持つ、そしてその考えや動きは、コンピューターネットワークを通して県庁の全員が把握する。目的・情報・行動・成果・そして感動を共有することによって、相乗効果が高まる事を期待しているのである。

.現場主義
 また岐阜県は、局長のまとめた報告書を机上で読むだけで済ますのではなく、現場主義をとっている。プロジェクトを起こすときは、必ずトップの誰かが担当の部局長や外部の協力業者と議論をしながら話を進めている。プランニングの段階で十分な手間と時間をかけているのである。やり方としては、まずそのプロジェクトを行うに当たって、絶対に守らねばならないことを明確にし、全員一致の認識にする。そうしなければ途中で違う方向にいってしまい、当初の目標とはかけはなれたものになってしまうことがあり得るからである。そして進めていくときも全員が納得できるよう、何か疑問が生じても言わずもがなにはしないでおく。それが最終的にプロジェクトの質を高めるのである。

。.強引な戦略
 もう一つ様々なプロジェクトを可能にしたのは挑戦的な思考法である。知事が夢を描き、理事がそれについて何らかの提案をする。そうしたら、もう具体的な目標を設定し、立ち上げの日にちを決めてしまうのである。強行策ではあるが、そうしなければとても現状打破はしていけない。

交流人口誘致のためのエンターテイメント

 梶原知事は、「夢おこし県政」を掲げ、「日本一住みやすいふるさと」を目標に様々な事業を進めている。これを実現するためには、芸術、文化をはじめあらゆるものをを動員しなければならない。その時必要になるのが人材である。岐阜に沢山の人が来なければ人材も集まらない。花フェスタ岐阜、イベント村構想、テーマパークなどのエンターテイメントは、言ってみれば人集めのための一つの手段である。そして人が集まり、人材が増え、それが新しい産業へつながっていくことに強い思いを抱いている。
 またテーマパークは「岐阜県」を世界にアピールする役目も果たす。世界に向けてアピールし、世界中から交流人口を誘致しようというのである。

県民参加型

 世界に目を向ける一方で、市民参加も必要と考える。市民と行政がかけはなれた存在ではなく、一体感を持つこと。こういう時、県というスケールは大きすぎず小さすぎず、知事の考えが県民に伝わり、県民の声も知事に伝えることのできる範囲である。同様に国の中央も地方のことを知っておかなければならない。地方があるから中央もあるのであって、それを無視したら中央も一地方に過ぎなくなる。
 知事が描く「夢おこし県政」でも、みんなで考え、みんなで実行、みんなが幸せをスローガンに掲げている。それが一つの風土となり定着することが、民主主義の基本ではないかと考えている。




■岐阜県DATE■

人口:210万5598人(平成8年9/1現在)
主産業:繊維、木工、金属(刃物)、紙、食料品



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