• D-12. コメント(H.10.8.12)        NEW

      何らかの理由により、日本のエネルギーを100%水力発電のみで まかなわなければならなくなったとしましょう。 (石油の輸入が10年間ストップしたとか、想定はいくらでも可能) そのとき、水力発電所を維持するために必要となるエネルギー (たとえば、水力発電所のコンクリートをうちなおすとか、 古くなってきたパイプを新しくするとか、というような 作業のために必要となるエネルギー・・・ そう、パイプを作るためのエネルギーも含まれます=Y) そういったエネルギーをも水力により得られたエネルギー(X)でまかなえるか、という 事が心配なのです。
      収支で表現しますと、
     (X − Y) = プラス それとも マイナス?
     (X − Y) が十分だけのプラスでないと、 家庭の電灯がつきません、 風呂がわかせません、 工場の機械を動かすことができません。

    • A: 筆者所見(H.10.8.12)

        此の問題は、LCA(ライフサイクル分析=エネルギー収支比)と言うタイトルで、可成り以前から議論されておりまして、最近の資料と比較して若干の意見を述べる。
       1980年7月の「電力土木」誌によると       
    各発電方式のエネルギー収支比(単位100万Kcal/KW)
    項     目
    中小水力 石油火力 原子力
    設備投資エネルギー計(A) 7.33 2.30 2.03

    素材加工

    2.82 1.08 0.91

    機械製造

    0.35 0.56 0.32

    発電所建設

    2.10 0.41 0.50

    資材等輸送

    2.06 0.25 0.30
    運転投入エネルギー計(年間)(B) 0.11 17.41
    (2.39)
    2.02

    維持修繕

    0.11 0.07 0.08

    所内動力費

    − 0.65 1.04

    燃料製造

    − 1.67 0.91

    在来燃料( )内は0を示す

    − 15.02
    (0)
    −
    運転投入エネルギー計(耐用年数間)(C) 3.85 261.22
    (35.87)
    32.38
    総投入エネルギー合計(Q1)=(A)+(C) 11.18 263.52
    (38.17)
    34.41
    産出エネルギー年間
              耐用年数間(Q2)
    10.11
    353.85
    15.02
    225.30
    15.02
    240.32
    エネルギー収支比(Q2)/(Q1) 31.65 0.85
    (5.9)
    7.42
    備考    年間負荷率(%)
           耐用年数(年)
    48
    35
    70
    15
    70
    16

     端数が少し合わないが、出典は電力中央研究所(以下電中研)1977年(No.167007)となっています。即ち

    1.耐用年数間で、産出エネルギーは投入エネルギーに対し、水力は31.7倍、石油火力は0.85倍、原子力で7.4倍となっている。
    2.この場合運転投入エネルギーは上表のような内容になっている。
             
    此の表で判ることは
     
     @.ご質問の維持修繕の為の投入エネルギーを考慮していることです。そしてその量は略算してみますと、水力の場合年間産出エネルギーの約1%です。

     A.もう一つ重大なことは、石油火力で在来燃料を考えていることです。だからLCAは1以下です。在来燃料の項目を0にするとLCAは5.9となります。原子力で在来燃料を−とするのも意味が分かりかねる。水力の燃料は天からのもらい水ですから明らかに−です。この辺が昔から曖昧な資源論なのです。誰か天才が現れて明快な分析をして貰いたいと願っているのです。その上、耐用命数も稼動率も桁違いに異なる。水力は100年以上稼働している実績があり、ピーク発電を行っているので稼動率は低いのは当然であ、これがエネルギー収支比の値に影響する。。
     
     その後、同じ電中研の1995年(研究報告 Y-94009)で、発電システムについて発電から排気までの総てのプロセスを詳細に渡って見直しをしている。

    1.発電システムの燃料採掘から輸送・精製・発電・廃棄物処理に到る総てのプロセスの特性を明らかにする。
    2.各プロセスの建設と運用に必要な資材とエネルギー量を調べる。
    3.産業連関表或いは製品製造プロセスから資材のエネルギーを求める。
    等の検討を重ねた。

     そして、何故か「通常、投入エネルギーには発電用燃料を含めないため、産出エネルギーは投入エネルギーより大きい値となる」と定義し(?)、更に「発電技術がエネルギー生産プラントとして成立する条件はLCA>1である」としている。
     
     即ち、此の見直し結果を示すとつぎの通り



    各発電方式のエネルギー収支比(LCA)
    項目 水力 石油火力 原子力 太陽光 風力 地熱
    LCA  (産出/投入)      50 21 24 5〜9 6 31
    設備利用率 % 45 75 75 15 20 60
    耐用年数   年 30 30 30 30 30 30
    参考 *LCA
    1995年水力新世紀計画
    40.0 20.7 16.3 2.6 10.1 17.8

     尚表の最終欄に通産省の水力新世紀計画の付属資料を参考のため転記した。

      太陽光と風力のLCAが小さいのは、もともとエネルギー密度が小さい為で、その密度を高めたり集めたりするために大量のエネルギーを消費するのであるとしている。

     LCAの数字は設備利用率や耐用年数に直接影響する。上記LCAの値について、耐用年数は法定償却年数とし、設備利用率は水力は9電力の一般水力の平均値50.4%、石油火力は2000年の計画では32.2%となるが、石油・石炭・LNG発電の平均値41.5%を、原子力は2000年の計画の78%を使用して計算すると

                    水力      石油火力      原子力
    LCA             74       4.41       12.48
    設備利用率         50.4     41.5        78
    耐用年数           40       15          15 
     
     となってしまう。その上投入エネルギーに発電燃料(化石燃料)を含めないとしている。またエネルギー統計で水力と原子力及び地熱等の新エネルギーは一次エネルギーであると同時に即二次エネルギーと定義されている。核燃料も化石燃料と思うがどうしてこのように定義されているのかよく分からない。化石燃料を投入エネルギーに加算すれば火力・原子力のエネルギー収支は1以下となるのは明らかである。

     この研究報告の中で気になった事は、投入のエネルギーを計算する際に一次と二次のエネルギーかあるがこれをどちらかに揃えて表そうとしている。このように定義していながら、投入時の燃料(一次エネルギー)を考慮しない。原子力も同じである。自然エネルギーの最大の特徴である再生可能エネルギーを此の方式では正しく比較評価出来ない。

     投入化石燃料を多目的に利用すればアロケーションして多少LCAは良くなるが、エネルギー収支比の数字から見れば、やはり相対的には発電で燃やしてしまうよりは原料としてNoble Useする方が良いと言うことになるのではないか。

     ここ十数年間の供給確保に全力を尽くすと言う施策は当然だが、有限である化石燃料の大量消費に警告が発っせられながら、少しもひるまず石油が駄目なら天然ガスを天然ガスが駄目なら石炭をと際限もなく突き進んで行く様は、かつてのバブル時代の無謀な不動産投資を思い出させる。

     精緻を極めると言われる近代産業の電力に於いて、このような分析に色々な数字か出て来るのは如何かと思う。諸外国ではどのような検討が為されているのか是非知りたいものである。              
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  • D-13.コメント(H.10.9.7.)             NEWEST 

     D-12のAの鈴木さんの疑問については私も同様です。どうもエネルギーの生産と変換について概念がはっきりしていないように思います。水力も石油も視点を変えれば太陽エネルギーの変換とも考えられるのですが、蒸発・降水サイクルの変換と化石燃料経由に依る変換と同一視されているようです。

     LCAについては最近電研で、CO2について同様のことを分析していますが、その場合にも、耐用年数・稼働率については同じ様な考え方でした。

     どうも人間の欲望は、肉体的には拡大系を望むが、知的にはそれを否定するという自家撞着に陥っているのではないかとも思えてきます。マルクス主義者やある種の環境主義者と似ているように思います。

    • A: 筆者所見(H.10.9.7)          NEWEST  

       早速御賛同を頂き有り難う御座いました。

       D-12のA で書き落としましたが、おなじ電中研の資料で具体的な数字は示されていけれども「濃縮ウラン製造時の消費電力は極めて大きい」と述べている。またLNG火力もその天然ガスの採集と液化工程に大量のエネルギーを消費する。同じく石油火力でも石油の精製装置で消費するエネルギーがあり、これら燃料の製品化過程の消費エネルギーはエネルギー収支(LCA)の投入エネルギーに加えているが、燃やす燃料そのものが持つエルギーはエネルギー収支(LCA)には計上しないと定義づけているのである。これに疑問を感ずると言うのである。

       電中研の同資料には各発電所のCO2に関して報告されているので、ここに概略紹介する。同じ様な疑問を感ずる。

      日本のCO2排出量は70%が産業部門で、その中で電力が最大で全体の30%を占める。

       @.次にCO2排出原単位(g炭素/Kwh)を示す
                 設備等    燃料     合計
         原子力    5.7      0      5.7
         LNG火力  40     138    178
         石油火力  12     188     200   
         石炭火力  24     146     270
         水力     4.8      0      4.8
         地熱     6.3      0      6.3
         太陽光 16〜34.3    0   16〜34.3 
         風力     33.7     0      33.7
         平均                   128 (1992年度電源構成)

         注.1.この表はプラントの寿命を30年と仮定し、その間に発生するCO2量をその間の発生電力量で除したもの。
             2.エネルギー収支で計算した投入エネルギーの他に、発電時に燃料から直接排出されたCO2、天然ガス        採掘時に粗ガスに含まれるCO2及びメタン、セメント製造時の化学反応で発生するCO2を含む。

          この表では当然の事ながら発電時に燃料から直接排出されたCO2を含むが、エネルギー収支計算と差別する    理由がよくわからない。また寿命を一律30年と仮定しているが、水力が100年以上持つとすればCO2排出原単位は
          1/3以下となる。
       
       A.CO2抑制策
         
          LNGや石炭火力の発電効率を上げるための技術開発を進めているが、30%位い節減できると言う。原子力は濃縮ウ   ラン製造時の消費電力が大きいが、在来のワンスルー方式に対し遠心分離技術夜と10%以下になると言う。また太陽   光発電も技術開発により35〜50%減少すると言われるが詳細は省略する。

       B.発電システムの環境対策コスト

          発電システムのCO2の平均排出量は128g炭素/Kwhで有るから、原子力・自然エネルギーを多く導入すればCO2   を削減出来ることになる。
          各発電様式でCO2削減効果の経済性を検討するため、CO2を1トン節約するために要する費用(Y)を求める。

                      Y=増分費用/CO2削減費

                増分費用: 新設発電コスト−平均発電コスト (8.86円)#
                CO2削減費: 平均CO2原単位(468g−CO2/Kwh)##−新設発電所のCO2原単位
                  #   1990年度の発電費用6.4兆円を発電量7215億Kwhで割ったもの   
                  ## 1990年度電源構成で化石燃料から出るCO2と運用エネルギー分を加えて発電量で割ったもの
                       (燃料だけでは110.6g−C/Kwh=405.5−CO2/Kwh) 換算3.66C=CO2 

       次に発電所の建設費と発電コスト及びCO2を1トン節約するために要する費用(Y)を示す。

        発電の種類  建設費(万円/kw) 発電コスト(円/Kwh)   Y(万円/トン・CO2)      備考
          原子力     32             10.0          0.26  
          地熱       28             10.5           0.35             (  )内は将来
          水力       50             13.0           0.93
          風力      100(50)         87.8(44)       23(12)
          太陽光     200(80)         222(89)        52(18)              家庭用

       この表から見れば、コストが安く稼動率の良い原子力がCO2削減に圧倒的に有利で経済的である事が分かる。水力の数値は必ずしも低くないが、これはコスト高く稼動率が低いせいだが、長い稼働年数を考慮すれば1/3以下になる。風力や太陽光は同じくコスト高く稼動率が低いため高い数字を示し、将来の技術開発を期待して半分以下になるとしても大変厳しい。
        
       
       以上を総括して、各発電のエネルギー収支、CO2排出原単位、CO2削減費用の経済性を比較してこれからの望ましい電源のトータルシステムを展望しているので、大変興味があり、おおかたを紹介してみる。

       1.電力会社に大量かつ安定的に供給するには、火力発電と原子力発電の導入が不可欠。

       2.火力発電はCO2を排出するので、高効率化のための技術開発、LNGへの燃料転換を計る。しかし世界でこぞってLNGへの燃料転換が進むとLNG需給逼迫が懸念されるので、条件の悪い石炭の導入も必要となるので、石炭火力のCO2抑制技術の開発が必要不可欠となる。

       3.原子力・水力・地熱は総合的に見て温暖化への影響が最も小さいシステムでCO2を削減する費用も少ない。今後は我が国の電源構成にこれらの比率を高めて行くことが望ましい。ただし立地問題がある。

       4.CO2回収には大量な電力消費を伴う他、海洋などに放棄したときの環境影響がある。出来るだけ避けたいが緊急避難的にやむを得ない場合がある。

       5.風力や太陽光はCO2抑制効果は高いが、量的にはその寄与は小さく、大量導入は系統電力の信頼性の低下をもたらし、コスト負担となる。系統容量の10%が限界で電力系統の主流にはならない。この量は我が国では600万KWに相当する。これは原子力発電1基分に当たる。

       以上を見るに化石燃料が枯渇するという緊張感は極めて薄い。企業は10〜20年の経営見通しがあれば良いと言われる。そして30年位で会社の内容が変わると言う。現在石油も供給過剰気味で単価も低位安定であまり騒ぐ状態にない。しかし別の意味で日本の電気事業も電力再編成後45年にして激震が走っている。

       日本は少子化で人口の減少は避けられないが、世界の人口は劇的に増加しており、2030年には80億人になると言われる。食料・資源・エネルギー・土地・環境などの制約で地球の許容人口は80億人位と言われるので、そのころに争奪の緊張が高まり、世界的なパニックが来るだろうと言う説がある。

       日本の21世紀後半を論じたかったのだが、少子化で2050年で9000万人、2100年で5000万人となる日本の姿は想像することすら出来ず断念した。

       しかし私事に渡るが、この6月北欧3国を旅して日本と同じくらいの国土面積で山地比率も70〜75%にもかかわらず人口わずか500万人で一国の経営をしているのを見て大いに驚いた。素人ながら蛮勇をふるって日本の2100年時点のエネルギー問題を議論してみようと言う気になった。もしここに立ち入ったら人口減少に伴う総ての課題に関係することになる。即ち外交・防衛・政府の財政・貿易・産業構造・民生・福祉厚生・移民・教育・国土保全・労働・食料・資源・エネルギー・環境・宗教等今までの緒制度の殆どが見直されることになるだろう。時間がかかるが決心した以上何とか纏めたい。良い知恵をお借りしたい。とりあえず人口問題から勉強を始めたいと思っている。

                              
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  • D-14.コメント(H.10.12.10.)            NEWEST 

     はじめまして、ホームページを読ませてもらいました。私も、今このままのエネルギー依存で来世紀を乗り越えれるのか疑問です。

     ホームページを読んでいて、”エネルギー総合工学研究所は水素エネルギーで、「WE NET計画で再生可能エネルギーの第一候補は水力発電が想定される。その理由は(中略)既開発はわずか18%に過ぎず世界的に見た場合にはまだ可成りの量が期待されること−−−」とし、水力発電から電気分解により水素を固定して利用しようと計画している。”このことの意味が良く分かりませんでした。もし、参考になるような資料、もしくはホームページがございましたら教えて頂きたいのですが。

     先日の獅子座流星群をみて、あることを思いました。物質がプラズマ現象を起こすとあれほどの光を放射する。それは、その物質の運動エネルギーからきたものだ。運動エネルギーは天体の重力のおかげで発生するものであり、それは永久不変のものである。この、重力を利用すれば、クリーンなエネルギーが得れるのではないのか。その一つに水力発電があるし、潮力発電があると思う。また、地球には太陽という大きな原子力発電所がある。この、太陽エネルギーをもっとおおいに活用せねばと思う。

     私の結論は、一つのエネルギーに頼ると、それが危機になったときにやばいのである。つまりいろいろなクリーンエネルギーをちょっとずつ活用しなければならないと思う。今の会社もこの不景気の中では最小化をめざしていることだし…。

     かってな私の自論を読んで頂いてありがとうございました。先ほども書きましたが、このような関係の資料がございましたら教えてください。お願いします。          

    • A: 筆者所見(H.10.12.10)          NEWEST 

       
      WE NET計画のWEとはWorld Energyの略字です。これはNEDOと言って「新エネルギー・産業技術総合開発機構」と言う長たらしい名前の通産省工業技術院管轄の特殊法人が研究しております。

       此のNEDOのHPは http://www.nedo.go.jp/で、その事業計画のうちの「水素エネルギー」をクリックすると、簡単な紹介があります。この研究は平成5年から平成10年まで21.8億円の予算で、世界の機関と協同研究をしている。

       通産省工業技術院によりますと「発展途上国等に未利用の形で豊富に存在する水力、太陽光等のクリーンな再生可能エネルギーをを利用して、水の電気分解によって水素を取り出し、これを輸送可能な形に換し、世界の需要地に輸送し利用するネットワークの構築をねらいとして、国際協力により、中核的な要素技術の開発及びシステム設計を推進」する事としている。

       まだ研究途上なので、詳しい報告は見ておりません。どういう問題があるかという解説は「2050年への挑戦」(21世紀の技術とエネルギービジョン)(財)エネルギー総合技術研究所21世紀の技術とエネルギービジョン委員会編、電力新報社発行
      があります。

       エネルギー問題というのは、正直に言って何が本物なのかよく分かりません。ただ少なくとも言えることは30年位の見通しを常に検討し、少しでも怪しいと感じたときは、直ちに向こう30年の間に強力な解決策を世界的規模で実施する。しかし実際は難しい技術開発や環境との調整や政治・経済・文化の改革が伴うものであり、急場には間に合わないから、普段の地道な研究の積み重ねは忘れてはならない。

       と言うのは1998年9月にアメリカのヒューストンで開かれた第17回世界エネルギー会議(WEC)に出席した人達の報告会で受けた印象が
      D-11の様なものであったからです。

                (D-11、筆者所見A-2参照)(D-15参照)

       勿論私の個人的な見解です。

                   続く                  目次へ戻る        ホームページ表紙へ