刈谷市立美術館
Kariya City Art Museum
ヒアリング実施日:1997年1月23日 Thu.
業務 K氏
学芸員 K氏
美術館DATE
〒448愛知県刈谷市住吉町4丁目5番地
TEL 0566-23-1636
FAX 0566-26-0511
交通 JRまたは名鉄刈谷駅から徒歩約7分
OPEN 1983年6月
職員 6名(内学芸員2名)
面積 敷地:5,770.8平方メートル
建築:1,181平方メートル
延床:2,283平方メートル
過去5年間の平均入場者数 10万5,374人(平均開館日数 281日)
管轄 刈谷市教育委員会生涯学習部
設立の経緯
はじめは、市民による文化団体の作品発表を行う市民ギャラリーとしてスタートした。その後、展覧会を開催していない期間を利用し、企画展を行うようになる。
基本方針
市民ギャラリーと美術館の二つの機能を持つ。企画展としては地域とかかわりのある作家を紹介する展覧会の他、刈谷市としての特徴をもたせたもの、また広く美術一般に親しめるようなものを開催していく。
収蔵作品
収集方針としては、近現代の流れを追った作品、また地元の作家の作品を中心に行っている。収蔵作品は現在約250点。毎年、愛知教育大学の教官展を刈谷市美術館で行っていることもあり、そこで教鞭を取っていた作家の作品が多い。また近現代の流れを追った作品という方針ではあるが、実際収蔵されているものは具象絵画が多い。
市民ギャラリーとしてスタートしたため、作品を収蔵しはじめたのは開館以後である。購入方法としては、館で行った展覧会から記念的に買い上げる場合と、基金から崩して購入する方法の二つがある。基金を積み立てはじめたのは昭和63年である。
市の評価
特に高い評価をもらっているわけではないが、懸命にやっていることは認められている。しかし、企画展をいくつも開催する必要があるのか、作品を購入する必要はあるのかといった基本的な点で、理解を得られない場合がある。
その他との傾向としては、現代芸術などの前衛的な展覧会は受け入れられにくい。
教育普及活動
展覧会のテーマに沿ったワークショップを年に2回ほど行い、余裕のある時は学芸員によるギャラリートークを行っている。また学校には、生徒一人一人にチラシが届くようにしている。二人の学芸員が教育学部出身ということもあり、教育普及活動に関心は持っているのだが、人手が足りずそのための時間がなかなか割けないというのが現状である。
問題点
もともとが市民ギャラリー(貸館)としてスタートしたため、建物自体の問題点は多い。収蔵庫、資料室、事務室とも十分な広さが確保されておらず、また搬入口も狭いため、トラックを入れるとシャッターが閉まらないという不便が生じ、防犯的に不十分である。また展示室の一つは外気が直接入ってしまう設計になっており、展覧会の度に工夫が必要とされる。
これらのことは、設計の段階で専門家がおらず、綿密な調査、打ち合わせがなされなかったことによりおこった弊害である。基本的な詰めが行われないまま建設が進行していった背景には、刈谷市はトヨタ関連企業を多くかかえており、そのため財政面に関しては比較的余裕があったため、今まで多少の無理が通ってきたことも影響しているのではないかと思われる。
また、行政の人事には入れ替わりが頻繁にあり、そのため行政の中で美術館運営に対する蓄積がつくりにくいといった問題点がある。
改善点
美術館の運営協議会をつくり、開催する展覧会についてそちらで協議出来るようにする必要がある。そうすることによって行政的な手続きがスムーズになり、効率の良い運営が行えると考えられる。
また建物に関して、今まで改修は行われなかったのだが、97年度では、エレベーターの設置、空調設備の修繕に対する予算が決定した。エレベーターは身障者のため必要なものであるし、空調は老朽化に伴う必要不可欠な改修である。その他、壁面や床の改善、事務室の配置替えなども行いたいのだが、承認されなかった。これらについては、大々的にやるのではなく、今後少しずつ整えていくつもりである。
今後の課題
大きな館と張り合うことは出来ないし、その必要もない。美術館は敷居が高いという風潮があるが、それを取り除き、ちょっと寄ってみようかと思える雰囲気をつくっていきたい。子供にももっと観に来てもらって、実際作品に接してほしい。これからは、館としての独自性を出しつついかに安く、いいものを提供できるか考えていかなければならない。
刈谷市としてどのような特色を持たせていくかは、今模索している最中である。しかし設置している鑑賞ノートには、感想などを多くの人が気軽に書いてくれている。そういうアットホームなところを生かしていきたいと考えている。
所感
開館は昭和58年なのだが、14年も前の美術館設立の動きと現在のそれと、大して変化がないことを感じた。当時、つくる側と現場との話し合いが十分になされず、その結果出来た建物の不備で、後々苦労することになってしまった。それは最近つくられる美術館でも同じことが言える。はじめの段階で基本的なことを押さえていれば、後はそこに入る人が試行錯誤していけばいいはずである。しかし、それが可能なはずの多くの美術館で、環境が十分に整っていない。
またそれを改善し、新しい価値観を持つ人材を育成していこうという試みも、予算不足やそれにともなう人手不足によってなかなか手が回らないという現実にも、歯がゆい思いがする。
■刈谷市DATA■
人口 12万7,230人(平成9年1月1日現在)
主産業 自動車関連産業
NEXT DATA
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