• A−28.コメント (H.13.7.9) −Aさん  ダムを必要とする理由
     
    今ダムについて調べているのですが、よかったらダム建設についての賛成する意見と理由を聞かせてください。どうぞよろしくお願いします。

        
      • 筆者所見(H.13.7.19)  ダムを必要とする理由

         シンプルな疑問や質問こそ奥が深いものです。いろいろの角度から意見がありそうです。

        【目  次】

        【1】.人口増加と水需要の増加
        【2】.水力発電とダム
        【3】.洪水防御とダム
        【4】.ダムの高さの決定方法
        【5】.ダム開発の在来型思考
        【6】.途上国のダムは開発すべき

        【7】.開発と環境


        【1】.人口増加と水需要の増加

         人類は原始時代から自然から資源を利用させてもらいながら生活を向上させてきた。18世紀頃から科学を身につけ、20世紀にはその極限に来て、大量生産・消費・廃棄の弊害にようやく気が付いた。

         しかしそれでもさらに「豊かさ」を求めて自然の恩恵を求めつづける。ダムの開発はその中の一つとして、水資源の活用を狙った構造物なのです。人口がふえる。「豊かさ」を求めて、さらに水需要がふえる。

         河川の水は豊水期と渇水期があり、渇水期の水で需要を満たす間は良いが、不足すれば水争いがおこる。その解決の為に、ダムを造り豊水期の水を貯めて渇水期に放出する。(灌漑用水、上水道、工業用水など)

        【2】.水力発電とダム

         水力発電はクリーンで循環資源として古くから開発され、完成後も半永久的に稼動し、燃料もいらないのでコストが安く電力の安定供給に欠くべからざる地位を占めていた。

         ただし、年間で河水の流量の変動があるので電気出力も変動する。この変動を平準化するためにダムが必要になった。と言うことは、世界のエネルギーの豊富・低廉を期す為には、高ダムの建設が、安全で安価に出来る技術が求められた。このためにパリーにある世界動力協会は国際大ダム会議を設置し、世界のトップレベルのダム技術の集約を計った。

        【3】.洪水防御とダム

         大正の末期から昭和の始めにかけて、洪水を貯めて、下流の洪水防御をはかる構想が生まれ、上記利水と併せて多目的ダムを造ろうという機運が生まれて来た。しかしこれには基本的な矛盾を含んでいた。即ち利水は渇水期の補給のため常に水を貯めてかねばならないが、洪水調節の為には、洪水を待機するためね常にダムを空虚にして置かねばならない。まして洪水の山が続けて来た場合は防げない。

         日本のような地形では大貯水量を確保出来無いので、このような目的をかなえる高ダムの建設は難しいのではないかと言う議論がつねにある。即ち洪水対策としては、堤防かダムか溢水警報かと言う議論になる。。

        【4】.ダムの高さの決定方法

         ある水力技術者が某ゼネコンに入社し、社長から「ダムの高さはどうやって決めるのか」と言う質問をうけて、流石高名な学者社長だけの事はあると感心したと言う話しがある。この意味は地形・地質の物理的な安全技術の他に、水没事情、地域の政治・産業ばかりでなく、将来の水需要、発電の規模、経済性、ダム嵩上げの可能性等多くのシュミレーションを試算して決まるものである。現在脱ダムで問題になっている計画は、実はここまで検討しているとは思えない。

        【5】.ダム開発の在来型思考

         以上は在来型の思考で、私たちは不遜にも自然を征服する或いは支配或いは改造する等という教育をうけ、意気軒昂たるものがあったのである。確かに、スエズやパナマの運河、或いは巨大なダム貯水池などを見ると、人類の経済発展に著しい貢献をしていると感嘆する。しかし経済や政治の仕組みで、無駄と思われるような巨大投資が見られるようになった。その上自然破壊と言う批判の高まりがある。

         元アメリカ開拓局長官ピアード氏は国家予算が無いのに、局内には首を切れない技術者が沢山いて、やたらにダムを計画し予算を要求するので、窮余の策として退官するに当たって「脱ダム宣言」をしたという話である。

         問題は人口増加と、都市集中と、「豊かさ」の追求である。また世界には、飲み水や食料や電気の恩恵に浴していない人達が十数億人もいるという。しかし政治や技術でもって、人口を分散し、水の使用を合理化し、世界全体のこのような社会形態にならないように改革すればダムなど必要ない状態になるかも知れない。 例えば、「ダムの時代は終わった」と言うピアード氏は、これからは、水不足の世紀になる。しかしダムを造らないで解決すると宣言している。しかしこれが可能であると言う証明は無い。

        【6】.途上国のダムは開発すべき

         日本には、大ダムを設ける青写真はいくつか持っているが、シュミレーションして見て、現状では無理。特に日本の人口が100年先には半分になると言う事がほぼ確実と言われる情況では子孫のために残すべき新しい大ダムは限定的になると思う。

         ただし、海外は別で、例えば中国の三峡ダムは工事中だが、このように子孫の為になる着工計画の計画は目白押しである。水力で言うと日本を含む先進国はその国の包蔵水力の70%以上を開発している実績からして、世界の包蔵水力の80%の未開発水力(上記三峡ダムを含む)の大部分を保有する途上国は自国の包蔵水力の70〜80%を開発する義務があるとすら断じたい。

        【7】.開発と環境

         ダムで一番問題となるのは、環境問題と、費用対効果であろう。環境問題は反対論者から見れば、我慢を越えたものと思っているに違いないが、価値観の違いに付いてもつと時間をかけて話し合いをしたいものだ。開発と環境と対立したままでは将来の「豊かさ」は期待出来ない。

             
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  • A−29.コメント (H.12.7.4) Kさん   電力自由化は残存水力開発に関係あり

     水力発電について様々な角度から述べられてますが、もっと環境に負荷のない小水力発電について様々なことを知りたいので教えてください。

     
      • 筆者所見 (H.13.7.19)  電力自由化は残存水力開発に関係あり!

        【目 次】

        【1】.未開発包蔵水力
        【2】.日本の未開発水力の問題点
        【3】.自然エネルギーの包蔵量とコスト
        【4】.水力のコスト高を克服する妙手はあるか

         
        1.入札方式
         
        2.既設水力とのプール
        【5】.電力自由化と残存未開発水力との結びつき



        【1】.未開発包蔵水力

         世界の包蔵水力は14兆Kwh存在し、その量は現在世界で発電し利用している総量にほぼ匹敵するほど大きな量です。そして既開発は約18%に過ぎない。先進国は殆ど自国の包蔵水力の70〜80%を開発利用しており、従って残存の未開発水力は工事中の三峡ダムのように殆どか開発途上国に眠っている。化石燃料のように大気汚を染したり、枯渇する恐れのない水力資源がこのようにまだ世界に大量に未開発のまま忘れられていることを憂えて、何故忘れられているのかを徹底追及するのが私のHPの主眼なのです。

         世界の話はまた別途お話する事として、日本のケースはどうなっているのか話を進めましょう。日本の包蔵水力は明治末から5回にわたる政府の包蔵水力調査が行われております。必要とする電力の形態や技術の進歩に伴って開発形態が変わります。明治の第1次は渇水量基準、大正後期の第2次は平水量基準、昭和10年代の第3次はダムを考慮した豊水量基準、戦後早々の第4次は再開発も視野にいれ、大貯水池を考慮し、渇水補給とピーク対策を考慮した大水力、昭和50年代の第5次は小規模の流れ込み水力地点を網羅することを主眼としてまとめられている。

         第5次の時代は大規模ダムの適地も少なくなり、自然環境の問題もあり、化石燃料の代替えとしてKwhを稼ぐ意味合いで、小規模の流れ込み水力を目標にして、各河川の山奥までくまなく調査して纏めたのである。ところが、火力電源の原価が低下する一方で、山奥の小規模水力ではスケールメリットもなくいずれもコスト高で開発が進んでいない。多くの識者の意見では水力は推進すべき自然エネルギーだが、ダムは自然を破壊するから、小規模の流れ込み水力を数多くやればよいのではないかと、推奨しているのだが、コスト高でいかんともしがたいと言うのが実状である。

        【2】.日本の未開発水力の問題点

         ところで日本の包蔵水力は全部で1300億Kwh、うち既開発は約70%の900億Kwhである。即ち未開発は約400億Kwhで、これがどれ程の価値があのか、またコスト高を克服して開発するにはどうしたらよいかがこれからの課題である。

         日本の現在の総発電量は約9000億Kwh(1998年)であるから未開発水力400億Kwhはいかにも少なく、日本の電力供給を支配するものではない。他の自然エネルギーと比較してみよう。

         便宜上概数で言うとこの未開発水力400億Kwhは1000万KWの設備となる。一地点平均5000KWとすると2000地点となる。

         この400億Kwhを太陽光発電或いは風力発電と比較してみよう。

        太陽光発電 一家屋3.5KW 年間1300時間稼動として4550Kwh
                    即ち400億Kwh/4550Kwh=8790000戸(3080万KW)

        風力発電  一地点500KW 年間2100時間稼動として1050000Kwh
                    即ち400億Kwh/1050000=38000地点(1900万KW)

         このように比較してみると、年間の発電効率即ち出力の密度が希薄なだけ太陽光や風力の設備が大きくなる。ところで日本の太陽光や風力のこれからの開発目標は2100年までに、前者は500万KW(65億Kwh)後者は30万KW(6.3億Kwh)となっている。

         ちなみに太陽光発電や風力発電の設備は1998年現在で、前者は13.3万KW、後者は5.8万KWである。

         太陽光や風力発電はファツション性があり、新エネルギーとしては斬新で流行に乗っていて結構だが、数字的に見ると残存未開発水力も捨てたものでは無いことがわかる。残存水力もお忘れ無くと訴えざるを得ない。

        【3】.自然エネルギーの包蔵量とコスト

         なお、包蔵力で見ると太陽光発電は池内了氏説によると(私のエネルギー文春新書)、一戸建て住宅2600万戸、及び共同住宅、オフィス、学校、駅等の公共施設を考えると約3000億Kwh以上、また風力発電は陸上だけで2500万KW(525億Kwh−筆者注)が可能とが試算されるとしている。

         さて問題はコストである。いずれもコスト高に苦しんでいるが、太陽光や風力はまだ技術向上の過程でもあり、また量産によるコスト軽減が期待されている。例えば太陽光では1997年代ではKW当たり100万円だが、現行の家庭電灯料金並みの25円/KwhにするにはKW当たり30万円位にする必要があると言われる。また風力は現状では500KW一台で1.9億円だが100台出荷すれば5700万円程度になると試算され、KW当たりで11.4万円で発電原価で約6円/Kwh程度となり、電力会社へ売電可能のレベルに達する見込みであると言われている。

         ところが水力はKW当たり100万円以上が大部分だ。これでは発電原価25〜30円/Kwh以上になってしまう。電力会社は7円/Kwh以上は買わないと宣言してる。技術革新も限界に来ている。どうしたらコスト低減出来るか。大問題である。

        【4】.水力のコスト高を克服する妙手はあるか

         私は2っの提案をしてみたい。

        1.入札方式

         水力の建設費の7割が土木で3割が器機だと言われる。この入札方法に一工夫が考えられる。従来の慣行方法は例えば、小さい水力発電所でも工区を5っ位に分けて入札し、小さな工事に5っ位の土建会社が入り乱れて仕事をしている。

         ただでさえ、小さな工事にこれだけの会社が入り乱れていては、スケールメリットなどある訳がない。オーバーヘッドは5倍かかるし、工事事務所・仮設備・労働者の融通・資材の調達等々数倍の経費がかかるだろう。ある政府機関の研究に寄ると、一社で合理的に工事をすれば6割位で完成できると試算している。海外で国際入札すると日本の技術者の見積もりの6〜7割で落札されるのが普通だ。

         私はの提案は、水系或いは近傍の水系を含めて5〜6地点の中小水力(一地点平均5000KW)を一括したグループプロジェクトとして競争入札にかける。分割発注はしない。そうすれば、入札の結果は半分以下の金額になるであろう。また入札に成功した業者は、すべての段取りを最適・最効率に取り仕切り、最高の利益を確保出来るであろう。

         この話を責任のある当事者に話をして見た。次のような反論があった。

        @.地域の電力会社の社長は地元の土建会社や政治家から脅しをかけられるだろう。
        A.土建会社の仕事の割当てが激減する。

         水力は経済財だからコストが高ければやれないのである。公共事業ならば不特定多数にどうしても必要であるという理由があれば、費用便益を越えても、人命や将来のためにやることが許される場合がある。だから税金で賄われ、且つその財源は国会で承認されるのである。水力を進めるにはコストの面を克服しなければ一歩も進められないのである。

         5っもの地点を一社に纏めて発注すれば、仕事にあぶれる業者の不満が募ると言うが、2000カ所を5で割れば400セツトにもなる。第5次水力調査は水系ごとに、既設を黒色で新設の中小水力を赤色で表示しているのでそれを見ると、どの水系も真っ赤に見えるほど、中小の流れ込み水力が多い。九頭龍川の本流の一部を例として末尾に示す。

        2.既設水力とのプール

         既設の水力は発電原価がどんどん安くなってゆく。特に減価償却を終えた水力は燃料が不要だから、維持運転費だけ、しかも無人発電だからただ同然と言うのが、私のHPの原点である。

         従って、既設水力を保有する発電会社は高い新設水力をプールして電力会社に売ればよい。例えば既設水力の減価2円/Kwhとして、新設が13円/Kwhの場合発生電力の加重平均で売ればよい。発生電力が同量とすれば7.5円/Kwhとなる。今金利が安いからもつと安く試算できよう。

         ただし既設水力が2円/Kwhだとする私の論調に対して表立った反論はないが、維持費が結構かかると言う説と本社費を含んでいないのでは無いかとする意見がある。

         前者の意見については、私のHPの「超長期的に見た水力の経済特性」の3−cの図−4の解説にあるように、維持費を年率2%UPで計算すると、2100年以降は理論上新設分の原価より高くなると、疑問を呈している。後者に付いては、発電端原価ではあるが、本社費は各部門に振り分けてあるのが普通である。だから私のHPの新設分の原価計算には「一般管理費」として(修繕費+固定資産税+人件費+その他経費)の0.12%を標準としてカウントしている。チェックして欲しいとお願いしているが、誰もやってくれない。お待ちしています。

        【5】.電力自由化と残存未開発水力との結びつき

         上記既設水力を保有する発電会社というと、9電力会社の他に電発、自家発グループ、公営電気グループ、住友共同電気、水力会社(9電力の子会社)などがある。

         日本もいよいよ何とかしなければならない!と言うような時期を考えれば、いろいろなアイディアが出てきてしかるべきではないか。電力史上先人未踏の新しい電力時代を迎えるのだから、ダヴィンチが飛行機の飛ぶ絵を書いたように。

         このままの体制では残存水力の開発は出来ない!一つの提案として、例えば、9電力においてそれぞれ水力部門が独立して独立採算制度を取り、残存する水力を開発してプールする。電発は自社保有の各電源をプールして自由化に参入し、残存水力開発に取り込む。自家発グループや公営電気グループはそれぞれグループとして30万KW位の火力を建設し、自由化に参入し、且つ残存水力開発にも取り組むと言う構想はどうか。補助金などは不要だ。構造改革無くして残存水力の開発は出来ない!

         日本の電力自由化に参入を狙っているエンロンなどと言う会社の考え方は、日本の電力自由化の対象は30%即ち3000億Kwhで、しかも20〜25円/Kwhという「おいしい市場」だ。これを看過出来ないと言う事らしい。すでに自家発の買収や某県などに300万KWの天然ガス発電を計画しているとも聞く。

         少し話は脱線気味だが、流れ込みの中小水力開発の市場は約6〜7兆円と推定される。その開発の手段として、電力自由化を視野に入れた新機構を具体的な例として取り上げ、各位の猛省をうながしたいのである。英国病やイタリー病を克服した国々があるが、我々も「日本病」の闘病生活に耐えねばならない。

             
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        • COSF041.gif

            第5次水力調査  九頭龍川水系の一部(通産省)