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■□水処理倶楽部通信■□第196号 2005/06/20(月)■□
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△△水処理の情報交換と交流誌△△編集発行:通信編集委員会
 【発行ページ】http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club/
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    目  次
      ★ お知らせ
      ★ デンマーク研修旅行記 その9 〜リンコガス社(2)〜
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■■ お知らせ ■■
●デンマーク研修旅行記は、リンコガス社について、前回の「1.リンコガス
社の経営」と「2.プラントの構成」の続きです。

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■■ 水の旅 ■■
デンマーク研修旅行記
     その9 〜リンコガス社(2)〜
               長峰 孝文
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 前回に引き続いてリンコガス社です。

3.バイオガスの原料
 発酵槽への投入の75%が家畜ふん尿で、豚と牛が半々です。残りの25%
は有機性産廃です。家畜処理場、チーズ工場、牛乳処理場、マヨネーズ工場、
ドレッシング工場、マーガリン工場、魚加工処理場、ビール工場等の施設から
の廃棄物を受け入れています。薬品系の工場は、メタン発酵に適切でない成分
が含まれている可能性があるため、利用していません。

 畜産農家からのふん尿受け入れ金額は、1tあたり0.5クローネ(9.5円
)と非常に低価格で、ほとんど形だけの支払いです。農家は、設立当時に保証
人になってもらっていることが会社のメリットになっていることから、このよ
うな金額になっています。農家との距離は平均7.5kmで、この間を専用のタ
ンクローリー3台を使って回収しています。ふん尿の回収は、農家の規模に関
係なく1週間に1回行っています。これは、ふん尿を10日以上置くと、メタ
ン発酵が始まってしまい、その分のバイオガスが失われるためです。

 タンクローリーにふん尿を積み込むためには、専用の配管と接続装置が必要
なため、各農家に設置する必要があります。しかし、この装置には、ふん尿の
においが漏れないようにする意味もあります。

 タンクローリーとの接続装置の効果を、実際に体験することができました。
私たちが施設に着いた時に、ちょうどふん尿を貯留槽に排出している最中でし
た。全くにおいがしないというわけではありませんでしたが、日本でバキュー
ムカーがくみ取りをしている時に比べるとずっと少なかったです。バヒル氏に
よると、この程度のにおいはしかたがないとのことでした。この搬入作業が終
わると、ふん尿のにおいは全くしなくなりましたから、他に臭気が発生すると
ころはないようです。

 有機性産廃の受け入れ価格は、内容によって1tあたり0から400クローネ
(0〜7600円)の幅があり、平均すると100クローネ/t(1900円/
t)程度です。金額は、1tあたりのバイオガスの生産可能量で決まります。例
えば、マーガリンは、ふん尿の50倍のバイオガスを生産できるので、無料で
受け入れています。この施設での産廃の受け入れ金額は、政府が操業している
産廃処理施設の金額の4分の1程度に設定しています。産廃については、それ
ぞれの業者が施設まで運んでくるようにしています。

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 ニールセン教授の講義にあったco-digestion(ふん尿以外の有機物を原料に
使う技術)が使われていました。この技術によって、バイオガスの生産量が高
まった分の電力販売料と、産廃の受入金で収入が増加しています。

 9.5円/tという家畜ふん尿の受け入れ金額は、本当に安いです。日本で家
畜ふん尿を、固形分を堆肥化し、液分を浄化処理処理した場合の費用が500
0円/t程度ですし、ヒトの屎尿処理では、その数倍から10倍程度の費用をか
けています。まさに雲泥の違いです。もともと、デンマークでは、ふん尿は農
地還元という格安の方法で処理していますから、そのような価格設定になるの
でしょう。デンマークの豚肉をわざわざ日本まで運んでも、日本産の豚肉と大
差ない価格になってしまう理由の1つは、ここにあります。

 各農家までの距離が平均7.5kmと、こんなに広大な農地が広がっていると
ころにしては近いです。実は、これはとても重要なことで、この距離が遠いと、
手間がかかるだけでなく、バイオガスプラント全体のエネルギー収支がマイナ
スになりかねないのです。そんなことになると、いったい何のためにこんな処
理をしているのか分からなくなってしまいます。
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4.消化液の処理
 消化液は、畜産農家からふん尿を回収するときに、回収する量と同量の消化
液をタンクローリーに積んで行き、畜産農家に降ろしています。これでふん尿
分の消化液は排出できますが、産廃を受け入れた分の消化液が残ってしまいま
す。メタン発酵の過程では、体積の変化がほとんどないからです。この余剰分
は、周辺の耕種農家に無料で配布しています。生のふん尿スラリーよりも扱い
やすいので、好評を得ています。消化液の成分は、公的研究機関で常時分析し
てもらっており、成分は安定しています。

 消化液の貯蔵タンクは、バイオガスプラントから10km以内に設置するよう
に法律で定められています。これは、これ以上遠くまで消化液を輸送すると、
エネルギー収支的にマイナスになってしまう危険性が高くなるためです。
  1990年に、消化液を固液分離し、濃縮された肥料を生産する施設を導入
しました。しかし、コストがかかってしまったことと、技術的にも問題があっ
たっため、1993年にやめました。これらの問題が解決できていないため、
稼働させていませんが、研究は続けています。耕作地に散布する液肥の堆積を
10%減らすのを目標にしています。これによって家畜の飼育頭数を増やすこ
とが可能になる(デンマークのハーモニー・ルールによる)からです。

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 消化液を持っていって、ふん尿に詰め替えて戻ってくるというシステムによ
って、運搬にかかる手間やエネルギーのロスを押さえている点が、この施設の
大きな特徴と言えます。日本では、多くの場合、畜産農家と耕種農家が分離し
ているので、消化液の搬送先とふん尿の積み込み場所が、うまい具合に近くに
なるようにすることは困難だと思います。デンマークでは、もともとふん尿は
農地に散布することが前提になっていましたし、飼料の多くを周辺から得てい
るので、このようなシステムがうまく機能するのでしょう。飼料の多くを輸入
に頼りながら発展してきた日本の畜産では、このシステムを導入することは難
しいと思います。

 消化液の成分は、公的機関で分析して保証するようになっています。この辺
が公的なサポートの充実を感じさせるところです。固液分離などの消化液の成
分分離処理と、デンマークのハーモニー・ルールによる家畜使用頭数の増加に
ついては、後の訪問地にて詳しい話が出てきます。
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5.病原菌について
 このシステムには、病原菌を伝搬させてしまう危険性があるのではないかと
感じました。1つの畜産農家で発生した病原菌を、タンクローリーが別の農家
に運んでしまうかもしれないのです。メタン発酵を高温発酵に切り替えたので、
消化液の病原菌は死滅していると考えられます。しかし、ふん尿や消化液を排
出したタンクローリーのタンク内には、排出しきれなかったふん尿や消化液が、
少なからず残っているはずです。農家でふん尿を積み込むときに、ホースの接
続口やタンクからの排気によって、タンク内の病原菌を環境中に放出してしま
う可能性があります。その量は微量かもしれませんが、細菌の繁殖力を侮るこ
とはできません。

 そこでバヒル氏に、病原菌の対策はしているのか聞いてみました。すると、
「病原菌対策については、特別なことは何も行っていません。EUの基準書に従
った施設になっているので、病原菌については問題ないとされています。」と
の返事でした。ふん尿を排出した後にタンク内を洗浄するといったことはして
いないのかとも聞いてみましたが、やっていないとのことでした。

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 帰国してから、「EUの基準書に従った施設ならば病原菌については問題ない
」とするデータを、かなりしつこく探してみましたが、見つけることができま
せんでした。タンクローリーによる伝搬は、かなり希釈されているのでリスク
が低いということでしょうか。消化液には強い殺菌力があという説もあるので、
消化液を搬送中に病原菌が死滅している可能性もあります。しかし、北海道で
見た中温発酵のメタン発酵プラントでは、殺菌のために、消化液を75℃に加
熱する装置が付いているところがありました。外気温と同じ温度で消化液に殺
菌力があるのかどうか、判然としません。知り合いが、メタン発酵時に病原菌
がどうなるかの研究をしていますが、まだ、まとまった結果は出ていないよう
です。
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 今回はここまでにしたいと思います。リンコガス社の話は次回まで続きます。

@@@雑談モードです@@@  土曜日の夜に香取慎吾が司会をやっているス
マステーションをいつも見ています。先日のスマステにデンマークのことがち
ょこっとだけですが出ました。それは各国のお金の貯蓄方法の話で、「日本人
の多くは貯金だが、アメリカ、フランス、韓国などでは、株や投資信託で持っ
ている。一方、デンマークでは、貯蓄をほとんどしていない。」というもので
した。デンマークでは、老後の保障がしっかりしていることが、その背景にあ
ります。そのかわり、収入の半分が税金で持って行かれ、日本の消費税に相当
するものが25%もかかっているそうです。(@o@) それでも、税金の使い道に
納得しているので国民に不満はないとのことです。なるべく税金を取られない
ように努力するけど、税金がどんな使われ方をしているのかをあまり気にしな
い日本と対照的な感じがしました。

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◆発行:水処理倶楽部通信編集委員会
 連絡・投稿先:長峰 nagt@shirakawa.ne.jp
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【編集後記】焼酎飲み飲みの編集ですが、ふと、アルコール→→→脱窒!と思
うのは私だけでしょうか。(^^; 来月に’Three technologies to reduce the 
nitrogen emission from animal production’という演題を話すために中国に
行きます。おもしろいものがあったら「水の旅 中国編」になるかもしれませ
ん。(長)



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