- A−17. コメント(H.12.5.7) 化石燃料枯渇対策
最近、理解し難い話題が2っあります。どのように対応すべきかご意見をお聞きしたいと思ってコメントしました。
その1は地球温暖化は世界中の海底を流れる深海流の影響によると言う。あたかも大気中のCO2の増加が原因でないような言い方です。
その2は海底には広範囲にわたって、無尽蔵のメタンハイドレードの存在が確認されつつあると言う。あたかも化石燃料枯渇の心配は無いような言い方です。
コンピューターの2000年問題がありました。Y2Kです。1980年代に気にしだしたが、問題を先送りしてしまったと言う。金融問題も土地値上がりと垂れ流し融資の悪循環で、何時までも上がり続ける筈もない土地神話に粉飾決算を繰り返して問題を先送りし、破綻を来たし、公的資金が投入されています。
このままでは、炭酸ガスの増加ははっきりしています。化石燃料もいつかは枯渇する事が明らかです。しかし政治家も財界も評論家もマスコミも技術者も一部を除いて必ずしも、問題の解決に態度や考え方や対策を明確にしておりません。問題の先送りをしているように思えて仕方ありません。
鈴木さんのHPには可成り危機感を訴えていますが、隔靴掻痒の感があります。貴HPの(H.12.1.24)付けのA−16の(その2)の所見は未完となっておりますが、見通しはどうですか。
- 筆者所見(H.12.5.7) 化石燃料枯渇対策3っの提案
コメント有り難う御座いました。私がHPを立ち上げたのは約3年前です。それから予想もしていなかった大変な事情の変化が5つあります。即ち、
1.1999年の9月末の東海村の臨界事故、三重県知事の芦浜原子力地点の中止表明以来日本の原子力政策が基本的に見直されることになった。
2.少子高齢化問題が年金・介護の面で現実の政策の面で白日の下にさらされた。
3.電力の自由化の進展
4.グローバル化を進めるIT革命の凄さ
5.生命科学の曙光
私の基本的スタンスは変わっていませんが、数多くのコメントを頂いて議論を重ねて行くにしたがつて、修復しなければならないところが可成り出てきました。これらについて以下解説してみたい。
目 次
【1】.世界のうねり
【2】.深層海流
【3】.メタンハイドレート
【4】.これからの課題(化石燃料枯渇対策3っの提案)
1. ファクター4に資本と技術を投入する
2.広域エネルギー輸送インフラの整備
3.化石燃料の代替えとして自然エネルギーとして水力と特にバイオマスエネルギーの推進
@.21世紀エネルギーの条件として5っを上げる。
A.上記5条件を満たすものは、バイオマスを燃料化する事で可能となる。
B.バイオマスは燃焼するとCO2を発生し、大気中のCO2を増加させるのではないか。
C.バイオマスは化石燃料に相当する生産量は可能か。又世界の人口に対する供給が可能か。
D.バイオマスはエネルギーコストは高価なものにならないか。
E.バイオマスは酸性雨等の心配は無いか。石油に代替出来る燃料か。
【1】.世界のうねり
或るマスコミの座談会で評論家が「今時、アメリカの若年層にはアメリカを世界の警察にし続けようなどと考えてる者はいない、だからこういう世代の若者が将来のアメリカのトツプリーダーになる時代には世界地図は全く違つて来るだろう」と言う趣旨の記事を読み、びっくりしたことがある。アメリカは時々都合が悪くなるとモンロー主義になる性癖がある。
過去の世紀で色々学習してきた人類が、性懲りもなく、次の新世記も同じような殺戮と資源の収奪を続けるのだろうか。そのように考えたくない。現にその兆候は欧州のEUに見られる。更に地域を超えてWTOの貿易の自由化、更には金融のグローバル化等大きなうねりの変化が予測される。
冷戦後、宗教や民族問題で地域紛争が多く見られるが、かつてのように大国の代理戦争に飛び火する事はない。又その仲介にも外交手法を用いる傾向がある。武力で調停する場合でも、白兵線ではなく、ミサイルによる遠隔操作で自分は被害の出ない方法が採られる。身方に死傷者の出る戦争は国民が認めず、嫌だと云うことだ。TMDの開発を目論む所以。
人口・食料・エネルギーの3っのキーワードについてみても、明らかに地域格差がある。戦争や植民地主義を認めない新しい世界秩序が求められることは明らかである。近時古典的な資本主義が復活しているが危険だ。スミスもマルクスもケインズも総てをアウフヘーベンする新しい経済学説が求められる。
日本の食料・エネルギーの需給の安全保障を考えてみよう。自給率は食料40%、エネルギー20%で大半が輸入である。言い換えれば、輸出国で不足勝ちになれば、たちどころに輸出を抑制して自国消費を優先する事になるだろう。だから日本国内だけで安全保障をいくら議論していても全く意味がない。即ち地球全体、グローバルな需給の安全保障を議論する必要があると云わざるを得ない。
とりあえず身近な問題として、ヨーロッパでEU、北アメリカでNAFTAがあるように、アジアでも地域ブロックを考えてはどうかと言う論調がある。EUには深い歴史の教訓と哲学がある。ローマ法王のパウロ二世がユダヤに謝罪するという歴史的事件もおこった。さて、日本を含むアジアの歴史の教訓と哲学は何か。
日本の縄文時代の後期には10万人前後の土着の民が居たらしい。弥生時代に朝鮮半島を経由して大量の大陸系の人が入り、帰化して大和王朝の組織固めに貢献し、多くの文化を根付かせた。その結果混血せずに北に流れたのがアイヌであり、南に行ったのが沖縄人となったと言う学説が有力であるが、勿論異説もある。この10万人が750年の奈良時代には650万人に増加している。如何に渡来人の数が多く混血によって縄文日本人は跡形も無くなったのではないかと思われる程だ。
それから大陸との接点は、大量の文化を移入すると共に、白村江の役、元寇の役、秀吉の朝鮮征伐、鎖国、日清・日露の戦争、韓国併合、第一次世界大戦で青島・シベリア出兵、、満州事変、日中戦争を経て第二次世界大戦で太平洋全域に兵を進め完敗する。
私は日清・日露の戦争、韓国併合において、日本は欧米にうまく操られたのでは無かったかと思い始めている。即ち、欧米はアジアの植民地化を狙っていたが、ロシアの南下政策に打つ手が無かった。それを日本にやらせたのでは無いか。そう言えば欧米は陰に陽に物心両面で、日本に武器や軍資金の調達に手を貸している。そのドサクサに紛れて、イギリスは印度を植民地化し、阿片戦争を仕掛けて中国から香港を奪う。アメリカはフィリピンを、フランスはベトナムを世界の批判を大して受けることなく、自分の物にしてしまったのである。
日本は悪のりして第二次世界大戦を戦い、英米に裏切られ惨敗した。私は此処で「第二次大戦後の日本占領をアメリカでもなくソ連でもなく、蒋介石の中国が俺が占領すると主張したらどう事になっただろうか」と云う仮説を立ててみたいと思い始めている。。
日本の著名な評論家には、日英同盟をしているときは日本はうまくいっているが、これをはずすとガタガタになる。韓国併合も韓国サイドの要請に沿っただけだ。南京大逆殺は無かった。等と言って居るので、私どももそうかナ等と思った時もあるが、どうもこの評論家の諸説はいただけない。
小林よしのりのゴーマニズムも判らん訳けではないが、もう少しお静かに願いたいと言うところだ。そうかと言ってやたらに自虐史観に傾くのも納得し難い。
(私の書生論ですが)
中国には華夷秩序という思想がある。中国は常に世界の中心であり、周囲の者は朝貢する事によって、冠位を授けられ、属国として位置付けられて来た。ラティモアは「中国」岩波新書で「中国が安定すればアジアは安定する。中国が不安定になればアジアは乱れる。中国とはそう言う國なのだ」と述べている。中国がしっかりして貰わなければ困るのである。
韓国出身のつかこうへい氏はNHKの取材に応じて「韓国にとって、中国は親であり、韓国は長男で、日本は次男である。長男である韓国として、次男からとやかく言われると面白くないと言う関係である」とズバリ明快に述べており、分かる気がしたことがある。
又ある外交評論家は「日本はアジアで技術・資本の面で実力があるが、アジアを引っ張って行く力量がない。中国はアジアを引っ張って行く力量があるが、技術・資本の面で実力がない」と云っている。核拡散防止条約(NPT)について、日本は世界の唯一の被爆国と自負していても、一言も口に出せない。アメリカの核の傘に入っていて矛盾するからだ。中国ならどうか。この様に考えると、シベリアを含む中央アジア以東のアジアブロックの形成を、中国と日本で役割分担して、纏めていく構想はどうだろうか。ロシアはヨーロッパかアジアかと言う論争があるそうである。
最近のアメリカの中国に対する焦りは露骨である。中国はまだ民主国家として成熟していないが、次世紀半ば以前には名実共に大国に成長する。アメリカはそれを恐れているのだが、その時日本はどちらにつくのか。アメリカにつけば日清・日露戦役と同じ構図になる。嫌な話だ。
【2】.深層海流
私のHPに対して、CO2に関する内容が乏しいという批判があった。当初アメリカは産業界の反対もあり、CO2問題は無視する傾向にあった。しかし世界中の多くの科学者によるCO2に関する膨大なデータの積み重ねに対して、対抗し得るだけのバックデータもなく世界の大勢に従はさるを得ない事情にあつた。
私のHPは日本エネルギー経済研究所のデータを利用させて貰っている。世界の一次エネルギー2100年で人口の抑制、省エネ、炭素税などを考慮した持続可能案で、CO2排出は99億d、温度上昇1.1度としている。この場合1990年に対し、原子力は1.32倍、水力は1.76倍と殆ど期待していない。図、3−2参照
この時の私の深層心理では、地球の生理は人間などで左右できるものではない。環境が安定して生物が生まれてからも地球は幾度かの氷河期を迎えている。現在の地球はたまたま間氷期にいるだけである。又地軸の傾きや太陽の黒点の変化も影響する。衛星の衝突や、火山の集中的な爆発も影響する。又こういう話も聞いていた。陸地はマグマの上にぶかぶか浮いている状態で、海の重量とバランスしている。暖かくなると南・北極の氷が解けて海水が上昇する。そうすると海が重くなって陸地がせり上がり、山並みが険しくなり、季節風が吹きまくり、地球が寒くなる。そうすると南・北極に氷が厚くなり海水位が下がる。今度は陸地が相対的に重くなり沈下する。山並みが緩やかになり、気候も温暖になる。こういう繰り返しだと言う。
もう一つの考えは、化石燃料が枯渇すればCO2は否応なしに減少する。従って、私の主張は化石燃料を燃やすのを止め、材料として使用すべきであると言うことであった。そのためには代替えエネルギーとして世界の水力を再認識する必要があるとしたのである。勿論水力だけでは供給を満たせる筈もないので、原子力やバイオマスエネルギーを考えている。CO2削減は本来の目的ではない。温暖化問題に便乗する積もりはない、と言うのが私の心境であつたのである。
しかし現在そんなかたくなに意地を張る積もりはない。大気中のCO2濃度は0.036%だが、3%で即死すると云う猛毒である。そんな猛毒を人工的に排出して、自然の循環を乱すことは許されないと云う気持ちになっている。しかし現在の世界の論調は化石燃料は枯渇するまで掘り尽くすと言う考えではないか。
深層海流の話はつい最近まで知らなかった。たまたま知る機会があつたので、これについて若干紹介しておこう。いずれも真面目な研究でこのまま看過出来ない問題である。
1.西沢潤一・上野共著「人類は80年で滅亡する−CO2地獄からの脱出」東洋経済新報社2000.3.17
2.NHK地球法廷・意見No.364 「 深海の温度上昇と気候変動」 艫居 泰郎2000.4.1
上図は西沢・上野共著から引用している。即ちグリーンランド西側のラブラドル海付近で、海水が沈み込んでいる事が判明した。この沈み込みは、氷が出来るときに偏析によって塩分等を吐き出して、氷の下の海水は塩分濃度が高くなり、更に海水が冷やされて密度が大きくなる事から起きる現象である。この量はアマゾン川の10本分の海水量を巾100キロメートル、秒速10センチメートルで深海に送り込む深層海流である。
これが地球の自転の影響を受けて西へ追いやられ、北米、南米大陸の東側に沿って南下し、南極のウェツデル海でも造られる同様の深層海流と合流し、これが2つに分かれて、一つはインド洋へ、他の一つは北太平洋へ向かい、そこで浮上する。これが図の黒い部分で示す。
摂氏2度の深層海流はそこで太陽エネルギーで暖められ、暖流化する。この流れは表層流となって、深層海流とは逆のコースをたどり、ラブラドル海での海水の沈み込みに引っ張られるようにして北上して、再びグリーンラントの方に流れて行く、と言う。この部分が白いカーブに示す。
このベルトコンベアーの1サイクルは約2000年と言う。現在考えられている仮説では、現在のような間氷期の温暖化期には、各地の氷河が解け、北大西洋の塩分濃度が薄まり、その結果、ベルトコンベアーが動かなくなって、両極は再び氷河期に戻ってしまうと言う。
この様に「温暖化が引き起こす寒冷化」はこれまで議論も、紹介も為されなかった。西沢氏は、現在の「温暖化対策は、この様な事を全く予測していない。森林を守り、CO2を減らす努力はけして間違った方策ではないが、現在の科学的知見ではまだ充分でない事を覚り、政府はあらゆる事態に対応可能な方策を打ち立てて行くべきである」と結んでいる。
地球法廷の艫居 泰郎氏も同様な解説ですが、「何れにしろ温暖化が起これば,後に何が起こるか全く分かませんから,考えられうる人為的な温暖化要因だけでも極 力排除していくべきだと私は考えます。皆様の中には,「まだ二酸化炭素などの温室効果ガスが地球温暖化を引き起こしている直接の要因とは断定できない.だから規制の必要もない」と仰有る方も居られると思います。しかし譬え話として,人が真っ暗闇の中を動くときは,何かにぶつかることが事前に断定できないからと言って,そ れまでやたらと動き回ったりしないものですよね.今日,その慎重さが社会にも必要であると私は考えます」と述べています。
地球は1万年前から「奇跡のバランス」で私たちへ穏やかな気候をもたらしている。大気中の大量の炭酸ガスも光合成によって、或いは石灰石に、或いは化石燃料に、或いは海底に閉じこめて大気中に炭酸ガス濃度を0.036jで薄める一方、酸素濃度を21%まで高めた。人類が地球が「奇跡のバランス」をたまたましている時に、自然の摂理に逆らって何かをするという事は、悪魔の戸を叩いているようなものだ。
何はともあれ、深層海流は新しい知見だ。今後の研究の成り行きを見逃すわけには行かない。
【3】.メタンハイドレート
メタンハイトレートは全く新しい問題で、新しいエネルギー資源として有望なのか、地球温暖化の新しい元凶となるのかサッパリ判らない。文献として
1.学士会会報(2000−U、No.827)「深海から誕生した日本列島」 平 朝彦
2.西沢・上野共著 前出
3.「ガスハイドレート資源化技術先導研究開発フォー ラム」(新エネルギー・産業技術総合開発機構=NEDO主催)
−ガスエネルギー新聞(H.12.4.5、4.12、4.19)
フロリダ半島沖に魔の三角海域と言うのがある。この海域で巨大タンカー、旅客機、軍用機、潜水艦など原因不明の行方不明事故が、20世紀になって100件以上もあり、又石油や天然ガスの2000メートル以上にも及ぶ海底掘削でも時々思いがけない大事故が発生する。いわゆるブロウアウトと言われる事故の犠牲になったオイル・リグ(半潜水式基地)は既に40基にのぼっていると言う。
最近の研究で、以上の魔海の事故やリグの崩壊原因は「メタンハイドレート」と言う余りよく知られていない物質が深く拘わっている事が明らかにされた。この「メタンハイドレート」は、メタンガスと水の化合物、即ち「水化物」と言う意味がある。シャーペツト状で低温・高圧のもとで安定だが、いずれかが破られると急速に崩壊する特徴がある。
19世紀には実験室で合成出来ることは知られていたが、天然で存在していることが判ったのは、シベリアの近年のパイプライン爆発事故からである。では「メタンハイドレート」はどうして出来たか。
海洋プレートの上に堆積した土砂が、プレート運動によって押しつけられ、陸地側に新しく付け加わって出来た地殻を「付加体」と呼ぶが、この付加体に取り込まれる堆積物には陸の植物や海洋プランクトンの作くった有機物が含まれている。有機物は堆積物の中で微生物によって分解され、二酸化炭素が造られる。この二酸化炭素はメタン生成菌によってメタンに変化する。付加体では、堆積物が圧縮されてその中に含まれる流体が海底に搾り出される。強制排出されたメタンは付加体の深部から海底へと上昇してくるが、途中で水と結びついてメタンハイドレートという氷状の物質を形成する。
ガスエネルギー新聞によると、NEDOは1999年9月に調査船「第5海工丸」を使い、四国沖で80回も水深2000‐4000mの深海底にヤリを打ち込み、65回のデータ取得した。 その結果、深海底の地層中を移動する水がメタンを運び、メタンハイドレート鉱床が形成されていることが明らかになった。メタンの生成場所は陸から運ばれた分厚い堆積層で、地層中の水によって海底近くのメタンハイドレート層まで運ばれ濃集するという。
ところで、メタンハイドレートは7っの海の大陸棚や北・南極とその周辺の永久凍土地帯にも広く分布し、世界で10兆dもあるという。これは現在の化石燃料の2倍に相当するという。日本近海でも100兆立方メートルあるとされ、日本の天然ガス使用量の1600年分に当たるとも云う。
以上のようにメタンハイドレートの生成の過程や存在の状態が徐々に明らかになりつつあるが、メタンハイドレートの含有層が地震や海底の地殻変動等に対して極めて不安定であり、メタンハイドレートの崩壊はメタンガスの大気への放出となり地球環境に「悪魔のサイクル」を形成すること、更に大水深石油探査の石油リグの防災防止などの面でメタンハイドレートの研究が進められると同時に、資源として利用する場合の掘削・採取技術の安全性の研究も進められている。実用化にはまだかなりの研究が必要と思われる。
メタンハイドレートについて、エネルギーの専門家である小山茂樹氏の「石油は何時なくなるか」に何らかの記述があるかと思い探し出して読んで見たところ、1998年の新しい本ではあったが1行も無かった。しかし彼は「石油や天然ガスなどの在来型炭化水素資源が枯渇したあと、ヘビーオイル、タールサンド、オイルシェールなどの環境破壊型の資源に人類がさらに依存して行くと言うのではあまりにも知恵に欠けていると言うものであろう」と述べている所を見ると、たとえメタンハイドレートの知見を得ても同じ範疇に加えることであろうと思う。同感である。
【4】.これからの課題(化石燃料枯渇対策3っの提案)
最近超党派議員で「自然エネルギー促進法案」が議論され、又通産省の総合エネルギー調査会も原子力政策を見直した長期需要想定の検討を始めると言う。いよいよ政府も動き出したようだ。その動向を注目したい。
私はこれからの課題について次の3っの提案する。
1. ファクター4に資本と技術を投入する。
2.広域エネルギー輸送インフラの整備
3.化石燃料の代替えとして自然エネルギー特に水力とバイオマスエネルギーの推進
1. ファクター4に資本と技術を投入する。
「ファクター4」 ワイゼッカー著 省エネルギーセンター 1998.5.18
「地球持続の技術」 小宮山宏著 岩波新書 1999.12.20
資源の生産性を高めれば、生活の豊かさを増し、環境への負荷を減らせる事が出来ると言うコンセプトが両著の基調を為している。小宮山氏の著書を前に読んでいたので(A−16.こうすれば地球持続は可能である)、ワイゼッカー氏のファクター4には驚きは少なかった。
ワイゼッカー氏は資源の生産性がファクター4、つまり4倍に上昇するなら、今の豊かさを2倍にし、資源消費を半分にすることが出来る、と述べている。そして、エネルギー生産性4倍化の20の事例、物質生産性4倍化20の事例、輸送生産性4倍化の10の事例、計50の事例を上げて説明している。ビジネスチャンスは可成りありそう。効率革命が魅力的な技術革新のチャンスなのだ。こうした効率化が利益を生み、地球環境の危機を救うと言うのである。
20世紀までは、技術の進歩、資源の濫掘、資本の力で人類は豊かさを享受して来たが、一方では環境は悪化し、廃棄物に対する受容限度を超えつつある。それでいて尚かつ消費のトレンドは依然として上昇傾向を示している。このままで良いわけがない。
上記2著は具体的なケーススタディを例示しており、総てがうまく行くとは思えないが、政・官・財界でこれらの提案を取り上げ、又は参考にして新しいアイディアを創造して欲しい。常識を越えるものが無いとブレーク・スルー出来ない。今こそ人類が築き上げた技術と資本でこれらを求めて行かねばならない。そしてその成果を国内で実証すると共に世界に発信する。夢がある。
廃棄物の処理、リサイクル法が施行される。更に循環型社会を目指す議員立法も検討されている。これらのその成り行きに重大なる関心が持たれるが、まだ生ぬるい感が否めない。エコロジー的税制改革まで入らないと徹底したことが行われない。又エネルギー価格政策も強い影響力を持つ。国民の幅広い理解と政治家の勇気が望まれる。
2.広域エネルギー輸送インフラの整備
前にも度々述べたが、エネルギーの国内自給率が20%で極めて低く、世界的にエネルギーが不足になれば、輸入も途絶えるわけだから、日本の安全保障だけ考えても意味が無く、世界のエネルギー需給の安全保障を考える必要がある。このことは先ほどのアラビア石油の採掘権消失と言う屈辱的な事件に象徴的に表れている。外交的手法に劣るところがあった等という意見や、量的には大したことはないと負け惜しみの強がりの評価も見られたが、識者の中には将来の化石燃料枯渇の事態になったときのカタストロフィーを索漠とした気持ちで感じたに違いない。
矢島正之氏の「世界の電力ビックバン」にOECD各国の一次エネルギー自給率を示すグラフ(下記)があった。或る特定の燃料では輸入国だが、他の燃料では輸出国の國もある。100%を超す國は純輸出国を、下回る場合は純輸入国であることを意味する。自給率は一次エネルギーの総ての国内生産を合計したものを総供給量の合計で除したものである。
図によると、ノルウェー、オーストラリヤ、英国は純輸出国であり、オランダ、ニュージーランド、デンマーク、米国は純輸入国ではあるが80%前後の自給率を確保している。フィンランド、スウェーデン、ドイツは20〜30%程度の自給率を確保した上に、原子力により自給率を高めている。これに対し、フランス、スペイン、日本は10%程度の自給率に過ぎず、原子力でそれを高めるよう努力している。 (図が不鮮明です。黒が経済的な国内資源、灰色が原子力、白が高い国内炭を示す)
矢島氏は「エネルギー資源に恵まれない國ほど、燃料供給に関してより大きなリスクにさらされていると言える。そのため、このような國はエネルギー供給の確保に関し積極的な対応策をとる傾向がある」と述べている。出典及び内容不詳だが米国は将来のエネルギー確保のため、莫大な投資をしているという。怖ろしいことだ。

話は飛ぶが、我が国で最初に長距離送電が成功したのは明治32年(1899)の広水力発電所で、この成功により奥地の大水力の開発が促進された。現在9電力が地域を独占しているが、送電線は完璧に連携されており、広域運営が行われている。これにより、各社間の相互運営により、出水や需要のダイヴァーシイティを平均化し、事故リスクを分散することにより予備力の保有を減じ、設備を節減している。
中国は奥地、特に西部地区の大水力を重負荷地区の東部に輸送するため、思い切った送電網計画を進めている。又タイはラオスと、更にミャンマーと送電連携する計画が調印されたという。将来のメコン開発を含めた東南アジア地区の膨大な包蔵水力の総合送電網計画は重要なテーマとなるであろう。
西沢潤一博士(D−8)はアジアの主要電力消費都市を直流送電線でグリッドで結ぶ案を提唱している。日立の一針博士(A−6)は更にこれを北米・南米大陸まで伸ばし、電力を貿易財として扱うよう提案している。直流送電線の技術の進歩により1万キロメートルの送電が可能という。1万キロメートルと言うのは東京−ナイヤガラ滝の距離である。そうすればアジア・アメリカ大陸の水力他の自然エネルギーを有効に開発・輸送・消費出来るという。
ガスパイプラインも同じ考えがある。平田賢東大名誉教授(D−4)はEUでは80万km、NAFTAでは44万kmもガスパイプラインの実績があると言うのに、アジア地区ではゼロに等しいとして、シペリア・中央アジア・サハリンなどからのパイプランインの建設を提唱している。21世紀前半は天然ガスに頼らざるを得ない。これらの広域エネルギー輸送インフラはあとあと化石燃料枯渇後も以下に述べる自然エネルギーの開発によって利用される。
サハリンからの輸送パイプラインの調査はしているようだ。しかし日本企業は米国と共同の調査だという。だが何故米国と共同なのか。中国はシベリヤ・中央アジアからの輸送パイプラインについて日本に共同開発を打診していると聞いているが、その後の情報はない。またもや様子見の、先送りか。もう少し何か戦略があってもよいと思うが。
少し前、国際通貨基金のアジア版であるアジア通貨基金を日本が提案した事があったが、中国はアメリカと組んで反対し、とん挫した。これは中国が日本のアジアへの影響力の高まりを恐れたからである。それに対し、最近、ASEAN+3(日・中・韓)蔵相会議で、ASEAN・日中韓通貨スワップ協定の強化、拡大が、中国の賛成で合意に達したと言う報道があったのを見ると、中国も「皆の役に立つ」と言う己の立場を理解したのではないかと思う。閑話休題
化石燃料が枯渇すれば、日本はエネルギーで孤立する。それを避けるためには、外交手段と経済力を駆使して、アジア地区のエネルギー需給の安全保障の確立の為に、資金・技術の面で、あらゆる協力を惜しまず、広域的なエネルギー輸送インフラの整備に参画し、日本もその一環として位置ずける。
送電屋は電力技術の中で、最も政策的・経済的要素を持つ技術者であり、どのような意見をお持ちなのか伺いたい。
3.化石燃料の代替えとして自然エネルギーとして水力特にバイオマスエネルギーの推進
原子力については現在評価が非常に揺れているので此処では詳しくは論じないでおく。水力も可成り此のHPで論じているので此処では省略する。問題はバイオマスエネルギーである。特にバイオマスエネルギーについては当初のHPで問題提起しただけで、その後も情報が少なく、H.11.3.1その後の情報(D−15)バイオマスエネルギーについてを追加しているが、最も気に掛けていたテーマの一つであった。
「バイオマスが拓く21世紀エネルギー」坂井正康著 森北出版1999.8.31
最近上記の書籍を購入したが、多年の疑問の幾つかが解明され、大変貴重な文献だ。しかしこの本は130頁弱で、装丁も悪く、1800円では高すぎる。この様な啓蒙書はもっともっと安くて手触りの良いそしてつんどくでもいいやと思うくらいに軽く購入できるようにして欲しいものだ。そうすればもっと広く各層の人々に読まれるだろう。昔学生時代に岩波茂雄を大変誉めていた人が居た。彼は原稿料を高く支払い、良い装丁で極めて安く本を出版したため、大いに本が売れ、著書の多くが広く読まれ、名声を得ることが出来たという。閑話休題
繰り返しになるが、1990年と2100年時点での世界のエネルギー需給バランス図3.2’水力・原子力5倍案の諸係数を下記に示す。これが私のHPの案であるが、2100年で水力・原子力を約5倍にしても、新エネルギーも石炭も1990年の供給一次エネルギーのほぼ総量に等しい。
-
世界の一次エネルギー(百万TOE)
|
項 目
|
1990年
|
2100年
|
|
水力
|
543
|
2400
|
|
原子力
|
513
|
2400
|
|
新エネルギー
|
0
|
8576
|
|
石油
|
3146
|
0
|
|
天然ガス
|
1751
|
0
|
|
石炭
|
2323
|
6776
|
|
合計
|
8276
|
20152
|
これだけの新エネルギーを果たして太陽光や風力等で賄えるか。バイオマスも考えられると云うが可能性があるのか。これだけしても尚かつ石炭は1990年の2倍以上も必要とするのでは、世界中の人間の鼻の穴が真っ黒になるのではないか、と私はHPを書き終えた時に嘆息した覚えがある。
この時バイオマスエネルギー問題で勇気づけられたのは、フレイビンの著書「エネルギーの大潮流」であった。彼はバイオマスエネルギーを大量に使用する場合の問題はバイオマスの基盤になる土壌と水であり、これには2っの方法があるとして、「一つは農林業から生み出される残滓を利用するものであり、もう一つは新たに持続可能なエネルギー作物を育成する事である」と述べている。
更に「エネルギー生産用の特別の作物栽培が成功すれば、アフリカや南米の国々を、今日の中東の石油王国と似た規模で、液状バイオマス燃料の輸出国にすることが出来る」と云う驚くべき構想を述べている。
そこで当然穀物農地との競合が考えられるので、D−15でその間の事情を調べて報告したが、依然バイオマスエネルギーの化学的な筋書きがよく判らなかった所、今回坂井正康氏の著書に出会つたのである。
@.21世紀エネルギーの条件として5っを上げている。
イ.持続可能な恒久的エネルギーであること
ロ.地球環境を乱さないエネルギーであること
ハ.生産量は世界人口に対して石油換算1.5〜2.5Kl/人・年を供給出来ること
ニ.世界経済を破壊しないエネルギーコストであること
ホ.石油に代替できる液体燃料であること
A.上記5条件を満たすものは、バイオマスを燃料化する事で可能となるとして、次の方法を考案した。これをガス化・メタノール製造法と言う。
「雑草などのバイオマスを、水蒸気(H2O)と酸素(O2)の混合ガスによって部分燃焼させ、発生した合成ガス(H2、CO)
を原料にして、石油代替燃料となるメタノール(CH3OH)燃料を合成する」即ちバイオマス・メタノール燃料、これが21世紀エネルギーの回答である。
B.バイオマスは燃焼するとCO2を発生し、大気中のCO2を増加させるのではないか。又大量にこの燃料を生産して、地球上全体のバランスヲ崩さないか。
次図はメタノールの製造と燃焼による消費を、バイオマスのエネルギー循環に組み入れた説明図(坂井氏著書)である。

即ち大気から3CO2を、根から3H2Oを吸い上げ、光合成によりバイオマス(植物体)を作りだし、この時3O2が大気に放出される。このバイオマスにH2Oを加え、外部から熱(部分燃焼熱−極めて専門的、坂井氏の著書を読まれよ)を使うことによってメタノールが製造され、この時CO2が大気に放出される。このメタノールを燃焼して熱を取り出すときに、大気から3O2をとれ入れ、2CO2を放出し、4H2Oが雨となって太地に戻る。
即ち、CO2の循環を纏めると、大気から光合成で取り込んだ3っのCO2は、メタノール合成で1個、燃焼による熱利用で2個大気へ戻される。H2Oの循環は、光合成で使われた3個のH2Oとメタノールで使われた1個のH2Oは、燃焼によって4個のH2Oになって水に戻される。O2も燃焼に必要な3個のO2は、光合成の時に大気に放出した3O2とバランスしている。
坂井博士は「当然ではあるが、この様にバイオマスを原料としたメタノール燃料は、完全に自然界のバランスを採りながら循環している」と断言している。
C.バイオマスは化石燃料に相当する生産量は可能か。又世界の人口に対する供給が可能か。
バイオマス資源として、草本類(そうほんるい、雑草)と木本類(もくほんるい)か゜ある。坂井博士は草本類の方が成長が早く、微粉祭、空気輸送が手軽に出来るので、これを理想原料とするメタノール製造法を開発した。
博士の想定では草本類の一年間の成長は1haで、15g/m2・日とすると、年間55トンの生産が出来、これから20〜25トン(平均22.5トン)のメタノールを得る。これは石油換算12〜15トン(平均13.5トン)の燃料に相当するという。即ち
1ha→バイオマス55トン→メタノール22.5トン→石油換算13.5トン⇒約10トン
更に、機械的な耕作を想定した正味収穫エネルギーは85%と言う計算があり、安全を見ても1ha当たり石油換算で10トンを超えるエネルギーが得られる勘定となる。
私のHPでは世界の2100年で、水力・原子力5倍にしても、石油換算で新エネルギー85.76億トン、石炭67.76億トン合計153.52億トンを必要としている。仮に博士の想定するバイオマスで1haで10トンの石油換算エネルギーが生産されるものものとすると15.3億haの用地が必要となる。
D−15でバイオマスエネルギーについて別途の報告をしているが、それによると、食料確保のための穀物耕地の増強も必要なので、世界でバイオマス食物の為の用地に当てられるのは8.1億haしか考えられないとしている。半分だ。
坂井氏の論文でははっきりしない面があるが、バイオマスとしては、トウモロコシの茎、イネ、サトウキビの絞り滓、落ち葉、雑草の枯れ草、流木、間伐材など今まで厄介扱いの植物系廃棄物などもあり、これらは穀物耕地と重なる面もあるが、また当然このようなバイオマスは海洋に大量求めることができる筈だ。此のあたりを今後の研究に待ちたい。
坂井氏は更に、日本では休耕田が400万haあるから、4000万トンの、更に間伐材(林野面積2500万ha)や農産廃棄物を利用すれば2000万トンの石油換算エネルギーを生産出来るとしている。
D.バイオマスのエネルギーコストは高価なものにならないか。
坂井氏は新しいバイオマス・メタノール製造法によるメタノール燃料単価を試算している。これによると
乾燥バイオマス原料2トンより、メタノール1トンが製造できるとして、
設備減価償却費1万円/メタノール・トン
運転費 2000円/メタノール・トン
諸経費 8000円/メタノール・トン
牧草購入費 1〜2万円/バイオマス・トン
即ち製造原価は {2+(1〜2)*2}万円=4〜6万円 となる。これをガソリン・リットルに直すと62〜93円/ガソリン・リットルとなる。これを他の市販燃料価格の熱量10∧4Kcal(石油1.1リットル相当)当たりを比較してみると次の通り
都市ガス104円、軽油100円(内36円が税)、ガソリン125円(内67円が税)に対し、バイオマス・メタノールは約100円であり、可成り安く製造できる。
これを電力エネルギーで見ると、バイオマス・メタノールは他の火力と同じく、稼動率70%の火力発電方式で発電し、Kwh当たりの発電原価比較は次の通りである。
原子力9円/Kwh、LNG火力9円/Kwh、石炭火力10円/Kwh、石油火力11円/Kwhに対し、バイオマス・メタノール火力は23円/Kwhである。又風力発電36円/Kwh、太陽電池71〜105円/Kwhと較べれば充分対抗出来るものである。
E.バイオマスは酸性雨等の心配は無いか。石油に代替出来る燃料か。
メタノールの排気ガスは、公害物質を殆ど出さない。煤塵、硫黄酸化物は全く出さない。窒素酸化物は少なく、クリーン燃料とされる天然ガスより少ない。
石油の機能的燃料であるための条件として、可搬性、即時反応性、貯蔵性能が有るが、バイオマス・メタノールは総てこの条件を満たしている。
以上のメタノールに関する説明は殆ど坂井氏の著書によるものである。新しい知見を得るることが出来たが、なお素人的な疑問が残る。例えば、草本類は木本類より成長が早く1年単位で考えられるが、木本類は数年以上を要するので、必要用地や生産コストはどうなるのだろうか。これだけ用地を必要とすると穀物耕地との競合は問題とならないか。土壌の性能維持や、エネルギー作物の自然条件の適合性はどうか。公害物質は出さないと言うが、生態系の環境に影響はないか。メタノール生産工程に比較案があるのか。工場の安全操業に問題はないか。等々新規事業だけに、実証プラントのプロセスは必要ないか等色々知りたいことがある。一層の研究開発が望まれる。
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