暴れん坊将軍スペシャル 〜唄って踊って八百八町〜 
平成16年1月11日昼・夜観劇 (梅田コマ劇場)

見終わった時思ったのは、意外にも素直に受け入れることができた、ということです。完全懲悪時代劇の最高峰とも言える『暴れん坊将軍』の“ミュージカルの世界”を!

これまでの松平さんのグランドロマンと銘打った三作品『ジンギスカン』『アユタヤの星』『不死鳥よ波濤を超えて』に比べれば、遙かにミュージカルの体裁をなしていたからでしょうか?過去三作では、主人公の唄が唐突に始まって物語の流れを断ち切っているように感じた上に、ミュージカル女優さんとのデュエットで歌唱法の違いが耳についてしょうがなかったのですが、ところが今作品では新さんが突然唄いだしても、全然不自然には感じられませんでした。最初に歌った曲が子守唄風の唄・「風車」(実際には巡礼の唄)だったことが、歌の世界に私をすっ〜と入り込ませてくれたからかもしれません。松平さんの歌声もこの巡礼の歌を始めとして、とても伸びやかで聞き応えがありました♪(結局今回の舞台で松平さんは10曲ほど唄われたのでしょうか?)

新さんの唄への不安はただちに消えたのですが(笑)、もう一つ心配だったのが、新之助さまの姿でどうやって踊るのかしら?ということ。これは二幕冒頭、新之助が芸人一座の助っ人として舞台に上がるという実に趣向を凝らした設定で、見事に不安を吹き飛ばしてくれました。「う〜ん!こういう手があったか!」と拍手喝采ものでした。魅せてくれましたねぇ〜♪それもあの伝説の「マツケンマンボ」を大鳥れいさんと踊って下さったのです!“元エリザベート后妃”とですよ!のっけから興奮してしまいました。出来ればもう1フレーズ繰り返し観たかったですねぇ〜。もっともプログラムによると、当初の演出予定では、披露するのは「マツケン音頭」と「風車(テンポアップバージョン)」だったようです。どうしてマンボに変更になったのか分かりませんが、「風車(テンポアップバージョン)」を外したのは疑問です。というのは、その後の座員達の会話の中で「あの悲しい曲(風車のこと?)がこんなに明るく変わるのね」という台詞があったからです。贅沢な望みだとは思いますが、是非是非今度は「マツケンマンボ」+「風車」2曲共聴きたい&観たいですね!

それにしても音楽の力って凄いですね。今回の『暴れん坊将軍』、ストーリー自体は相変わらず荒唐無稽だし、しかも「時代劇」というよりは「青春ドラマ」の色合いが濃く、新さんが南蛮屋の娘お七に向かって「愛したんだろう?信じたんだろう!」と叫ぶ姿にはさすがに違和感を覚えたのですが(^^;)、どっこい!音楽に関しては、あっ、あの場面で流れていたのはこの曲!と、節を口ずさむことができるくらい耳に残るメロディーが多かったです。『暴れん坊将軍』の音楽と言えば、やはり菊地俊輔さんのあの有名なテーマ曲が思い起されるのですが、今回『暴れん坊将軍』をうまくミュージカルたらしめたのは、この菊地色を大胆にも薄めてしまったからに他ならないと思います(もっともプロローグとエンディングの殺陣シーンではやはり使用しないわけにはいきませんでしたが(^^;))だからこその希望なのですが、やはりミュージカルと銘打っている以上、生オーストラ演奏は無理にしても、せめてバンドによる生演奏が欲しかったです。心に残る曲が多かっただけに、余計にその点が悔やまれます。もう一度聴いてみたい曲が沢山あったので、ライブ版のCDを出して下さらないかしら?特に印象に残った曲は、お芝居全体を貫いていたこの物語のテーマとも言える巡礼達の悲しい唄「風車」,新之助がお咲・お夏達との友情を確信しあって合唱する「小さな小さな言葉を集め」,からゆきさんという悲しい過去を持った大道芸人・お香の死を悼んで新之助が唄う「悲しみだけを残して」、そして悪党三人組による三重唱「悪党ほどおもしろい商売はない」(これは“大傑作”と言っても良いくらい面白可笑しかったです♪)でしょうか?せっかくの30周年記念の公演なのですから、CDもしくはDVDという形で残していただけたら嬉しいですね。

物語本編のエンディングに引き続いてお待ちかねのショータイム。これは昨年9月御園座公演の「唄う絵草紙の後半部分」をほぼ踏襲したものでした。今回はお芝居の時から松平さん、ずっと唄っておられただけあって、冒頭の「やじろべえ」から絶好調!御園座公演の時に震えるような感動を味わった「深川マンボ」を今回は熊谷真実さんと踊りました。実はこの熊谷さんとのコンビによる「深川マンボ」の方が私的には良かったような気がします。御園座公演の時に踊った杜けあきさんとでは、デュエットの時と同様、踊りの質があまりに違っていると感じたからです。もちろんこれは上手下手という技術的なことを言っているのではなく、“踊りの質”とバランスの問題なのですが。今回熊谷真実さんの舞台姿を初めて拝見しましたが、明るくはじけるような陽性のキャラクターを舞台上でも終始発散させていましたね!唄って良し、踊って良し、彼女がキーマンとしてこの舞台をリードしていたと言っても良いのではないでしょうか?相対的に大鳥れいさんは少しキャラクターが弱かったような気がします。大鳥さんと言えば、私にはやはり宝塚時代の「エリザベート」&「紫の上」での高貴なお姫様の印象が強いので(あっ、物語のラストでお姫様姿を拝めます(^o^))、今回の“町娘”という役所はちょっとしどころが少なかったかな?という感想です。

話がそれましたが、ショータイムのフィナーレはいよいよお待ちかねの「マツケンサンバII」、実を申せば、今回の梅コマ公演は当初観劇する予定は無かったのです(^^;)。ところが、TV(日本テレビ系「プラス1」)で公演の様子が紹介され、その時に聞いたこの一言、「8日からは新衣装“アニマル柄のラメ入りスパンコール”が披露されます」・・・もう居ても立ってもいられなくなり、気がついたらホテルと新幹線の切符を予約してしまっていました(^^;)。観ましたよ!興奮しましたよ!今回は何と“黄金”に輝くラメラメ衣装でした!あまりのきらめきに肝心のアニマル柄が何だったかよくわかりませんでした(^^;)。今回のバックダンサーズは真島さん・篠塚さんの最強コンビだったのですが、あのラメの輝きを前にしてはお二方の腰のしなりも霞んで見えました(笑)。今度見に行く機会があったらちゃんとダンスの方を堪能しようと思います。松平さんの最後のご挨拶が、残念ながら昼・夜の部とも決まり言葉だったのが少々心残りだったのですが、三階席からの“絶叫”に対し、にこやかに笑みを返したのが見られたので良しとします。

最後はサンバの興奮の余り、支離滅裂になってしまいましたが、舞台の全てが「マツケンサンバII」のためにあったと言っても良かったくらい、サンバパワーは強烈なものがありました。前半のお芝居についてはいろいろ言いたいこともあったのですが(^^;)、「サンバ」+「マンボ」でとろけるような至福の時を味わってしまった今となっては不満も文句も全てが遙か彼方へ消え去ってしまいました。これから博多座や新宿コマ劇場でご覧になる方も存分に夢の世界を味わって下さいませ。私もこの舞台がどのように練り上げられるか、その変化の過程を是非味わって見たいので、両劇場とも足を運ぶつもりでおります。



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