イワさんの映画やぶにらみ  (2006年/361本〜最新 2006年12月29日更新)

2006年 岩さんの選んだ13本
@「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」 クリント・イーストウッド監督。日米双方からの視点から同じ監督が別々に描くという前例のない2部作。しかも庶民の立場から戦争を描き鋭い告発の映画になった。
B「王の男」 イ・ジュンイク監督。韓国の下層芸人の生き様が見事。
C「麦の穂をゆらす風」 ケン・ローチ監督。アイルランドの悲しみ、世界各地での戦争の悲しみ。
D「母たちの村」 ウスマン・ガンベーヌ監督。西アフリカの強烈なメッセージとユーモア。
E「グエムル」ポン・ジュノ監督。ソン・ガンホの熱演と仮想怪獣の面白さ。
F「ホテル・ルワンダ」 テリー・ジョージ監督。1994年ルワンダの大虐殺、何ができるのか。
G「ある子供」 ジャン=ピエル&リュック・グルデンヌ監督。成長していく若者の可能性。
H「スタンド・アップ」 ニキ・カーロ監督。「たちあがる」ことによって幸せをつかむ。
I「武士の1分」 山田洋次監督。最高のスタッフ、キャスト、セット。
J「三池終わらない炭鉱の物語」 熊谷博子監督。100年以上続いたヤマの足跡をしっかりと見つめる。
K「蟻の兵隊」 池谷薫監督。元日本兵・奥村和一のたたかい。
L「雪に願うこと」 根岸吉太郎監督。輓馬を通じて「やり直したい、まだやり直せる」
今年は戦争と人間の関係を描いた作品が多く、優れた作品を見ることができた年ではなかったか。日本の映画の中にも優れた作品が生まれている。しかし、韓国映画の熱さ、ひたむきさが強く感じられるのは日本の映画にないものを観客が 求めているのではないか。アメリカ映画がリメークが多くなり、面白さが感じられないときに日本映画の更なる復興を願って、来年の映画に期待したいと思います。

リトル・ミス・サンシャイン
 ジョナサン・テントン&ヴァレリー・ファリス夫妻監督、グレッグ・キニア、トニー・コレット、アビゲイル・ブレスリン出演。 アリゾナに住むフーヴァー一家は、"リトル・ミス・サンシャイン"コンテストに繰り上げ参加することになった娘オリーヴを連れて カリフォルニアに向けて出発。独自の成功論を振りかざす家長リチャードとバラバラな家族を必死でまとめようとする母シエリル、 家族を嫌って沈黙を続ける長男ドウエーン、ヘロイン常用者で言いたい放題の祖父、失恋が原因で自殺をはかったブルースト 研究者のフランク、そしてビューティー・クイーンを夢見るオリーヴが乗ったミニバスには一触即発の空気が漂う。そして、オンボロバス 車までもが故障し始める。愛すべき落ちこぼれ家族の奇妙で暖かいロード・ムービー。

エラゴン 遺志を継ぐもの
シュテフエン・ファンマイアー監督、17才の少年ークリストアー・パオリーニ“ドラゴンライダー3部作”の第1部が原作、 エドワード・スベリーアス、ジェレミー・アイアンズ出演。 15歳の少年エラゴンは、ある日、森の中で光を放つ青い石を見つける。 その石こそは、世界の命運を握るドラゴンの卵だった! 卵からかえったドラゴン・サフィラを密かに育て始めたエラゴンは、邪悪な王が放った魔物に叔父を殺され、自らの運命を悟る。 彼はかって偉大な力を持ち、国を守っていた伝説の種族、ドラゴンライダーとして選ばれたのだった…。 ベストセラー・フアンタジーの映画化。

敬愛なるベートーヴェン
アニエスカ・ホランド監督、エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、マシュー・グード出演。 19世紀のウイーン、“第九交響曲”の初演4日前。ベトーヴェンはまだ合唱パートを完成させていなかった。 途方に暮れたベトーヴェンはひとりの女性写譜師・アンナを雇うことに。 尊敬する巨匠の傍で傑作の誕生を手伝うことのできる幸せに喜ぶ彼女は、 同時に天才ゆえの傲慢さに隠れた、ベートーヴェンの孤独な人生の苦悩も垣間見ることになるのだった。 そしてアンナのおかげで無事迎えた“第九”初演の日、耳の不自由さで満足に指揮棒を振れないことを心配したベートーヴェンは、 アンナに「舞台袖で自分のテンポの合図を送ってほしい」と懇願するのだった…。 耳の聞こえない悲劇の「楽聖」と呼ばれ、生涯に渡り愛を成就できなかった孤独な音楽家の狂気と苦悩を描いた作品。 ベートーヴエンとアンナの音楽に対する愛が満ち溢れています。

硫黄島からの手紙
クリント・イーストウッド監督、渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬亮、中村獅童出演。 1945年2月19日、米軍の侵攻で激しい攻防を繰り広げ、戦力の差から5日で米国勝利に終わると思われていた硫黄島戦。 ところが、この戦いを36日間にも及ぶ長期戦に持ち込んだ人物がいました。 陸軍中将、栗林忠道。アメリカ留学の経験を持つ彼は、誰よりも米軍との戦いの厳しさを熟知していたため、島中に約30キロのトンネルを張り巡らし、 5千の洞窟とトーチカを蜂の巣のように結んで、そこから米軍を狙う防衛戦術に出ます。 硫黄の臭いが立ち込める中、暑さと戦いながら掘り進められた地下要塞が、上陸した3万人もの米軍を迎え撃ったのです。 栗林中将自身による書簡集“「玉砕総指揮官」の絵手紙”を元に、 彼の人物像を浮かび上がらせた本作は、地中に埋め込まれた手紙の束が発見されるシーンから始まります。 「父親たちの星条旗」に続き、米国と日本双方の視点から激戦を描いた「硫黄島」2部作の第2弾です。 必見の価値あり。

王の男
イ・ジュンイク監督、カム・ウソン、チョン・ジニョン、イ・ジュンギ、カン・ソンヨン出演。 固い友情で結ばれたチャンセンとコンギルは、超一流の芸人を目指して都へやって来た。 国で一番大きな舞台である大広場で、史上最大の暴君と恐れられる王ヨンサングンと、元芸者の妾ノクスの関係を面白おかしく皮肉った芝居を演じる。 チャンセンの達者な芸とコンギルの美しさが大評判となり、2人はたちまち民衆の大スターになるが、王を侮辱した罪で死刑を宣告されてしまう。 しかし、彼らの素晴らしい芸は王にも認められ、ついに最下層の身分から、宮廷芸人にのしあがった! 果たして、2人の運命は?実在した宮廷のスキャンダルと下層芸人のど根性のすごさが見事に描かれています。

パプリカ
「千年女優」「東京ゴッドファーザー」の今敏監督、筒井康隆原作、林原めぐみ、江守徹・声。 千葉敦子は精神医療総合研究所に勤める若きサイコ・セラピスト。 彼女が携わっているのは最先端のテクノロジーを精神医療の臨床に応用する研究だ。 クールな美貌と鋭い知性を兼ね備えた彼女は、セラピストとしての腕も優秀で、所長の島寅太郎も彼女には厚い信頼を寄せている。 奇想天外の発想と予想をつかせない筋立てで最後までドンドンと引っ張っていきます。

武士の一分
山田洋次監督、藤沢周平原作、木村拓哉、壇れい、笹野高史、坂東三津五郎出演。 三村新之丞は、最愛の妻、加世とつつましく暮らす、海坂藩の下級武士。 「早めに隠居して、子供がたに剣を教えたい」、見果てぬ夢を語りながらも笑いのたえない新之丞の平和な日々は、藩主の毒見役をつとめて失明した日から暗転する。 そんな彼をさらに絶望の淵に追い詰めたのは、妻への疑惑。 最高のスタッフ、最高のキャスト、最高のセット、完成された映画というのはコレだと言える作品です。

エンロン
1985年の設立以来、エネルギー業界の規制緩和の波に乗り、急成長を遂げた巨大企業「エンロン」。 しかし2001年、エンロンと子会社との癒着問題を報じたウォールストリート・ジャーナル紙の記事がきっかけとなり、株価が大暴落。 その後、粉飾会計、不正経理、不正取引などが次々と明るみに出、その報道からわずか46日後には破綻に追い込まれた。 負債総額2兆円、失業者は2万人にも登るといわれ、今世紀最大の企業破綻と騒がれた。 エンロンに投資した投資家や従業員は巨額の資産を失った一方で、最高経営責任者らは大量の株を売り抜け、インサイダー取引により証券取引委員会の訴追を受けた。 ライブドアをはじめとする企業スキャンダルで激震が始まったばかりの日本にとっても、対岸の火では済まされない多くの問題点を見出すことのできる作品です。 アレックス・ギブニー監督、ピーター・コヨーテーナレーション。

ありがとう
万田邦敏監督、平山譲原作、赤井英和、田中好子出演。1995年1月17日未明、震度6の激しい揺れが、神戸一帯を襲った。 古市氏は神戸市鷹取商店街でカメラ屋の店主をしていた時に被災し、家も、財産も失った。 がもともと地元消防団のボランティア活動をしていた古市氏は街の復興に奔走する一方で自らプロゴルファーを志し、 還暦を目前にしてプロテストU合格するという快挙をやってのける。 「還暦ルーキー」古市忠夫氏を主人公としたノンフィクション作品です。

そうかもしれない
保坂延彦監督・脚本、耕治人原作、雪村いづみ、桂春団治出演。穏やかな晩年を迎えようとする老夫婦。 ある日妻の認知症が発覚し、夫はショックを受けながらも事実を受け入れる。 だが、そんな彼も病に倒れ、二人は特別養護施設と病院と、別々に暮らすことに…。実話に基づく夫婦愛と感動の私小説の映画化。

手紙
生野滋郎監督、東野圭吾原作、山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ出演。自分の学費のために殺人をしてしまった兄。 兄の存在がある限り、自分の人生はマイナスのまま…。愛する人ができた今、獄中の兄の存在と兄から届く手紙は邪魔なだけ。 幸せを得るためには手紙を断ち切らないといけない。できるのか?絆を断ち切り、自分だけが幸せになれるのか。 魂を揺さぶられ、涙なしでは見られない感動作です。是非観てください。

麦の穂をゆらす風
ケン・ローチ監督、キリアン・マーフィー主演。1920年、緑深きアイルランド。 医師になる将来を捨て、兄とともにイギリス支配からの独立を求める戦いに身を投じる青年デミアン。戦いは終わり、ついにイギリスは独立を認める。 しかし今度は、アイルランド人同志が敵味方になる内戦が始まり、デミアンと兄、そして恋人シネードとの絆をも引き裂いていく…。 それは、今も世界のどこかで繰り返されつづけている悲しみ。 「過去について真実を語れたなら、私たちは現実についても真実を語ることができる」−ケン・ローチ監督の弁は重く、強い。

椿山課長の七日間
河野圭太監督、浅田次郎原作、西田敏行、伊藤美咲、成宮寛貴出演。勤務先のデパートで脳溢血のため突然死した椿山課長。 遣り残した仕事や家族…あまりに未練がありすぎてこれじゃ死んでも死に切れない!三日間だけ現世に戻ることを許された椿山は、 正体がばれないように生前の姿とは似ても似つかない絶世の美女となってよみがえる。 「あの世」から「この世」に舞い戻った椿山は、家族の秘密と親子の深い愛情、そして秘められた想いを初めて知るのだった。 奇想天外だが、結構面白い映画です。

ナチョリブレ 覆面の神様
ジャレード・ヘス監督、ジャック・ブラック出演。教会の修道院で育てられたナチョは、問題児がそのまま大人になったような男。 何をやっても上手くいかない日々を過ごしていた。ところがある日、偶然目にした「新人チャドール(レスラー)求む!」のチラシが彼の人生を変える…。 マスクを被ろう、そして自分自身を変えるんだ!修道院を救うため、涙をマスクで隠し、リングに挑む。 彼は自由の戦士“ナチョ・リブレ”! メキシコの伝説的レスラー、フライ・トルメンタの実話を元に映画化。 なんだか大笑いしてしまう愉快な作品です。

父親たちの星条旗
クリント・イーストウッド監督、ライアン・フイッリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチ出演。 1954年海軍の衛生兵として硫黄島の戦いに赴き、激戦を戦い、そこで撮られた1枚の写真によってアメリカ中から“英雄”と讃えられた男ジョン"ドグ"ブラッドリー。 しかし彼は、その後の人生の中で硫黄島について家族にひと言も語ろうとせず、ひたすら沈黙を押し通した。 原作は彼の息子ジェイムズ・ブラットリ。「“硫黄島”の戦いだけでなく、帰国した兵士たちがあの死闘から受けた影響を追っています。 彼らは戦時公債用の資金集めのために都合よく利用されました。戦闘そのものと、帰国後の宣伝活動の両方が彼らの心を深く傷つけたのです」との監督の弁が胸に響きます。 優れた映画だと思います。

三池 終わらない炭鉱の物語
三池炭鉱は1873年に明治政府の官営となり16年後の89年に三井に払い下げられた。 坑道は有明海の下に迷路のように延びた。 明治時代の囚人を使った掘削や、戦時中の外国人強制労働、「総資本対総労働」といわれた1959年から60年にかけての三池争議、 死者458人を出した63年の炭じん爆発など、歴史の暗部も記録映像と関係者へのインタビューでたどる。 「地元でも炭鉱を=負の遺産=という人がいる。思いは分かるが、歴史の事実を消し去ってはいけないと思った」 「100年以上にわたって、数えきれない人たちが働いてきた足跡を見つめないと未来につながらない。そんな思いを込めた」 熊谷博子監督の思いがストレートに伝わってきます。七芸にて上映。

トンマッコルへようこそ
パク・クァンヒョン監督、久石譲音楽、シン・ハギュン、チョン・ジェヨン、カン・ヘジョン出演。 朝鮮戦争のさなか、山深いトンマッコルで北と南そして、連合軍の兵士が偶然にも鉢合わせしてしまう。 彼らは純粋な村人たちの優しさに触れ、それぞれの立場を超えて心の交流が生まれていくのだが…。 フアンタジックな描き方ですが、人間賛歌、平和への祈念が豊かに現れています。韓国で大ヒットしています。日本ではどうでしょうか。

ザ・センチネル 陰謀の星条旗
クラーク・ジョンソン監督、マイケル・ダグラス、キーファー・サザーランド、キム・ベイシンガー出演。 緊密かつ強固な体制でアメリカ大統領警護の任務に当たるシークレットサービスに、もし大統領暗殺計画の内通者がいたら…。 そんな危機的な状況に挑む2人の男を描く。今日のアメリカで実際に起こりうるようなサスペンスアクション映画。

チーズとうじ虫
加藤治代監督。母親の看病のために故郷に帰ってきた加藤治代は、母親の病気が治る軌跡を信じ、撮影を始めます。 そこでカメラに収められたのは、限られた命を精一杯生きる母と、高齢の祖母との何気ない日常風景でした。 母親の死後、肝心なものが何ひとつ撮れなかったという空白感から、思い出をたどる祖母と自身の心情を記録していきます。 チーズが発酵するように、ゆっくりと穏やかに伝わる、新しいドキュメンタリー映画です。自分自身の日常生活を見直す気分になりました。

ワールド・トレード・センター
オリバー・ストーン監督、ニコラス・ケイジ、マイケル・ベーニヤ出演。 2001年9月11日午前8時40分過ぎ。 あるはずのない旅客機の機影がマンハッタン上空を横切った。 やがて起こる巨大な地響きーニューヨークのシンボルともいえる2つのタワー、世界貿易センター北棟にアメリカン11便が、 そしてユナイテッド175便が南棟に激突した。 港湾局警察官のジョン・マクローソンとウイル・ヒメノは同僚とともに現場に急行。 ビルの内部へ遭難者の救出に向かう。そのとき、再び起こる轟音ービル全体が崩壊を始めたのだ。 奇跡的に生き残った2人だったが、瓦礫の下敷きになって身動きすら取れなくなってしまう…。希望を捨てず救出されるまでの実話。

ブラック・ダリア
ブライアン・デ・パルマ監督、ジェイムズ・エルロイ原作、ジョシュ・ハートネット、スカーレット・ヨハンソン、アーロン・エッカート、 ヒラリー・スワンク、ミア・ガージュナー出演。 1947年ロサンゼルス、ダウンタウンの空き地で、死体を腰で切断された女の惨殺死体が見つかった。 被害者は女優志願の女。世界一有名な死体になった彼女を、人は「ブラック・ダリア」と呼んだ。 ロサンゼルス暗黒史第1部、センセーショナルな猟奇殺人事件をめぐって展開するドラマ。 刑事役二人の強さと弱さ、ヨハンソンの美しさ、ガージュナーの哀しさ、成り上がりの家族の醜さが克明に描かれています。 音楽も不気味です。

旅の贈りもの
原田昌樹監督、櫻井淳子、徳永英明、多岐川華子、太平シロー、大滝秀治、細川俊之出演。 偶数月の第3金曜日にだけ深夜の0時に大阪駅を出る夜行列車。 そんな奇妙な列車に、恋人の浮気やリストラで傷ついた男女が何かに導かれるように乗り込む。 やがて,彼らは風町という田舎にたどり着く。5人の男女が旅を通じて、抱えていた心の傷を癒す姿を、西日本の美しい風景とともに描く。 優しく、どこか懐かしい作品です。

記憶の棘
ジョナサン・グレイザー監督・脚本、ニコール・キッドマン、キャメロン・ブライト、ダニー・ヒューストン出演。 夫ショーンの死から10年。恋人ジョゼフとの結婚を決意したアナ。 ある日、母親の誕生パーティを開いていると見知ら少年が乱入してくる。彼はアナをつかまえるや、自分はショーンの生まれ変わりだと告白する。 「輪廻」をめぐって、心のひだを深く描いています。自分自身の死、誕生についても考えさせる映画です。

レディ・イン・ザ・ウォーター
ナイト・シャラマン監督・脚本、ポール・ジアマッテイ、プラレス・ダラス・ハワード出演。 監督自身の子供たちに書いた物語を映画化。ひとりの男が世間から身を潜めてアパートに暮らす。 その男が出会った女性ストーリー。 恐ろしい怪物につけ狙われていた彼女は別世界に暮らす精霊であり自分を助けることが現実世界の救済になるとアパートの住人たちに語り始める。 寓話に富むミステリーの世界を描く。

カポーティ
ベネット・ミラー監督、フィリップ・シーモア・ホフマン、キヤサリン・キーナー、クリス・クーパー出演。 アメリカの作家カーポーティが現代文学の名作「冷血」を完成させるまでを描く。 ベストセラー小説「ティファニーで朝食を」で人気作家となったカポーティは、新聞に掲載された殺人事件の小さな記事を見つける。 興味を覚えた彼は拘留中の犯人と接触、自分と似た境遇に育った彼と心を通わせてゆく。 殺人犯ペリー・スミスとカポーティの複雑な人間性との交流と対決が鋭く描かれている。

母たちの村
ウスマン・センベーヌ監督・脚本。フランス・セネガル制作。西アフリカの小さな村。 ある日、4人の少女が割礼を拒絶し、コレの元へ逃げてきた。コレが自分の娘に割礼を受けさせなかったことから、自分たちを保護してくれると思ったのだった。 だが、この一件を機に村は大騒動になる。 83才の「アフリカの映画の父」センベーヌの鮮烈で強烈なメッセージとユーモアがヒシヒシと伝わってくる映画です。

フラガール
李相日監督、松雪素子、豊川悦司、蒼井優、山崎静代、岸部一徳、富司純子出演。 1965年、閉山のピンチに陥った福島県の炭鉱町。そこで炭鉱会社は町の活性化のためにレジャ施設「常盤ハワイアンセンター」の設立を提案。 炭鉱娘たちにフラダンスを教えるため、東京からダンサーのまどかを呼ぶ。 「時代が大きく変わる中で、必死に生きる人たちのことを、色々な人たちに観てほしい」監督の思いがストレートに伝わってきます。

トランスアメリカ
ダンカン・タッカー監督、フェリシティ・ハフマン、ケヴィン・セガーズ出演。 ラスベガスで慎ましく暮らすブリー。男性であることに違和感を持ち、肉体的にも女性になる最期の手術を控えた彼女の前に、ある日突然トビーという少年が現れる。 トビーは17年前ブリーが"スタンリー"という男性だった頃に出来た実の息子だった。 二人は、ひょんなことからNYからLAへの大陸横断(トランスアメリカ)の旅に出ることになるのだが…。 アメリカが抱えるさまざまな問題の中で生きる親子の旅。 「やはり人間は自分を自分の責任において作り上げていくものなんだ」−−中野孝次という言葉が浮かんできました。 女優ハフマンの演技が見事です。

マッチポイント
ウディ・アレン監督・脚本、ジョナサン・リス=マイヤーズ、スカレット・ヨハンソン出演。 プロテニスプレイヤーを引退後、新しい人生を見出せないまま怠惰な暮らしを続けていたクリスは、トムとクロエという見るからに裕福な兄妹に出会う。 そしてクロエと恋人関係になった彼は、夢にまで見た上流階級へ成り上がるチャンスを得る。しかしトムの婚約者で 官能的な女性・ノラを紹介された事から運命の歯車が狂い始める。女か富か。 青年は欲望と野心の間で苦悩し、破滅する…。 意外な結末に隣の年配の女性が(見知らぬ人)が「こんなことは許されない」というつぶやきが印象的でした。

人形アニメーション・川本喜八郎・特集
「死者の書」原作・折口信夫。8世紀奈良の都。藤原南家の美しい郎女はひたすら蓮の糸で布を織り続ける。 生けるものと死せるものとの魂の交わりが織りなす美妙な幻想図。 長年の短編集も公開、「火宅」「旅」「アサヒビールCM集」「いばら姫またはねむり姫」「道成寺」「鬼」人形でしか描けない世界に挑戦。

紙屋悦子の青春
黒木和雄監督、松田正隆戯曲、原田知世、永瀬正敏、松岡俊介、本上まなみ、小林薫出演。 特攻基地のあった鹿児島県出水市を舞台に昭和20年の庶民生活を松田氏自身の母上をモデルとして描いた傑作戯曲を映画化。 戦争の記憶の風化が叫ばれる今、戦時下を生き抜く庶民の日常と生き残った者の心情を鮮烈に、かつ暖かく描き出した黒木監督の最後のメッセージ。

グエムル 漢江の怪物
ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ、ペ・ドウナ、パク・ヘイル、ピョン・ヒボン出演。「助けて、お父さん!」正体 不明の怪物がソウルのど真ん中に出現! 娘をさらわれた家族は、怪物を倒すことが出来るのか。 長男カンドウに扮するソン・ガンホーーまったく頼りにならない男が、娘を救うために勇敢な父親へと変貌していく姿を熱演ーその演技に脱帽。 韓国映画のど根性を又見ることが出来ました。是非見てください。

狩人と犬、最後の旅
ニコラス・ヴァニエ監督・脚本。カナダの雄大なユーコン川の山奥で、実際に狩人として生きる、 ノーマン・ウインターと愛犬たちの強い絆を描く感動のドキュメンタリー。 厳しくも美しい大自然の四季が素晴らしい。春はカヌーを漕ぎ、冬は犬ぞりを駆り、けものみちを歩き、自然と共有して旅する老狩人。 しかしこの旅も今年が最後だ…。 都会に住みなれた我々の想像を絶する生き方に息を呑みます。

UDON
本広克行監督、ユースケ・サンタマリア、小西真奈美、トータス松本、鈴木京香出演。 「世界を笑わせてやる!」と一流コメデイアンを夢見て単身NYに渡った松井香助が返し切れないほどの借金を抱え一度は捨てた故郷・香川に舞い戻ってくる。 製麺所を営み、日々黙々とうどんを打ち続ける頑固一徹な父親は「なにしに帰ってきた」とにべもない。 うどんブームが続くかどうかわかりませんがとにかく讃岐饂飩が食べたくなりました。

蟻の兵隊
池谷薫監督のドキュメンタリー。 敗戦後、軍名で中国・山西省に残留し国民党軍とともに内戦を戦った元日本兵・奥村和一(80)は、 軍命だったと認めない国に補償を求め裁判をたたかいます。 真相究明への奥村さんの執念と戦争と向き合う奥村さんの中国の旅を描きます。 「上官の命令に従い、蟻のようにただ黙々と戦った」兵隊の怒りと悲しみを正面から取り上げた作品です。 十三の第七芸にて上映中。

恋するトマト
脚本・制作総指揮・主演大地康夫、南部英夫監督、小檜山博「スコール」原作、フィリピンナンバー1女優アリス・デイクソン出演。 正男、45才。独身。霞ヶ浦に隣接する田園地帯に、年老いた両親と暮らし、田畑を耕し、食卓を囲む毎日を送る。 気が優しくて純朴だか、見合いのたびに断られ続けてきた。やむなくフィリピンバブで働くリバティと結婚するために、 結納金を手にフィリピンに渡ったが…。予測を超えた、土と水と太陽が育む、アジアンネイチャーな愛の物語。第七芸にて上映中。

森のリトル・ギャング
デイム・ジョンソン、キャリー・カークパトリック監督。冬眠から目覚めると、森の周りはヒトの町になっていた。 イタズラ好きのアライグマRJは森の仲間たちを誘い出し、美味しい食べ物いっぱいのヒトの町へ向かう。 人間の家から食料を奪う作戦を実行する。大人も楽しめるCGアニメーションです。

釣りバカ日誌17 あとは能登なれ、ハマとなれ
朝原雄三監督、おなじみのメンバーと石田ゆり子、大泉洋の出演。 30代バッイチ女性の恋をめぐる、ハマチャン、スーさん「釣りバカ」ファミリーの騒動。 能登を舞台にしっとりと描いてくれます。 寅さんの思いが伝わってくる恒例の映画に満席のお客様も私も満足顔で帰ってまいりました。

ゲド戦記
宮崎吾朗監督、アーシュラ・K・.ル=グウイン原作。西海域の果てに棲む竜が、突如、人間の世界に現れた。 そして、それと呼応するかのように、各地で作物が枯れ、家畜が倒れていく。世界の均衡が崩れつつあった。 災いの源を探るゲドは、旅の途中、国を捨てた王子アレンに出会う。 心に闇を持つ少年は、得体の知れない"影"に追われていた。 「内なる光と影」と「世界の均衡」の関係をテーマにしているが、この作品だけでは理解できないところがあるようです。

奇跡の夏
イム・テヒョン監督、バク・チビン、キム・ナムジン出演。 ある日突然、脳腫瘍と診断された少年と家族が周囲の人の温かい励ましに支えられての闘病記。 主人公はその弟。わがまま放題だった9歳の少年が、兄の病気がきっかけで、心優しい少年に成長していく。実話から映画化された作品です。

パイレーツ・オブ・カリビアンA
ゴア・ヴァービンスキー監督、ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ出演。 ジャックはブラックパール号の船長となるため、自らの魂を引き換えに、船乗りたちの最も恐れる「深海の悪霊」ディヴィ・ジョーンズと「血の契約」を交わした。 そして今、その"契約期間"は終わり、ジャックの魂を取り立てるため、巨大な闇の力が海底をうごめいていたのだ。 海のすごさと海賊への思い入れを表現しているこの人気絶頂映画は第三弾の予告編になっています。

時をかける少女
細田守監督、筒井康隆原作。高校2年生の紺野真琴は踏切事故をきっかけに時間を跳躍する能力を得る。 伯母の芳山和子に相談すると、それは「タイムリープ」といい年頃の女の子にはよくあることだという。過去に飛べる能力。 世界は私のもの!と思われたが、クラスメイトの男の生徒、間宮千昭や津田功介との関係に変化が…。 爽快な青春アニメーション映画にホッコリとした気分になります。

ココシリ
ルー・チュアン監督、チャン・レイ、デュオ・ブジェ出演。 海抜4700メートルに生息するチベットカモシカの密猟者たちと、カモシカを守ろうとするマウンテン・パトロール隊員たちとのぎりぎりのせめぎ合いが描かれています。 ガイは都会に住むジャーナリストで、この民間パトロール隊員たちの話を聞いて、彼らとの同行取材を申し出ます。 パトロールのリーダー、リータイは、最初、ガイを不審な目で見ますが、同行を許可しました。このガイの目を通して、苛酷な環境での密漁の実態と、 パトロール隊員たちの献身的な姿がわかってくるのです。 チベットカモシカは100万頭いたのに乱獲のため1万頭にまで激減しました。 密猟者たちはその毛皮を売るためですが、彼らは貧しく食い詰めていました。 そして主犯は何もせず、彼らからピンハネしているのです。 この作品は実話で、同行記者の記事がもとになっています。 それがきっかけで中国政府もカモシカの保護に本腰を入れることになりました。衝撃の作品です。

ブレイブストーリー
宮部みゆき原作、千明孝一監督。"扉"の向こうへ行けば運命を変えられる…。 バラバラになった家族を取り戻すために、扉を越え、現世から「幻界」へと旅立ったワタル。自分の願いをひとつ叶えたかっただけなのに、 その先に待っていたのは、世界崩壊の危機だった。 家族を取り戻すためなら何でもできると思っていた。 願いを叶えるためなら何でもしょうとここまで来た、でも…。 叶えられる願いはひとつだけ…。自分ならどうするか。 最期の問いが待っている。大人も十分楽しめるアニメ作品です。

ゆれる
西川美和監督、脚本、オダギリジョー、香川照之、真木よう子出演。 東京で成功した写真家・猛は地方で家業を継ぐ兄、そして幼なじみの智恵子とともに懐かしい渓谷へと足を伸ばす。 そこで起きたひとつの出来事、事故なのか事件なのか、その出来事をめぐって、弟と兄の人生が揺れ動く…。 兄弟の愛憎と葛藤の心理をハードボイルな手法で見事に描いています。

親密すぎるうちあけ話
「仕立て屋の恋」「髪結いの亭主」など官能的な愛の世界を描いてきたバトリス・ルコント監督の新作。 ある日、税理士ウイリアム(ファブリス・ルキーニ)の古い事務所に美しい女性アンナ(サンドリーヌ・ボネール)が訪ねてくる。 予約もしていないのに彼女は事務所の長いすに身を横たえ、自分と夫との関係を赤裸々に話し始めた。 ノックするドアを間違えたアンナは彼を精神分析医だと思いこんでいたのだ。 戸惑いながらも、アンナのカウンセリングを続けるウイリアム。 2人の心の中に相手に対する興味が徐々に芽生えていくが…。

ジャスミンの花開く
ホウ・ヨン監督、チャンツィイー、ジョアン・チエン、チアン・ウエン出演。 アジアの宝石、チャンツィイーが、30年代から80年代の上海を舞台に波乱の運命を三世代、一人三役で描く恋の物語。 恋するときめきと儚さ、幸せの瞬間と脆さの後に、命の尊さと自分らしく生きることをシットリト気づかせてくれる。 何といってもチャンツィイーが素晴らしい。

カーズ
ジョン・ラセター監督。 「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」「ファインデイング・ニモ」に続き、 車たちが人間と同じように生活をしている「クルマの世界」主役を務めるのは都会育ちの天才レーサー、マックイーン。 ある日彼が迷い込んだのは、不思議なクルマたちの平和に暮らす小さな田舎町でした‥。 シミジミとした「クルマ」たちの人情を描き出しています。

嫌われ松子の一生
中島哲也監督、山田宗樹原作、中谷美紀、瑛太、伊勢谷友介、香川照之出演。 昭和22年、福岡県でひとりの女の子が誕生した。お姫様のような人生を夢見る彼女の名は川尻松子。 教師になり爽やかな同僚とイイ感じになるも、セクハラ教師のせいで辞職に追いやられる。 ここから、松子の転落人生が坂を転がり落ちるがごとく、始まっていく。 愛を求める松子の前にはさまざまな男が現れるが、彼女の選択はことごとく不幸へとつながってしまうのだった。 53歳、河川敷で死体となって発見された彼女の生涯を探る甥が見たものは?  一歩の違いで踏み外し人生が待っていた、「何故?」松子の悲鳴が聞こえます。

佐賀のがぼいばあちゃん
倉内均監督、島田洋七原作、吉行和子、浅田美代子、工藤夕貴出演。 戦後まもない広島で、原爆症の父親を亡くし居酒屋で懸命に働く母に育てられていた明広は、 母の元を一人離れ、佐賀にある祖母の家で暮らすことになった。 夫の死後7人の子供を育て上げた祖母は、今も現役の掃除婦として働き、かなり古くなった家でひとり暮らしをしていた。 ばあちゃんと二人きりの貧乏暮らしだったが、大好きな母に心配させまいと明広は必死にがんばった。 「笑顔で生きんしやい」の祖母のかぼい流人生哲学が痛快だ。

ダ・ヴインチ・コード
ロン・パワード監督、ダン・ブラウン原作、トム・ハンクス、オドレイ・トトウ、ジャン・レノ出演。 閉館後のルーヴル美術館、ダ・ヴインチの「ウィトルウイクス的人体図」を模して横たわる館長の死体が発見された。 死体の周りに残された、不可解な暗号。 その中にはハーヴァード大学教授ラングドンの名前が‥。 ダ・ヴインチが名画に残した暗号とは?歴史の真実を話された2人は謎の扉を開けることができるのか。

NAGASAKI 1945 アンゼラスの鐘
有原誠治監督・脚本、ナレーター小林圭樹、カラーアニメーション映画。 1945年、美しいアンゼラスの鐘が時を告げる浦上天主堂の近くに建つ浦上第一病院は、市民にとって頼りになる存在でした。 病院に赴任してきた若き医師秋月振一郎は、誠実な人柄で患者や地域の人々の敬愛を得てゆきます。 8月9日11時2分、長崎上空で閃光がきらめき、一瞬にして人々は原爆に焼かれ、爆風に吹き飛ばされて犠牲となります。 アンゼラスの鐘も吹き飛び、瓦礫に埋もれます。奇跡的に助かった秋月と病院の人々は、 助け合い、広がる不可解な病魔とたたかいながら、必死の救護活動を続けるのでした。 ドイツのシュツットガルト・トリックフィルム国際映画祭で上映され反核アニメとして世界各国に広がって行こうとしています。 豊中では朝昼二回の上映で943名が鑑賞しました。

花よりもなお
是枝裕和監督・脚本、岡田准一、宮沢りえ、古田新太、国村隼出演。時は元禄15年。 仇討ちに藩が賞金を出していた時代。 主人公は、父の仇討ちのために信州松本から江戸に出てきた若い武士青木宗左衛門。 広い江戸で父の仇を探すこの男、じつは剣の腕がからきしダメときた。 貧しいながらも人情あふるる長屋で半年暮らすうち、あろうことか「仇討ちしない人生」もあると知ってしまった。 はたして宗左衛門、仇討ちするのか、しないのか??

不撓不屈
森川時久監督、高杉良原作、滝田栄、松坂慶子、三田村邦彦、中村梅雀出演。 税理士飯塚毅は、中小企業に健全経営と従業員への利益還元のための節税対策を勧めていた。 しかし、これを認めない国税局と衝突を繰り返し、ついに彼は訴訟を起こす。 敗訴すれば権威の失墜は免れない国税局による徹底的な嫌がらせを受け、絶体絶命の窮地に追い込まれながらも、飯塚は信念を貫き通す‥。

明日の記憶
堤幸彦監督、荻原浩原作、渡辺謙、樋口可南子、坂口憲二、吹石一恵、渡辺えり子、 大滝秀治出演。広告代理店に勤める佐伯雅行は、今年50歳になる、ありふれてはいるが 穏やかな幸せに満ちていた。そんな彼を突然襲う『若年性アルツハイマー病』。映画館はこの 病の可能性の大きさを感じている、年代の男女でほぼ満席。゛生きることの喜び、せつなさ、 そして素晴らしさ゛のシーンの連続に、身につまされて号泣。あなたはどのシーンで泣きますか。

ナミイと唄えば
本橋成一監督。ナミイこと新城浪、85歳。9歳で那覇のお座敷に身売りされて以来、唄と三味線 とともにある人生。そんなナミイが三線片手に旅に出た。お座敷時代の旧友との再会して歌い、与那国 で命を落とした女のために歌い、50年ぶりの台湾でハンセン病療養所の人たちとの歌遊び・・・。

間宮兄弟
監督・脚本・森田芳光、原作・江国香織、出演・佐々木内蔵之介、塚地武雄、常盤貴子、沢尻エリカ。 酒造メーカーに勤める引っ込み思案の兄・明信と、学校職員で情熱的過ぎる弟・徹信。 三十路を超えても2人で共同生活をしている間宮兄弟は女性に全くもてず、 「恰好悪い」「おたくっぽい」と言われて、ふられてばかり、 もはや恋愛は諦め、心安らかに生きることを誓った矢先に、二人に恋の予感が訪れる‥。 軽やかだが、楽しく、ユーモアたっぷりの作品です。

雪に願うこと
監督・根岸吉太郎、原作・鳴海章、出演・伊勢谷友介、佐藤浩市、小泉今日子、吹石一恵。 輓馬(ばんば)が重いソリを曳きながらきつい障害を2度越えていく、ばんえい競馬。 観るものは思わず引き込まれ、自分の人生を重ね合わせていく。 矢崎学は都会の虚栄に憧れ、一度ふるさとと家族を捨てた男。 その学が東京で挫折し、故郷で厩舎を営む兄・威夫と不器用に対峙する。 極寒の北海道、馬の吐く真っ白な息、13年ぶりに再会する母、厩舎の人たちとのふれあい‥。 厳しいながらもいのちに囲まれ、地に足をつけた暮らしの中で、学は自分の弱さを直視し、再生へのきっかけを掴んでいく −「やり直したい、まだやり直せる‥」。岩さん、今年度一押しの作品です。

グッドナイト、グッドラック
ジョージー・クルーニ監督、出演、デヴィット・マトラザーン、ロバート・ダウンJr出演。 1953年、米ソ冷戦下の米国にはマッカーシズム旋風が吹き荒れ、「共産主義者」のレッテルを貼られるとことは社会的な死を意味した。 自由が死のうとしている中、エド・マローと彼のスタッフは番組の中でマッカーシの虚偽と策謀の事実を報じることを決意する。 だが、彼らには圧力と罠、そして孤立が‥。 戦うものの地道な取材活動が淡々と、そして力強く描かれています。

ナイロビの蜂
フエルナンド・メイレレス監督、レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、出演、ジョン・ル・カレ原作。 ナイロビに勤務する英国外交官ジヤステインの元に妻、テッサが殺された知らせが‥。 疑念を抱いたジヤステインが調べを進めるうちに妻が暴こうとしていた恐るべき陰謀を知る。 そしてたどり着いた真相と哀しいほどに美しい妻の愛‥。 現地アフリカ、ケニアのロケーションが素晴らしい。テッサの行動力に感動。

レント
「ハリー・ポッター」のクロン・コロンバス監督、シヨナサン・ラーソン原作のミュージカルの映画化。 毎月の家賃(レント)も払えないような貧しき芸術家や恋人たちは、日々様様な問題に直面しているー犯罪、エイズ、ドラッグ、同性愛、友の死。 しかし、たとえ死と隣りあわせで懸命に行きぬくその姿は、バラエティ豊かなミュージカル・ナンバーに乗せられ、生き生きと描き出されている。 '96年の初上演から現在まで、ブロ-ドウェイから全世界で大ヒットした作品。

Vフォー・ヴエンデッタ
ジェームズ・マクティーグ監督、「マトリックス」のウォシャウススキー兄弟脚本。 独裁国家となった未来のイギリス。 仮面で正体を隠した「V」(ヒューゴ・ウィービング)は類まれなカリスマを持つ男。 彼に命を救われた若い女性エヴィー(ナタリー・ポートマン)は、 残虐で腐敗に満ちた社会に自由と正義を取り戻す「V」の計画に、加担していくが‥。 現代の世界状況をシビアに反映した作品。

家の鍵
ジャンニ・アメリオ監督。若き日に出産で恋人を失ったショックから、生まれてきた我が子をも手放してしまった父親、ジャンニ(キム・ロッシ・スチュアート)。 15年間の空白を経て、障害を持って生まれてきた自分の息子、パオロ(アンドレア・ロッシ)とであった。 彼はパオロをミュンヘンからベルリンのリハビリ施設へと送り届けることになった。 そんな旅先で、重度の障害を持つ娘を介護する女性、ニコール(シャーロット・ランブリング)と出会う。 「子供たちにとって問題なのは、病気ではなくて親よ」という彼女。 どんなことがあってもともに生きていく決意をすること。辛い中にも喜びのある体験をすること。それが愛。 ジャンニの中で息子への思いが溢れるように込み上げてくる・・・。しみじみとした思いが伝わってくる映画です。

ニューワールド
テレンス・マリック監督、コリン・ファレル、クオリアンカ・キルヒヤー、クリスチャン・ベール出演。 冒険家のジョン・スミスは、未知の世界で生き抜くためにネイティブの人々の助力を得る任務を負う。 やがて彼は、族長の娘、ポカタンスと出逢う。 勇気と希望に満ち溢れたスミスと、ピュアで情熱的なポカタンスは異なる言葉と文化の壁を越えたちまち恋におちる。 しかし、友好を結んだかに見えた開拓者たちと先住民の間に激しい衝突が起こり、2人の愛は引き裂かれてしまう‥。 延々と描かれる彼と彼女の展開には、なかなか着いていかれない長さの映画です。2時間16分。

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
トミー・リー・ジョーンズ監督・主演、バリー・ペッパー出演。アメリカとメキシコの国境地帯・テキサスの町で一人の男が銃弾に倒れた。 名はメルキアデス・エストラーダ。メキシコからの不法入国者だった。 親友のカウボーイ、ピート・パーキンズは彼の死因を突き止め、犯人である国境警備隊員マイク・ノートンを拉致し、共にメルキアデスとの約束を果たそうとする。 「俺が死んだら故郷ヒメネスに埋めてくれ」手書きの地図だけを手がかりに、ピートとマイク、そして死体となったメルキアデスは国境を越え、故郷ヒメネスを目指す。 自分の人生を生きる、「どうしても譲れないこと」を問うているのか。

Marines Go Home 辺野古 梅香里 矢臼別
藤本幸久監督。日本と韓国で米軍基地に反対する人々の戦いを映したドキュメンタリー。 北海道矢臼別で40年間、自衛隊演習場内に暮らし続ける川瀬さんたちや10年間も基地建設を阻止する沖縄県辺野古、 50年間米軍射撃演習場の存在に苦しみ、20年間の戦いで完全撤去させた韓国・梅香里の人々に迫る。 辺野古のおばあの「一つの種からでも」「一本の木からでも」「森は蘇る」。 「あなたの力は繋がれば戦争も止められる」の言葉は重い。十三・七芸にて上映中。

アイス・エイジ2
カルロス・サルダーニヤ監督。地球は温暖化が進み、氷河期が終わろうとしていた。 マンモスのマニー、サーベルタイガーのデイエゴ、ナマケモノのシドは、暖かくなった世界を満喫していたが彼等の身には大洪水という危機が間近に迫っていた。 CGアニメの続編。マンモスのマニーの恋が愛らしい。

タイフーン
「友へ/チング」のクアク・キョンテク監督。タイを拠点に海を荒らしまわる海賊シン(チャン・ドンゴン)。 彼が襲ったアメリカの船舶は核ミサイル用の衛星誘導装置を輸送中。 装置の行方によっては核戦争の危険も生じると韓国国家情報院が動きます。 特命を受けた海軍大尉カン・セジョン(イ・ジョンジェ)がシンと対決。 シンは二十年前に北朝鮮から亡命しょうとしたチェ・ジンギュ一家の末弟チェ・ミョンシンだと判明します。 一家は韓国に入国拒否され、シンと姉(イ・ミョン)を除く全員が落命していました。脱北難民の過酷な人生を描いた、スケールの大きな作品です。

寝ずの番
マキノ雅彦監督、中島らも原作、中井貴一、木村佳乃、堺正章、笹野高史、岸部一徳、長門裕之出演。 上方落語界の重鎮、笑満亭橋鶴は臨終のときを迎えようとしていた。 彼の最後の望みは"そ○が見たい"というもの。弟子たちは奔走し、なんとか希望を叶える。 師匠は亡くなり、通夜となるが、一番弟子やおかみさんまでが亡くなってしまう。 "洒落と粋"の世界が描かれることの少ない今、珍しくその世界が繰り広げられる。 四文字言葉満載の艶歌を木村佳乃、富司純子らの女優陣が大声で歌う様子は刺激たっぷり。 客席のわれらは抱腹絶倒の連続。学生時代のコンパは艶歌合戦の花盛りだったことを思い出しました。

春が来れば
リュ・ジャンハ監督・脚本、チェ・ミンシク、キム・ホジュン、チャン・シニョン出演。 交響楽団に入って名声を得る夢もかなわず中年になってしまったトランペッター。 愛する人を幸せにする自信もなく、不機嫌で頑なに生きる彼だが、とある炭鉱町の中学校で吹奏楽部の指導を始め、 人の心の温かさに触れるうち、彼自身も変わっていく。 「韓流」ドラマの中の韓国は夢の世界のようでしっくりしないが、これが「韓国独身男性」の真実の世界ではないかと思われ共感するところが多く、 ほろりとさせられる場面が秀逸です。なかなかに面白い作品です。

かもめ食堂
荻上直子監督、群ようこ原作、小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ出演。 フィンランド、ヘルシンキの街角に、おにぎりをメインとした食堂を開店したサチエ。 お客がまったく来ない、平穏な日々を過ごすサチエだったが、ワケありの日本女性ミドリとマサコと出会い、店の“改革”が始まる。 ユッタリとした気分満喫。にぎりめしが無性に食べたくなります。これは面白い。

白バラの祈り
1943年、ミュンヘン。ヒトラーの独裁政権末期の局面、ヒトラー政権を批判し打倒しょうとするグループが存在していた。 彼らは「白バラ」と呼ばれていた。その中の一人、ゾフィー・ショルは21歳のミュンヘン大学で青春を謳歌する女子大生だつたが、 白バラの活動中に逮捕され、たった5日間で処刑されるまでの間、決してナチスには屈しなかった。 誰しもが恐怖で身をすくめていた時代、彼女のどこにこれほどの勇気があったのか‥。マルク・ローテムント監督。

オペラ・ハット
1936年、フランク・キャプラ監督、ゲイリー・クーパー、ジーン・アーサー出演。 脂油工場を経営するディーズに、ある日突然2000万ドルの遺産が転がり込み、ディーズの周りはお金目当ての人たちが集まり大騒ぎに‥。 そこへ何とか記事にしょうと企む女性記者ベーブは、行き倒れを熱演し、ディーズに近づくことに成功。 しかし、ディーズがベーブに恋をして、予期せぬ事態に?! ゲイリー・クーパーが格好いい、最高のラブコメディ。

二人日和
野村恵一監督、藤村志保、栗塚明出演。京都の伝統ある神祇装束司を務める黒由は毎朝、神社の湧き水を汲みに行き、 その水で珈琲を入れて、妻と向き合う時間がもっとも大切な時間だった。 そんな何気ない時間を大切に45年間共に歩んでいたところに突然不幸が襲う。 妻が、不治の病というALS(筋萎縮性側索硬化症)に冒されていた。 落胆しながらも黒由は懸命に妻を支え、妻も夫に甘えながらも病気を受け止めていく。 周囲からは、二人の日常は変わらずに見えたが‥。 京都の四季折々の風景を織り交ぜながら、伝統の町屋で暮らす夫婦の日常と、その静かで純粋な愛のかたちが淡々と描かれています。

或る夜の出来事
1934年、フランク・キヤブラ監督。 ニューヨークの大銀行家の一人娘エリー(クローデット・コルベール)は、父親に黙ってパイロットと婚約してしまった。 怒った父親は、エリーをマイアミ港外の専用客船に軟禁した。 しかし、彼女は監視の目を盗んで逃げ出し、N.Y.行きの長距離バスに乗り、車中で失業中の新聞記者ピーター(クラーク・ゲーブル)と知り合う。 二人はバス旅行を続けるうちに、身分の差を乗り越えて恋に落ちる。コメディー・タッチの傑作ラブ・ストーリー。

力道山
ソン・ヘソン監督・脚本、ソル・ギョング、中谷美紀、藤竜也、萩原聖人、出演。 力道山は朝鮮北部の出身。最初は相撲界で「史上最強の横綱」を夢見ますが、朝鮮人であるがゆえに、いじめに遭い、大関昇進を阻まれます。 ある日、プロレスとであった彼は、渡米しレスラーへと転進する。 2年後には日本で初のプロレス興行を成功させ、ヒーローとして日本中を熱狂させるが、その人生は徐々に狂い始めていく。 力道山の生前、その出身は封印されたままであり、癒しがたい孤独を抱えた姿が浮かびます。 在日朝鮮人にとっての日本というものを静かに考えさせられます。

クラッシュ
ポール・ハギス監督・脚本。サンドラ・ブロック、ドン・チードル出演。ロサンゼルス、24時。 ハイウェイで起こった一件の自動車事故が思いもよらないクラッシュ"衝突"の連鎖反応を生み出し、さまざまな人々の運命を狂わせていく・・・。 刑事たち、自動車強盗、地方検事とその妻、TVディレクター、鍵屋とその娘、病院の受付嬢、雑貨屋の主人。 さまざまの人種ー白人、アフリカ系、イラン人、スペイン語系、中国人ーの彼らは予想もしない角度で交錯しながら、 愛を交わし、憎しみをぶつけ合い、悲しみの淵に立たされる。ロサンゼルスの36時間の中で沸騰する、彼らの怒り、哀しみ、憎しみ、 喜びは見るものにとって十分共感できる内容です。アカデミー作品賞にも頷けます。

プロミス
チェン・カイコー監督。望むものはすべて与えられるが、 真実の愛だけは永遠に得られないという王妃(セシリア・チャン)の運命に、大将軍(真田広之)、奴隷(チャン・ドンゴン)、 公爵(ニコラス・ツエー)という3人の男が果敢に挑戦する。 日本、韓国、香港を代表するトップスターがチェン・カイコーの想像力の世界に共演しています。

ナルニア国物語
アンドリュー・アダムスン監督・脚本、C.S.ルイス原作。英国ファンタジーの2大傑作として、「指輪物語」とともに人気の小説を映画化。 第二次世界大戦下のイギリス、ロンドンの空襲を逃れ、田舎に住む教授の家にやってきたペベンシ家の4人兄妹。 ある日、末っ子のルーシーが空き部屋にある古い衣装ダンスにかけられていた毛皮のコートを押しのけると、そこは異世界だった。 全巻7巻からなる壮大なファンタジーシリーズの第一章 ライオンと魔女の始まり。夢とロマンが溢れていて、おっちゃんも満足しています。

燃ゆるとき
細野辰興監督、高杉良原作。即席カップ麺を主力製品とする食品会社<東輝水産>は、日本全国をマーケットとする大企業に成長し、 アメリカにも進出していた。しかしアメリカでのカップ麺の売り上げは、安価なアジア企業に押されて頭打ちとなる。 創業者である社長(津川雅彦)と、現地法人の社長(鹿賀丈史)の厚い信頼を支えに単身渡米した資材営業担当(中井貴一)は、 言葉の壁に不安を抱きながらも工場再生に着手。 旧態に凝り固まった古株の社員と対立する中、アメリカ人の嗜好に会う新製品の開発、工場のスピードアップ化、新規オイルの導入など、 次から次へと忙しい日々を過ごすことになる‥。 アメリカと日本の生き方の違い、会社に対する考え方の違い、セクハラなどの問題にたいする態度の違いをのり超えていく日本人経営陣の違いが興味深い。

僕が9歳だったころ
コン・イノ監督、ウイ・ギチョル原作。1970年代の田舎の小学校。 喧嘩が強く、心の優しいヨミンはみんなのヒーロー。親友のギジョンと女友達のグムギクと一緒に楽しい毎日を送っていた。 ところがヨミンのクラスにウリムというかわいい女の子が転向してきてからというもの、仲良しグループに変化が。 ヨミンに思いを寄せるグムボクはウリムに対して敵対心をあらわにする。 そうとは知らずウリムに一目惚れしたヨミンはかのじょに手紙を送るのだが‥。 子供たちの純朴な演技がみずみずしく、自分の子供時代に再会した気分になります。 懐かしい故郷に帰ってきた思いがします。 竹のものさしで生徒の頭を叩きまわる先生はわれわれの小学生、中学生時代に必ずおりましたネ。

ミュンヘン
スティーヴン・スピルバーグ監督。1972年9月、ドイツ・ミュンヘン。 オリンピック開催中の選手村に、パレスチナゲリラ「ブラック・セプテンバー」が侵入。 イスラエル人の選手・コーチなど計11人を殺害する事件が起きる。 イスラエルのゴルダ、メイア首相は報復を決意。 秘密情報機関「モサド」の一員、アヴナー(エリック・バナ)をリーダーに選出し、テロの首謀者であるとみられるパレスチナ人11人の暗殺を計画する‥。 復讐という名の人殺し、復習の先に平和は本当におとづれるのだろうか。 全世界にスピルバーグは問いかけています。

ホテル・ルワンダ
舞台は1994年のルワンダ。長年続いていた民族間の争いが大虐殺に発展し、100日で100万もの罪なき人々が惨殺される。世界中が この悲劇を黙殺する中、四つ星ホテルに勤める支配人ポールは行き場のない人々をホテルにかくまいはじめる。頼りになるのはホテルマンとして 培った話術と機転のみ。虐殺者たちを懐柔し、翻弄し、時には脅しながら、彼はたったひとりで避難民たちの命を守りぬいた・・・。家族を守ること だけを考えていた一人の父親が、1200人を救うヒーローへと飛躍する軌跡の過程を描いた実話である。恐ろしい実態を無くする為に何をすれば よいのかと考えさせられるすぐれた映画です。テリー・ジョージ監督・脚本、ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス 出演。是非見てください。梅田ガーデンにて上映中。

ビッグ・スウィンドル!
チェ・ドンフン監督・脚本、パク・シニャン、ヨム・ジョンア、イ・ムンシク出演。「大いなる詐欺」の意味。 出所したてのチャンヒョクはビッグプロジェクトを伝説の詐欺師キム先生に持ちかけた。 狙いは史上最大規模の韓国銀行横領詐欺。そして揃ったのは一癖もふた癖もある辣腕の詐欺師が5人。 緻密な筋書きの天才で二枚舌のチャンヒョク。 裏社会のゴットファーザーキム先生、博識で口先から生まれたようなオルメ。 狙った女は百発百中の女キラーツバメ。そして職人技というべき偽造技術をもつガソリン。役者は揃った!目的は一つ! だが彼らはそれぞれ別の下心を抱いていた。そして作戦は実行され成功したかのように見えたが、みんなはバラバラになり、カネも消えてしまった。 カネは何処へ?! 全くスキのない完璧な計画に一体何が起こったのか?梅田ガーデンシネマにて上映中。これは面白い。

オリバー・ツイスト
ロマン・ポランスキー監督、チャールズ・デイケンズ原作、バーニー・クラーク、ベン・キングズレー出演。 養育院で育った孤児オリバー・ツイストは9歳になり、自分が生まれた救貧院へ戻された。 そこでの生活は、粗末な食事しか与えられず、他の子供たちと麻屑作りに従事するという過酷なものだった。 やがて10歳になったオリバーは、葬儀屋に引き取られることになった。 しかし、そこを飛び出して、「ロンドンまで70マイル」という標識を支えにロンドンへ向かうが‥。 19世紀のロンドンを舞台に、天涯孤独の少年がまっすぐに、純粋に生きていく姿をイキイキと描き出しています。

フライトプラン
ロベルト・ミュヴェンケ監督、ジョデイ・フオスター、ショーン・ビーン出演。 ベルリン空港、航空機設計士のカイルは、夫の事故死により、その棺と共に娘ジュリアと自分が設計した飛行機に乗り込む。 機内に着くと、今までの疲れが一気に出たのか、カイルはジュリアと共に熟睡。 ふと目を覚ますとジュリアがいない。機内のいたるところを探すが娘の姿はどこにも見当たらない。 しかも、乗客、乗務員、全員がジュリアを見ておらず、乗客名簿にも名前がないという‥。 娘を見失ったときの悲痛な不安、ジュディが細やかに、そして緊迫した演技で我々に迫ってきます。

ある子供
「息子のまなざし」のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督、ジェレミー・レニエ、デホラ・フランソワ出演。20歳のブリュノ。 毎日、仲間と盗みをして暮らしている。恋人はソニア、18歳。ある日、ふたりの間に子供ができる。 だが、ブリュノには実感がない。盗んだカメラを売りさばくように、ブリュノは子供を売ってしまう。 ショックを受け、倒れるソニア。ブリュノは自分の犯してしまった過ちに気づくのだが‥。 ひったくりの最中仲間の少年を助ける場面からブリュノは大人になることを決心していったのではないだろうか。 成長していく若者の可能性を厳しく、暖かな視点で見事に描き出しています。

単騎、千里を走る
長年の夢であったチャン・イーモウ監督と高倉健の共同映画製作が実現。 疎遠になった息子が死の床にあると知った父親が、息子の交わした約束を代わりに果たすため、単身中国に渡るという物語。 親と子の情感と感情、人間と人間の交流を雲南の美しい映像、地方劇を通じて描き出しています。 「ヒーロー」などの活劇を作る前からこの映画の構想は作られていたようです。 高倉健は「君よ、憤怒の川を渡れで」中国全土に知られている名優、憧れの人であったようです。

有頂天ホテル
三谷幸喜監督・脚本、役所公司、松たか子、戸田恵子出演。 大晦日、カウントパーティまであと数時間となった都内の高級ホテルアバンティでは、職員を総動員してパーティ準備に取りかかっていた。 ホテル内では次々に問題が発生。 副支配人の新堂とアシスタントマネージャーの矢部が対応に追われる中、このホテルで新年を迎えるため、次々に宿泊客たちがやってくる。 汚職議員、大物演歌歌手、会社社長、コールガールなどなど‥。 無事に新年を迎えることができるのか。人気作家の作品に映画館は結構な入りでありました。

博士の愛した数式
「雨あがる」「阿弥陀堂だより」の小泉尭史監督・脚本、小川洋子原作、寺尾聡、深津絵里出演。 10年前に交通事故にあい、記憶がたった80分しか持たなくなってしまった天才数学博士。 彼のもとへ家政婦として派遣されたシングルマザーの杏子は、毎日「初対面の人」としか認識されず、毎日同じ会話を繰り返す。 だが、彼女に10歳の息子がいると知った博士は、1人で留守番させるのは心配だと少年と毎日一緒にご飯を食べ、宿題をし、野球をするようになるのだが‥。 数学の楽しさ、生きることの意味をしみじみと教えられる作品です。

プライドと偏見
ジョー・ライト監督、ジェーン・オースティン「高慢と偏見」原作、キーラ・ナイトレン出演。 舞台は、女性に財産相続権がなかった18世紀末の英国上流社会。 結婚で人生のすべてが決まるといった時代の物語。 娘たちの婿探しに躍起になっている母、泰然自若とした態度で家族を見守る父と暮らすベネット家の5人姉妹が理想の相手を探す家庭が描がれる。 キーラ・ナイトレイは現代にも通じる意志の強い知的な次女エリザベス役を生き生きと演じている。 男のプライドは高すぎ、女の偏見が恋のジヤマをするイギリス上流社会の恋愛事情がよく分かります。

スタンドアップ
「クジラの島の少女」のニキ・カーロ監督・脚本、ノンフィクション「North Country」原作、シャーリーズ・セロン、フランシス・マグドーマンド 出演。1989年、ミネソタ。夫のDVから逃れるため、二人の子供を連れて故郷に戻ってきたシングルマザー。寒々と凍る広大で殺風景な 鉱山の町で家族を養うため、彼女は父と同じ職場ー鉄鋼山に就職する。底には女性の職場進出を快く思わない男たちの嫌がらせが 横行していた・・・。あらゆる困難から裁判に訴えていく姿が描かれていきます。逆境の中でも幸せを掴むチャンスは誰にでもあるー"立ち 上がる"ことによって、このメッセージがストレートに伝わってくる映画です。

天空の草原のナンサ
「らくだの涙」のビヤンバスレン・ダバー監督・脚本。モンゴルの草原に暮らす遊牧民の家族の物語。6歳の長女ナンサは母親に頼まれて 一人でお手伝いに出かけ、寄り道をしたほら穴でかわいい子犬を見つけた。ナンサはその犬をツォーホルと名付け、家に連れ帰るが、父親は オオカミの仲間かもしれないと言って、飼うことを許してくれない。遊牧民の少女と子犬のさわやかで愛しい物語。こころ癒されます。

男たちの大和
佐藤純弥監督・脚本、辺見じゅん原作、反町隆史、中村獅童、鈴木京香、仲代達矢出演。昭和19年2月、まだ15歳の神尾たち 特別年少兵は、戦艦大和に乗り込む。その威容(全長263m、幅38、9m、乗務員3000余名)に感動したのもつかの間、すぐに厳しい 訓練が始まった。そんな彼らの前に魅力的な尊敬できる上官が現れる。内田二兵曹と森脇二主曹だ・・・。全く味方のいない「水上特攻」 に向かい、無念の死を迎えた若者たち3000余命、生き残ったのは270余名。この戦争は何であったのか。描く視線は徹底して下士官たち。 そして、ごく一般人である遺族たちの想いに向けられており、゛亡き魂への鎮魂歌゛となっている。

わたしの季節
滋賀県野洲市にある第二びわこ学園に3年間もの歳月をかけて取材し、完成したドキュメンタリー。びわこ学園は1963年、西日本で 最初に開設された医療と教育の機能を持つ重度心身障害者(者)施設。第二びわこ学園が設立されたのは3年後の1966年。123人 が生活する第二びわこ学園、ここでは123通りの1日がある。約40年前、みんながまだ幼かった頃、びわこ学園は設立された。そして、 時が流れた今、当時からいる者たちは年を重ね、顔にはしわがより、頭髪には白髪が・・・。また、学園で生活する彼らの家族たちにも 季節はめぐってくる。厳しい現実の中で彼らは生きていく。小松茂監督。第七芸術劇場にて上映中。

歓びを歌にのせて
ダニエル・ダレウスは天才指揮者として世界的に活躍していたが、体力を消耗し、ある日倒れてしまう。 体力的にも精神的にも限界を感じた彼は突然すべてを捨て、幼少時代を過ごしたスウェーデン北部の小さな村、ユースオーケルに帰郷、 廃校となった母校の小学校を買い取り、そこに住むことにした。 ある日ダニエルは、牧師から、村の小さな教会の聖歌隊の指揮を頼まれる。 聖歌隊員はそれぞれさまざまな問題を抱えていた・・・。 聖歌隊員の生活の実態と音楽の素晴らしさ、人間ドラマとしても面白い。 ケイ・ボラック監督・脚本。