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■□水処理倶楽部通信■□ 第191号 2005/05/16(月)■□ 
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△△水処理の情報交換と交流誌△△編集発行:通信編集委員会 
  【発行ページ】http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club/
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    目  次
      ★ お知らせ、
      ★ オフの集まりの連絡
      ★ 長峰の雑談はみ出しコーナー:ミドリムシで水処理
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■■ お知らせ ■■

●「長峰の雑談はみ出しコーナー」は、ミドリムシの水処理活用の可能性です。
 面白いことをやっている人がいるもんですね。しかも、楽しそうで可能性があ
りそうです。通信184号のつづきです。
●山下亨著『現代のトイレ事情〜災害・イベント編』についての感想やご意見を
引き続き求めています。
しつこいようですが、大事なことなのでもう少し続けます。
まだまだ投稿を受けつけます。感想やご意見をよろしくお願いします。
投稿の送り先は、
      soiland@mb.neweb.ne.jp または、
      attaka@haginet.ne.jp でお願いします。
その際、サブジェクト(メールタイトル、件名)に
「現代のトイレ事情」と入れていただけると助かります。(へ)       

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■■ オフの集まりの連絡です(再掲載です)   ■■ 

水処理倶楽部では、オフの集いを下記のように予定しています。
ご参加ください。
参加希望者は、メールにて事前にご連絡下さい。
(詳細を連絡します。日時は変更の可能性もあります)
サブジェクト(件名)に「水処理オフ」と入れていただくと助かります。

 ●中国地方 へちまや(安藤) 
  日時:5月22日(日)
  場所:山口県阿武町福賀 あったか村
  趣旨:ゆっくりのんびり情報交換など、読者、家族の参加も歓迎
 ★現在4名以上参加希望者があり、成立しそうです。
  
 ●関東地方 連絡先:佐々木さん 
  日時:5月26日(木)〜27日(金)のいずれか
  場所:環境展の会場内にて
  趣旨:出展されている方、会場に出向いた方。ついでとはいえ、結構充実し
     た話ができるものです。(過去の経験から)  
   環境展の詳しいことは、こちらからご覧ください。
   http://www.nippo.co.jp/n-expo005/env.htm
    5月24日(火)〜27日(金) 東京ビッグサイト

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■■ 長峰の雑談はみ出しコーナー ■■

    ミドリムシで水処理 その2
         (184号からのつづき) 長峰 孝文
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 前回書いたように、こんなに変わったおもしろい生物ですから、ミドリムシは、
長い間様々な研究の対象とされてきました。動物と植物が合わさった細胞の中の
代謝はどうなっているのだろう、葉緑体は細胞の中でどんな形でどこに配置され
ているのだろう、光に向かっていく機構はどうなっているのだろう、他の生物に
比べて紫外線や放射線にとても強いのはなぜだろう、などなど。長い研究の中で、
人間が作りだした他の生物がいない環境で継続的に培養できる(これを純粋培養
と呼びます)ミドリムシが環境中から採られたことは、これらの研究にとって幸
いなことでした。というのも、ミドリムシのような単細胞の動物を原生動物と呼
びますが、原生動物の純粋培養は非常に難しく、あまたある原生動物の中で、こ
れが可能になっているものはごく限られたもののみだからです。

活性汚泥の中にも様々な原生動物がいますが、純粋培養できているのはテトラヒ
メナくらい、いや、テトラヒメナも餌となる細菌との供培養だったか? とにか
くそのくらい少ないのです。この理由には、要求する栄養素が不明だったり、粒
子状のものしか食べなかったり、数十回の分裂後に接合(下段にて解説します)
しないと分裂が止まってしまったりと、様々なことが考えられます。昔、すぐ横
で純粋培養に挑んでいた研究者を見、私もちょっとだけ手伝った経験があるので、
分離培養に要する苦労と、培養できない限り報われない厳しさをよく知っていま
す。

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【解説】接合とは、自分と少し違う遺伝子を持つ個体とくっついて、遺伝子を交
換しあう原生動物に見られる現象です。人間が受精卵から何回か分裂して大人に
なり、結婚して2人の遺伝子が合わさって子供ができるのと似たようなものでし
ょうか。私は今まで、ミドリムシの他に、細菌の供培ですが26年以上培養し続
けている原生動物をあつかったことがあります。どちらも接合しているところを
観察されたことはありません。どちらも長い間研究されたにもかかわらずです。
私は後者の原生動物について、新しい個体の1細胞を環境から分離して、その増
殖培養を試みましたが、いずれも数十回の分裂で止まってしまってうまくいきま
せんでした。このような経験から、接合せずに分裂し続ける、この2つの原生動
物たちは、たまたま分離した個体が、人間で言うところの癌化したような細胞な
のではないか? と思っています。私が勝手にそう思っているだけですが・・・
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 研究者が、そんな苦労してまでして、純粋培養を試みるのはなぜでしょうか。
それは、その原生動物が何を食べ、何を排泄するのか、どんな酵素を持っている
のかといったことを調べるときに、一緒に他の生物がいたのでは、誰が食べたの
か、排泄したのか、酵素を持っていたのかが判然としないためです。また、世界
中の研究者が別々の個体で研究しているのでは、人間の顔と同じように個性があ
りますから、お互いの結果を合わせて考察することが困難な部分が発生します。
ミドリムシは、たまたま採れた純粋培養できる個体が、世界中に広がったことで、
飛躍的な研究の進歩を遂げることができました。この成果は、日本語でも「ユー
グレナ」としてまとめられています。この本と、大阪府大の中野教授、そしてユ
ーグレナ研究会のおかげで、私は3年でミドリムシに首までどっぷり、とまでは
いかないまでも、足首くらいまで浸かることができました。本当にありがたいで
す。

ミドリムシに対する、こういった知的好奇心の研究が積み重ねられていく中で、
産業への応用を目指す研究もなされました。特別な生物であるミドリムシだから、
食べると何かいいことがあるかもしれない、という動機だったかどうかは分かり
ませんが、そのような研究によって高血圧を改善する効果などが見いだされまし
た。しかし、私は、このようなスペシャルな機能よりも、タンパク質の多さ、ア
ミノ酸組成の良さ(下段にて解説します)、ビタミンB6の多さがすばらしいと思
います。なぜなら、体の基本となる栄養素をバランスよく食べ、余分な栄養素を
なるべく食べないことが、体に良い食事であり、高血圧や慢性病を防止し、健康
的に過ごせる寿命を延ばす確実な方法だと考えているからです。近年の栄養学は、
過去の貧しい時代に研究が進められた「不足する栄養素を食べなさい」というも
のから、現在の飽食の時代の「よけいなものを食べるな」というものに変わって
きています。ミドリムシは、良い食料になると考えられており、産業廃棄物を餌
としたミドリムシの生産や、宇宙空間での食料生産に向けた研究がなされていま
す。

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【解説】アミノ酸は20種類あって、これが様々な順番で一列につながることで、
タンパク質ができています。タンパク質は、食べたものを消化したり、消化した
ものからエネルギ−を取り出したり、体の部品を作ったり、体の部品そのものだ
ったりと、生物にはなくてはならないものです。こんなに大切なタンパク質の原
料であるアミノ酸なのに、人間を含めた高等動物は、20種類の全てを自分で作
れなかったり、作れたとしても体が必要とする量ができなかったりします。こう
いうアミノ酸を必須アミノ酸と呼び、食べ物として摂取しなければなりません。
必須アミノ酸は、成人の人間の場合、9種類、子供なら10種類もあります。こ
の中で特に不足しがちなアミノ酸がメチオニンやリジンです。なぜ不足しやすい
かというと、タンパク質はあらゆる生物に含まれていますが、生物によって含ま
れているアミノ酸の比率が違うためです。植物のタンパク質は、人間にとってメ
チオニンやリジンが不足しやすいので、これを補うために、肉や牛乳がよい食べ
物になるわけです。ミドリムシは動物なので、アミノ酸組成が人間に近いのです。
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 ミドリムシが食料として注目されるのは、栄養素だけではありません。前回書
いたように、ミドリムシの体は硬い細胞壁を持ちません。ミドリムシの体の表面
は、タンパク質が鎖かたびらのように連なったもので覆われています。このおか
げで、ミドリムシはグニュグニュできるのです。幸いにも、そのタンパク質は、
髪の毛のような硬いタンパク質ではないので、私たちの胃袋の中で、牛肉と同じ
ように、簡単に消化できてしまいます(ミドリムシにとっては不幸ですが)。こ
の点も、ミドリムシの良さの1つです。光合成をする微生物で有名なのはクロレ
ラです。クロレラを食品にするときに問題となったのが、硬くて消化しにくい細
胞壁だったのです。ちなみに、最近話題になったスピリルナは、細胞壁が薄いの
で消化が良いようです。

ミドリムシは、ビタミンB6を好んで食べ、体の中に蓄積することから、し尿の嫌
気消化汚水から、ビタミンB6を回収する研究もされました。本稿のその1で、ミ
ドリムシは植物でもあるので「無機の栄養素と光さえあれば生きていけます」と
書きましたが、実は、それはウソで、ビタミンB1とB6は合成できないため、これ
を食べなくては増殖できないのです。とは言うものの、嫌気消化したような汚水
の中には、ミドリムシにとって十分な量のビタミンB1とB6が含まれていますし、
先に書いたように、せっせと体にため込むので、これらがない環境になっても、
しばらくは増殖できます。自然の中で、ビタミンB1とB6を合成する必要がなかっ
たために、合成しなくなったのでしょう。さて、ビタミンB6を回収する研究の結
果は、残念ながらコスト的に見合わなかったようです。これは、培養技術の問題
と、ビタミンB6しか回収しようとしなかったことによる結果だと、私は考えてい
ます。

こんなミドリムシですから、すでに産業化されている分野があります。それは、
魚の餌の餌です(打ち間違いではありません)。魚の稚魚を育てるときの餌にワ
ムシが使われています。ワムシは、原生動物よりもちょっと大きいかな?くらい
の大きさですが、多細胞生物で、原生動物よりも複雑な体をもっています。ワム
シは、活性汚泥の中にも、その仲間を見ることができます。このワムシの養殖に
餌として原生動物が必要なのですが、ミドリムシをワムシの餌とした場合、他の
原生動物で養殖したワムシよりも、食べた魚の稚魚の健康状態が良いことが明ら
かにされました。現在は、ミドリムシで養殖したワムシが販売されるようになり、
ミドリムシも大量に培養されるようになっています。

もう一つあります。ミドリムシは、健康食品として長い人気を保っているDHAを作
ります。でも、ほんのちょびっとです。ところが、培養液にDHAを入れると、どん
どん食べて体の中にため込んで、あっという間に自然のカプセルができあがるの
です。DHAは、空気中の酸素にふれると酸化されてだめになってしまうので、保存
の難しい物質です。これがミドリムシの中では、酸化されにくくなるようです。
ミドリムシは、良いアミノ酸を含んだ消化が良い保存カプセルになるわけです。
数年前に、マグロの頭にDHAがたくさん含まれていることが話題になりました。実
はマグロはDHAを作ることができません。マグロがため込んだDHAの源は、食物連
鎖の少なくとも動物性プランクトンが食べるものよりも前の生物のようです。つ
まり、人工的に培養した原生動物を食べて増えたワムシを食べて大きくなった魚
は、DHAが少ないのです。DHA入りミドリムシは、DHAを豊富に含んだ魚を養殖でき
るので、高い価値があるのです。このミドリムシは、さらに、人の健康食品とし
ての販売も始まりつつあります。

私が取り組んでいるのは、メタン発酵の後に残る消化液を、ミドリムシで浄化し
ようとするものです。メタン発酵は、ふん尿や生ゴミから積極的にエネルギーを
回収する技術です。見方を変えると、微生物が利用できるエネルギー源であるBOD
の一部をエネルギーとして取る技術だともいえます。つまり、汚水の浄化という
側面から見ると、メタン発酵は、ふん尿や生ゴミを含む汚水のBODを除去している
ことになります。ところが、窒素とリンは、ほぼ全量がそのまま残ってしまいま
す。しかも、窒素の約半分がアンモニアになっています。浄化槽をやっている人
ならば、浄化が難しい汚水だと、気づかれたことと思います。窒素やリンの除去
に、活性汚泥法、脱窒、生物学的脱リンといった、コストの安い手法を使うため
には、BOD源を大量に加えなくてはならないからです。つまり浄化に高いコストが
必要なのです。このために、消化液を浄化して放流することを前提としたメタン
発酵は、コスト的に、エネルギー収支的にも、見合わないことになってしまいま
す。最近になって、私の所属する研究所では、廃油をBOD源にして浄化する技術を
開発し、実証試験によって、この問題を解決できることを示しつつありますが、
日本にメタン発酵を普及するためには、さらに有効な技術が必要だと考えていま
す。そこでミドリムシです。

 これまで、つらつらと書いてきたことをつなぎ合わせれば、可能性が見えてき
ます。消化液には、ミドリムシが好んで利用するアンモニアやリン酸が豊富にあ
り、嫌気消化汚水なのでビタミンB1とB6も十分に含まれています。BODは、光があ
れば補えます。消化液にミドリムシを入れて光を当てれば、アンモニアとリン酸
がミドリムシに吸収されるので、浄化が進みます。さらに増えたミドリムシを魚
や家畜の餌にすれば大儲けでワッハッハ、というわけです。実際にコスト計算す
ると、大儲けとまではいきませんが、日本にメタン発酵を普及できる技術になり
そうです。現在、1m3程度の培養ができる試験装置を作りつつあるところです。
この成果をみなさんに紹介できる日を願いつつ、この雑談を終わります。

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【編集後記】最近、水処理倶楽部MLで「嫌気性処理について」「 嫌気槽におけ
る病原性大腸菌の死滅」が話題になりました。嫌気性処理の再評価をはじめよう
ということからやり取りがはじまりました。長峰さんのミドリムシ「雑談」も、
嫌気消化汚水との関係でも面白いですね。(へ) 
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