2005年NHK大河ドラマ『義経』
(平成17年1月〜12月放送)



配役


源義経/滝沢秀明

武蔵坊弁慶/松平健
 *
伊勢三郎/南原清隆  駿河次郎/うじきつよし  喜三太/伊藤淳史
佐藤継信/宮内敦士  佐藤忠信/海東健  鷲尾三郎/長谷川朝晴 

うつぼ/上戸彩  静/石原さとみ  萌/尾野真千子  千鳥/中島知子 
鬼一法眼/美輪明宏  覚日律師/塩見三省  一条長成/蛭子能収  朱雀の翁/梅津栄  烏丸/高橋耕次郎  五足/北村有起哉  お徳/白石加代子  金売り吉次/市川左團次  あかね/萬田久子
 *
源頼朝/中井貴一

北条政子/財前直見
 *
源範頼/石原良純  北条時政/小林稔侍  北条義時/木村昇  梶原景時/中尾彬  梶原景季/小栗旬  安達盛長/草見潤平  三善善信/五代高之  大江広元/松尾貴史  土佐坊昌俊/六平直政 
源義朝/加藤雅也  常盤御前/稲森いずみ  平能子/後藤真希  新宮十郎行家/大杉漣
源頼政/丹波哲郎
木曽義仲/小澤征悦  巴御前/小池栄子
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藤原秀衡/高橋英樹
 *
藤原国衡/長嶋一茂  藤原泰衡/渡辺いっけい  藤原忠衡/ユキリョウイチ

富樫泰家/石橋蓮司
熊野別当湛増/原田芳雄
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後白河法皇/平幹二朗
 *
丹後局/夏木マリ  平知康/草刈正雄
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平清盛/渡哲也

時子/松坂慶子
 *
平重盛/勝村政信  経子/森口瑤子  平維盛/賀集利樹  平資盛/小泉孝太郎  平宗盛/鶴見辰吾  平知盛/阿部寛  明子/夏川結衣  平重衡/細川茂樹  輔子/戸田菜穂  平頼盛/三浦浩一
平時忠/大橋吾郎  領子/かとうかずこ  建礼門院徳子/中越典子 




大河ドラマ『義経』−松平弁慶ファンの雑感−


大河ドラマ『義経』の放映が2005年12月11日の最終回をもって終わりました。私がまるまる1年間どっぷり浸かった大河ドラマは、松平さんが石野七郎次役(大石内蔵助に継ぐ準主人公扱い)として出演なさった1982年の『峠の群像』以来です。とは言え、当時私はまだ未成年であり、それほど松平さんに対する思い入れも大きくありませんでした(^^;)。また1999年(『元禄繚乱』)、2002年(『利家とまつ』)の大河出演では中抜けの時期があったため、また(悲しい事ですが)『暴れん坊将軍』シリーズも放映が続いていたので、“ブラウン管で松平さんを拝見できる唯一の機会”という切迫感もありませんでした。

その意味で今回の『義経』に対する期待は異様に大きいものがありました。しかも松平さんの役は義経に対して“弁慶役”です。いわば準主人公というべき役柄です。

ところがところが・・・原作本を聞いてびっくり。宮尾登美子さんの『宮尾本・平家物語』というではありませんか!何故に『義経』が主人公で『宮尾本・平家物語』が原作???宮尾本には弁慶の“べ”の字すら出てきません(>_<)。因みに昭和41年の大河ドラマ『源義経』では村上元三氏の作品を原作としていました。

実は制作側のコンセプトは、「義経は清盛を父親と慕った時期があった。多感な少年期に清盛から精神的な影響を大きく受けている事もありえる」というものでした。清盛の描く理想郷“夢の都”の精神性が、あの屏風を通じて、義経に色濃く受け継がれていく。ある意味斬新な解釈でしたが、大河ドラマでは、平家も源氏も・・・そして当然主人公・義経をも描きこまなければならない。義経を描くには(大変失礼ながら)宮尾本ではあまりに内容不十分です。宮尾さんは急遽『義経』を出版しましたが、残念ながらこれは小説というよりは、資料程度の内容しかありません。結果として大河ドラマでは、村上本を“参考資料”として扱わざるを得ませんでした。ただ宮尾本を原作としてしまったために、肝心の義経サイドが・・特に義経郎党達の個性があまりに、平坦で一辺倒な描写になってしまったのは(予想された事とはいえ)あまりに悲しい事でした。主人公・義経も戦の天才を謳われた大人物ですから、もっともっと明朗快活な元気な姿をファンも見たいと思っていたはずです。それがドラマでは、終始悩み・苦しむナイーブな性格付けがされていて、今の時代に果たしてこのような姿の主人公が視聴者に受け入れられるのか?と疑問に思うこともありました。もちろんタッキー義経の天賦の美しさは、それだけで視聴者を満足させるだけの価値があると思わなくもありませんが、やはり大河ドラマの醍醐味は、魅惑的な主人公の生き様、ドラマチックな展開と、役者同士の重厚な芝居にあると信じている自分には、物足りなさを感じずにはいられませんでした。

さて肝心の松平さんの弁慶役については、どうでしょう?松平健さんが演じる弁慶といえば、歌舞伎や多くの時代劇で描かれた、正統派路線−すなわち従来の弁慶像を踏襲した、豪放磊落、知性と剛胆さに溢れた、豪快な人間像をイメージした方も多いでしょう。ところが脚本の金子成人さんによれば、弁慶や義経郎党たちにはある種落語的な世界を求めていた。弁慶役に松平さんが来たことを“意外”と受け止めるような発言もなさっています。さらに役者さんへの当て書きはしないとも明言していました。

腕っ節は強いけど、きまじめであるが故に不器用で・・・仏門に帰依して女性と接する機会がなかったために女性が苦手・・・山育ちのため海は苦手。弁慶の泣き所は「臑だけでなく、女性であり、泳ぎであり・・・究極は義経であった」という、何とも人間味溢れた、しかも実に可愛らしい人間像でした(*^_^*)。おまけに仲間は都の孤児・喜三太や山賊上がりの伊勢三郎、海の男・駿河次郎・・と一筋縄ではいかない野性味溢れる人間達ばかり。いつも周りのペースに乗せられてしまい、きまじめ弁慶の行動は、まじめであるが故に皆の笑いを誘う・・という、松平さんがこれまでに大河ドラマで演じてきた人物像とはまるで違うものでした。演じる松平さんもさぞかし最初は戸惑われた事と思います。若き主人公を影で支えつつ、時代劇の不慣れな仲間達に囲まれてのお芝居は、松平さんに役者としてどのような精神的影響をもたらしたことでしょうか?私的には多分いろいろご苦労もあったと想像するのですが、ご本人はそれでも一年間の長期の撮影を通じて「勉強になった」と真摯にお答えになっていらっしゃいましたから、本当に忍耐強い方なんだなと思いました。もっとも仕事の後の交流(飲み会(^^;))大好きな松平さんには、案外楽しい現場だったのかもしれませんが。

ともあれ50代にして、役者道をある意味“逆行”(若い頃は血気盛んな役柄から、年輪を重ねるにつれ、次第に落ち着いた人物像を演じるという流れ)するような、人物像を演じるというのは、大きな冒険でもあったと思います。そんな一視聴者の心配をよそに松平さんは、これまでにない新しい魅力に溢れた弁慶像を見事に演じきって下さったと思います。願わくば、主人公・義経に準ずる人物としてもっともっと出番が多かったら良かったのですが。ただ結果として、定番見せ場の「五条の大橋」「安宅の関」「弁慶立ち往生」以外にも、「弁慶の泣き所」「弁慶走る」「涙の腰越状」「堀川夜討」などで、時代劇スターとしての魅力を余すところ無く魅せていただいたので、充分満足すべきものだったと今では思ってはいます。特に「弁慶走る」での原田芳雄さんとの腹芝居、「安宅の関」での石橋蓮司さんとの息もつまるようなセリフの応酬の芝居は、大河ドラマはかくあるべし!の見本のような素晴らしい出来だったと思います。この大河には、これまでの大河ドラマの歴史を担ってきた重鎮の方々が大勢出演されていましたが、そういった方達同士の芝居合戦が、ほとんど皆無に近い状態だったので、ある意味宝の持ち腐れ(ごめんなさいm(_ _)m)のようにも思えたのですが、松平さんに関しては、このような火花を散らすような場面を二ヶ所も作っていただいただけでも(ファンとして)感謝しなくてはいけないのかもしれません。





2005年NHK大河ドラマ『義経』不定期感想集



第五回「五条の大橋」(平成17年2月6日)

「五条の大橋」を最初見た時、特に「ちぇっ、おなごかぁ〜」のセリフを聞いた時、一瞬イヤな予感がしたのですが(うわっまた舞台調のセリフ回しだゾ)、最後まで見終わって・・絵巻物の一編を見るような、ただただあの幻想的な美しさにすっかり魅せられてしまいました。それからはもうDVDのリピート地獄です(笑)。

タッキー義経の美しさ・華麗な身のこなしは予想の範疇内だったのですが、松平さんの自由自在な表情の変化、最初の遮那王との出会いでの「小馬鹿にした表情」から、遮那王に肩に乗りかかられ「怒りが頂点に達するもどこか間の抜けた三枚目的な表情」、妖術に翻弄され「おのれ!もののけがっ」とまるで仁王のごとく「烈火の怒りを見せる表情」、そしてラスト戦いに敗れ、悠然と去る遮那王を「呆然と見送る表情」・・・と大きな目の魅力を最大限に生かした松平さんの顔の演技が素晴らしかったです。この弁慶さまの五条大橋での負けっぷりの演技&その後絶食をしてまで遮那王を探し求めて彷徨する、松平さんの鬼気迫る凄みのある演技によって、義経が弁慶にとって命を賭けるほどの凄い存在である、と説得力を持たせることに成功したと思います。

(これと同じ効果は『利家とまつ』の信長の死で、松平さん演ずる権六勝家さまが本能寺の灰を頭からかぶって、嗚咽した場面と同じだと思います。権六さまの男泣きの演技によって、信長が本当に偉大な存在であったのだ・・という事を視聴者に納得させたのでした)

演出としては「五条大橋」の場面は一編の絵巻物として起承転結が見事に構築されており、音楽効果も含めて黛さんの演出の手腕に舌を巻いてしまいました!

最大の見せ場である五条大橋は冒頭の6分で終わってしまったのですが、その後の展開も非常に起伏に富んでいて(ただ静さんの演技は・・・ちょっと不安材料として残ったかな?)、見飽きることなかったので、うまく視聴者の興味を繋ぎ止めたのでしょう。番組最高視聴率を獲得した事は素直に嬉しいです。今後弁慶さまが遮那王の存在をいかに探知するのか、そして家来志願するのか、そのコミカルな演技に期待大です!

余談ですが、ラスト近くでお髭茫々で彷徨っていたシーンは松平さんの『義経』クランクイン時(2004年8月下旬:ワープステーション江戸)に撮影されたものです。「五条大橋」の決闘シーンは11月14日撮影ですから、ホント細切れ、時系列めちゃくちゃに撮影するんですね。





第九回「義経誕生」(平成17年3月6日)

楽しかったですねぇ〜第九回。あっという間に45分が過ぎ去ってしまいました!さながら桃太郎物語『義経』バージョンとも言える、義経主従結成物語の風情でございました(笑)。さんざん予告等で言われていた事ですが、郎党のキャラ(もち弁慶さま含めて(^_^;))があまりに濃いので、その中に凛としてたたずむ御曹司タッキー義経の品格・美しさが際だっています!本当にここ数回のタッキー義経の演技は素晴らしいと思います(滑舌はもう少し回数を重ねれば本人も見る方も慣れてくるでしょう)。特にきびきびとした時代劇らしい所作、リズム感溢れる殺陣の動き。どれをとっても義経を演じるに相応しい立ち居振る舞いです。タッキーは撮影開始の一年以上前から特訓してきただけありますよね。若いのに・・その努力の姿勢には本当に頭が下がります・・・と、きっと『暴れん坊将軍』を始めた頃の松平さんも(口にはされないけど)様々な努力を重ねて来られたんでしょうねぇ〜(しみじみ)。

・・ってタッキーの事ばかり褒めてしまいましたが(^_^;)、松平弁慶さま・・・第五回の「五条の大橋」での出会いから約一ヶ月の放映期間を経て(笑)、ようやく御曹司遮那王・義経さまにお仕えが叶う事になりました。良かったね!

松平さんは過去4回の放映でもそうだったように、ちょっとした短いセリフ(うつぼに言った「なに、なに、何?」や二番家来に甘んじた「くうっ〜」)では豊かな表情でインパクトを残しますし、長ゼリフの抑揚加減の素晴らしさは言うまでもなく。義経主従も一歩間違えれば、コメディ集団になりかねないのですが(苦笑)、やはり松平さんの存在感は時代劇には欠かせませんよね。さらに今回は奥州への旅の一行に金売り吉次を演じる歌舞伎俳優の市川左団次丈が加わっている事によって、大河ドラマとしての厚みが二倍にも三倍にも膨らんでいるような気がします。松平さんと左団次さんの掛け合いが見られただけでも感激してしまいました。そんな時代劇のベテラン二人の中にあってもタッキーは全く引けを取ることのない存在感を見せていて・・いやあ〜本当に見惚れてしまいました(あれっ?私弁慶さま同様御曹司に浮気しちゃったのかな(笑))。

次回はさらに高橋英樹さん演ずる藤原秀衡が登場!個人的には松平さんと高橋さんのセリフの応酬を見てみたいのですが・・・そんな遊び心があってもいいですよね?

最後に今回の一押しの弁慶さまのセリフを・・・

「此度のことは降りかかった火の粉を振り払ったも同じ事。あの時刀を振るわなければ、ご自分を死なせるところでござった。人を殺すも己を殺すも同じ殺生。悔やまれますな」

「あなた様はそのお刀を腰に差された時から、このような殺生は覚悟せねばならぬさだめでござった。武士のお子でござる故、源氏のお血筋でござる故。もし平家の者どもに襲われたら・・それこそ生きるか死ぬか」

「御曹司が都を去られたという事が平家の敵になったという事でござる。この後は源氏の一族として歩まれる他ございますまい。その歩まれる道を、不肖、武蔵坊弁慶、生涯お供仕りまする。」






第十回「父の面影」(平成17年3月13日)

『義経』第十回でいよいよ、奥州の覇者・藤原秀衡が登場しました!脚本の金子さんには是非、時代劇スターお二人の2ショットシーンを描いて欲しいなぁ〜と願っていたのですが、本当に実現してしまいました(*^_^*)!フツー時代考証的に考えると、義経の一家臣ごときが秀衡に直接謁見を許されるなんて事はあり得ないのですが、まさに金子さんの大サービスという事で・・ありがとうございますm(_ _)m。とにかく今回の私的一番のツボでした(^o^)。

松平さんと高橋英樹さんの共演は、大河『花神』、『奇兵隊』、『平清盛』についで4作目なのですが、TV画面の同じフレーム上に納まるという意味では『平清盛』の、松平・清盛vs高橋・後白河以来となります。松平さんは高橋さんより年齢が9歳年下なのですが、やはり高橋さんの前ですと何となく弟分に見えてしまいます(^_^;)。とはいえ、昨日のお二人の共演シーンは、重厚で引き締まっていて、これぞ大河の醍醐味を味わうことができました。

今回の大河の凄いところは、若き主人公義経を取り巻く主要配役(清盛、時子、頼朝、後白河、秀衡、弁慶)を全員大河主役経験者(もちろん松平さんもこれに含める)で固めているところでしょうねぇ〜。往年の大河ファンにとっては、本当に目の保養になります。

他の主要配役は歴史上重要な役割を担っているのでキャラクターを極端に壊す事は難しいと思いますが、弁慶に関しては、歴史の本によっては全くの創作人物と言い切っている書物もあり、キャラクター付けに関して他の人物に比べて自由な発想を巡らす事ができるのが強みですよね。今回も金子さん独特の味付けがしてあり、良い意味で従来の弁慶像を裏切ってくれていると思います。義経主従がようやく揃ったばかりなので、昨日の放送に限って言えば、まだドタバタ感が拭えないのですが(^_^;)、序々に松平さんの目指す「チームワーク」の良さが画面に現れてくる事でしょう!

あと・・・大河ファン的に金子さんにお願いしたいのは(^_^;)・・これはむしろ諏訪部Pにお願いするべきなのでしょうが、壇ノ浦の二位の尼入水シーンで弁慶が引き留めるシーンなんてのを創作して下さったらサイコーです(^o^)。





第十四回「さらば奥州」(平成17年4月10日)

平泉にやってきた時義経は13歳、それから9年の月日を経て、22歳の義経はいよいよ「戦の天才」として歴史の表舞台に華々しく登場します!

弁慶さまも当初お茶目キャラが目立っていたのが、うつぼが都へ去った当たりから落ち着きを増してきて(^^;)、今や義経の右腕として欠かせない存在になっている事を伺わせる描写が際だっていました。

特にラストシーン。佐藤兄弟が駆けつけた時、義経が弁慶の方を振り向いて「どうすれば良いか?」という仕草をした時の弁慶さまの顔。また秀衡が「そなたの帰る所がここぞ」と語りかけた後、弁慶さまが秀衡に対して深々と会釈した所。台詞は無くとも顔の演技で、義経の弁慶に対する信頼度、弁慶の人間としての大きさがひしひしと伝わってきたような気がします。

秀衡の「そなたの帰る場所はここぞ」は名台詞でしたね。これから7年後義経主従は最期の地となる平泉へ再び足を踏み入れる事になります(T_T)(T_T)。多感な青春期、人生の1/3近くを過ごした平泉の地。まさに義経にとって秀衡は”心の父”だったのかもしれませんね。高橋英樹さんいいなあ〜(^o^)。金子さんも高橋さんにあて書きしたかのような見事な脚本でしたね〜。





第十七回「弁慶の泣き所」(平成17年5月1日)

今回の話は純粋に大河ドラマファンとして見れば、サイドストーリーの一つであり、極論すれば見ても見なくても問題ないと言われかねませんが(>_<)(事実、総集編ではまるまるカットされてしまった)、

−義経・静の清楚な淡い悲恋との対比
−恋愛を通じて弁慶の義経に対する忠誠心の再確認
−千鳥・杢助親子の果たす役割。後の源平合戦への伏線

という意味で、全く意味の無い話ではないと思っています。ただファンの贔屓目で見ればそう思えなくもないという程度の説得力しかありませんので(^^;)、一般視聴者にはどう映るか不安の残る部分があります。

ただ松平さんご自身がコンサートMCやNHKスタパなどで”今回の弁慶は恋をします!”にこやかに宣伝なさっていらしたので(^o^)、私自身は「五条」「勧進帳」「衣川立ち往生」に次ぐ弁慶さま見せ場の一つとして純粋に楽しもうと決意した次第です(*^_^*)。

いやいやドラマ始まって始めの10分は大いに笑わしてもらいました!もう松平さんのバリエーション豊かな表情の演技に大満足です!舞台では以前から一人二役などでこういうコミカルな演技は拝見していましたが、おそらく映像では、暴れん坊将軍で何回か遊び人崩れの役の経験はあるものの、ここまで二枚目を崩した演技をなさったのは初めてでないでしょうか?

女性をあれほどまでに嫌悪していた理由というのが、可愛くて笑えて、いったい弁慶さまはおいくつなのでしょう?そんな年齢不詳の弁慶さまを松平さんは実年齢を感じさせない(暴れん坊将軍とは別の意味での)若々しさ・爽やかさで演じて下さいます(*^_^*)。

ともあれ女性に心開くことができるようになった弁慶は、別の側面で義経に対する忠誠心を強めて行きます。静と別れることになった義経の無念を思い、自分も千鳥と別れることを決意したけなげさ、別れの旅路を見送る義経の切なさを察し、思わず「静どのぉ〜!」と叫んで静を振り返させる行動。タッキーの言葉ではありませんが、こういった一つ一つの細かいエピソードの積み重ねが、衣川立ち往生への熱いラストへと繋がっていくのだなぁ〜と思いました。

本当に楽しい弁慶さまをありがとうございました!

そうそう昨日のさいたまコンサートでの松平さんのMC。『義経』については、「視聴率が良くて・・」「出演している方は凄い方ばかりで・・もちろん自分は除いてですよ(笑)」ととても嬉しそうに語っていらしたのですが、千鳥を演じた中島さんの事を「まじめで礼儀正しくて・・」とおっしゃっていました(*^_^*)。





第十九回「兄へ物申す」(平成17年5月15日)

昨日の『義経』のラストシーン。スパイの疑いをかけられた佐藤兄弟の疑いを晴らすために、義経が頼朝に直談判するシーンを見て、同じ事を思った方は多いはず。

> なぜ、あんなウソを書く…と。穏やかな水面に石を放り込むような真似を、なぜ…と。大出版社のすることじゃない。

−とね。タッキーの一途な演技と義経の一途さとが見事にシンクロして、胸がじーんと来てしまいました。義経にとってかけがいのない郎党達、その郎党との強い絆が再確認できた回でありました。タッキー、周りの騒音に惑わされず頑張ってね!!松平さんもしっかり守って下さる事でしょう。

・・でも歴史ファンとしては不安が少々。タッキー義経がこれまでの義経像と違って「鎌倉一御家人」としての自分の立場をあまりに理解し過ぎていること。こういう認識でいたなら、義経は法皇様から官位を受けるはずもないし、梶原景時ら有力御家人との対立も起こる事もないはず。そこをどのようにして兄弟の亀裂を深めていくのか、脚本の成り行きが心配されます。嘘偽りの諫言でもって義経の功績をめちゃくちゃにしたい人物でも登場させない限り難しいような気がするのですがね。今回の中尾景時をみる限りはそうも見えないし、実際の戦に参加しない政子にその役割を担わせるにはかなり無理があります。

松平さんが前回・今回と、はやる郎党達を前に両手をくわーっと広げて押しとどめるシーンがありましたけど、あんなちょっとしたシーンにも松平さんの完璧とも言える所作の美しさが感じられて。弁慶さま仁王立ちの時なんて何百倍も凄い所作が見られるんだろうなぁ〜と、早怒濤の最終回に向けて思いを馳せてしまいました。





第二十回「鎌倉の人質」(平成17年5月22日)

今回の弁慶さま、思いの外セリフが多くて、出番も多くて目立っていたのですが、その分弁慶さまの性格付けがハッキリ見えてきて少々ゲンナリする事も(-_-)。要するに弁慶さまは”御曹司さま一途”なあまり、周りの情勢が見えてこない、政治的な駆け引きとは無縁の、直情径行型の人物造形なのでしょうか。今のところは(>_<)。そもそも家来になった理由が”義経の強さと美しさ”に惹かれての事ですから、その御曹司が力を発揮できる場が与えられずヤキモキするのは当然の事なのかもしれません。そんな一本気な弁慶さまを松平さんは表情豊かに表現されています。今まで冷静沈着・頭脳明晰な役柄(ばかり)を数多く演じてきた松平さんには貴重な経験かもしれませんね。

特に冒頭、梶原源太景季に出陣に備えよと言われて驚喜していたにも関わらず、結局その機会が与えられず虚しく春の雨を眺める”ホケー”っとした表情の弁慶さまは最高でした!

ただ、感情表現豊かな弁慶さまに対し、それを受ける肝心のタッキー義経の表情がいつも”優等生”している事には最近物足りなさを感じています。義経自身にももっと内面の葛藤があってもいいはずで、このままでは弁慶たち家来は不平不満を募らせるだけの損な役回りになるのではないかと不安です。美技で魅せるのも良いですが、義経の心の葛藤をセリフで表現すると共に、表情にもっとバリエーションを付けて欲しいな・・・と思うようになりました。

某週刊誌の記事に自分自身が影響されたわけではないのですが、どうも今回の脚本・演出構成を見るとイヤでも意識せずにはいられませんでした。





第二十一回「いざ出陣」(平成17年5月29日)

昨日の『義経』、先週私が書いた戯言の内容を一部撤回させていただきますm(_ _)m。

御家人の斬首をめぐって、兄頼朝の目指す武家を中心とした国家造りと、清盛に感化を受けた義経自身の理想との間に、理念的なズレを感じ始めた義経。タッキーのセリフは相変わらず少ないんだけど、間の取り方や表情で迷いの気持ちがちゃんと表されてしましたよ(^o^)!個人的には、物語的にもタッキーの演技的にも今までみた中で最大の盛り上がりだったと思います。しっかし・・・頼朝がまるで政子の傀儡のように見えるのはいかがなものなんでしょう?いくら後の尼将軍・キーパーソンとはいえ極端ですよね(>_<)。ただ脚本的には後々の、梶原景時と北条一族の争いを暗示させるようなシーンもあって見事でした!と言っても今回の大河ではそこまでやらないんですけどね(^_^;)。

考えてみれば”いざ出陣”は語り部の白石さんがおっしゃるまでもなく、義経主従にとっては(破滅へ向かっての)長い旅路の始まりなんですよね。そう思うと出陣を命じられて無邪気に喜ぶ主従の様子は切ない事この上無く・・・このシーンに加え、大姫・義高の遊び相手をする主従の姿も、これらの人々全員に後年降りかかる悲劇を思うと、泣けて泣けて・・・。

弁慶さまに目を向ければ・・・相変わらずお茶目キャラは健在なんですが(^o^)、鎌倉御所での弁慶さまは、終始御曹司さまの影のように振る舞っておられましたね。今後戦を重ねていく内に、まさに御曹司さまの楯となって守り抜くであろう弁慶さまの忠誠心が少しずつ見え隠れしてきて嬉しい限りです(^o^)。千鳥の前で見せたはにかみ笑いも可愛かったし、出陣を前に千鳥宅へ出向いて別れの挨拶を交わす真摯なお姿もステキでした。千鳥さんの出番はもうおしまいなのでしょうか?「戻らなかったら連れ戻す」のセリフが後々への伏線となる事を願うばかりなんですが。(主従が腰越まで来た時に再会するとか?)

オセロ中島さんも出番は少なかったけど、男勝りながらも弁慶を恋い慕う表情がとても良かったと思います。坊主と漁師という一見風変わりな取り合わせなんだけど(^_^;)、二人のお陰でとてもナイスカップルに魅せて下さったと思います。

最後に私の個人的なツボはやはり、財前政子さんに謁見する義経主従でしょうか?おお〜大友宗麟夫婦だよ!!でも身分違いすぎだよ〜!!なんて思ったのは私とみいまさんぐらいかしら(笑)?一言だけセリフを交わしていましたね。これも財前さんの「松平弁慶最高!でも松平さんと現場でなかなかお会いできないんですよね〜」の声を聞いた制作スタッフの粋な計らいなんでしょうか?





第二十四回「動乱の都」(平成17年6月19日)

もう今回の『義経』は鳥肌が立つほどの興奮状態での視聴となりました!源平合戦が近づくにつれ、弁慶さまが御曹司義経の参謀兼相談役としての役割を担うようになり、序々に力強さ&聡明さが際だつようなってきました!

冒頭の殺陣シーンの鋭さもさる事ながら(ただし長刀を構えるまではね(^^;))、義仲の都での行状を書状にしたためるかどうか迷う義経に対し、

「そのような情けは今はお捨てなされませ。都での木曽殿の行状はいずれ様々な方から鎌倉殿に届きましょう。そのような時に御曹司お一人がお伝えにならなかったとしたら、鎌倉殿は何と思し召されるか。先陣を仰せつかった御曹司のお役目怠慢という事になりましょう」

と厳しく諭す場面は圧巻でした!そのセリフ回しはもちろんの事、狡猾ささえ感じさせる表情の揺らぎは、あたかも26年前の、執権北条義時の冷徹な演技を彷彿とさせるもので、心臓がバクバクしてしまいました(私って変?(笑))。

再び義仲に単身会いに行くという義経の決意を「我ら鎌倉殿に背いてでもひと戦仕る」の言葉で翻させる力強さといい、弁慶はやはりこうでなくっちゃね!と一人ほくそ笑んでいました。

来週はいよいよ宇治川の合戦シーン、馬上での大長刀を持っての殺陣はかなりキツイと思いますが、何とか魅せて欲しいです。個人的には後白河法皇を救い出すシーンで、『鞍馬天狗』以来の平幹さんとの、顔合わせがあるのかどうか気になります。





第二十五回「義仲最期」(平成17年6月26日)

先週の「動乱の都」で義仲が後白河法皇を幽閉しようとしたシーン、TVを見ていて不遜にも「あのまま北国に法皇を幽閉してしまえば、頼朝も鎌倉幕府を開くのにあそこまで苦心せず(実際、頼朝が征夷大将軍の位を得たのは後白河法皇崩御の直後でした)、義経だってもっと生きながらえたかも・・・」と思ってしまいました(^_^;)。

昨日は弁慶さまの出番を気にするしないに関わらず、大河ファンとして純粋に「義仲の最期」に感動する事ができました。愛妾・巴との切ない別れ。義仲が最後に見た「落日の夕日」、モノクロ画面から夕焼けへの色彩の変化。忠臣・今井兼平の最期・・・と演者・演出家の思い入れが見事に美しく昇華していたシーンでした。

落ち延びる義仲と兼平の悲哀と主従の絆を見て、義経と弁慶の最期のシーンに思いを重ね合わせた方も少なくないと思います。(ついでに言えば、松平さんの2000年明治座の舞台『木曽義仲と三人の女』の大詰めの場面を思い出した方も多いのでは?)ただモノクロ画面は演出としては(弁慶さま最期のシーンには)もう使えないかな?と思います。3度目ともなるとしつこいですからね。

弁慶さまファンとしても、それなりに見所はありました。冒頭の宇治川合戦シーンや、六条院に幽閉された法皇を救い出すシーンでの、250cmもある長刀の取り回し・・・大変だろうな・・と心配していたのですが、その力強さに圧倒されましたし、行家の見苦しい言動に烈火の如く激しい怒りを見せる義経をじっと見つめる弁慶さま。持仏堂で”新らしき国造りのために”身内同士の争いに身を投じなければならないやりきれなさを訴える義経に対し、ただだまって頷く弁慶さま。セリフは無くとも誰よりも辛く苦しい義経の心中を理解し、進むべき道を諭す。主従の絆がまたもや強く感じられた素晴らしいシーンでした。

ただ黙って相手方を見るシーンというのは、『草燃える』の義時さまでもしばしば見られました。今でも印象に残っているのは(古い話でスミマセン、でも総集編DVDで確認できます)、次の3つのシーン。

★奥州征伐後、義経自害の持仏堂に入った頼朝が、あれほど九郎の言動をなじっていたその頼朝が、床に伏せて「九郎・・・九郎・・」と泣き出したシーン。複雑な表情で頼朝の泣く姿を後ろからじっと見つめていた義時の心中や如何に?(総集編3巻)

★死の床にある頼家を前に、北条時政が比企能員を病平癒の供養と称して北条家に呼び寄せるシーン(実はこの後能員をだまし討ちに。)。この時の能員の隣に座った義時の表情がまた能面のように冷たくとても印象的でした。(総集編4巻)

★北条家に惨殺された頼家の子、公暁が祖母の政子と久しぶりに対面。公暁の思惑(実朝、北条家滅亡の野心)を知る由もない政子が、涙ながらに成長を喜ぶシーンで、公暁の様子をじっと冷徹に眺める執権義時。(総集編5巻)

松平さんは言うまでもなく目の演技が出来る方なので、今後もこういうシチュエーションを多用して欲しいなと思います(^o^)。





第二十七回「一の谷の奇跡」(平成17年7月10日)

弁慶さまのセリフの中で意味の分からない言葉が登場したので調べました(^^;)。

六韜三略(りくとうさんりゃく):中国で有名な二冊の兵法の書の事で、転じて兵法の極意、虎の巻、奥の手を意味するそうです。 「一の谷の奇跡」、義経を一躍歴史上のヒーローに押し上げたかの有名な「一の谷の合戦」だけあって演者も演出も力が入っていましたねぇ〜。高萩ロケの未放送の部分を加え、さらにスタジオ収録の映像を混ぜ合わせたとの事ですが、義経の稀代の戦上手としての有能さはもちろんの事、弁慶さまも類い希なる強靱な戦士ぶりをいかんなく発揮していました(*^_^*)。自身は平家軍と戦いながらも、常にその目は義経御曹司に向いており、主君を全身全霊で守り続ける、まさに守護神のごとくの活躍ぶりには、涙ものでした(T_T)(T_T)。

ロケ未放送の映像では、やっぱりツボは”脇差し投げ”と馬上での”一騎打ち”シーンでしょう!!あのロケの始まった時点では(今現在もそうかもしれませんが(^^;))、あんな離れ業が出来るのは上様だけなんでしょうね(*^_^*)。久々に拝見する華麗な手綱捌きに・・まやもやウルウル(T_T)(T_T)。

スタジオ撮りでしたが、義経を狙う重衡をこれまた強力で馬下から長刀で突き落とすシーンも最高!!

義経と共に、やっとこさ弁慶さまの存在価値も見出されるようになって、もう私は感無量でございます!!これからも御曹司の盾となって縦横無尽に活躍し続けるお姿・・・しっかりと目に焼き付けておきたいと思います!!





第二十八回「頼朝非情なり」(平成17年7月17日)

『義経』遅ればせながら昨夜見ることができました!ムック本にも書いてあった弁慶さまがらみの2つの短いシーン。でもどちらもドラマの進行上重要な伏線を担う話だったので、カットされる事はないと思っていましたが、やはりカットされなくて良かったです(^o^)。

そう、千鳥親子と熊野水軍の頭が非常に近しい関係であった事−それが壇ノ浦の合戦における源氏方の勝利の呼び水となる事。そして鎌倉在住の頃、ほんのひとときではありましたが義経主従と義高・大姫の幼き恋人達との心温まる交流(弁慶さまの力自慢のお話etc)−それが悲しい結末を迎えてしまった事。

伏線というだけあって、それが後々どんな形で展開するかはドラマを見続ける人にしか理解できない(ああ〜以前のあの場面はこのためのものだったのだ!)のが少々残念なのですが、ともかくもドラマ的には壇ノ浦に向けて着々と準備が整いつつあるようです。 それにしても弁慶さま、どちらも短いシーンではありましたが非常にインパクトがありましたね(*^_^*)。前者の千鳥とのシーン。やっと二人きりになった所で目をパチパチさせながら、何とも言えない甘〜いお声で「・・・千鳥・・・」でもその後が続かず(^^;)、「何で俺はこうダメなんだ・・」と言わんばかりに臑をさすり続ける弁慶さま。

(↑何で千鳥を思い切り抱きしめてあげなかったの!!と、じれったいわねぇ〜と突っ込む私(^^;))

ウブで可愛い弁慶さまの魅力全開モードでしたね!一週間前の「一の谷」での豪腕弁慶さまとはとても同じ人物には見えません(^^;)。鎧に白頭巾を装着すると豪腕戦士・参謀に変身してしまうサマは(義経もその気がありますが(^^;))まるで変身ヒーローのようです。

「ほ〜〜う」「ほ〜〜う」は、千鳥親子への反物の送り主である湛増に対し、かすかな嫉妬心(?)を感じていたのかもしれません。せっかく二人きりになれたのに、ヨソの男の話をするなんて・・ってね(^_^;)。松平さんも中島さんも目が大きい方なので、目の表情を活かした演技がとても魅力的です。千鳥役の中島さんも初登場の頃とは随分違って、女っぽさがセリフの言い方やしぐさに上手く表れていると思います。

熊野別当湛増役を演じるのは原田芳雄さんです(一部オフレコで情報が伝わっていましたが、スタパでの撮影風景が公開されましたので、ここでもオープンにします)。これまたムック本によると、湛増と松平弁慶さまとがっぷり四つの芝居が用意されているようで・・・期待は高まるばかりです!





第三十二回「屋島の合戦」(平成17年8月14日)

「継信殿をいつか平泉に連れ帰ることもございましょう」

何という象徴的なラストシーンの弁慶のセリフでしょう(T_T)(T_T)。壇ノ浦後の義経主従に待ち受ける悲劇的な運命を思うと・・・今から泣けて泣けて。『義経』を見ていて今回初めて涙してしまいました。もちろん佐藤継信の最期のシーンを見てです。上下関係を超えて家族のように過ごしてきた仲間の死に接して、主従メンバーの誰もが演技を超えて宮内継信の死を悼む気持ちが、画面からひしひしと伝わってきました。宮内さん素晴らしい演技をありがとう!宮内さんの魂の演技はいつまでも私の心の中に残り続けると思います。

弁慶さま、前回に引き続きクレジットのトメを取りましたね(^o^)。まあでも弁慶さまの本当の出番はこれからなんでしょうね。今回は義経とのツーショットシーン(義経の妹・能子を気遣うシーンとラスト)で、主君の気持ちを深く思いやる大人の弁慶さまが拝見できました(^o^)。でもそれ以外の郎党集結シーンでは弁慶さまのキャラは相変わらず、一本気でコミカル風味な味付けでしたけれど(^^;)。郎党一の大人だった継信の死を通じて、弁慶さまがどう変貌していくのか興味深いところなんですが、次週予告を見る限りでは、相変わらずの血気盛んぶりを発揮していて(^^;)・・・楽しみでもあり、不安でもあります。

まあとにかく来週は「弁慶ウィーク」になる事間違い無しなので、しっかり弁慶さまの活躍を見届けたいと思います。





第三十三回「弁慶走る」(平成17年8月21日)

大河ドラマの醍醐味ここに有り!と思わせる見応え十分の回でしたね。熊谷コンを蹴ってまで(^_^;)大河をリアルタイム(実は13:05からの地上デジタル先行放送を視聴しています)で見た甲斐がありました(^o^)。

醍醐味と言ったのは、もちろん松平弁慶と原田湛増との迫力ある演技合戦が見れた事です。今回の『義経』は大河らしい大河という触れ込みでしたが、何かが物足りない・・・そう、演技巧者同士が見せる派手な演技のやりとりが少ないな、と思っていたです。こういう趣は現代の若い人にはあまり馴染まない種類のものかもしれませんが、往年の大河ファンにとっては(と言っても私の大河歴は1972年の『新平家物語』からなのですが)これ以上ない格好の娯楽なのです。

相変わらずコミカル風味の松平弁慶さまですが、今回もその魅力を大爆発させていました(*^_^*)。それに合わせるかのように、剛胆かつ荒ぶる性格の熊野別当湛増も、単なる剛胆さだけでなく、人情の機敏を嗅ぎ分けた魅力ある人物像に描かれていました。(原田さんの渋みのある湛増の演技に松平さんの亡き師匠・勝新さんの姿を想像したのは私だけでしょうか?)その両者の演技バランスが非常に上手く取れていたため、掛け合いの迫力が段違いに増して、見ている自分も思わず力こぶが入ったほどです。この感覚は昨年放送『忠臣蔵』での松平内蔵助と、江守徹さん演ずる垣見五郎兵衛の対決に相通ずるものです。

湛増と弁慶の関係については親子説もある程ですから、ドラマで何らかの血縁関係に繋げるために、湛増の部下を救った命の恩人の娘婿が弁慶であるという設定にしたのも、なかなかナイスだと思いました。

また二人の掛け合いで良かったのは、弁慶の重みのある一言一言から義経という人物像の偉大さが伝わり、かつ弁慶が「命を投げ出しても悔いは無い」と、義経に心から心酔している様子が伺えた事でしょう。

義経へのひたむきな忠誠心と共に、千鳥への思いやりも忘れない弁慶さまにも、葵さんと同様、胸キュンでした。

「会えて嬉しかったぞ」
「おう!(鎌倉で)待っておれ!」

次回二人が(鎌倉でなく)腰越で会う時は、もう今生の別れになろうとは、この時は知るよしもなく、無邪気な笑顔で熊野を去る弁慶さまに、健気な表情で見送る千鳥。この二人の挿話は時間は短いのですが、初回の出会いから一本筋が通っているため、感情移入がし易いです

。 最近のタッキー義経も本当に大将の風格が備わってきましたね。弁慶の心意気に共感し「熊野へ参れ」と命ずる様子や、ラスト湛増の証文を弁慶から受け取るときの表情などは、まさに弁慶さまが「命を預ける」に相応しい強さが備わってきました。郎党も良いです(^o^)。何だかんだ言いながらも(^_^;)、弁慶を心から心配し応援する様子は家族以上の強い絆を感じさせるのに十分でした。

それにしても松平さん、この弁慶像を心から楽しんで演じているように見えますね(^o^)。今回の湛増との演技のやりとりを見ていて「勧進帳」の方向性も見えてきたような気がしました。

余談(秘話):湛増との面会を望む松平弁慶さま。門前で大きな声で何度も何度も怒鳴りまくっていましたけど、あの撮影は6月3日にされたものです。そう土浦サンバコンの前日です。今だからこそ話せますが、コンサートの昼の部は松平さん、前半部でお声が時々かすれて苦しそうだったんです(>_<)。理由はこの義経の撮影にあったんですね。それだけ弁慶さまに注力されていたわけで、何だか感慨深いものを感じてしまいました。





第三十九回「涙の腰越状」(平成17年10月2日)

・・の感想を書く前に、本日の松平弁慶さまの長ぜりふを書き起こしてしまいました(^o^)。この場を借りて、コピペさせていただきます。もう一度あの感動のシーンをよみがえらせて下さいませ。

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「何か申したき事があるのか」
「いえ、ただ大姫さまには会われても良かったのでは、と」
「鎌倉の御台さまが殿にすがられたのでございます。ここでお役に立てれば、あるいは」
「鎌倉殿を欺けと申すか」
「いえ、ただ・・」
「入ってはならぬという鎌倉に近づくという事はすなわち、鎌倉殿をたばかる事ではないか」
「大姫さまのためであっても、でございますか。大姫さまが殿を求めておられても、でござるか」
「鎌倉に入ってはならぬというお達しは、鎌倉の方々ともおうてはならぬという事だ」
「なれど・・」
「鎌倉殿は今、我らを見ておられる。妙な動きをすればかえってご不審を被ることにもなろう」
「鎌倉殿のご不審は、何も今始まった事ではございませぬ。鎌倉殿は以前より殿に対しては構えておられたように存じまする」
「・・弁慶!」
「兄弟とは申せ、鎌倉殿は嫡流。そのような思いや誇りが・・」
「分け隔てなされていると申すか」
「つまり、お立場のけじめ、事の是非にお厳しい方とお見受け致しまする。事ここに及んでは、鎌倉殿に対し、まともに向かわれても埒があかぬと存ずる。・・・あの方はちっとやそっとの理屈では動かれませぬ。そのような鎌倉殿に対し、殿はあまりにも・・・あまりにも隙を見せられました。寛容に過ぎました。」
「・・弁慶!」
「思い出されませ。弟君でありながら、鎌倉殿は殿を一御家人として扱われ、大工への褒美の馬を引けを命じられました」 「あれは・・」
「そればかりではございませぬ。幾たびかの戦の折にも何故か出陣の沙汰は無く、平家追討をし遂げられた殿の事では、触れ状を出され、そして此度はこの地で足止め。殿は鎌倉殿を甘く見ておられまする。殿は鎌倉殿に対して、一御家人として仕えると申されましたが、その実胸の内は、鎌倉殿を兄上と慕うお心で溢れておわしまする。そのような思いが鎌倉殿を見る目をいささか曇らせているのでは」
「私の事は良いとして、弁慶の口から我が身内の悪口を聞くとは思わなかったぞ」
「そしりや悪口ではございませぬ!」
「それがしもの申すは、殿が余りに不憫と思えばこそでござる」
「・・不憫?」
「左様。鎌倉殿の事で思い悩まれる殿を、見るに忍びず、鎌倉殿の御ため、誠をもってお働きになった殿に対し、鎌倉殿は何を下されました?」
「所領のことか?」
「いいえっ」
「栄達のことか?」
「いいえっ!」
「殿への、鎌倉殿の誠が見えませぬ。これまでの勝ち戦には源氏の棟梁としてのねぎらいの言葉は下されましたでしょう。なれど、心の底から溢れるような思いを下されましたか?兄弟としての情をお見せになられましたか?殿が望まれておるのは、ただそれだけではござりませぬか!その事にお応えにならないのが鎌倉殿にございまする。・・・時には情というものをお捨てになられませ!」
「弁慶!」
「はいっ!」
「そなたたち、所領も栄達を与えてやれぬ私に付きしたごうてきたは何故か!」
「殿を慕えばこそ!」
「おおっ!」
「何もやれぬ私のために、命も辞さぬ働きをしてきたは何故か?我ら主従を繋いできたは情ではなかったか?欲得のない絆ではなかったか?」
「いかにも!」
「その私に、弁慶は情を捨てよと申すか」
「それがし何も!」
「そのような郎党なら、私は要らぬ!立ち去るが良い・・」
「殿・・そりゃ・・弁慶謝れ!」
「武蔵坊弁慶、お言葉に従い、お暇を頂戴仕る!」


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第33回「弁慶走る」での原田芳雄さんとの腹芝居も最高でしたけれど、今回の弁慶さま涙ながらの注進も心打たれる感動のお芝居でした(^o^)。若いタッキー相手に松平さんがどれだけ”本気”が出せるか心配していたのですが、受けるタッキーもなかなか頑張っていましたよね。上に書き起こしたセリフを見ても分かるように、ほとんどが弁慶さまの長せりふで、義経は短い受けせりふが多かったので、余計タッキーは大変だったと思います。

松平弁慶さま、最初は落ち着いた物腰で注進していたのが、主君義経の「求めても得られぬ愛情を追い求め続ける」もどかしさに、序々に序々に感情を高ぶらせて、最後は涙ながらに「現実を見よ、情を捨てよ」と懇願する。(だんだんと早口になるんだけど)明快なセリフ回しと刻々と変わる表情の変化はお見事でした!

スタパを見学しているとよく分かるのですが、NHKの撮影って本当に細かいカット割りが多く、その度に中断を余儀なくされる。カットを取るたびにいちいちモニターでチェック、必要によっては撮り直し・・・と、芝居のテンションを長時間維持しなければいけないのです。特に今回のような長いシーンで序々にテンションを上げていく芝居では、緊張感の持続が肉体の疲労感にも繋がっていくに相違ありません。おそらく約7分間のシーンを撮るのに数時間以上の撮影時間を要したと思います。にも関わらず、松平さんは肉体の疲弊感をまったく感じさせない素晴らしい緊張感を編み出していました。もう流石!としか言いようがないです。今回の芝居を見て3年前の『利家とまつ』の第30回「男泣き柴田勝家」での、唐沢利家と松平勝家の重厚な芝居合戦を思い出しました。

後半の「腰越状」口述代筆については、回想でまとめた編集方法に疑問を呈するも(^_^;)、松平さんが巻紙にしたためる実際の筆跡がちょこちょこ見え隠れしていて、う〜ん!と唸ってしまいました(*^_^*)。書道も時代劇俳優の素養の一つなんでしょうね。

ただ内容的にはサブタイトルが「涙の腰越状」なのですから、全く昔の回想で繋げるだけではなく、思いの丈を訴える義経の”涙”、それを受け止める弁慶の”涙”のシーンを是非挿入して欲しかったです(>_<)。でなければ今回のサブタイトルの”涙”の意味がありません。まさか命を賭けて上申した弁慶の涙、千鳥の家で悲嘆にくれる弁慶の涙ではあるまいに(苦笑)。

せっかくの前半の緊迫感溢れる芝居が、後半の回想シーンでその緊迫感を削がれてしまったのが何とも残念で仕方ありませんでした。 ともあれ、この腰越状の一件を通じて、松平弁慶さまと主君義経の絆はますます深まりました。終盤の「勧進帳」「立ち往生」での二人の絆の芝居が楽しみになってきました。





第四十回「血の涙」(平成17年10月9日)

今日の『義経』は、もう終始涙、涙、の展開でした(T_T)(T_T)。兄頼朝の腰越状を読んだ後のセリフ「九郎・・・何故そこまで情を欲する。情はあれほどいかぬと言うものを・・・何故私を苦しめる。・・・・読まねばよかった」・・涙にくれる頼朝を見て・・・自分も号泣(T_T)(T_T)。義経の情も、頼朝の情も十分分かりすぎるほど分かるが故に、どうにもならない兄弟の理念の違いに、後年の源氏一族の悲劇までをも予感させて(-->これは是非『草燃える』をご覧になって下さいませ)、実に秀逸な脚本だったと思います。

先週放送の「腰越状」のエピソードを境に、弁慶さまの郎党筆頭としての立場も俄然重みを増してきました。これまでは、次郎三郎・他郎党と一緒にワイワイガヤガヤ騒ぐだけの存在だったのが(^^;)、今日放送分では鎌倉に偵察に出かけようとする郎党達を「寺を出てはならぬ!」と制したり(ここのお芝居、ちょっと上様入ってましたね(^^;))、頼朝から返事が来ない事に苛立ちを募らせる郎党に対しても「静まれ!」と完全に場を仕切っていました。

これからの弁慶さまは、忍び寄る頼朝の魔の手からあらゆる手段を使って、主君義経を守り抜く事に命を賭けるのでしょう。義経と弁慶の心中は完全に同化しているようにも思えました。

そして忘れてはならないのは、ラストシーン、恋人千鳥との永遠の別れ。「よい婿を見つけろよ・・」「おう!」と気丈に振る舞う千鳥の姿を見て、愛おしく感極まった弁慶さまが千鳥と最後の抱擁を交わします。弁慶さまのお顔こそ映りませんでしたが、「わしは終生、弁慶の嫁じゃ!」「うん・・うん」と嗚咽するそのお声を聞いただけで・・・緩んでいた涙腺がまたもや・・(T_T)(T_T)。もう切なすぎます・・これこそ「血の涙」。今大河にも数多くオリキャラが登場しましたが、千鳥ほどうまく物語に機能したキャラもいないのではないでしょうか?弁慶との出会いからその別れまで、一本筋が通っていて、視聴者も非常に感情移入がしやすかったと思います。中島さんの演技力にも驚かされました。「GOGOサタ」で毎週お仕事を一緒にしているとは言え、よくあの松平さんと息の合ったお芝居ができたものだと感心しました。中島さん、本当にお疲れ様。そしてこれからもGOGOサタでよろしく(^o^)。

義経主従は歴史的には転落一途の人生を歩むことになるのですが、今日の義経の新たな決意にも見られたように、今大河では、あくまで「新しき国の創世」のための一歩を踏み出したんだと前向きに解釈したいですね。





第四十一回「兄弟絶縁」(平成17年10月16日)

サブタイトルは「兄弟絶縁」というより「兄との決別」にした方が相応しいような内容でした。今回の大河は、”兄・頼朝への疑念が膨らみに膨らんで反旗を翻す”という従来の義経物の視点とは異なり、”理のみを重んじる頼朝の国造りの理念と義経のそれとの違い”が、義経に兄頼朝との決別を促し「新しき国」へ旅立つというコンセプトのようですね。「宗盛」斬首の描き方がそれを明確に物語っていたと思います。

それにしても『草燃える』フェチの私としては、頼朝・政子夫婦の関係が非常に醒めたものにしか見えないのですが、いかがでしょうか?夫婦の情愛が全く感じられないのです。政子が政治力を発揮し出したのはあくまで頼朝の死後、尼将軍と称されてからの事ですから、今回のような側近的な描き方は、非常に無機質的な物を感じてしまいます。

男女の情愛という点では、義経&静もそうですよね。義経と言えばヒロインは静なのに、あまりにもこちらの関係も無機質で・・・今後いきなり吉野の別れを描かれても、(今回の平重衡・輔子夫婦の別れと同じように)全く感情移入できないと思います。今更言っても詮ないのですが、その点が残念です。だからこそ、出会いから別れまでをきちんと描いた先週の弁慶&千鳥の別れのシーンはぐっと来るものがあったんでしょう。





第四十三回「堀川夜討」(平成17年10月30日)

義経物では欠かすことのできないイベントの一つです。今まで疑念の域を出なかった義経が、自分に対する刺客が放たれた事で、とうとう本気で兄・頼朝に牙を剥く決心するきかっけを得る大事件でした。

タッキー義経の俊敏かつ華麗な殺陣の魅力を余すところなく魅せるのは容易に想像できましたが、いやあ〜松平ファンにとっても予想外の超うれしい展開になりましたね(^o^)!本日のゲストキャラ土佐坊昌俊と弁慶さまが旧知の間柄という(無茶苦茶な)設定にして下さったお陰で、俄然弁慶さまの重みが大きくなりました。今日の弁慶さまも主人公と呼んでもいいくらいの活躍ぶりでした。

熊野別当湛増役の原田さんといい、今回の土佐坊役の六平さんといい、登場するゲストキャラは強烈な個性を発揮する方ばかりですが、そういう人とサシの腹芝居をしても、松平さんはさすが!(その場面の主役としての)オーラ放ちまくり、対等に渡り合える事を実証して下さいました。濃いキャラと言えば、お徳役の白石さんとの(義経抜きの)絡みもありましたが、この二人の場面も全然違和感を感じませんでした。それだけ二人の芝居の呼吸が自然だったという事ではないでしょうか?

殺陣シーンについては、向かってくる敵を”峰打ち”で交わし、表情もクールさを常に失わない上様殺陣とは根本的に違い、昨日のそれはまさしく『用心棒』の桑畑三十郎を彷彿とさせるものでした。斬って斬って斬りまくる。旧知の土佐坊に対する極度の怒りが殺陣の迫力となってビンビンに跳ね返ってきましたね!タッキーの殺陣が上様的な様式美の極致とすれば、弁慶さまはまさにその対極を行くリアリズムに溢れた殺陣でした。激しい殺陣で黒衣の袖が身体に絡まる様子がこれまたセクシーで・・・(どこ見てんねん!)

三十郎さまを彷彿とさせた理由は他にもあります。義経に極秘で(でも義経・萌殿にバレバレやねん!)、郎党達が鎌倉方の動きを探る密談を行っていたシーン。その場を仕切る弁慶さまは、ややもすれば上様演技にも見えなくなかったのですが(^^;)、ふと顎の下に手をやる仕草(その手の動き一つとっても美しくセクシー!)、これはまさに三十郎さまを思い起こさせるものでした。

これまで弁慶さまの殺陣シーンは、八尺を超える大物の長刀をぶんぶん振り回すのが主でした。それはそれで迫力がありますが、何分にも使い慣れていない、しかも通常サイズよりも遙かに重い長刀という事で、ハンディが大きく、見ている自分も正直歯がゆく思っていました。でもそんな思いは昨夜の大サービスシーンですっかり吹っ飛んでしまいました(^^)/。太刀での殺陣は昨夜限りと思いますが、もう十分満足させていただきました。

ホントNHKさま・林邦史朗さま・演出の大杉さま、ありがとうございます!

・・・ここまでは持ち上げといて(^^;)、弁慶さま壇ノ浦以降は公約通り、義経を守る存在として一回りも二回りも頼もしくなったのはいいのですが、一度面会しただけの湛増を「肝胆相照らす仲よ」と言い切ったり、その湛増が挙兵の要請を蹴ったからと言って激昂したり・・相変わらずの単純なキャラぶりには(>_<)。要は描き込みが足りないんですよね。湛増や土佐坊との関係を、セリフだけで済ましてしまおうとする脚本姿勢が。





第四十四回「静よさらば」(平成17年11月6日)

今回は実に不思議な回でしたねぇ〜内容も、クレジットも(笑)。

都落ち→船弁慶→院宣逆転→吉野の別れ、とイベント盛り沢山だったので、テンポがあって良かったですが、逆に人物・情景描写は(鬼一法眼の場面以外)薄くなってしまった感が。特にサブタイが「静よさらば」なのに、別れのシーンはラストのほんの1,2分しか描かれず、全然二人に感情移入できない(>_<)。むしろ正妻の萌との別れの方が涙を誘いました。船弁慶における知盛亡霊出現&鬼一法眼の妖術と、超常現象が二度も出てくると、さすがに現実から遊離してファンタジー物語のようにも思えます(^^;)。

松平弁慶さまは先週ほどのインパクトは無かったけど、以前の無鉄砲ぶりはすっかり姿をひそめ、頼りになる郎党筆頭としての重さと主従の絆の強さを感じさせてくれました。個人的なツボは、お堂の中から外の様子を伺うシーンでの、松平弁慶さまの陰影の濃い横顔の美しさ(*^_^*)。そして鬼一法眼に「そなたなら安心じゃ」と言われた時に、ふと垣間見せた爽やかな笑顔。この笑顔は多分、五条大橋でストーカーやってた時に(^^;)義経の正体を知って喜んだ時の笑顔と同種のもので、ホント久しぶりに見たようが気がします。

クレジットに関しては、31回「飛べ屋島へ」32回「屋島の戦い」に続くトメを取りました。それはそれで嬉しいのですが、3回ともトメた意味合いが全く不明(>_<)。上記回でトメられるのだったら何故、主役張りの活躍をした33回「弁慶走る」や43回「堀川夜討」でトメられないのか?今回が静メインの回であるという事を考慮しての石原さん2番手への昇格、それに応じてのスライド式トメゲットだとしたら、役柄の大きさとクレジットの位置関係がますます不明です。ただ松平さんの場合は2番手とトメにしか来ないという事が、NHKとしての精一杯の誠意なのかもしれません。





第四十五回「夢の行く先」(平成17年11月13日)

最終回まで残り少なくなってきて、いよいよジェットコースターも加速の様相を呈してきましたが、義経・弁慶主従の生き様は見ていて切なくなりますね(-_-)。腰越状のあたりから、弁慶の思考は義経とまったく同化してきて、共に悩み・嘆き・苦しみ・・明らかに他の郎党とは一線を画す存在になってきました。こうなると昔の無邪気でお茶目な頃の弁慶さまが無性に懐かしくなってきます。

頼朝には単なる嫉妬心から(としか、私には見えない)疎まれ、法皇サイドにはいいようにあしらわれ(T_T)。戦術の天才ではあっても政治的駆け引き能力皆無の主従だからこそ、後々判官贔屓とまで日本人の琴線に触れる悲劇のヒーローとして語り継がれるようになったんでしょうけれど。もうちょっと上手い立ち回りの仕方ができなかったのかと・・分かっている事とはいえ、もどかしくてしょうがありません。

それにしても美輪鬼一法眼さまはいったい何のためにご出演になったのでしょう?先週あれだけ「都には近づくな、魑魅魍魎の巣くう場所ぞ」と警告を発していたのに、法皇が自分を見捨てていないと”思いこむ”や否や、また都への拘りを見せる義経主従の悲しさよ。

またあれだけ「奥州には(迷惑がかかるから)頼れない」と繰り返しながら、清盛との思い出の屏風を見て、何故か西国ではなく、奥州に「新しき国作り」への足がかりを見いだそうとしてしまう義経。ここはやっぱりムック本通りに、佐藤兄弟の遺髪を彼らの故郷・奥州に届ける義務があるから、戻るとして欲しかったです(T_T)。

役者さん達は非常に良かったです。ようやくここに来て郎党達のキャラが引き立ってきました。三郎も次郎も主を思う気持ちが切ないまでに伝わってきましたし、そして喜三太はきっとあの台詞「義経、静様は親で、弁慶達は皆兄弟」を言うために今日まで頑張ってきたのかな?と思えるほどの熱演でした。また静も北条時政の前で見せた、女の情念とも言える凄みのある演技には圧倒されました。

来週、そして再来週はいよいよ名場面中の名場面「しずやしず」「安宅関・勧進帳」です。もうストーリーの細部、展開の矛盾はどうでもいいから(^^;)、素晴らしい演技を魅せていただきたいです。でも義経物って、よく考えたら歌舞伎や能などで有名な場面は、義経が主人公ではないんですよね(>_<)。





第四十六回「しずやしず」(平成17年11月20日)

毎回過剰演出気味の黛さんですが(^^;)、今回の演出ばかりは大拍手を送りたいです。静の女の戦いと義経の戦い、両者を紅葉(今の季節感にぴったり)を舞い散らせながらシンクロさせた演出は実に素晴しかったです。この場面に限って言えば『草燃える』の演出を遥かに超えたと言えるでしょう。

石原さとみさんもここに至るまでは散々に言われていましたが(>_<)、今日の演技にはさすがに心を揺り動かされずにはいられませんでした。対する北条政子の”敵ながらあっぱれ”と褒め称える演技も良かった!その分頼朝さまはいったい何をしていたの???

忘れちゃいけないのは忠信クン。最期のシーンでは涙ぽろぽろ流していた松平弁慶さまと共に、泣いておりました。なんて儚い人生なんでしょう。海東さんもお疲れさまでした。心なしが義経主従は継信の臨終の時よりも泣きが激しかったような。それだけ主従の絆がより深まっていたという事なのでしょうか?

実は今回の私の個人的ツボは、義経主従が山伏装束を装着していた時、弁慶さまが義経さまの髪の毛をさりげなくすくって後ろに回していたところでした(^^;)。

さあ、さあ〜いよいよ次週はこの日のために一年間待っていたと言っても過言でない「安宅の関」がやって参ります。「しずやしず」でこれだけの物を見せられるといやでも期待せずにはいられません。唯一の不安があるとすれば、46回〜最終回の中で、何故か「安宅の関」だけが異なる演出家という事です。前後回との演出の統一感が取れないことだけは避けてもらいたいです。





第四十七回「安宅の関」(平成17年11月27日)

もう感極まって、何から感想を書いていいのかわかりません(T_T)(T_T)。素晴らしすぎです・・・。松平弁慶さまと石橋富樫さん・・・そしてタッキー義経の表情だけの演技。今日の「安宅の関」のために(いろいろ脚本に不満を感じながらも)この大河を見続けてきて本当に良かった!「松平さん!!素晴らしいお芝居をありがと〜〜」って、無事千秋楽を終えた長崎にいらっしゃる松平さんに向かって大声で叫びたい気持ちです(*^_^*)。

いったい昨日13時の放送から何十回見たでしょうかね(笑)。見るたびに新しい発見があり、泣き所も違ってきますが、最終的にはやはりラスト、弁慶さまが義経に向かって泣きじゃくりながら詫びを入れるシーンに一番思い入れが深くなるようです(T_T)。

ああいう慟哭の悲しみの演技は、3年前の大河『利家とまつ』第二十七回「夫婦の決心」で主君信長を失った松平権六勝家さまが魅せた”泣きの演技”を思い起こさせるのですが、今回と3年前では全く演技の質が異なる事に気づきました。戦国武将はももちろん仕えるべき主君はいるわけですが、基本的には一国一城の主。まさに命を取るか取られるかの切った張ったの世界です。主君を失ったからと言ってそう感傷にも浸ってはいられません。でも義経と弁慶の世界は違います。弁慶の台詞にもあるように「常の殿のことを考えて生きて参りました!」と、弁慶にとって義経は自分の命そのもの。そんな主を打ち据えるのですから、慟哭の度合いは戦国武将のそれとは段違いでしょう。本当に悲しい時は、泣いても涙も出ないのだ・・・というのも頷けます。

今回の「勧進帳」みいまさんのおっしゃるように演技的には松平さんの今の実力を考えれば、まさに想定範囲内のもので、よく言えば期待通り、悪く言えば可もなく不可もなく、と言えるかもしれません。それでも十分心を打たれたのは、義経・弁慶を演じたタッキー・松平さんの演技を超越した、一年という長きにわたって紡いできた人間同士の信頼関係の厚さが、あの場面に凝縮して現れたからでしょう。富樫役の石橋蓮司さんが、義経HPのインタビューでまさにその事を指摘なさっていました。富樫の涙はまさに、役者を超えて一人の人間としての涙だったのだと思います。

あと今回の「勧進帳」は歌舞伎とは異なるオリジナルエピが挿入されていました。静との思い出の”笛”が義経の正体を暴いてしまう事(富樫は当然の事ながら始めから一行に疑念を抱いていて、何とか証拠を掴もうとしていた)、そして偽の勧進帳の”巻物”が弁慶にとって何物にも代え難い印であった事。その伏線が昨日の前半で張られていたわけですが、もし”巻物”のエピが第五回「五条の大橋」で登場していたら、感動はもっと凄かったかもしれませんね。前半部で描かれた義経主従の”夢”の語らいは”恐らく平泉に到達しても険しい茨道しかない”事を皆分かっていたからこそ、語られたものであり、今後待ち受ける悲劇の最期を彷彿とさせるのに、あまりにも効果的な悲しいシーンでした(T_T)(T_T)。

とにかく昨日はこの大河を一年間見続けてよかった!脚本・演出・俳優の演技全てに於いて文句の付けようのない素晴らしい作品でした。

惜しむらくは・・・・もっと大勢の視聴者に見て貰いたかった(T_T)(T_T)!

参考:「勧進帳」

つらつらおもん見れば
大恩教主の秋の月は、涅槃の雲に隠れ、生死長夜の永き夢、驚かすべき人もなし。
爰に中頃帝おはします。御名を聖武皇帝と申し奉る。
最愛の夫人に別れ、恋慕の情やみ難く、涕泣眼に荒く、涙玉を貫ね乾くいとまなし。
故に上求菩提の為、盧遮那仏を建立し給う。
然るに、去んじ寿永の頃焼亡し畢(おわ)んぬ。
かかる霊場の絶えなん事を欺き、俊乗坊重源勅令の蒙って、無情の観門に涙を落とし、上下の真俗を勧めて、かの霊場を再建せんと諸国に勧進す。
一紙半銭報賽の輩は現世にては無比の楽に誇り、当来にては数千蓮華の上に坐せん。
帰命稽首、敬って白(もう)す。





番外編:「土曜スタジオパーク」タッキー編(平成17年12月10日)

明日はいよいよ、松平弁慶さまを拝見できる最後の放送日になってしまいました(T_T)。役者さん達もそうでしょうが、見ている私たちも、いろんな事を思い巡らせながら登場人物たちに感情移入して、一緒に笑い・・泣いていました。

明日はタッキーの言葉じゃないですが、バスタオルを持って1時間じっくり鑑賞したいと思います。

今日の土スタは「義経最終回特集」という事で、松平さんを始めとする郎党4名の方々がコメントを寄せてくださいました。松平さんのコメント、そしてタッキーのコメントを書き取ったので、そのまま書き写します。

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(タッキー義経を見て)
成長の過程が面白かったですね。どんどんどんどんそのシーンになっていくっていう・・何ていうんでしょうねえ、華って言いますか。あとは、男らしさも増していって、やっぱりいろんな大先輩との経験が、その自信に繋がっていると思いますね。
(タッキーに向けて)
タッキーどうも、久しぶりで・・一年間お疲れ様でした。(義経は)荷の重い役だったかもしれませんけど、大ステップになったと思いますので、これからもこの時代劇−日本の文化である時代劇を是非続けて欲しいと思います。これからも頑張って下さい。
(タッキーのコメント)
ほんとに松平さんには助けられたっていうか、松平さんじゃなかったら、ここまでのびのびできなかったなあって思いますよね。やっぱり大先輩の方じゃないですか。けどこう・・なんだろ、甘えさせてくれるというか「力抜いてやっていいぞ」という方なんで、凄く後ろから支えてくれる「引っ張るというより支える」感じなんで。(時代劇も)是非やりたいですね。時代劇の魅力というか今回感じることができたんで、また挑戦はしたいと思いますね。

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タッキーとの共演時代劇・・・また見たいなあ〜。そういえば、今後演じてみたい役柄を聞かれて「年を取ったら弁慶」と話していましたね。弁慶は本来若い役なんですが(^^;)、それだけ松平さんの作り上げた弁慶像に魅力を感じていただけたのかな?と、ファンとしても嬉しくなりました(^o^)。





最終回「新しき国へ」(平成17年12月11日)

何なのあの最期・・・45分間持続してきた感動が、あの一瞬(無数の矢が刺さる映像→弁慶人形に松平さんの顔合成CG)の稚拙演出で噴き飛んでしまったよ(T_T)(T_T)。あれじゃ松平さんが可哀想で可哀想で仕方が無い(T_T)(T_T)。

ええ〜と、これじゃあまりなので、心を静めて書いた感想を(^^;)。

やっと最終回になって”主従の絆”の強さが全面に描かれて本当に良かったですね。常に前向きに人生を語れる主従の生き様って凄い事だと思います。弁慶の「我らは生まれ変わっても再び殿にお会いするのじゃ。そういう絆なのじゃ」は、まさに象徴的なセリフでした。弁慶さまはいつの間にか(・・というか「涙の腰越状」くらいから)義経にとって精神的に無くてはならない大きな存在として描かれていただけに、持仏堂で義経が弁慶に最後の願いを託すシーンは感動的でした。

義「最後の頼みがある」
弁「はい!」
義「防ぎ矢・・頼む」
弁「最早おさらばでござりまするか!?」
義「そなたには長きにわたり苦労をかけた」
弁「いえっ!」
義「行け!」
弁「此度はこれにてお別れ申しますが、必ずや生まれ変わり、再びお目にかかりまする!」


松平弁慶さまの気持ちが刻々と変化する様子を顔の演技だけで魅せてくださったのも素晴らしかったです。立ち往生のシーン、無数の矢に射抜かれながらも、実は泰衡が駆けつけた時点ではまだ事切れておらず、「九郎殿っ!お許し下され!」の号泣を耳にして”殿が無事昇天された”事を知り、厳しい表情から少しずつ安堵の表情へと変化して往生を遂げる様は、まさに松平さんの独壇場とも言える芸ですよね。権六勝家の穏やかな最期の顔を思い出してしまいました。

今回も松平さんの穏やかとも言える素晴らしい滑舌・セリフの抑揚にしびれたと共に、豊かな感情表現にも改めて感銘を受ける事ができました。

『義経』を一年間のドラマ全体として眺めた時に、黛さんの演出回に特に疑問を呈せざるを得ない時もありましたが、今回の最終回を一話完結のドラマとして見た場合には、クオリティとしては高かったような気がします。でも個人的には「安宅の関」の完成度には及ばなかったかな(笑)?

ともあれタッキー、松平さんを始めとするキャストの皆さん本当に一年間楽しませていただいてありがとうございました!今ようやく心からの拍手を送ることができます。

“我ら三度(みたび)生まれ変わっても主従ぞ”

これ・・・
この大河に於いてもっとも説得力のあるセリフでした。それはタッキー、松平さんを始めとする俳優さん達が役者の垣根を越えて、人間としての絆を深め合っていたからこそだったんでしょう。一年間を通じて郎党達の出番は決して多くはありませんでしたが、”絆”のドラマとしては最終回、見事に完結していたと思います。

やはり義経・弁慶の主従物語は800年の時を超えてなお我々の胸を打つだけの力強さがありますよね。タッキー義経&松平弁慶のコンビは本当に良かったですよ。一年間ドラマを視聴して、あの持仏堂での最期の会話を聞いてそう思いました。松平さんが本来の迫力ある演技力を遺憾なく発揮してしまうと(相手は若いタッキーですし)主役を喰ってしまいかねないところなのに、ちゃんと”従”としての役柄をわきまえて、タッキー義経を支える事に徹していたのが、この二人を魅力ある主従にしていたような気がします。もちろんビジュアル的にもね(*^_^*)。

何だかんだこの大河についていろいろ言ってしまいましたが、この役を通じて松平さんはまた何か新たな発見・進歩をなさったような気がします。肉体的には相当お疲れになった事でしょうが、後で振り返ってみて、「この大河に出て良かった」・・と松平さん自身が思える事を信じています。





「義経主従座談会スペシャル」(平成17年12月16日)

「義経主従座談会」これはクランクアップの3日前、すなわち多分最終収録のリハーサルの後(?)に収録されたものと思われます(ついでに言うと、多分この後食事会があって、さらに二次会で松平さんの家になだれ込んだ(笑)?)。ですから最終回の実際の演出がどうなったかが皆さんご存じない状態で座談会に臨まれたのでしょう。衣川の戦い出陣前の朝焼けの中で“我ら三度(みたび)生まれ変わっても主従ぞ”と主従が熱く誓い合うシーンについてのコメントは聞けましたが、最期のシーンについて言及が無かったのが唯一残念でした(^^;)。

松平さん以外は皆さん本当に素のままで演技されている・・普段の性格がそのまま役にも反映されているという感じでしたね(^o^)。特にナンチャンと伊藤くん。伊藤くんは主従のいじられキャラで、本当に可愛いかったです(笑)。松平さんは・・・あの剛直・喜怒哀楽の情感激しい弁慶役とは裏腹に、本当に風体がお殿様然としていて・・・だからと言ってもちろん威張っているというのではなく、おっとりゆったりとした雰囲気が場を支配しているという感じでした。しかしカメラを前にしても本当にマイペースで杯を何度も何度も口にされていましたねぇ〜(^^;)。番組半ばくらいからはほろ酔い加減で目がとろ〜んとなっているのが印象的でした。

松坂慶子さんや中井貴一さんが特別ゲストとして、平家の女性像、兄・頼朝と弟の関係について熱く語っていらしたのは予想できましたが、松平さんがこのお二方と座を共にされるかどうか(特に中井貴一さん)気になっていただけに・・・座を外されたのはやはり残念でした(-_-)。まあお二人の因縁(大河『武田信玄』の主役騒動)を考えると無理からぬ事なんですが。松坂さんとは『草燃える』でも共演なさったのだし・・・側でニコニコ話を聞いているだけもいいので座を共にしていただきたかったのですが。やはりバランスを考えると無理でしたか。

とは言え、座談会自体は松平さんに随分気を遣った構成のように感じられました。クレジットの“トメ”を始めとして、冒頭から“松平健との出会い”について主従全員に語らせるし−結局は皆さん、今も松平さんの事は“大先輩”として一距離置いている、当たり前の事なのかもしれませんが−、挿入映像でも、「松平さんには滝沢さんの不安が見えていた」「常にその側には松平さんの姿があった」と松平さんがタッキーの支えとなっていた事を全面的にアピールしていました。松平さんは口に出してそれを言われる方では決してないので、映像解説で補完したというところですね。

最も印象的だったのは、次に演じてみたい役を聞かれて、杯を口にされながらぼそっと「清盛・・・」とお答えになったところでしょうか?そもそも2005年の大河出演の話を聞いた時、いの一番に私が予想した役が“清盛”か“弁慶”でしたから、このお答えは容易に想像できました(笑)。松平さん自身も過去に、清盛は舞台と映像で演じていらっしゃいますが、どちらも栄光のまっただ中で話が終わってしまいましたから、今度演じる時こそ「天下を獲って滅びていく、“滅びの美学”」を体現なさって欲しいです。そういえば・・・お若い頃、舞台のインタビューで「僕は天下を獲る役が好きなんです!」なんて発言もありましたっけ(^^;)。俳優としての年輪を重ねた今は、むしろその後の転落の人生を“美しく”演じる事に魅力を感じておられるようですね。柴田勝家しかり、弁慶しかり。

そもそもこの大河では、終盤に近づくにつれて、弁慶役としての意気込みが松平さんの口から聞ける事が少なくなってしまい、もっぱら主・タッキー義経の事を思う発言ばかりが相次いでいた(「タッキーの成長云々・・」)のにかなり不満を感じていたのですが、(映画の準備の忙しさは別として)これも松平さん自身が役の上だけでなく役者の心情としても主役タッキーを支える境地に没頭していたからなのかな?と思う事にしました(^^;)。

だからこそ「次は清盛役を・・」とようやく主体的・前向きな発言が聞けた時は、何だかホッとした気持ちになりました。清盛役もいいですが(めちゃくちゃ似合うし)、機会あらば天下一の大天狗「後白河法皇」や大いなる北国の父「藤原秀衡」にも取り組んでいただければ嬉しいです。舞台でかつて演じた知盛や義仲もありましたし、もちろん北条義時も・・・松平さんには源平物が本当に良く似合う!

座談会でも松平さんはやはり松平さんでした・・・という事で、話し下手な方が多い(^^;)主従メンバーの中で役柄同様、盛り上げ役に徹してくれたナンチャンに心から感謝!です。本当に皆様お疲れさました。来年発売されるという完全版DVD特典映像の中におそらく「主従座談会」も組み込まれる事でしょうが・・・その時は「総集編」後に挿入された話以外にも、是非未公開映像もふんだんに盛り込んで欲しいです!





『義経』総集編スペシャル(平成17年12月24日、25日)

第一部「義経誕生」、第二部「軍神降臨」、第三部「英雄伝説」

第三部にわたって放送された『義経』総集編SP。これはもうタイトル通り義経の生涯に的を絞った構成になっていました。ですから本編中途ではかなり印象薄目だった(>_<)一の家来“弁慶”や、生涯の恋人“静御前”が大いにクローズアップされて、総集編で本来の義経の魅力が凝縮された中身の濃い番組が出来上がったと思います。まあ総集編というよりは、“名場面集”と呼んだ方がいいのでしょうが。出番を大幅にカットされた方々には申し訳ありませんが、松平弁慶ファンとしては過去2回の大河総集編(『元禄繚乱』、『利家とまつ』)に比べたら100倍くらい満足度が違いました(*^_^*)。総集編DVDは来年3月に発売されますが、これは是非買うべきですね(笑)。

冒頭、弁慶が比叡山を追われるシーンから始まって、平家への恨みを晴らすための刀狩り・・・その延長として「五条の大橋」での義経との出会い。弁慶の愛すべき「いやだぁ〜」や「理不尽なり!」のセリフがまさか総集編で聞けるとは思いもよりませんでした。そして「五条の大橋」もほとんどカットされる事なく、これに限らず弁慶の印象深いシーンがほとんど網羅されていたのは、全くの嬉しい誤算でした(*^_^*)。

・ 奥州へ向かう山中で義経一行に助太刀するシーン「武蔵坊弁慶!御助成つかまつる!」
・ 河原での主従の誓いのシーン「不肖、武蔵坊弁慶!生涯お供つかまつる!」
・ 義朝最期の地・尾張での元服シーン「源の九郎・・義経・・さま」と弁慶が義経の元服名を最初に発する。
・ 「宇治川合戦」「一の谷合戦」「屋島の戦い」「壇ノ浦決戦」での弁慶の勇ましい戦いぶり、一の谷での太鼓隊を指揮する嬉しそうなお顔、巧みな乗馬シーン、櫓倒し、重衡生け捕り、壇ノ浦の平家滅亡後、主のやるせない気持ちを思いやる弁慶の表情(「弁慶走る」での原田芳雄さんとの腹芝居のカットはやむを得ないでしょう)
・ 腰越状をしたためる松平弁慶さまの達筆ぶり
・ 「堀川夜討」での弁慶さま脇差しでの超格好良かった大立ち回りがフルで!!!
・ 「安宅の関〜勧進帳」これは本編とはBGMが違っていたので、また違った感動が!
・ 衣川決戦を前にした主従最後の団らん
・ 持仏堂での義経との涙の別れ
・ 弁慶立ち往生(弁慶人形さんの登場はこの際もう許しちゃいましょう)

わずか3時間40分足らずの総集編で、これだけの名シーンを凝縮して詰め込んでいただいただけでも、(紅白落選こそしたものの(爆))来年の受信料を払うだけの価値があったと思わせるに十分な物でした(少々持ち上げすぎか?)。

実は驚いた事に、総集編を通しで拝見して、最も印象に残ったのは、「安宅の関」でも「持仏堂での別れ」のシーンでもありませんでした。主従最後の団らんで皆がこれまでの人生を振り返るシーン。鷲尾熊が「満ち足りた・・というのかな?」のセリフを受けて弁慶が発したセリフでした。「いや、まだある!殿と我らで新しき国を創るのじゃ!」この時の松平弁慶さまの表情が何とも言えず・・本当に何とも言えず満ち足りていて主従の絆これに極まれり!と思えるくらい極上の安楽の笑顔に見えたのです。そして同時に役者としての松平さんの大きさをも感じさせてくれたのです。黛さんの演出には多々文句を言ってしまいましたが、この回の演出ばかりは・・・特に役者さん(男優であっても(爆))の顔を美しく撮るカメラワークの秀逸さには・・・感謝をするばかりです(*^_^*)。

時間のバランスを考えれば、最終回分だけで15分近く割くというのは果たして良い編集だったのか?と客観的に考えれば思わない事もないのですが、ここはもう松平ファンに徹してただただ感謝の気持ちを表す事にします。おそらく総集編では“主従の絆”を全面に出して描こうとの決断があったからこそ・・・あのような「義経主従座談会」の企画があったのでしょうし、タッキー義経を支えたのは紛れもなく郎党達であった事の証左なのでしょう・・・総集編の編集は。

タッキーを始めとする義経主従の方々・・・忘年会はどこかでやっているのでしょうかね(笑)?とにかく一年間、どっぷりと『義経』の世界に浸らせていただきました。喜びも悲しみも義経主従と共有できた一年間、本当に楽しかったです。スタッフ・キャストの皆様ありがとうございました。






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