• A−14. コメント(H.11.11.17)  第二電力構想について   NEWEST

    【1】. この構想が生まれた原点は、説明すると次の通りです。

    @.新エネルギー(特に風力発電)電源の受入に対する電力会社の反応(一部の拒絶的反応)が、海外に比べ異常である。

    A・ 風力エネルギーの間欠性の電力と、その影響に対し、電力会社が言う高品質(周波数・電圧変動幅が少ない)を保つ必要性も理解できますし、かつ、品質基準を守る必 要があることも、理解できる。

    B・ しかし、高品質を保つ必要性、対応機器の役割等を考え、かつ、従来の系統と切 り離し、独立した系統の場合について考えると、低品質であっても安価であり、環境 への貢献意識を大切にする需要者にとっては受入られることもあろうと考えるに至っ た。すなわち、制御系の機器には高品位の電力を、動力系・照明系の一部には低品質の電力であっても可能であろうと。さらに、これによる電力機器産業へ新たな需要を 招くことが出来るのではないかと。

    C・ また、農業における必要電力、海外の無電化農村の電化等を考えるとき、大送電系統の時代から分散化の小系統への移行と、その必要性を品質・価格・活用・建設等の項目から検討する必要性があろうと、考える。

    D・ なお、電力品質に関する研究論文は、電力会社サイドのもので、需要者サイドのものは無いようである。

     すなわち、従来は、供給サイドの価値観、事情による品質の基準であったが、今後は多様化する、消費者のニーズに配慮する必要があるのではないかと。

    【2】.  以上は、風力エネルギーの活用から、端を発した構想でありましたが、我が国の分散化系統第二電力会社にとっては、マイクロ水力による電力供給が最も優れているように思われる。すなわち、

    @・河川は、いたる所に存在する 。


    A・ポンプ逆転水車(既製品のポンプを水車に使用する)の採用による安価な建設(ガイドベーン が無い、ダミーロードの採用)

    B・大電力系統を目指した包蔵水力量よりもマイクロ水力は、理論包蔵水力量まで近づける。

    C・風力発電機器産業の大部分は、ヨーロッパ勢であるのに対し、水力機器産業は、 日本である。

    【3】.  一方、分散化の構想をすて、低品質の大系統を打ち立てる構想もあろう。すなわ ち、必要とする制御機器のみをコントロールする個別の機器を導入することで対応する構想である。私は、発展途上国滞在中、頻繁な停電・電圧変動に対しても、コ ンデンサーを取り付けることと、バッテリー内蔵のパソコンを使用することで、さほど、困らずに作業をしていた。案外、これも選択案の一つかもしれないと。


     以上の構想が、成り立つものか、検討してみたいものです。残念ながら、筆者は電気技師ではなく、土木屋であるため構想倒れかもしれませんので皆様のお知恵を措かし下さい。以上



    • A. 筆者所見 (H.11.11.17)    NEWEST

       筆者も土木屋だから、このコメントについて的確な所見を述べる立場にないが、電力自由化を突き詰めて行くと第二電電があるように第二電力があっても可笑しくない。私はそこまでは気が付かなかったが、コメンテーターが求めている知恵は専門の方々に是非お願いするとして、別の角度からこの電力第二会社の構想を妄想してみたい。

       そこでいわゆる分散型と謂われる小水力などの自然エネルギーを中心とする系統、または大電源を纏めて運営する大系統が考えられる。前者を第1の妄想として第二電力そのT、後者を第2の妄想として第二電力そのUと仮称する。

      【目  次】

      【T】. 小水力など分散型エネルギーを対象とする第二電力そのT

       〈1〉小水力について日本の電力小史を見てみよう。
       〈2〉.Water Power誌は3年置きに小水力国際会議
       〈3〉.日本の包蔵水力は1341億KWHか。
       〈4〉.所見

      【2】. 脱原子力電力会社(第二電力そのU)

       〈1〉.原子力の動き
       〈2〉.原発の世界各国の世論
       〈3〉.天然ガスの動き
       〈4〉.所見 

      【3】.仮説2題(閑話休題)



      【T】. 小水力など分散型エネルギーを対象とする第二電力そのT

      〈1〉小水力について日本の電力小史を見てみよう。

       よく知られているように、日本では落差と降雨に恵まれて古くから分散型の小水力が発達したが、長距離大量輸送の送電線の成功により、奥地の大水力の開発が可能となり、一挙に水主火従の電力形態となり、その後大火力の拡大により、小水力が維持運転の都合により切り捨てられて行った。幾つかの事例を挙げてみよう。

      ● 例−その1.東京電力の場合は勿体ないとしてこれらを子会社の東京発電に移管して運転している。約10万KWと言う。伝え聞く所によると原価6円/Kwh位で親会社に売っているという。少し高い。

      ● 例−その2.最近四国電力の小水力について次のような報道があった。

      「共同通信ニュース速報  [1999-10-23]  足立HPのNews Flashより転載

       高知県東部を襲った八月の豪雨で土砂崩れのため水路の一部が破壊された四国電力(高松市)の水力発電所、吉良川発電所(高知県室戸市)の復旧作業が難航、送電再開に最低三年かかる見通しとなっている。                         
       同発電所が送電していた約百七十世帯には他の発電所から電力を供給しているため一般への影響はないが、電力需要が増加する中、新発電所の設置は難しく、四国電力は「発電効率が良く、時間が掛かっても再開したい」としている。              
       吉良川発電所は一九二二(大正一一)年に操業開始した最大出力二五六キロワットと四国最小の発電所。大正から昭和初期には、室戸市の大半の電力を賄っていた。以下略」

      ● 例−その3.上記の様にして生き残る小水力は祝福された業績を続けることが出来るが、電力会社の規模が大きくなり、電力系統も整備されてくると、経済至上主義に支配されて休廃止された小水力発電所も可成りあった。

      ● 例−その4. また日本の未点灯部落解消のために劣悪な自家用発需電施設を設置する地域があった。そしてこの中に自家用小水力やジーゼル等が可成りあったのである。これらの部落は政府関係者の努力によって、未点灯解消の悲願を達する事が出来たが、なお依然として劣悪な供給条件と高料金に苦しんでいた。一般の人達との料金格差等を無くすため、電力会社はれらの施設を総て一般供給に切り替えることに踏み切り、昭和48年に全国を通じて総てが完了した。この時に殆どの発電設備がが休廃止された。北海道地区の例では、小水力97地点4132KW(1地点当たり42.6KW)、内燃力は23地点3167KW(1地点当たり137.7KW)であつたと言う。

       この経緯は「日本における未点灯部落解消の一側面史」  電力土木誌 260号(1995−11)に詳しい。

      〈2〉.Water Power誌は3年置きに小水力国際会議を開催している。

       小水力は一般に次のように定義されるが

       マイクロ水力 100KW以下
       ミニ   水力 100〜2000KW
       スモール水力 2000〜10.000KW

       この国際会議ではマイクロ水力が多い。会議場は熱気にあふれ、ロンドンやワシントンなどの有名大学を卒業した様な若者がこの様なマイクロ水力についてムキになって議論しているのを見て、異様に感じたものである。その理由として

       @.未開の人々に電気を導入するという人道的或いは宗教的な使命感を彼らは持っているのではないか。
       A.彼らの母国は日本と違い可住面積が広いため、可成り広い範囲で人口が分散していて、分散型エネルギーを利用せざるを得ない状況になっていたのではないか。

       等と推察される。彼らはその母国の実績を途上国に適用しているのではないか。ポータブルのパソコンを携帯して現地に入り込み、数日かけて代替案を比較検討して最適開発地点、規模を定め、実施設計を決めてしまう。そして当該地域の配電経営・収支を検討し、事業計画を定めて実施に移すと言う素早さである。こんな小さな規模でもDemand Side Managementをやって、電力需要起こしも提案している。

       何よりも驚いたのは、彼らが現地調査でサイトに岩石があるかないかを第T番に重視したと言う。これは蛇篭が利用できるかどうかでコストが大きく違うと言うのだ。コンクリートなど奥地では大変高くつく。

       日本の技術協力にはこの問題に対して何よりも國の深い理解と熱意が不可欠だが、、日本国内の未点灯部落解消の為の自家用発需電施設運営が参考になる。しかし日本の失敗は安価で長持ちする施設の設計建設・施設運営の健全性の維持・技術及び技術者の持続などがうまくなかったのではないかと反省させられる。

       この経緯は「小水力国際会議に参加して」 電力土木誌 231号(1991−3)及び電力土木誌 244号(1993−3)に詳しい。

      〈3〉.日本の包蔵水力は1341億KWHか。

       最近「21世紀、日本のエネルギーは大丈夫か」 村主、犬飼、長沢共著(ダイヤモンド社-1999-3)という書籍を購入した。この本は大変真面目で正確な記述をしており好感が持てるが、東海村の臨界事故以前の著書なので、その後どのような所見をお持ちか関心がある。

       それはさておき、この書籍の中で水力に関する記事で今まで気が付かなかった記述があった。

      「....さて、水力発電の開発の将来像であるが、現在国内で確認されている発電可能な水力資源は7200億キロワット時。しかし、そのうち既開発のものと100キロワット以上で未開発の1400億キロワット時を除くと、その大部分は100キロワット以下の小規模な地点なのである。従ってコスト面から多くを期待する事は出来ないが、準国産クリーンエネルギーとして、中小水力発電施設の開発には今後も努力して行くべきであろう。......更に、地球環境への過剰負荷の観点から、開発途上国に対してクリーンエネルギーとしての水力発電を開発する国際協力も重要な役割である。」

       ここで言い直すと、7200(正確には7176)億キロワット時は理論包蔵水力である。それから包蔵水力1400(正確には1341)億キロワット時を差し引いたものが100キロワット以下の小規模水力だと表現している。即ち7200−1400=6800億キロワット時は分散型小水力として利用の可能性があるという指摘である。

       こういう考え方は気が付かなかった。理論包蔵水力は降った雨が蒸発も浸透もなく、山肌を洗いながら流れる分も効率100%でエネルギーになると言う理論上の数値であるから、物理的に利用不可能な分も含んでいる。包蔵水力と言うのは山肌に降った雨が沢に流れ込んで川となり、工学的に取水出来る状態で技術的・経済的に利用することの出来るエネルギーである。

       仮に理論包蔵水力の2/3が利用不能と仮定すると
        7200*1/3−1400=1000億Kwhがコメンテーターの言う所の利用対象になる。

       そこでもう一度、第五次包蔵水力の表に立ち返って見ると、1000キロワット未満の包蔵水力が787地点、出力421.822キロワット、電力量2.439.673千キロワツト時で、一地点当たり536キロワット、3.100千キロワット時である。即ち500キロワット以下の地点は余り含まれていないと見られる。

       これを分散型小水力として利用しようと謂う意志が出てくれば、工夫を重ねてエネルギー資源として将来に期待が持てると言うことになろう。即ち出来るだけ理論包蔵水力に近づくことが出来ると言うわけである。世界の包蔵水力もこういう観点で見直したらどうだろうか。

      〈4〉.所見

       @. こうしてみると、コメンテーターの謂う自然エネルギーはその運営のよろしきを得れば可成り将来に期待が持てると謂うことが出来よう。現在の電力会社はこの様な小水力や風力・太陽光などの新エネルギーに興味が無く、原子力一点張りだから、第二電力そのTの活躍分野と考えられる。但し問題は指摘されているように意志と意欲と熱意とそれから経済性の克服である。

       現在は中央に大電源を設け地方に配分する潮流が主だが、将来分散型電源が主力(?)になると電力は逆潮流になるだろうとと言う論者も現れてきている。

       A.電力の歴史を見ると、水力で紡績の事業をしていた企業が、水力の電力が川の流量変動で減少すると女工をレイオフしていた時代があった。大正末期のデモクラシー運動が高まると、女工の雇用を安定化するために火力を併用して電力供給の安定化を計るようになった。水・火併用の始まりであつた。この様な事例の他、常時電力を超える不定期な電力を大量に利用する化学工業が発達するという歴史もあった。これらは水力の出力変動に対処する当時の人達の知恵でもあった。

       発生した電力を丸ごと電力会社に購入してもらえる方式なら悩むことは無いが、電力自由化の下では、特に特定企業に直売するような場合は商品としての電力の質・コストが問題である。

       B.分散型エネルギーの第二電力の構想として、全く新しい会社を創設する考えもあろうが、手っ取り早い手段としては、公営電気事業または(株)電発等はどうか。

       公営電気は250地点、200万KW、100億KWHの既設の償却済みの水力を保有しており、電力自由化を期に再生させる必要がある。当然原価約2円/Kwh以下の筈だが約9円/Kwh位で電力会社に一括売電している。相当の内部留保が蓄積されている筈だから、コストの嵩む分散型電源の開発に回したらどうか。それが駄目なら公営電気を民営化してはどうか。もし事実に反するところがあればご教示願いたい。

       (株)電発は一般水力48地点320万Kw、100億Kwh、混合を含む揚水8地点440万Kwの他火力を保有している。一般水力は殆ど償却を終えているので2円/Kwh以下の筈だが火力等と併せて約9円/Kwh位で電力会社に一括売電している。水力の儲けは原子力の準備に回されているという。もし事実に反するところがあればご教示願いたい。



      【2】.脱原子力電力会社(第二電力そのU)

       私はこのHPのH.11.10.17に 
      B-16.A−2.(閑話休題−戦争論・原子力政策の転換)で現在の日本の原子力政策の転換を提案した。趣旨は次の通り。

       東海村の臨界事故で原子力妥協論者も含め総て自信を失った状況で、「問題なく原子力は危険な物質だ、だから原子力を利用すべきでない」とする欧米に吹きあれている逆風が遂に東海村の事故で日本でも実感するようになった。広島・長崎の原子爆弾は敵から投げつけられたものだ。東海村の事故はスリーマイル・チェルノブイリと全く同じ恐怖を自国民に抱かせた。これは原爆とは全く異質のものだ。即ち私の仮説だが、原子爆弾は戦争を無くせば被爆の心配はないが、原子力発電所は常時自国民の手で身近で運転しているのだ。

       この様な状況では益々強まるばかりで収まる見込みのない逆風を突いて原子力発電を強行してもうまく行くわけがない。この際、一時凍結して、その代替として天然ガス発電を採用する。天然ガスは埋蔵量は予期されている以上に存在し、炭酸ガス排出も少ない。その間原子力の安全性を現存する原子力発電の運営を含め、核燃料処理工場、放射性廃棄物の処理方針など徹底的に糾明し、具体的な対策を確立し、国民の全幅の信頼を回復した暁に、堂々と原子力発電の開発を再開する事にしてはどうか。それには十数年を必要としよう。

       それでは何故脱原発か、その代替えとして何故天然ガス発電かと言う世界の動きを説明をしなければならない。

      〈1〉.原子力の動き

       1.1950〜1960年代

       日本は世界で始めて原爆の被害を受けたから原子力アレルギーが強いと言われていたが、原子力の平和利用である原子力発電については寧ろ資源のない國としては期待するところが大きかった。

       私の仮説を繰り返し述べるが、原爆は敵が放り投げるもの、だから戦争が無くなればその怖れはなくなる。平和利用なら自分たちの責任でやれるから大丈夫だと言う心理があって、原子力の本来持つ恐ろしさまで理解が及ばかった。

       原子力予算の成立と言う推進勢力と第五福竜丸の「ビキニの死の灰」による原水爆禁止運動と言う反対勢力が平行した世論を形成するが、軍事利用を排除する非核三原則が原子力基本法に盛り込まれる一方、原子力委員会の設置、日本原子力研究所の設立、小型原子炉のの導入が次々と進められた。 電力会社もこの時代に続々原子力立地を進めていった。

       2.1970年代

       60年代終わり頃から水俣病や四日市喘息などの公害問題が表面に出てきた。又資源有限というローマクラブの警告が世界を駆けめぐり始め、1969.7に人類が始めて月に到着したアポロ計画の技術に対する自信と誇りに水を掛ける。

       原子力も放射性廃棄物の処理などの不確定な問題から公害問題の一部と見られる一方で、資源有限を克服する担い手としての原子力への期待と入り交じることになる。

       伊方原子力の建設中止訴訟(1973.8)が原子力反対の具体的抗議の最初であり、そのごこの種訴訟が16件以上に及んでいる。その間に原子力船「むつ」の放射能漏洩事件が起きている。

       この年代で非常に大きな問題として、プルトニウム利用のため「核燃料リサイクル」を目指した「再処理」を巡って日米間で大論戦があった。これは原子力の放射線による環境汚染と言う問題の他に、核兵器利用という国際的な核拡散問題を抱えていることが知らされたのである。

       この様に原子力の2っの問題に対し、非核三原則と安全性の議論に明け暮れていた70年代最後にTMI原発の炉心溶融事故(1979.3)が起きたのである。しかしそれでも国民の意識は当時のアンケートによると、矢張り危ないのかと言う事で反対の比率は高まったものの原発推進の比率は反対より高かった。これは2度渡る石油ショックと資源枯渇説の影響だろうか。

       3.1980年代

       80年代に入って敦賀原発放射能漏れ事故が発生した。事故そのものは大したことでは無かったが、その最初の発見者が福井県であった事と、日本原電の事故隠しが国民の不信・不安を増幅し、問題を大きくした。

        この様な事故隠しは安全論争に対し推進論者に不利な資料は出したくないと言う気持ちから、度重なるのだが、チェルノブイリ原発爆発事故(1986.4)はその詳細が判るにつれ、世界的に原子力を中止する国々が現れた。日本国民にも「もしかしたら原発は人間の手におえなくなるかも知れない」と言う考えを抱かせた。

       4.1990年代

       石油ショックも落ち着いて油価も低位安定で推移し、危機感は薄らいでいるが、地球環境問題が高まる。原子力は動燃の度重なる事故隠し(もんじゅ、ふげんの事故など)で、夢の原子炉である高速増殖炉の開発は暫く凍結され見通しが立たなくなり、遂に動燃は解体され、新機構で発足するという有様で世論の支持は今ひとつと言うところ。

       一方、地球環境問題で、原発推進派と慎重派が国際的な場で激しい応酬が繰り返される。 脱原発政策を掲げるスウェーデンを始とするクループの意見が優勢である。

       1997.12の地球温暖化防止京都会議では、日本は原子力発電の有用性を結論に反映させるべく努力したが、大多数の参加国は同調せず、結論には原子力の事は一切言及されなかった。

       1998.10の世界エネルギー会議でも、日本は原子力の議事か全くないのを不服として訴え続け、漸く結論に1行付け加えられたと言う。現地のEurope Energy( No.521, 10/2, 1998)紙によると「...また京都会議で決定したCO2削減については、「クリーン技術」と再生可能エネルギーへの投資を通じて実現すべきとしている。また原子力についても、そのクリーンさと競争力で十分代替エネルギー候補となり得るとしている。 ....」と1行追加されている。

       1999.10には東海村の臨界事故は耳に新しく、この情報は一瞬のうちに世界を駆け抜けた。日本政府や電力会社が積み上げてきた原子力神話は一朝にして崩壊し、その信頼が地に落ちた。下図は朝日新聞社の定期的な原子力推進の賛否のアンケートであるが、東海村の臨界事故後のアンケートが出れば下記グラフにプロットしてみたい。


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    • 原子力の動き
      年  月       事                       件                    備         考
      1954.3 原子力調査研究費始めて成立
      1954.9 第五福竜丸被爆事件で船員が死亡
      1956 日本原子力産業会議設立
      1958 京大に原子核工学科、1960年に東大に原子力工学科設置
      1970.3 敦賀原発から大阪万博へ送電
      1972 ローマクラブ「成長の限界」を発表
      1973.10 第一次石油危機発生
      1973.8 伊方原子力建設中止訴訟
      1974.8 原子力船「むつ」の放射線漏れ
      1977.2 プルトニウム利用について米国と対立(再処理問題)
      1979.3 スリーマイルアイランド(TMI)原発暴発事故
      1980 第二次石油危機
      1981.3 敦賀原発放射能漏れ事故隠し事件
      1986.4 チェルノブイリ原発爆発事故
      1991 美浜原発2号機放射能を含んだ一次冷却水噴出事故
      1995.12 動燃・高速増殖原型炉「もんじゆ」ナトリウム漏れ事故隠し
      1997.4 動燃・新型転換炉「ふげん」重水もれ事故隠し
      1999.10 JCO臨界事故

    • 〈2〉.原発の世界各国の世論

       先ず、東海村の臨界事故前の資料から見よう
       
       @.「原発国民世論」柴田・友清共著ERC出版(1999.10.23)の各国事情から抜粋

       アメリカ: TMI事故以来後、新たな原発は一基も発注されていない。全米で八基が完成したのに操業前に廃止され、六十基が建設途中か、発注後に中止に追い込まれた。運転中の原発も廃止されたものがあった。例えばカリフォルニアのランチョセコ原発は運転トラブルが多く、住民投票(1988)による世界初の停止となった。又ニューヨーク州のショーラム原発は完成し(1985)試運転中にTMI事故の煽りを受けて商業運転に入る前に解体された。

       しかし1990年代後半で地球温暖化問題が叫ばれ、米国では100基の原発で1/5の電力を賄い温室効果ガスを排出しないことを知った上でアンケートを取ったところ、原発支持票が61%から75%に増えたという。

       オーストリア: オーストリアは世界最初の原発放棄国である。

       ツベンテンドルフ原発は1972年着工、1978年竣工したが反対運動が強く、TMIやチェルノブイリ事故前であったが、使用済み燃料の再処理や放射性廃棄物処理に見通しもなく、1978年11月5日に国民投票が行われ、反対50.46%と(投票率64.1%)過半数に達した。

       これは法的拘束力は無く、同年12月15日国民投票結果を重んじて国会で満場一致で原発禁止の法律を成立させた。 それでも政府は1000億円を投じた原発を温存し、エネルギー需要の要請から、運転再開を求める声に応じて、1980年原子力禁止法を廃止する件を国民会議に掛けたが、賛成を得られなかった。

        1985年のチェルノブイリ原発事故によって、オーストリアもかなりの農作物被害を受け、ツベンテンドルフ原発の解体が決定し、1999には原発の禁止が憲法に明記されることになった。

       スウェーデン: 1980年当時のスウェーデンの原発は運転中の6基と工事中の6基であった。反対運動か強く、国民投票を行った。その結果は、投票率74.3%で、既存原発は維持するが国営化して新設を行わない(39.3%)、既設と建設中だけは25年間稼働させる(18.7%)、10年以内に全廃(38.6%)であった。

       この国民投票を受けて、1980年6月議会は「原発は耐用年数を25年とし、2010年迄に段階的に廃止する」という議決を採択した。

       廃止時期を決められないまま経過していたが、1986年スウェーデンのフォールスマルク原発で放射能の異常観測値を発見し、追跡の結果震源地がソ連のチェルノプイリの大事故であることが世界で始めて判った。ソ連は隠蔽していたのである。
      議会は1988年6月には原発廃止タイムスケジュールを含む包括的エネルギー政策を可決した。

       ところが実際の代替の自然エネルギーや省エネルギーが進まず、又地球環境えの配慮から原発依存派が力を増してくる。1990年6月議会は「1995年に段階的廃止を開始すると言う計画の撤廃を織り込んだ新エネルギー計画」を決定。

       新たな廃止時期は、1997年6月の議会で「1998年7月1日までにベルセベック原発1号機、2001年迄に同2号機を閉鎖する」と言う政府提案を承認した。しかし同原発を所有する電力会社が補償金額に不満で裁判所に提訴、1998年これが認められたため、まだ閉鎖されていない。

       イタリー: チエルノブイリ事故前の1985年で既設原発は3基、建設中が2基、計画中が2と言う状態で、エネルギー自給率は2割にも満たなず、原発の積極的導入をと石炭の活用で石油依存率を44%に減らそうとしていた。

       チェルノブイリの事故で、原発反対運動が高まり、稼働中だった3基は「安全性が保証されるまで」と期限付きで停止させられた。国民投票が1987年7月に行われ、原発禁止に関し70%以上の賛成があり、政府は国内での原発建設は当分の間凍結すると発表し、引き続いて「原発モラトリアム法案」を国会に提出し、1987年12月可決された。

       「原発モラトリアム法案」と言うのは、既設の3基は安全を確認の上再開する、計画中の2基は計画を破棄、建設中の1基は中止、建設中の残りの1基は既設の古い原発廃止の代替えとする。つまり運転3基で凍結する。しかし実際は最古の原発は1987年に、残りの2基も1990年に閉鎖されたままになって居るので、イタリアの原発はゼロである。

       「原発モラトリアム法案」は5年の時限立法で1992年に切れているが、新たな原発建設の具体的な計画はない。

       ドイツ: この著者は「地球環境問題と原子力の危険性の問題という連立方程式を、ドイツの人達は<既存の原発は引き続きある期間は運転し、しかし新たには創らず、徐々に脱原発に向かう>と言う考えで解こうとしているようだ」と述べている。

       ドイツは20基の原発を所有しており、総発電容量では世界第四位で、国内電力消費量の1/3を占めている。1998年10月、脱原発の社民党と原発即時廃止の緑の党との連合政権で発足した。シュレーダー首相は、トイツ国内の原発からでる使用済み核燃料を再処理する事を禁止し、原発の新規建設を許可しない方針を明らかにしている。

       再処理禁止はプルトニウム利用を放棄することを意味する。ただし再処理禁止は2001年1月となっており、その実施時期については産業界の強い抵抗で棚上げになっているという。

       イギリス: 1956年世界で始めて商業用原発の運転を始めたイギリスだが、1997年保守党から労働党に政権が変わり、原発の申請を許可しないと言う方針を打ち出している。安全性への懸念もあるが、北海油田の成功による経済性によるところが大きい。

       A.「石油は何時無くなるか」小山茂樹時事通信社(1998.12.15)より抜粋

       しかしそれでも小山氏は次のように述べている。

       「....世界の主要国が既に国内の全電力の3〜4割以上原発が占めている事実は重要である。この傾向は発展途上国にも広がるであろう。韓国では既設12基、工事中6基、計画中2基と伝えられ、インドでは既設10基、工事中4基、計画中12基、又中国は既設3基、工事中3基、計画中9基と言われる。建設中だけ取り上げてみると、世界の54%が発展途上国となる」

       B.「21世紀日本のエネルギーは大丈夫か」村主・犬飼・長沢共著ダイヤモンド社(1999.3.4)

       この本の内容は極めて正確で公平な記述であり、原子力の最後の所に次のような記述がある。

       「....問題は私たちの暮らしの中における電力依存が更に高まった時に、原子力に頼らなければ、産業も生活も成り立たない状況が直ぐ其処まで来ていると言う事だろう。今後は、原子力発電所のさらなる安全性への徹底と、イメージ先行の不安の間にどれだけの折り合いを付けるかと言うところまで、問題は煮つまったと言える。」

       ただし、この書物は東海村の臨界事故の前に発行されたもので、事故後著者達がどのような評価を持ったか大変興味をもつものである

       次に東海村の臨界事故以降の論評について述べる。 

        C.1999年9月30日と翌日に開かれたIGUの環境委員会(WOC8) に出席した東京ガス環境部の桑原茂環境技術グループマネージャーは次のように語っている。(ガスエネルギー新聞10月20日)

       「IGUのメンバーは、先進工業国の日本の原子力関連施設で、チェルノブイリ級と報道されるほどの放射能が放出される事故が起きたことに驚きを隠さなかったという。

       フランスの約60基を筆頭に英国が35基、ドイツ21基など設置している国もあるが、増設の予定はない。スウェーデン、ドイツでは、使用年数の延長や更新中止が検討されており、イタリア、デンマークなどは設置さえしていないという。

        メンバーは日本の原発政策に興味を示した。同マネージャーは「エネルギー政策は温暖化対策のために20基の原発増設を予定、計画通りいけば、2010年には、現在の51基から71基となる」と報告。各国の代表は一様に、温暖化対策として原発増設を計画していることに驚いていたという。」

       D.独首相シュレーダーと語るシンポジウム(朝日H.11.11.10)より抜粋

       「司会者: 最近、東海村で臨界事故があった。ドイツでは核エネルギーから脱却する方針を決めているが、この事故はドイツの世論にどのような影響を与えたか。

       アンチェ・フォルマー独連邦副議長: 私の属する緑の党との連立協定で決められた<脱原発>は非常に難しい問題になっている。原子力産業の利益も絡んで話し合いも簡単でない。ただ核からのエネルギー転換は我々のコンセンサスだ。我々は別のエネルギーを使い、徹底的にエネルギーを節約する方針を取っている。環境技術の分野は経済的にも将来は大変有益になるだろう。

       シュレーダー: 私も賛成だ。東海村の事故は、我々の国民心理に影響を与えたものと思う。こうした事故は、目に見えない不安を生み出す。原子力エネルギー問題をイディオロギー論争にするのでなく、人間の不安を理解し、原子力から脱却出来る新しい形態を考えることが大切だ。

       この原子力から脱却するのにどれくらい時間が掛かるか。これは又経済的な問題でもある。ドイツでは原発を新たに建設しようと言う企業はない。安全基準が厳しくなっていることや、核のゴミの問題があるからだ。他の方が経済原則からして安上がりにのだ。より経済的で安全なエネルギー源を開発しなければならない。」  

       E.論座12月号朝日新聞社(1999.12.1)「原子力バブルは終わった、避けられない脱原発の道」桜井淳の「世界的には脱原子力の流れに」より抜粋

       如何に監視を強め信頼性を高めても、世界的に見れば、原子力の時代は終わったと言っても過言ではない。世界の全電力における原子力の割合は、1989年をピークに下降線をたどり始めている。86年のチェルノブイリ事故から3年後にその影響が出始めたのである。

       アメリカはTMI事故の79年以降、新規原発建設の認可をしていない。40年の設計寿命を20年伸ばすとしているが、2050年にはアメリカの原発はゼロになることは確実である。 

       イギリスは20年近く運転していたPFRと言う高速増殖炉の原型炉を経済的理由で廃止、フランスは130万KWの高速増殖炉実証炉スーパーフェニックスを廃止、ドイツは再処理工場の建設計画を白紙に戻すほか、SNR300と言う高速増殖原型炉を試運転直前に廃止し、設計寿命を迎えた原発は延長せずに止める方針を決めた。日本も国産動力炉ATR(新型転換炉)高速増殖原型炉(もんじゅ)は開発中止または停止となった。

       日本で現在原発の計画は2010年迄に20基増設を打ち出している。。しかし現在工事中は下北半島の東通、敦賀3号機、福島第一6、7号機くらいに過ぎない。

       原発に反対する住民運動を、かつては地域エゴとして批判する向きもあったが、國が緊急事態体制を敷いて避難勧告をする事故が起こってしまえば、もうそれも口に出せない。原発建設を認めるかどうかは、生きるか死ぬかの問題になったのである。
        

      〈3〉.天然ガスの動き 

      @. 通産省・資源エネルギー庁の河野(かわの)博文長官は21日、通産省資源記者 クラブと就任会見を行った。冒頭、河野長官は9月30日に東海村で起きた臨界事故に触れ、原因を速やかに究明するとともに、原子力防災法案の制定を含む新しい防災体制をできるだけ早く作り上げて、国民の信頼を回復したい、と述べた。

       しかし、「原子力政策を抜本的に見直し、原発の新設・増設を一時停止する考えはないか」という質問には、「引き続き地元の理解をお願いしながら進めていく」として、現時点で原発推進の方針を変える考えはないことを明らかにした。

       サハリンパイプラインについての質問に対しては、「最大の決め手は経済ベースに乗るかどうかだ。現在、経済性について検討が進められており、その動きを見守りたい」と述べるにとどまった。

       電力、ガス業界への外資参入の動きについては、「そういう動きがあるのは事実だが、どこまで広から。もう少し様子を見たい」とし、「外資による電力、ガス会社の買収も容認するのか質問は、「仮定の質問には答えられない」とかわした。

       最近の石油業界再編の動きに関しては、「日本の中に、厳しい国際競争に打ち勝つ力を持つ企業が出てくるプロセスとして歓迎する」と評価した。」

       この記者クラブは21日だから、私のHP(17日)の後である。記者団の質問は私と全く同じ提案であるのに驚いたが、長官の答は現時点では優等生の回答でこれ以上の期待は無理。水面下では懸命な検討をしていると思う。
       
                                     (ガスエネルギー新聞 H.11.10.27)

       A. ガスパイプラインについて

      アジアへの輸出強化

       ガスプロムは、アジア向けのパイプラインを重要な戦略と位置付けている。同社は98年11月、西シベリア‐クラスノヤルスク‐東シベリア・イルクーツク経由など三つのルートの中国向けパイプライン建設構想を発表した。

       日本へのパイプライン建設については、サハリン1プロジェクトの事業化調査(FS)が99年6月から実施されている。調査主体は、同4月に石油資源開発、丸紅、伊藤忠商事の共同出資によって設立された日本サハリンパイプライン調査企画会社である。同社は米エクソンと共同で、サハリン島南部のコルサコフから北海道稚内を経由した(1)新潟に達する日本海ルート(1300キロメートル)(2)北関東に至る太平洋ルート(1500キロメートル)‐の二つを対象に、40億円を投じて3年間の調査を行う。

       セキュリティー考慮を

        日本、韓国、台湾3カ国の98年の需要が97年比で60万t落ち込むなど、アジアのLNG市場は需給緩和の状態にある。また、供給国では多くの新規LNGプロジェクトが計画され、輸入国ではLNGの輸入基地整備も進められている。

       このような状況下では、東シベリア、極東、サハリンから中国、韓国、日本向けの天然ガス輸出パイプライン建設をめぐる環境が整っているとは言いがたい。

       このため、ロシアの天然ガスがアジア市場に受け入れられるには、需要の増加に加え、新規LNGプロジェクトなどに対して十分な価格競争力を備える必要がある。

       ロシア東部からアジア市場へのパイプライン供給が実現すれば、エネルギー源の多様化や環境問題への貢献などメリットは大きい。また、パイプラインでの輸入が進めば、天然ガス輸入形態の多様化にもなる。

        このようにアジア向けの輸出は、経済性を重要視しつつ、エネルギー・セキュリティーや環境問題といった観点からの検討が大切になる。今後は、十分な議論を行い、利害関係者を含め幅広い合意を形成していくことが必要になろう。」

                                      (ガスエネルギー新聞 H.11.10.27)               
        
      B.何故か米国通商代表部が日本に天然ガス供給網の確立を望んでいる。

      米の対日要求 天然ガス供給網の確立重視

       米通商代表部(USTR)が日本政府に提出した「規制撤廃要望書」では、まず日本のエネルギー分野について(1)2001年までに電気料金を国際的にそん色ない水準まで引き下げる(2)主要エネルギー供給における天然ガスの割合を上昇させる‐ことを日本政府が目標に設定したことを挙げた。

       この上で、目標達成を可能にする規制環境・競争環境を促進することを支持。エネルギーコストを引き下げ、経済成長を刺激するには開かれた競争的なエネルギー市場の確立が必要とし、規制撤廃を求めた。

       「(日本は)独占状態から競争的構造への移行により効率化、コスト削減に必要な革新的機器、サービスなどが呼び込める」とメリットを強調。競争状態への移行には(1)投資と市場参入を妨げる規制、障壁の撤廃(2)適切なインセンティブと統制の実行(3)規制と手続きの透明性の確保と適切かつ公正な規則‐の三つのステップが重要とした。

       これに基づき天然ガスについては、「日本における燃料として、その利用増加はクリーンエネルギーのコストを引き下げるために重要な役割を果たす」と位置付けた。そのためには「天然ガス供給網の確立が重要で、その整備のための法的・規制枠組みを創設すべきだ」と指摘。このことが、「活力ある天然ガス市場の構築を促進し、アジアの天然ガス産出地と日本をつなぐパイプライン建設に資する」とした。

       また都市ガス事業者の持つ天然ガスインフラへのアクセスについても、「新規参入者による非差別的な規制制度を確立すべきだ」と、競争市場の構築を要求。 競争市場では長距離パイプラインにも言及。建設促進が新規参入者のアクセスを促し競争を促進するとした上で、「日本は敷設権、収用権、透明性ある非差別的なプロジェクト認可権などを含め、長距離パイプラインの建設と運営を規定する競争促進的な枠組みを構築すべきだ」としている。

                                        (ガスエネルギー新聞 H.11.10.27)

      「注」 私のHPの平田論文D−4によるとEU(欧州連合)では幹線ガスパイプラインは80万Km、北米のNFTAでも44万Kmに及んでいるのにアジアはゼロに等しい。平田教授によれば中国はロシアからシベリアの天然ガスの商談が進んでおり、日本にも参加を申し入れている。サハリン沖からもガスが来れば日本列島は南北を縦貫するパイプライン(管径1m)が必要になることは自明であるとしている。

                                    

      C.「昨年の第7回世界エネルギー会議.「Europe Energy, No.521, 10/2, 1998」

      エネルギー政策  世界エネルギー会議、天然ガスに力点

       「...化石燃料の一次燃料に占める割合は、1995年が85.4%であったが、2020年には89%になると想定されている。

       化石燃料では、現在石油が39.9%、石炭が26.9%、天然ガスが23%となっている。2020年時点では石油が37%、天然ガスが27%、石炭が24.5%と想定され、その他再生可能エネルギーが8%、原子力が3%となる。

       そして21世紀で最もポピュラーなエネルギーは天然ガスで、3.3%/年の割合で増加していくと予想される。2020年時点ではまだ石油の下位にあるが、2050年になると石油以上に利用されるエネルギーになると予想される。天然ガスの長所は、まず埋蔵量が多いことで、今後70年は十分に供給できるものである。さらに低公害という大きな長所もある。」

       又上記会議に提出された論文「IIASA/WECレポート(世界のエネルギー)」には少し大げさだが次のように述べている。

      「....ロシアの排出権取引から得た莫大な収入の投資先として特に重要で可能性のある対象候補は、シベリア・カスピ海地域と中国、その他急速に発展するアジア諸国と結ぶ新しいガス輸送インフラストラクチャーである。これによってアジアにおける環境の浄化が促進されるであろう」
        
      〈4〉.所見

       @.一度決めたらなかなか変更しない巨大な公共事業が非難されているが、電力会社が反省することなくあくまで原子力を固執するなら、このままずるずる行って20基2000万KWの発電が遅れるようでは忽ち需給バランスは破れる。それでは國全体が困るので、第二電力会社を創設してガス発電や自然エネルギーの開発をさせ競争させる。

       A. サハリン沖で新しい天然ガスの開発を行い日本に売り込みが来ているが、日本は既に天然ガスについては外国と長期に購入契約を結んでおり、タンクも満杯であるとして断っている由である。これに取り組む姿勢をとる。

       B.天然ガスのことばかり出なく、輸送インフラストラクチャーの整備によって眠れる資源が生かされるのは山奥の水力についても同じだ。日本の電力史を見ても長距離送電の成功が奥地の大水力の開発を誘引し水主火従の形態が長く続いたことは耳新しい事ではない。

       西沢氏の論文は、私のHPのD−8に紹介してあるが、大陸の大需要地を直流送電のネットで結べば、発電所が何処にあろうと、このネットに結べば世界の各地に直ぐ利用される。送電線やガスパイプラインは世界の僻地に死蔵されているエネルギー資源を呼び起こすことが出来るのである。

       C.朝日の声の欄に、「東海村の臨界事故以来脱原発の政策が何時出てくるかと期待しているが、その気配がない。...子や孫の代まで安心して生命の存続が保証できるエネルギーの活用に国民の意識が変わらない限り、企業本意の原理だけでは政策は転換されず核兵器同様エネルギー恐怖の時代が続くだろう」と言う趣旨の投書があった。

       東海村の事故に対して、政府の高官や企業の責任者の弁明を聞いていると些かウンザリする。しかし私は凍結された高速増殖炉の開発に使われた2兆円は将来に役立つだろうし、今後の安全対策、新しい技術開発に必要な調査・研究費は惜しげもなく投入すべきと考えている。そうでは無ければ、子孫に何を残すことが出来るのか。

       D.欧州では社会保障ですら膨らむ医療費を減らす為に、市場原理を導入するという世の中だから、政府も電力会社もあくまで現時点で原子力優先を固執するなら、上記朝日の投書に応えるには、第二電力で対抗するより他に方法が無いのではないか。

       原子力に固執している現行の電力会社をそのままやらせて様子を見るが、一方第二電力を創設して大陸を舞台にしてガスパイプラインや直流送電で日本と結ぶエネルギー供給基地を確立する。これが第2の妄想(第二電力そのU)である。

       E.しかし前出の桜井淳氏は、「ガスタービン複合サイクルの技術が非常に進んで熱効率は52パーセントに達し、60パーセントも夢でなくなった。アメリカも将来のソフトエネルギーまでのつなぎとして、このエネルギー効率の高い火力発電を利用しようと言う考えがある。日本の経営者の中には、結果的にそうなると言う意識があるのではないか」と言うように読める書き方をしている。政府や電力会社は秘策を練っているに違いない。

       F.自由化・規制緩和は企業に自主保安をもたらした。しかし原子力に関しては全く逆行である。監督官庁は原子力推進と安全管理を兼ねて二重人格で、余りあてにならない。保安体制として警察が、市町村を含む地方自治体が、消防庁が、自衛隊が、農林水産省が、海上保安庁が、そして自治省・運輸省迄が手を突っ込んでくると言う状態になる。

       ある電力会社の社長が原発の事故処理の手違いについてについて、地元住民に土下座して謝ったことがあつたという。原発立地や用地の取得に不明朗なニュースが聞こえてくる。経営者としても、原子力技術者としても嫌気がさしているのではないか。

       これは日本だけではないだろう。「原子力は危険だ、だから利用すべきではない」と言う反対の嵐の中で、為政者の多くは脱原発を掲げて進出している。クリントンもそれまでのエネルギー政策を180度変え「原発不拡大とソフトエネルギー開発」を打ち出し人気を盛り返し、大統領選で勝った要因の一つであった(前記桜井淳氏論文)と言う。しかしこれと言った確固たる代案はない。

      【3】.仮説2題(閑話休題)

        私は最近次のような仮説を設定した。そして日本をアジア大陸の一員としてエネルギー問題を検討したい。 

       仮説第一: 日本の電力の歴史を見ても、長距離送電の成功が、一挙に奥地の大規模水力の開発を誘引し水主火従となった。送電線が、世界の莫大な未利用エネルギーを呼び覚ますのである!パイプラインも同じ。来世紀のエネルギー問題は「輸送インフラストラクチャーの整備」抜きでは考えられない。

       仮説第二: 14兆Kwhと言う世界の包蔵水力は、石炭70億d/年に相当し、次のニレニアム期を考えれば、7兆dの石炭鉱山を人為的に創ったことに当たる。この白炭鉱山(水力鉱山)は年間生産70億d(石炭相当)と言う制約はあるが、掘っても掘っても廃坑にならない打ち出の小槌だ。

       最大のエネルギー包蔵量を誇る世界の石炭はたつた確認可採埋蔵量で1兆dで年生産量47.5億トンだから219年持つと言われ、究極埋蔵量は9.9兆dです。しかも石炭はCO2を排出するばかりでなく、掘ればどんどん無くなる。日本の例で言えば数十以上もあった石炭鉱山は総て廃坑となってしまった。如何に世界の包蔵水力が素晴らしいものであるか判るでしょう。

       人類は化石燃料など資源を大量消費しているが、「人類は又一方で水力と言うエネルギー資源を創造して永久に子孫に残す事が出来る」のである。

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