━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□水処理倶楽部通信■□第199号 2005/07/11(月)■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △△水処理の情報交換と交流誌△△編集発行:通信編集委員会 【発行ページ】http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目 次 ★ お知らせ ★ デンマーク研修旅行記 その10 〜リンコガス社(3)〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■ お知らせ ■■ ●デンマーク研修旅行記は、リンコガス社第3回目です。水処理倶楽部のトッ プページにリンコガス社のパンフレットを掲載しています。今回の手記とあわ せて見ていただけると、施設の様子が分かりやすいと思います。 http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club ●このメルマガが、次号で200号を迎えます。これに向けての特集をやります。 読者の皆さんからの、あの記事は良かったとか、これからこんなメルマガにな ってほしいなど、ご意見、ご感想をお待ちしています。 連絡・投稿先:長峰 nagt@shirakawa.ne.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■ 水の旅 ■■ デンマーク研修旅行記 その10 〜リンコガス社(3)〜 長峰 孝文 ========================================= 前回の続きです。 5)バイオガスの利用 1660m3のバイオガスは、1tの燃料(ガソリンや 灯油)に相当します。この施設では、600万m3/年のバイオガスを生産してお り、7kmのパイプラインで人口3000人の町に送っています。町では、必要 とする温水の50%をバイオガスで得ており、残りの50%はウッドチップを 使用しています。お湯は1m3あたり0.25クローネ(4.75円)で販売し ています。パンフによると(デンマーク語なので読めませんが)温水プールみ たいなものもやっているようです。 町にはリンコガス社の発電施設があります。発動機はキャタピラ製で、19 90年に1000kwを1台設置し、1999年に1台増設しました。2年以内に、 さらに1台増設する予定です。すべての発電した電力は、1kwhあたり1.3ク ローネ(24.7円)で電力会社に売電しています。電力の販売価格は様々な ので、この金額は実績から算出した平均です。また、この金額には、グリーン エネルギーによる補助金が含まれています。発電した電力は全て販売していて、 バイオガスプラントで必要とする電力は、電気会社から購入しています。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お湯の販売料金4.75円/m3には、水の料金が含まれるのかは不明ですが、 含まれていないとしても安いです。お湯を水道のようにして供給しているのか、 タンクローリーで販売して回っているのか、はたまたガスを各家庭に送って個 別にわかしているのか、分かりません。ウッドチップもどのような使い方をし ているのか興味があるところです。お湯の全てを再生可能エネルギーでまかな っている町とはどんなところなのか、今にして思うと、その町も見たかったで す。 ガスをパイプラインで送るのも、結構エネルギーを要するようで、送圧装置 の置いてある部屋では、タービンの回るキーンという高音の大きな音がしてい ました。この圧だけで済んでいるのか、それとも、町に一端ため込むガスタン クがあるのかは分かりません。バイオガスプラントの敷地内には、圧縮したガ スをためておくためのガスタンクがありました。 発電施設は、町の方にあるので、見ることができませんでした。バイオガス による発電には、車のエンジンと同じような仕組みのレシプロエンジンと、ジ ェット機と同じような仕組みのガスタービンがあります。デンマークの他の施 設で見たものは、全てレシプロエンジンだったので、おそらくここもそうだと 思います。日本では、マイクロガスタービンを入れているところが結構ありま す。レシプロは、価格や維持コストが安いです。エネルギー回収率もレシプロ の方がいいかもしれません。一方、タービンは、排気ガスがきれいですし、騒 音が少ないです。 発電しているにもかかわらず、バイオガスプラントで必要とする電力を、電 気会社から購入しているのは、補助金の関係で、売る値段より買う値段の方が 安いためです。研修旅行の参加者の1人から、ドイツでは、本来、豚のふん尿 でメタン発酵させていたメタン発酵施設に、豚の餌を入れてガスの発生量を多 くしている農家があるという話を聞きました。つまり、餌を豚に与えて豚肉を 売るよりも、餌でバイオガスを作って発電した方が儲かるというのです。補助 金もそこまで行くと、何のためにやっているのか、よくわからなくなってしま います。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 6)施設の外観 バヒル氏の説明の後、施設内を見学しました。案内があっ たわけではなかったので、敷地内をうろうろしただけです。バヒル氏の説明を 受けた時にいた建物は、制御室などがあり、ガスのコンプレッサーなども設置 されていました。この建物以外は、どれもタンク状の形状で、どれが何やら分 かりませんでした。そこで、たまたま近くを歩いていた参加者のシステム系大 学教員S氏とコンサル会社A氏が、説明してくれました。親切に私の素人な質問 に丁寧に答えていただいて、本当に助かりました。 施設に入って、最初にあるのが、原料を貯留する半地下のタンクでした。こ のときに、私に知識があれば、有機性廃棄物の貯留施設などにも気が付いたの かもしれません。その右手に制御棟があり、その奥に、横25m、高さ6mくら いの横広な円筒形のタンクが3つありました。これがメタン発酵タンクです。 その奥には、掘り下げた土で土手を作り、シートを敷いて作った簡易な貯水槽 があり、臭気のない透明度の高い水が溜まっていました。洗浄や希釈のための 雨水かもしれないし、固液分離の試験などで出た処理水かもしれません。その 右手には、バスから最初に見えた、直径15mほどの銀色に光るドーム状のタン クがありました。これがバイオガスを貯留するガスホルダーと呼ばれるタンク です。そのタンクの横には、直径3m、高さ6mほどの円筒状の、他のタンクに 比べると小さめのタンクがありました。これは、バイオガスの脱硫装置です。 ニールセン教授の講義にあったように、メタン発酵では、メタンガスだけで なく炭酸ガスと少量の硫化水素とアンモニアが出ます。硫化水素は少量とあり ますが2000ppmほどあます。このままボイラーや発動機でバイオガスを燃焼 すると、機器を腐食したり、環境汚染の原因となる亜硫酸ガスが発生したりし ます。このため200ppm以下程度に下げる必要があるのです。バイオガスで使 われている脱硫には、化学的なものと生物的なものがあります。この施設では、 どちらであるか分かりませんでした。S氏によると、おそらく化学的な方法が安 定しているので、その方法だろうとのことでした。 この左手には、脱硫装置を横置きにした一見して高圧ガスタンクと分かる円 筒形を横倒しにしたタンクがありました。バイオガスがパイプラインに入る前 に、一度ここに貯留されるようになっているのか、それとも、プラントを立ち 上げるときに発酵槽を加熱したりする熱源が必要なので、そのためのものか、 もしかすると、タンクローリーの燃料がバイオガスで、そのためのタンクなの か。よくわかりません。 この先には、サーカスのテント小屋のような形状をした直径15m、高さ4m ほどの大きさのタンクがありました。これは、消化液を貯留しつつ、メタン発 酵もさせている貯留槽兼後発酵タンクです。このタンクのすぐ横には、消化液 をタンクローリーに積み込むための接続口がありました。ここまで来ると、私 たちは制御棟をほぼ一周していました。この消化液を積み込むところと、最初 に見た原料を排出するところが、ちょうど向かい合った位置関係になっており、 効率的に作業ができるようになっていました。 施設を一通り見て回った我ら一行は、再びバスに乗り込み、次の見学地へと 向かいました。バスは40分ほど走りました。途中、50頭ほどの放牧してい るホルスタインの群がいました。牛舎の大きさからして、この頭数程度の規模 の、おそらくデンマークでは小規模な酪農家のようです。緑の草原の中に白黒 の固まりがぽつぽつと座り込んで、ゆっくりと草を反芻している、何とも牧歌 的風景です。 バスは1つの農場へと入っていきました。そこは、ダンスクバイオガス社製 の個別型バイオガスプラントを設置している養豚場で、いろんな点ですごいと ころでした。ここの話は次回にしたいと思います。 @@@雑談モードです@@@ リンコガス社のプラント、敷地のほとんどが 白いコンクリートで固められていて、スペシャルにきれいなところでした。私 は仕事上、ふん尿処理施設を見る機会が多いのですが、敷地に入る前に長靴に 履き替えておけばよかった(;_;)と思ったことが何度もあります。見た目に乾燥 している地面でも、踏み込んでみると、くるぶしの辺りまでズブズブズブ・・ ・。私は日常的に編上安全靴を履いていますから(デンマークも安全靴で行き ました。空港の金属物チェックゲートで引っかかってしまうのが難です)、こ のような状況でも、まだ救われています。でも、その靴で車に乗ることができ ないので、結局長靴に履き替えて乗ることも度々。(^.^;; 電車で行ったとき には、帰りに靴の裏にウンチが残っていたらしく、乗り合わせた女子高生たち に「なんかくさくねぇ〜?」と騒がれ、冷や汗をかいたσ(^◇^;) こともあり ます。ちなみに、安全靴はDONKEL製(http://www.donkel.co.jp)を愛用してい ます。いろいろ履いた中で丈夫さの点でピカイチです。特に「耐油、耐薬品靴 」は、皮の表面の丈夫さがすごいですよ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□水処理倶楽部通信 ■□水処理の情報交換と交流誌■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【お断り】このマガジンは正確さ・完璧さなど保証致しかねますので各自の 責任で確認のうえ、ご利用下さい。また本誌で知りえた情報による損害・ 紛争について一切関知しませんのであらかじめご承知下さい。 ◆配信所:まぐまぐID=0000019863 melma!ID=m00010669 その他の配信所は、配信を停止しました。 ◆登録・変更・解除、バックナンバー、ML、読者掲示板 http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club/ ◆発行:水処理倶楽部通信編集委員会 連絡・投稿先:長峰 nagt@shirakawa.ne.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【編集後記】中国での発表では、英語でシクハクしました。もともと英語が大 の苦手なのに、汚水処理の分野に入って5年ほどしかたっていないこともあって、 汚水処理関係の英単語を全くといっていいほど知りませんでしたから。f^_^) 職場で私の横に座っている小川さんから、財団法人日本環境整備教育センタ ー編集の「浄化槽用語辞典」を借りることができたのは幸いでした。でも、こ の辞典によると、浄化槽はjoukasouだそうで、(; ̄▽ ̄)┌ 浄化にあたる英語 が思い当たらずにdigest(消化)ですましてしまいました。後で、きれいにし ているのだからpurifyでもいいのかな?と気づきましたが、本当は何と言うべ きなのでしょうね。(長)