━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□水処理倶楽部通信■□ 第192号 2005/05/23(月)■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △△水処理の情報交換と交流誌△△編集発行:通信編集委員会 【発行ページ】http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目 次 ★ お知らせ ★ オフの集まりの連絡 ★ デンマーク研修旅行記 その8 〜リンコガス社(1)〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■ お知らせ ■■ ●しばらくの間、編集担当がへちまやさんから長峰に変わります。よろしくお 願いします。 ●中国地方オフ会は、どうだったのでしょうね。その内容は次号に紹介する予 定です。 ●今週は関東地方オフ会が予定されています。ふるって参加しましょう! ●デンマーク研修旅行記は、初めてのバイオガスプラント訪問です。 ●山下亨著『現代のトイレ事情〜災害・イベント編』について、いよいよ取り まとめに入ります。まだ投稿を受けつけますので、感想やご意見をよろしくお 願いします。 投稿の送り先は、 soiland@mb.neweb.ne.jp または、 attaka@haginet.ne.jp でお願いします。 その際、サブジェクト(メールタイトル、件名)に 「現代のトイレ事情」と入れていただけると助かります。(へ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■ オフの集まりの連絡です(再掲載です) ■■ 水処理倶楽部では、オフの集いを下記のように予定しています。 ご参加ください。 参加希望者は、メールにて事前にご連絡下さい。 (詳細を連絡します。日時は変更の可能性もあります) サブジェクト(件名)に「水処理オフ」と入れていただくと助かります。 ●関東地方 連絡先:佐々木さん日時:5月26日(木)〜27日(金)のいずれか 場所:環境展の会場内にて 趣旨:出展されている方、会場に出向いた方。ついでとはいえ、結構充実 した話ができるものです。(過去の経験から) 環境展の詳しいことは、こちらからご覧ください。 http://www.nippo.co.jp/n-expo005/env.htm 5月24日(火)〜27日(金) 東京ビッグサイト ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■ 水の旅 ■■ デンマーク研修旅行記 その8 〜リンコガス社(1)〜 長峰 孝文 ========================================= ニールセン教授の講義が一通り、参加者からの質問(質問の内容は前回に含 めて書きました)が終わったところで、ちょうど12時近くになっていました。 私たちは、教授とともに昼食を取ることになり、1階にある食堂に行きました。 明る〜い! 2階まで吹き抜けた天井、片側の壁から天井まで全面がガラス張 りとなった広い空間は、まるで野外のカフェテリアのようです。みんなでテー ブルといすを寄せ、全員が座れるようにしました。あ、暑い・・・。部屋自体 は快適な温度なのですが、快晴の空からじりじりと照らす太陽が熱い。しかも この温室は良くできているようで、ほとんど日陰がない。それまで単なるイン テリアだと思って気にもとめていなかった、そこかしこに置いてある巨大なビ ーチパラソルの意味が分かりました。これを集めて陰を作ろうということにな りました。お、重い・・・。2人がかりでなんとかズリズリと移動できるくら いの重さです。ようやく席の準備ができ、昼食を取ることができました。好き なものを取ってレジで精算する方式だったので、おいしそうだと思ったものを 食べたはずですが、何を食べたか覚えていないということは、あまりおいしく なかったということかな? 教授に別れを告げ、一行はバスに乗り込んで次の場所へと向かいました。相 変わらずの地平線まで続く広大な耕作地の中を1時間半ほど走ったところで、 右前方に大きな銀色のドームが現れました。私が初めて間近に見たバイオガス プラント、リンコガス社でした。バスから降りて事務所に入ると、プラントマ ネージャーのバヒル氏が出迎えてくれました。彼は、主にプラントの経営的な 側面について説明してくれました。 以下からは、説明してもらった内容を書いた後に、私の思ったことなどを分 けて書きます。 1.リンコガス社の経営 リンコガス社は、1988年に66戸の畜産農家が集まって設立され、19 90年に施設が稼働しました。加入を希望してくる農家が多すぎるために断っ ている状況で、設立当時に15万m3/年の家畜ふん尿の処理能力であったものを、 1999年に20万m3/年へと増やしています。 設立にかかった金額は3000万クローネ(5億7千万円)で、半分が国か らの補助金、半分が自治体などからの借入金となっています。設立時に国から 補助金を受けた代わりに、施設全体を研究者等にオープンにしています。収入 は50%が売電、25%が温水販売、25%がふん尿や廃棄物の受け入れ金か ら得ています。今後は売電の収益を増やし、受け入れ金を減らしていきたいと 考えているそうです。全体の収支は、ほぼ同等の状態を保っているとのことで す。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 このバイオガスプラントそのものがリンコガス社ということです。前にも書 いたように、このような複数の畜産農家のふん尿を集めて操業しているプラン トを集中型バイオガスプラントと呼びます。日本では、このような複数の農家 を集めて運営する方式だと、加入している農家の数を維持することに多くの労 力を要すると思われますが、この会社では、逆に加入者が増加していました。 バイオガスプラント普及に国の政策的裏付けがあることって、こういうことな んだな、と思いました。電力販売が収入の半分にもなっているのも、国の補助 によるところが大きいです。 価格については、現地の通貨であるデンマーククローネと日本円に換算した 金額を併記することにします。旅行時の為替レートは1クローネ=約19円でし た。旅行中に感じた物価は、日本とほぼ同程度でしたから、このレートで換算 します。 デンマークのバイオガス補助政策について紹介しておきます。 今回の研修旅行中に受けた説明を総合すると、以下のような内容でした。デ ンマークでは、バイオガスなどの再生可能エネルギーによって発電した電気を、 電力会社に売ると、国から売った量に応じた金額、1kwhあたり0.27クロー ネ(5.13円)の補助金を受け取るようになっています。この補助金は、全 ての電力の販売に対して、あらかじめ一定の税金がかけてあり、これを財源と しています。デンマークでは、発電する会社と送電する会社が分かれているの で、送電会社が電力を購入して、各家庭や工場などに販売しています。送電会 社は、バイオガス、風力、石炭などといったエネルギー源に関係なく同一の価 格(販売する電力量と時間帯によっては違います)で購入するので、どのよう な発電をしているのかを気にせずに購入できるわけです。送電会社は、電線に 電機が流れてさえいれば、どっちの方向に流れていてもいいというスタンスだ そうです。 研修旅行が終わった後に、この研究旅行の参加していた人から、以下のよう な追加情報がありました。2001年に政権が交代したことによって、バイオ ガスプラントに対する補助政策が大きく変わっています。2003年からグリ ーン証書制というものが始まっていて、その内容は以下の通りです。 ・既存のバイオガスプラントは、 固定買取価格0.33クローネ/kwh+補助金0.27クローネ/kwh=0.6 クローネ/kwh(11.4円/kwh) を受け取ることができる。 ・2000年以降に新設したバイオガスプラントは、 固定買取価格0.5クローネ/kwh+グリーン証明書の販売代金0.1〜 0.27クローネ/kwh=0.6〜0.77クローネ/kwh(11.4〜 14.63円/kwh)を受け取ることができる。ただし、固定買取価格は10 年経過後に0.4クローネ/kwhに引き下げられ、その後についてはどうなる かまだ決まっていません。グリーン証明書の販売代金は、最低でも0.1ク ローネ/kwhが保障されています。 ・2008年以降に建設されたバイオガスプラントには補助金は出ません。 ということで、補助金に頼った計画では、バイオガスプラントを建設できな い状況に変わりつつあります。このようなことがあってか、この研修旅行では、 各バイオガスプラントメーカーが、海外への販売に力を入れていることを感じ ました。なお、バイオガスに対する補助政策は縮小の方向にありますが、これ はデンマーク政府がバイオガスを見限ったわけではありません。EU諸国では、 政策的に伸ばしたい産業に補助金を付けるけれども、産業が十分に育成された と考えられれば補助を縮小するのが一般的だからです。日本のようにだらだら と続けたりはしないのです。今でも、バイオガスは、デンマークにおけるエネ ルギー資源の1つであり、有機物質循環の要に位置づけられています。ニールセ ン教授の講義の最後にあったように、補助金ではなく人員による補助を推進し て行くようです。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 2.プラントの構成 施設内のふん尿貯蔵タンクは地下に埋設されており、1週間分の容量がありま す。ふん尿は、専用のタンクローリーを使い、各農家から回収しています。こ の作業は、月曜日から金曜日にかけて行い、月曜日の朝には貯蔵タンクがちょ うど空になるようにしています。これは休日がきちんと取れるようにするため でだそうです。 発酵方式は、最初は中温発酵でしたが、現在は高温発酵(52℃)になって います。1日に1回、消化液を排出して原料を投入する回分式です。発酵時間は 18時間です。発酵タンクの容量は2390m3で、1回に出し入れする量は 150m3だそうです。発酵タンクの後に後発酵をするタンクもあり、ここでも バイオガスを回収しています。 バイオガスはパイプラインを使って近隣の町まで送っていて、お湯と電気を 供給しています。この会社の従業員は7人で、プラントの維持管理や発電施設 の全てをこの人数でまかなっているそうです。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 貯蔵タンクが空になるようにしているのは、ふん尿を長期間貯めておくと、 そこで有機物の分解が起こってしまい、バイオガスの回収量が減ってしまうこ とを防ぐ意味もあるようです。また、長期間の貯留は、悪臭の原因にもなりま す。 発酵温度を高くしたのは、処理能力を増やすことが目的だと思います。高温 発酵にすると、病原菌対策にもなるので、これも目的にしていたのかもしれま せん。 発酵タンクの容積は2390m3とのことでしたが、このときにもらった資料 によると、滞留時間が12日となっていたので、150×12=1800が発 酵タンク内の液分の容積だと思われます。滞留時間は、普通ならば20〜30 日ですから、12日というのはとても短いです。おそらく、後発酵をしている ので、短くできているのだと思います。 後発酵とは、発酵タンクの次に、もう1回貯留タンクをもうけて、そこでも バイオガスを回収する方法です。発酵タンクでは、メタン菌を効率よく増殖さ せるために(メタン菌は増殖が遅い微生物なのです)、温度を一定に保ち、原 料を均一化するためのかく拌をしています。これに意外なほどエネルギーを消 費します。後発酵については、詳しい構造を知りませんが、加温やかく拌は行 っていないと思います。その代わりに、滞留時間を長く取ります。つまり、発 酵タンクでの滞留時間を短くすることによって、エネルギーのロスを少なくで きるわけです。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 リンコガス社の話はまだまだ続きますが、今回はここまでとします。 ***間違い訂正です*** 前の原稿に間違いを見つけてしまいましたの で、新たなコーナーを作りました。「その1」の最初の行、2004年は2003 年の間違いです。つまり、研究旅行に行ったのは2年前です。他にもあると思う ので、これは変じゃない?みたいなところがありましたら長峰 nagt@shirakawa.ne.jp までお知らせください。他にも、ここの意味が分からないんだけど・・・みた いなものも受け付けますので、よろしくお願いします。 @@@雑談モードです@@@ 水処理倶楽部MLで、嫌気処理が話題になっ ています。その中で、嫌気消化における病原菌対策について、今回のレポート で紹介すると書いちゃいましたが、そこまでたどり着けませんでした。m(_ _;;)m 次回には必ず書きます。といっても、たいした内容ではないですけど・・・。 今週1週間は、南九州地域の畜産農家を行脚します。最近の畜産は、いろいろな 病気が問題になっていて、病原菌を農家から別の農家へ運んでしまわないよう に、かなり気を使います。農家では、使い捨ての防疫服なるものを着るのです が、それが真っ白のつなぎなんです。(; ̄▽ ̄)┌ 大人数で行ったすると、 一頃はやった白装束集団のようになってしまいます。σ(^◇^;) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□水処理倶楽部通信 ■□水処理の情報交換と交流誌■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【お断り】このマガジンは正確さ・完璧さなど保証致しかねますので各自の 責任で確認のうえ、ご利用下さい。また本誌で知りえた情報による損害・ 紛争について一切関知しませんのであらかじめご承知下さい。 ◆配信所:まぐまぐID=0000019863 melma!ID=m00010669 その他の配信所は、配信を停止しました。 ◆登録・変更・解除、バックナンバー、ML、読者掲示板 http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club/ ◆発行:水処理倶楽部通信編集委員会 連絡・投稿先:長峰 nagt@shirakawa.ne.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【編集後記】水処理倶楽部MLで話題になった嫌気処理について、まとめて紹 介したいと思っています。(長)