• F−12.コメント(H.11.12.20) 再び理論包蔵水力について  

     東海村の臨界事故以来、原発に対する世論は揺れいごいております。その中で一番知りたくてもはっきりしないのは、原発を止めた場合その代替エネルギーはどうするかと言うことです。それに対して納得する回答が抽象的過ぎてはっきり見えて来ません。

     勿論省エネ、技術革新(例えばエネルギー使用効率向上)、再生可能の自然エネルギーに尽きるのですが、化石燃料が使える間に何とか活路を見つけるしかありません。人口問題とか生活スタイル等という外的要因も可成り重要と思いますが、エネルギー供給面での対応を具体的に地道にアクションを起こさなければならないと思います。

     そこで風力とか太陽光発電などについては色々取り上げられておりますが、古くから利用されておます水力は、安全で、クリーンで再生可能の理想的なエネルギーと思うのですが、世間一般の評価は今ひとつです。

     水力は化石燃料と異なり人間が作り出すエネルギーです。化石燃料の埋蔵量と較べて一体どの位作り出す事が出来るのですか。理論包蔵水力がそれに当たるのですか。その算定の仕方等を教えて欲しい。

    • A−1.(H.11.12.20) 筆者所見

       水力について世間一般の評価が今ひとつで、正確に理解されていないのは大変残念であります。このHPもそのために立ち上げたのです。 確かに「量」・「コスト」・「環境破壊」の3つについて不信感がある。これを一つひとつ説き明かしていかねばならない。このHPの眼目も其処にあります。

       1. 我が国の理論包蔵水力の計算は昭和26年2月(財)野口研究所が、同所時報(創立十周年記念特集)に発表されたのが最初である。

       2. 当時の資源庁水力課がこれに考察を加え、課長他がこれについて意見を述べている(部内資料)。

       3. 2と並行して、もう少し実体に近い理論包蔵水力として「理論包蔵水力を求める方法」として河川に着目した手法を部内に発表し、その後古今書院出版の水資源「水力発電」篇に紹介された。

       4. 昭和50年に國の第五次水力調査が行われたが、この時並行してコンピューターを利用して理論包蔵水力調査が行われた。この時は(財)新エネルギー財団が業務を代行した。

      目次

       【1】.野口研究所の理論包蔵水力
       【2】.野口研究所の研究報告に対する当時の資源庁水力課の考察
       【3】.理論包蔵水力を求める一方法(
      河川理論包蔵水力)
       【4】.第五次水力調査における理論包蔵水力の計算(
      資料収集中)
       【5】.筆者総括的所見  


       【1】.野口研究所の理論包蔵水力(S.26.2)

       原本が手元にないが、資源調査会エネルギー部会か要点を抜粋しているのでここに紹介したい。

       「我が国の理論包蔵水力について−野口研究所」

       1.輓近電源開発について盛んに各方面において論ぜられているが、その根拠をなす我が国の包蔵水力、即ち降雨によるポテンシャルエネルギーはどの位在るかはいまだ明らかではない。茲において降雨量の統計量を地図上に投射して図面上より包蔵水力全量を計算した。

       2.理論包蔵水力の定義

       標高 h なる地点に降った雨量は、蒸発その他の因子により減量することなく、また流下中摩擦その他の因子により、その仕事量を減耗することなく、標高 0mまて流下するものとし、その間になす仕事量を以て定義する。即ち雨量 p は標高 hの関数にして、理論包蔵水力(T.P.E)は次式によつて示される。

         T.P.E=∫psg.dh   0からHまで積分
           ただし p: 雨量  s:面積 h:標高 g:重力の加速度 H:最高標高

       3.計算方式

       a). 過去20〜45ヶ年間の全国各地に存在する雨量測定所に於いて測定する降雨量を、統計的に採り、雨量等高線を画いた地図(昭和23年中央気象台篇、新日本気候図帖第一集)を5万分の1の地図に拡大投射する。

       b). 5万分の1の地図には標高100m、300m、500m、700m及び1000m更に要すれば1500mに標識線を描き雨量等量地に応ずる各標高毎の面積をブラニメーターにて測定し、各標高毎の全降雨量を求めた。

       c).  b). で求めた各標高毎の面積の全面積に対する比を求めて地勢曲線を描いた。

       d). 各標高毎の降雨量の降雨量の全降雨量に対する比を求めて次のような曲線(Fig1−概念図)を描き、定義によりて理論包蔵水力を求めた。
                                             
       4.計算結果
       a). 本州、四国、九州、北海道の各本島(各地区とも付属  
      諸島をのぞく)の地勢曲線及び雨量表は付図及び表1〜10の如し。                                  

       b). 全包蔵水力は次表の通り 、

      理論包蔵水力 (万KW−Year)
      地方名 北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州 全国計
      包蔵水力 810 1.237 557 2.640 645 526 536 748 7.698
      但し
      東北: 青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
      関東: 茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川
      中部: 新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、静岡、愛知、岐阜
      近畿: 三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
      中国: 山口、広島、岡山、島根、鳥取

      • 付図−1.全国地勢及び雨量表  (各地域の資料き省略)

        平均標高 374.6m   平均雨量 1.664.6o/年
        標高    面積km2 降雨量億d/年 平均降雨量o/年 比率(面積) 比率(降雨量)
        0 359.833 5.989、69 1.664、6 100 100
        100+ 260.017 4.463、03 1.716、4 72.3 74.5
        300+ 167.518 2.970、50 1.773、2  
        46.6
        49.6
        500+ 104.252 1.841、30 1.766、2 29.0 30.7
        1000+ 28.472 493、10 1.736、9 7.9 8.2

       5.本計算の精度

       等雨量曲線を5万分の1地図上に投射する際の誤差、5万分の1地図中の伸縮に起因する誤差、プラニメーター測定の技術上の誤差、及びその他の誤差等、性格に補足する事が不可能であって、本計算の精度は不明なるも、概ね1%程度の誤差あるものと推定する。

         以上が資源調査会エネルギー部会の要点を抜粋したものである。

               
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  • 続き 筆者所見 A−2. (H.11.12.20)
    • 【2】.野口研究所の研究報告に対する当時の資源庁水力課の討議

       敗戦に打ちひしがれていた時に「戦後の復興は水力資源の活用にある。先ず国内の水力の総量を把握する必要あり」として、自費で、手計算で理論包蔵水力を計算した野口研究所の提唱を、当時水力課にいた若手技術者達が新鮮な驚きを以て迎え、早速部内討議を行った。そのときの討議の内容を示す古ぼけた藁半紙のガリ版ずりの原稿が見つかったので参考に供したい。内容はやや稚拙であるが、当時の雰囲気が感じられる。

       野口研究所は、戦前朝鮮半島で大いに水力電気を起こし、それを利用して窒素肥料を生産して成功した野口誠社長が戦後日本に引き揚げて創設した研究所である。理論包蔵水力計算の陣頭指揮は同所の工藤氏が行った。

       野口研究所の提唱した理論包蔵水力について(部内資料−1951.7.23 水力研究会No.2)

      1.はしがき

       日本の持つ天然資源中最も有力なものとして水力に期待されるところ甚だ大きいが、その包蔵量については未だ確たる数字が示されていない。通産省の発表した包蔵水力2000万KWは唯一の調査資料であって、実施可能の見込みと経済的採算性を条件としているので、調査の不十分と相まって絶対量と言うことが出来ない。

       又この量は技術の進歩、社会情勢の変化に伴って変わって来ることは必然であって、その時代によって変化することは歴史の示す通りである。

       この時に当たって野口研究所が雨量と5万分の1地図を基礎として所謂理論包蔵水力を算出した。これは自然流出雨量の
      Upper Limit を示す意味に於いて非常に重要な意味を与えるものであるが、通産省が考えている上述の意味の包蔵水力との関係が必ずしも明瞭でなく、又野研の数字を即断することは日本の国力の過大評価となり、日本の将来の資源開発に大きな齟齬を来す怖れもあるので、これらに種々考察を加えて理論包蔵水力の意味とその開発の方法論を追求してみたいと思う。

       2.理論式について

       理論式∫psg.dhの説明は不十分であるが、PSが標高 h+dhより上に降った雨の総量を8760*3600で割ったもの(結果は単位KWYとなる)又は3600で割ったもの(単位はKWHとなる)であれば、式として正しい。この様に解釈してチェックしたところ概ね一致した結果を得た。

       3. 理論包蔵水力7.734万KWY(6.776億KWH)について

       この7.734万KWYと言う表現は7.734万KWと言う出力が年間を通じて常時的に発生し得ると言う意味であるので、前記野研定義の自然流出と言う意味と矛盾する。

       即ち地表に降った雨に何ら加工せずに h 標高より 0 標高まで自然流出するものであつて時々刻々変化する雨量そのものの持つポテンシャルエネルギーの年間総和であるから当然理論包蔵水力はKWHで表現さるべきであって、7.734万KWYと言う数字はこの6.776億KWHを別の表現方法で表したに過ぎない。

       4.理論と言う意味について

       理論的とは原理原則の説明を主とする学問及び研究法を謂うのであって、実際上の手段をこれより引き出すことになれば、当然理論と実際との間を結びつける方法が具体的であってしかも厳密に正確なものでなくてはならない。真理の標準は実際上の効果如何により定めなければならないのである。

       この様な考えから野研の理論包蔵水力に於いて問題になると思われる主な点は2つあり、その第1は雨力てあること、第2に自然流出であると言う事である。(それ故、これは自然包蔵雨力Natural Rany Potential Energyとでも称せられようか)

       我々は過去の経験的事実を客観的真理とするものでなければならないが、将来雨力をそのまま水力となし得る手段を見つけ得るだろうか。またそうでなくても、雨力から実際に我々が目的とする水力を正確に換算し得る方法を発見出来るだろうか。また山の斜面に降った雨が川(少なくとも渓流)に達するまでにどのような方法を以て変化する事が出来るだろうか。

       次に自然流量と言う事については、先ず問題になるのは我々が高いダムを造って大きな貯水池を造る場合、流出総量には変化は無いが、落差が増加し、結果としてPotential Enregyは増える。従って包蔵される水力は利用の方法により天然の水力よりも大きいことが考えられる。又流量の激しい変動をどのように捕まえるのだろうか。野研の理論包蔵水力はどのような結びつきをもって実際の開発計画を説明するのだろうか。

       5.考え得る種々の方法

       降雨記録を基礎とせず、各河川の測水所の記録をもって計算すれば自然包蔵水力が得られる。(ただし、河川の範囲は5万分の1地図に表れているものとする)

       しかしこのような方法も「実際的効果を有するものたるべき」意味においては、今後の開発方針を示すには充分ではないが、雨力を水力とした点では一歩現実に近ずいたものである。

       一体「実際的効果を有する」様な理論包蔵水力と謂うものを算出出来るものであろうか。もし出来るとすれば技術条件を加味し、最小の設備で最大のKWHを発電するするようなものであろう。これが実際に開発されようとする場合には社会条件、経済条件に制約されるのである。

       又不完全であるが次のような方法も考えられる。

      @.各河川について、水路長を一律に2000mとして上流より逐次開発する方法。
      A.各河川について、ダムの高さを一律100mとして上流より逐次ダム式で開発する方法。
      B.両者をコンバインする方法。

       これらによって一応の数字は算出されるが、唯一の目安に過ぎない。

      6.むすび

       適正な理論包蔵水力が算出出来れば、我々はその範囲内で将来の生活水準が想定できるであろう。迅速にしかも正確にこの様な水力調査を行う方法が速やかに研究されることを期待して止まない。

       ともあれ、今回の野研の研究は種々の問題を含んでいるが、水力調査史上重大な意義を有するもので、等研究所の着想及び労力には全面的に敬意を表したい。

              以上                 ( 1951.7.23 資源庁水力課 T.S 記)

               
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  • 続き 筆者所見 A−3. (H.11.12.20)
    • 【3】.理論包蔵水力を求める一方法(河川理論包蔵水力)

       筆者は当時上記討議を提案した一員であった。討議を始める前に筆者は理論包蔵水力の数字を一層現実に近いものにしたいという前提から、降雨でなく河川流量をベースにする方法はないかと考え、一方法を提案していた。

       理論包蔵水力を求める一方法 (1951.6.1 水力課 T.S)

       1.従来の日本の包蔵水力として、通産省水力課の調査による2000万KWと言う数字が公表されているが、一方野口研究所は所謂理論包蔵水力として(Theoretical Potential Energy)7.734万KWYと言う計算を行っている。これらはいずれも最大設備出力として表されており、これでは設備の多いさを示すだけで、一年間の流量の変化に伴う河川の利用状況が判らない。また貯水池、調整池の効果が明らかでない。この様な欠点を補うためには、河川の持つポテンシャルエネルギーは日々の変化を考慮して、電力量(KWH)で表すべきである。(但し渇水期における問題は触れない)

       上記野研で行った計算は、その着想、労力に多大の敬意を表するが、多少の疑問がある。即ち

        T.P.E=∫psg.dh   0からHまで積分
           ただし p: 雨量  s:面積 h:標高 g:重力の加速度 H:最高標高

       流出係数を1とする仮定の他に、降雨量が時間的に変化する事を無視して、年間総降雨量を最高点標高から零点標高まで瞬時の落下するものとして点である。だから時間のFactorを考えて計算すれば当然電力量(KWH)として結果が出てくる筈だと思う。

       水力地点の能力を設備出力(KW)としてではなく、年間発生電力量(KWH)として表すこと、及び理論包蔵水力を同様にKWHで表すと言うことは、最近の西欧の文献にも散見される所である。

       2.方法

       (1).理論包蔵水力 (細かい作図が出来ないので、ロータスで概略図を作成し何とか格好が付いた。しかし通常のグラフと既・未設水力や貯水池の関係や説明文は図形の作成機能を利用し合成したため、転写ではこの合成部分がうまく出来ず諦め見切り発車します。時間を掛けて再挑戦しますので、暫く文章だけで図表を頭で描いてくださるよう、お許し下さい)

       縦軸に海面より最高点標高までの標高をとり、横軸に年間総流出量(Q)を3600で割ったものをとる。流量要覧などにより任意標高における総流出量を求めると図の様な曲線を得る。この曲線と両軸により囲まれた面積にg(=9.8)を乗じたものが、その河川の持つ理論包蔵水力を電力量(KWH)で表したものとなる。

       即ち qi : H+dh なる標高における流量 m3/sec とすれば

            Q : 拝i m3   3600*8760の累計

          T・P・E=[9.8∫Q.dh]*1/3600=9.8*∫Q/3600.dh  標高0からH間で積分  (KWH)

       (2).既開発、未開発計画地点

       同様に  年間発生電力=9.8*(Q’/3600)*H     (KWH)

       但し  Q’: 発電所の年間使用水量  (m3)
            H : 々   の総落差       (m)

       以上により日本海側の某河川について試算した。

       図から見るように、実際には有効発電量は落差のロスや水車・発電機の効率のため破線で囲まれた部分となる。

       A〜Kは本流、a〜dは支流にある既開発及び未開発地点の容量を示すが、支流の小さい地点を一ヶ所に集めたので図のような形となった。

       E、G、I、J、K、dは既開発で上流の貯水池の建設で電力量が増加(下流増)し、河川の利用率の向上しているのが明瞭に示されている。

       (3).数値(北陸某河川について)

       理論包蔵水力  T=6.820.000 千KWH
       既開発       R=911.440 千KWH
       未開発       S=2.742.560 千KWH

       河川利用率   R/T=13.4%
                  S/T=40.3%
                 (R+S)/T=52.7%

       3.むすび

       この様にして各河川について、T・P・Eを求めれば、日本における理論包蔵水力が求められるが、多大の労力と時間と費用を要するので、国家的企画でないと無理ではないかと思われる。

       またこれらは、総合開発、河川の有効利用の面から比較設計の有力な参考資料になると考えられる。
                  
                                    以上

                   
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  • F−12.続き   筆者所見 A−4. (H.12.1.11)
    • 【4】.第五次水力調査における理論包蔵水力の計算(H.12.1.11)

       (この作業は通産省ら調査を委託された(財)新エネルギー財団が野村総研に調査を再委託し、実施されたものである。作業は野口研究所と同じ手法と聞いており、その結果は7176億KWHであった。資料を入手次第報告する予定)

       年が明けて2000年になってから、新エネルギー財団の資料を入手出来たkでここに紹介する。

      1.国土地理情報を活用して3種類の包蔵水力調査を行った。その定義を次に述べる。

       @. 理論包蔵水力

       理論包蔵水力は、基準メッシュ(1km四方)上の平均年間降水量が有する位置エネルギー(海面からの垂直距離)で計算する。単位流域内のメッシュ分だけこの値を加算したものが、当該単位流域理論包蔵水力である。メッシュが2つ以上の単位流域にまたがる場合は、面積配分する。計算の結果は7.174億Kwh/yearであつた。

       A.河川理論包蔵水力(b)

       河川理論包蔵水力は、単位流域内の降水量が蒸発などの損失が無く、理論的に総て単位流路に流出すると仮定して得られる包蔵水力である。言い換えれば、流出係数を1.0とした時の河川包蔵水力である。@の理論包蔵水力と比較すれば、山麓から河川までの@エネルギーが除かれることになる。

       B.河川包蔵水力(c)

       河川包蔵水力は、単位流路ごとに河川に流れ出た流量(流出係数を考慮した後の流量)と河川上流からの当該単位流路に流れ込む流量との和が有する位置のエネルギーを、当該単位流路の末端標高を基準として計算したものである。河川包蔵水力は、この値を河川に沿って総和したものである。計算結果は2.846億Kwh/yearであった。
       流出係数は地区によって変え、0.65〜0.88まで変化している。

       次に河川包蔵水力上位5大河川を上げる。

      表−1.主要5水系の河川包蔵水力
      河川名 理論包蔵水力a 河川理論包蔵水力b 河川包蔵水力c 流域面積d c/d 包蔵水力e e/c
      信濃川 48.254 30.198 25.669 12.340 2.08 10.556 0.41
      木曽川 41.322 24.542 19.879 8.877 2.24 11.145 0.56
      阿賀野川 24.342 14.315 12.618 7.734 1.63 9.032 0.71
      天竜川 25.381 15.002 12.151 5.122 2.37 6.604 0.54
      利根川 28.170 17.409 11.664 16.691 0.70 6.641 0.57
      単位: 各包蔵水力百万Kwh  流域面積平方km

      筆者注:

       1. この表−1で言う河川包蔵水力(c)も理論であることに間違いはない。と言うのは実際の開発との間に大きな差があるからである。即ち、理論包蔵水力は7.176億Kwh、河川包蔵水力(c)は2.843億Kwh、開発可能包蔵水力(e)1.342億Kwh、既開発約900億Kwhであることを見れば判る。また (e)/(c)=0.47 である。


       2.【3】の理論包蔵水力を求める一方法(河川理論包蔵水力).は、この項で説明されている第五次水調の河川包蔵水力(c)の水量を当該河川に実在する測水所の記録を利用したものに相当する。

       3.表−2のe/cの値がいずれも50%前後になっており、また前項【3】で北陸某河川での数値は52.7%である。これらは次項で述べる表−2のb/aの値が平均40%と近い数字である。これはひょつとすると、表−2の理論包蔵水力の数字は河川理論包蔵水力であるかも知れない。これは検討する必要があるかも知れない。

       4.第五次水調では401水系について計算した。これを世界について水系毎に計算することは時間・労力・データ収集・所要資金などの点から無理なので、、基準メッシュ(1km四方)上の平均年間降水量が有する位置エネルギーを机上で計算して集計するいわゆる理論包蔵水力の計算ならば、比較的短時間に資金も労力も少なくて済むであろう。

                     
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  • 続き 筆者所見 A−5. (H.11.12.20)
    • 【5】.筆者総括的所見
       
       実は野口研究所の研究成果に関する資源調査会エネルギー部会の資料は昭和24年6月16日付けである。公式発表に先立つこと約2年前のことであった。

       水力をやろうというと、GHQ(米国進駐軍総司令部)から又戦争をする気かと睨まれるような時期に、戦後の復興は水力資源の活用にありと声高らかに宣言し、理論包蔵水力と言う新しい計算を行い発表した勇気と斬新な研究に世間は新鮮な驚きと敬意を持って迎えた。

       日本ではその後昭和58年に第五次包蔵水力調査の際理論包蔵水力を国土数値情報を利用してコンピューターによる解析を行っている。野研の手計算で6775億KWH、第五次では7176億KWHで大差のない結果に驚きを禁じ得ない。

       そして又今再び世界の理論包蔵水力をやるペし叫ぶのはどういう訳か。水力資源に対して世間一般の理解を得られていないのは、度々謂うけれども「量」、「コスト」、「環境破壊」に不信感を持っているからである。

       先ず「量」に付いては、既に本文の末尾にも述べているが次の表を見ていただきたい。世界で19兆KWHの包蔵水力は現在世界の総発電量約13兆KWHの約1.5倍もある。既開発は僅かに12%に過ぎない。


    •  表−2.世界の包蔵水力 10億KWH     WEC 1980年資料
      項目
      理論包蔵水力 A
      包蔵水力 B
      既開発水力  C
      C/B %
      B/A%
      アジア
      16.486
      5.340
      396
      7
      32
      オセアニア
      1.500
      390
      39
      10
      26
      アフリカ
      10.118
      3.140
      53
      2
      31
      中南米
      5.670
      3.780
      398
      11
      67
      北米
      6.150
      3.120
      596
      19
      51
      西欧
      4.360
      1.430
      455
      32
      33
      旧ソ連
      3.940
      2.190
      297
      14
      56
      (日本)
      (718)
      (134)
      (92)
      (62)
      (19)
      合計
      48.224
      19.390
      2.236
      12
      40

    •  ところがその量がはっきりしない。というのは最近は19兆の数字がが14兆に減っている。その理由はよく判らない。賦存量がはっきりしないで何で戦うことが出来るか。よく見ると理論包蔵水力と包蔵水力の比率が世界平均で40%で、各地区に差があるがいずれも高い数字を示している。

       日本は既に説明したように理論包蔵水力について、過去2回の調査をしている。包蔵水力は5回実施しており、精度は可成り高いと評価して差し支えない。その日本の理論包蔵水力と包蔵水力の比率は19%でかなり低い。

       これは理論包蔵水力と包蔵水力とどちらかが精度が低いか、両者とも低いか(或いはその逆か)と考えられる。或いは調査方法が異なるのかも知れない。

       包蔵水力の調査は個別の地点を具体的に調査するので時間と労力を要するが、理論包蔵水力の方は雨量と地理情報を収集することによって机上で短期間で積算できる。(この場合は河川理論包蔵水力でない方法を採ることにする)

       そこで理論包蔵水力を日本国内で行い、日本の例を参考にして理論包蔵水力の20%を包蔵水力と概算する作業を行い、それを各地域、出来れば各國にブレークダウンして既存のデータと比較した表を作成する。

       このデータをベースにして国際会議で統一基準によるより正確な世界の理論包蔵水力調査及び包蔵水力調査の必要性を訴え、併せて水力の認識を高める。この国際会議に提案する基礎的データの作成は新エネルギー予算のうちの0.1%以下の金額で充分である。國の公的機関で若干の興味を示しているやに聞いているが、是非検討して頂きたいものである。

       更に包蔵水力には小水力が充分評価されていないので、この開発を押し進めることによって、一層理論包蔵水力に近づけることが出来るのではかと言う説が出始めている。

       この調査は、将来エネルギー資源が制約される時代に直面して、地球的規模で各国は事情の如何を問わず自国の包蔵水力の80%以上の開発義務を課す様な事を考えざるを得なくなる様な時が来た時に役立つ。

       【追加】: (H.12.1.11)

       この最後の2行の追加は、こころの中で「俺は普通だ」と叫びながら書いた。いやこの2行だけではない。私のHPの総てに渡って同じ心境で書いている。その理由の説明には、遡ること約60年前、私の旧制高等学校時代の寮の室長Yが私に話してくれた「哲学的寓話」のことを述べない訳にはいかない。即ち

       『60年ほど前、私は旧制高校の寮生活をしていた時に室長Yと京都の黒谷から真如堂への道すがら、友との論争の悩みをうち明けることがあった。Yは真如堂の踏台に腰をおろして次のような哲学的寓話を語った。

       ある一匹の哲学猿が早春の野原を逍遙していると、突然断崖絶壁に出くわす。見上げると青空に絶壁が聳え白雲が走っている。よく見ると頂上に何か異様な者が居る。その哲学猿はお手のもので険しい絶壁をスルスル登って見ると、髪や髭はボウボウ、口は裂け、鼻は曲がり容貌怪異な怪物が天の一角を鋭く睨んで傲然と構えている。そこでその哲学猿は「おまえは何者か」と問いかけるが、一瞥すらしない。再び詰問するとその怪物はうん臭そうに漸く顔を向けて一喝する。

           「俺は普通だ!」と。

       室長Yはそれ以上何も言わず、お互いに黙りこくって日の暮れた凍てつく小道を歩いて寮に戻った。

       自分は普通だと思っていても相手から見ると異様に見えるのかもしれない。又逆の場合もあろう。全く新しい発想も見る人によっては異様に思うであろう。

       この哲学的寓話はその後の私の人生の深層心理に深く沈み、時々心の中で「俺は普通だ!」と叫んでいる。』

               
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  • F−13.コメント(H.11.12.27)   逓信省の水力調査  

     HPの最新のコメントを見ました。あのような資料や背景を残しておいていただくといいですね。明治の末、逓信省ですか(?)水力の包蔵量を調査し、それが民間の小水力開発の推進力になったという話をどこかで読みましたが、公式にはその記録はないのでしょうか?鈴木さんのコメントでは、野口研が始めてのようにありますが。

    • 筆者所見(H.11.12.27)

       逓信省が行った第一次水力調査以降これが民間の水力開発に貢献した経緯は、水力技術百年史21頁(3)臨時水力調査局の設置及び第一次発電水力調査の特徴に説明がある。

       日露戦役後の経済好況期に促されて各地に水力発電が計画されたが、水量、落差など信頼すべき資料が無く工事完成後も経営上十分な能率を上げる事例が少なかった状態であった。

       当時の逓信大臣後藤新平は技術系の政治家でどんな政策を打ち出すにしても先ず調査してからと言う「調査魔」であったから、先ず次官を視察のためドイツに派遣して事情を調べ、帰国後直ちに予算を獲得して、明治43年省内に臨時発電水力調査局を設置して、我が国最初の水力調査事業を開始した。これが第一次水力調査であり以後昭和55年の第五次まで5回行われたのである。

       調査後はこの資料を広く民間で活用させるため、発電水力調査図表類交付規則を制定して民間の便に供した。第一次水力調査の時は、調査期間中で57地点、115.26MWが、第二次では220地点、1808.41MWが許可されたと言う。

       後藤新平が大臣で「調査魔」であった事が水力事業の発展に幸いであった訳である。「余人が逓信大臣であったらば、この事業はその後長く実現しなかったであろう」とまで謂われた。

       東京電灯50年史には、この間の事情を次のように述べている。即ち「この調査事業は実に我が国水力事業の発達上欠くべらざる必須の資料を提供したもので、その調査の精密適格なること欧米各国の同種事業に比較してあえて遜色を見ないと称せられる」とある。

                   
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  • F−14.コメント(H.12.4.10)   水主火従時代

     低俗な質問で恐縮ですが、「水力の経済特性」における 
    図−1 のデータは、どの様にして収集されたのでしょうか?

    教えてください。

    • 筆者所見(H.12.4.10)   一部説明を加筆補足しました(H.12.4.12)

       主として「電力百年史」政経社の数字をグラフ化しました。(加筆)即ち毎年の水力と火力の年間の発電量(KWH)を、本格的な近代化に乗り出した大正3年から水・火比率が逆転した昭和37年の間を中心にして、百分比で表したものです。

       此の数値は自家発を含むもので、グラフにしてみて私自身も目を疑う程であった。

       このグラフを作成したのは5年前だが、長年電力需給問題を専門にしている人に見せて意見を求めたことがあります。その専門家もその時は大分前に水・火の比率が逆転して、更に原子力も増えている状況を長く見慣れていたので、戦前はこんな状況であったのか、火力は水力の渇水時の単なる補給に過ぎなかったのかと絶句していたのを思いだします。

       以下は私の「嘆き節」なので、読みたくない人は無視して下さい。

       【1】.水主火従の時代

       図−1で見られるように、良い水力地点の確保は電力経営に重大な影響があったので、争って水力の開発に精進した。水利権だけ取得してそのまま様子を見るという遊休水利権の弊害が発生し、監督官庁から一定の期限を過ぎると取り消すと言う通達が出る始末であった。

       日本は山が多く、降雨も多かったので良好な水力地点に恵まれていた事もあるが、長距離送電が技術的に成功すると、今まで山の奥地で眠っていた大水力も開発が促進された。その結果水力開発会社が数百を数えるに到り、その内東京電灯、大同電力、日本電力、宇治川電力、東邦電力などいわゆる五大電力が台頭した。

       時あたかも日中戦争たけなわで、戦時下で無駄な競争を止め水力の有効な開発を進め、戦争の遂行に資するため、電力の国家管理を実施した。これにより発電・送電は一本化して日本発送電(株)に、配電は九配電会社に分割統合された。このため逓信省電気庁(現在の資源エネルギー庁)は水力について、測量、測水を行って水利権申請程度の書類を作成して、日本発送電(株)に建設命令を出す仕組みとなった。勿論補償は考えるが、水利権の整理統合も大胆にやれるようになっていた。これは戦後電力再編成時まで続いた。いま考えると信じがたい制度であった。

       戦後経済集中排除法により、電力の再編成が政治問題化したが、その分割になかなか合意が得られず、ようやく国会審議を通さず、マッカーサーのポツダム政令で九分割が断行され、現在の姿になった。分割には三分割から十分割まで色々議論があったが、この問題は既存のみならず未開発の水力地点を如何に有利に取り込むかと言う事に尽きた。

       九電力が発足し、発電・送電・配電の一環運営が始まるが、何しろ戦後のことで資材・資金が思うように調達出来ず、停電につぐ停電で、朝野を上げて非難の声が燃えあがった。結局電源開発促進法を制定し、政府資金を投入する特殊法人(株)電源開発を設置して開発困難な大規模水力を集中的に開発することとした。佐久間や只見川の開発など画期的な大ダムが続々完成し、そのもくろみは成功した。

       余談だが、(株)電発を造るには人事救済問題があったと言う。即ち、大陸から引き上げてきた意気盛んな優秀な水力技術者は伝統的な旧日本発送電(株)の水力技術者によって受け入れを排除されていた。又電気産業労組でパージされた赤色幹部の処遇。更には高級役人の受け皿を考えなければならない混乱した世相もあった。

       大陸から引き上げてきた水力技術者の中に、朝鮮から引き上げた日本窒素の工藤氏がいた。彼は、日本国土の復興は水力にありとし、悲憤慷慨して、5万分の地図を貼り付けて、日本全土の理論包蔵水力を手計算で仕上げ、しかもその精度は後年コンピューターを駆使して再計算したのと殆ど差がなかったことは前に述べた。この頃は、水力をやろう等と言えば、米国占領軍(GHQ)から、おまえら又戦争をする気かと睨まれるのが落ちであったので、皆で快哉を叫んだ。

       有名な久保田豊氏も引き上げ組であった。久保田氏は超然として技術コンサルタントを設立し、この業界の先駆者として海外の水力の技術援助をも手がけ意気盛んであつた。この混乱期に国土総合開発法による多目的ダムが盛んに起業され、通産省は九電力の対抗馬として公営電気事業を積極的に推進する事となり、多くの大陸引き上げ水力技術者が活躍する場が与えられた。

       【2】.日本の水力・世界の水力

       昭和37年に水・火比率が逆転したが、それまでは上記の様に電気事業の色々な制度の変革に、水力を如何にうまく開発利用するかに力点が置かれていたかが分かる。水力の開発に土地収用等の公益特権も与えられて居たのである。

       現在日本の水力は電気事業の中で約10%しか占めていない。残存水力も30%で約400億KWHあるが小規模でコストも高いので、需給に影響力を支配する程のものではない。しかし500KW風力発電4万台に相当するのだが。

       日本国内では確かに残存水力は期待が薄いが、世界で見るとかなりの残存水力がある。先ず驚いたことに、世界の水力は原子力と較べてその年間発生電力量はどちらが多いか較べてみると、BP統計の石油換算百万d(エネルギー2000 資源エネルギー庁篇)、及び国連統計の10億KWH(エネルギーテ゜ータの読み方使い方 松井賢一)によると次の通り

                               原子力   水力
      1991年 BP統計 石油換算百万d  541.3  194.8   (1)
      1991年 国連統計 10億KWH     2078   2236    (2)
      (1)/(2)               0.26   0.087 =1000KWH当たり石油換算d

       これは明らかに換算の考え方に疑問がある。KWHのネットの数字は原子力が2兆780億KWHで水力は2兆2360億KWHで水力の方が大きいが、石油換算すると逆転して原子力の方が3倍も大きい。同じKWHなのに水力は3倍も過小評価されているのである。(設備出力はもっと大差がある。水力約6億KWに対し、原子力は3億KWで半分しかない。これは水力はピーク発電の役目を仰せつかって居るからである)

       これには次のようなからくりがある。エネルギーテ゜ータの読み方 松井賢一から引用すると次の通り。

       「電力量はKWHで表示されるが、熱量換算するときに厄介な問題がある。即ち、電力を発生するために必要とされる投入熱量(インプツト・ベース)と、電力を利用して得られる熱量(アウトプツト・ベース)には大きな違いがあるからである。アウトプツト・ベースは1KWH=860Kcalで、これは何処でも共通であるが、インプツト・ベースでは、発電熱効率が異なれば異なってくる。IEA(国際エネルギー機関)のエネルギーバランス表では、1991年から水力860Kcal、原子力2600Kcal、地熱8600Kcalとしているので注意して見る必要がある。」

       原子力2600Kcalとしているのは、発電熱効率33%の石油火力によって電力を発生する為に必要とされる投入熱量として次式によって計算される。 860/0.33=2600(Kcal) 

      即ち 石油1トン=10∧7Kcal
      原子力1KWH=2600Kcal=2600*(1/10∧7)=0.26/1000 (1000KWH当たり石油換算0.26トン)
      水力  1KWH=860Kcal=860*(1/10∧7)=0.086/1000  (1000KWH当たり石油換算0.086トン)

       従ってBP統計の石油換算百万d(エネルギー2000 資源エネルギー庁篇)の水力の換算を原子力と同じくすると、次の図の通りとなる。 即ち石油に換算された水力は1/3しか評価されず、それが世界の常識になってしまっている。
           
       
       世界の既設水力は1998年で2兆6000億KWHである。世界の包蔵水力は14兆KWHあると云われている。既設はわずか18%に過ぎない。包蔵水力の14兆と言う数字は、現在世界の総発電量の約13兆KWHを上回る量で、数字だけ見れば水力だけで現在の世界の電力を賄えることになる。従って残総水力も可成り期待出来るものと考えられる。これが私のホームページの原点である。

       ちなみに1998年の電気事業用で見ると、日本の水力は包蔵水力の約70%開発しており、揚水を含めて設備出力4382万KW、年間発生電力量981億KWHに対し、原子力はそれぞれ4492万KW、3296億KWHであり、KWではほぼ等しいが、KWHでは約1/3である。

       昭和30年代始め、松永安左右衛門は欧米を視察して、これからの電力需要の増大を予測し、日本の電力政策の大転換をもとめ、ペースを高温高圧の大石油火力を、ピークを大揚水発電とする構想を発表した。それでアッという間に火主水従となってしまつた。現在は原子力が主流になりつつあるが、最近ややこれにも問題が浮上している。

      【3】.世界の規模で考える 

       
      最近日本の食料・エネルギーの安全保障が議論されている。即ち我が国の食料の自給率は40%、エネルギーは20%と極めて低い。半分以上を輸入に頼っていると言うことは、輸出する國に余力が無くなれば、トタンに輸入がストップするか、値上がりするか、戦争が始まるかである。

       従って、日本の事だけを考えて、需給の安全保障を検討しても全く意味がない。先ず世界の需給の安全保障を検討しなければならない。そこで私のHPの今後の展開はエネルギー輸送インフラストラクチャーの整備を纏め提案することになろう。此処まで手を広げると、国際政治・外交・経済・民族など広範囲な関わりを持つようになる。

       即ち、西沢潤一博士(元東北大学総長)や一針源一郎博士(日立研究所)が提唱しているように、直流送電で世界の主要エネルギー消費地を結ぶ壮大なネットワークを造る。一針氏の如きは、このネツトはアリューシャン列島を渡り、北米大陸から南米大陸につなげている。これによって山奥の未利用資源(例えば大水力など)の活用を計り、多国間の電力融通を計り、電力を輸出入の貿易材とする。ダイヴァーシティが平均化されて電力設備の効率化が図られると云う。

       更に平田賢博士(東大名誉教授)の主張するアジア地区のパイプライン網の敷設構想がある。これによって、シベリヤ、サハリン、中央アジアの莫大な天然ガスの融通を計るほか、コンバインドサイクルによる高効率の火力発電を建設する。

       勿論日本もこれらのエネルギー輸送インフラの中に位置づけられる。これらの施設は堅牢で耐久力もあるから(平田博士)次世代の新しいエネルギーシステムにも充分活用出来るとしている。例えば、「エネルギー大潮流」の著者フレイビンが述べているように、バイオマスエネルギーが実用化されて、電力又は液体燃料として、現在の中東の石油に変わって上記の直流送電網やパイプラインが利用されるようになるかも知れない。


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