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■□水処理倶楽部通信■□第210号 2005/10/03(月)■□
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△△水処理の情報交換と交流誌△△編集発行:通信編集委員会
 【発行ページ】http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club/
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    目  次
      ★ お知らせ
      ★ 高崎浄水場見学会の報告

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■■ お知らせ ■■
●「高崎浄水場見学会の報告」は、オフ会の報告に書きましたように、9月16日
に中本先生に高崎市の浄水場を案内していただいた報告です。

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■■ 高崎浄水場見学会の報告 ■■
              報告者 長峰
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高崎市に浄水場がいくつかありますが、生物浄化法は、剣崎と若田の2つのみで
す。この2つは隣接しており、これらを中本先生に案内していただきました。


【剣崎浄水場】
この浄水場は、明治43年に建設されました。建設当時から生物浄化法です。

沈殿池とろ過池の組み合わせが3系列、合計6つの池と、塩素消毒施設、並びに
貯水槽からなるシンプルな構成です。川から採取した水は、沈殿池とろ過池を通
り、塩素消毒されてから貯水槽を経て、各家庭に送り出されます。


2つの沈殿池と3つのろ過池は、建設当時のままで、掘り下げた粘土層の上に石
のブロックを配置しただけの簡単な構造です。しかし、石は見事に整形されてお
り、当時の浄水場に対する強い思い入れを感じました。深さは3〜4mほどで、壁
面は45℃くらいの傾斜が付いています。

沈殿池の1つは、間近に迫った宅地開発のために山の斜面を削ったために、漏水
する恐れがあるとのことから、コンクリート製の新しい漕に作り替えてありまし
た。中本先生は、「見学者を案内するときは、必ずここを案内しています」と言
うと、その新しい漕の一辺を、しゃがんで低い位置から見る動作をしました。同
じようにして見ると、漕はまっすぐでなく、中央が少し内側に膨らんでいるのが
分かりました。すぐ隣の古い方の漕は、同じようにして見ても、見事なくらいま
っすぐです。粘土層の上に石を並べただけなのに!

新しい漕は、壁面に傾斜をつけずに、垂直に立てた構造になっています。「少し
でも容積を増やそうという発想だが、素人施工ですね。」と先生。汚泥を排出す
るために水を抜くと、周りからの圧力で壁が内側に押し出されるために歪んでし
まったのです。

しかも、新しい沈殿池の向かい合わせの2辺には、銀色に光る配管が通してあり、
そこから30本近い分岐した配管が、水面から底の方に向かって入っています。
その水面は白く泡立っています。沈殿池なのにばっ気??? 壁と底の角の部分
に汚泥がたまりやすく、腐敗するために(スカムが浮いてくるのでしょう)、壁
面に沿って、散気管を並べて常時ばっ気する装置を後から追加したのだそうです。
まさに素人工法!! 畜産の分野でさえ、水槽の角にテーパーを付けることくら
い、当たり前になっているのですから。

近代工法の歪んでしまった漕の横にある、100年近く経っても歪まない漕。かた
やばっ気の動力を要し、かたや何も動力を必要としない。何とも象徴的な建造物
です。


沈殿池は、ろ過池よりも2mほど高くなっていて、自然流下でろ過池に流れ込む
ようになっています。沈殿池の方からろ過池を一望できます。右側のろ過池には、
数羽の水鳥が浮いていました。
「鳥がいても全く問題ありません。ニューヨーク州の緩速ろ過池では、すぐ横に
クリプトスポリジウムの感染源となる可能性がある牛が放牧されていても問題に
されていません。鳥インフルエンザウイルスも、ろ過池の微生物たちが食べてく
れます。」
風や水鳥たちがたてた小さなさざ波が、水面に映った木々や空を絵画的に変えて
いました。


沈殿池の水面の大きさは沈殿池と同程度で、水深は1.5mくらいです。砂の層は2m
ほどだそうです。

沈殿池の砂は、26日おきに表面を削る作業をしています。左側の沈殿池は削り取
ったばかり、真ん中が削ってから10日ほど、右側が20日ほど経ったものだそう
です。それぞれ面持ちが違っていました。

削ってすぐの漕は、底の白い砂に黒い筋が入っていました。これは、トンボを使
って削った後だとのことです。

真ん中の漕は、底が緑色の藻に覆われており、浮上した藻も少し見られました。
その中に15cmくらいの魚の死骸も浮いていました。そして、反対側には8cmく
らいの魚の死骸が沈んでいました。魚が川から入ってくるのだそうです。もちろ
ん、これも全く問題ないです。むしろ、魚を入れて積極的に藻を食べさせた方が
よいかもしれないとのことです。

どこかの雑誌に、汚濁物質を食べた微生物を食べる微生物、さらにそれを食べる
生物と、高次の生物にまで浄化に関与させるほど、汚泥の発生量が少なくなると、
環境研の稲森悠平氏が書いていたことを思い起こしました。

右側の、削ってから最も時間が経った漕は、水面の2割くらいが浮上した藻に覆
われ、底は、明らかに真ん中の漕よりも厚みのある藻で覆われていました。ここ
に水鳥がいたのもうなずけました。浮いた藻は、水面にラッパ状に開いたオーバ
ーフローの配水管に吸い込まれていました。この水は、そのまま河川に排出され
ているそうです。「本当は浄化して戻すべきなんでしょうね。」先生が言いました。
入ってきた水は河川の水。その汚濁物質を栄養にして増えた藻や微生物だから、
この施設に入ってきた水が、もし、そのまま河川を流れていたのならば、同じく
らいの藻や微生物が増えると考えていいわけです。私は、そのまま流してもいい
のではないかと思いました。でも、せっかくの資源だから、回収して有効活用で
きないかな?とも思いました。

私は、一番気になっていたことを聞いてみました。それは、上水道で問題になっ
ている毒産性藻類のことです。こんなに藻が生えていると、そういう藻がはえて
くることはないのか?
「それは代謝中間物質ですから、微生物が分解してしまいます。」
先生のあまりの即答に、私は逆に怪しく思ってしまいました。この疑問に限らず、
私が先生に聞いた疑問のほとんどは、「おいしい水のつくり方」に答えが書いて
ありました。この時点では、半分までしか読んでいなかった私は、しなくてもよ
かった質問をたくさんし、そのあげくに「ちょっと怪しい?」とまで思ってしま
いました。先生、すみません・・・。

家に帰ってから、その本の残りを読んで、つくづく思ったのは、いろんな人の質
問攻めを乗り越えてきた人なんだということでした。

微生物浄化法では、生物が代謝できるものは、すべて浄化できると考えていいよ
うです。ですから、逆にこれ以上分解できない状態でも私たちに害をなす物質は、
除去しきれない可能性があります。例えば、本ではバングラッシュでのヒ素を含
んだ水の浄化の場合、施設内のヒ素が蓄積してしまう問題があったようです。

各ろ過池の排水側には、排水の水圧を調節する機構がありました。中央と右側の
ろ過池は、建設後に改修されており、V字型の関の高さを上下することで、砂ろ
過層に対する水圧を調節するようになっていました。左側のろ過池は、恐らく建
設当時のままのものが残っていました。上向きの排水口にかぶせたふた(恐らく
そのような構造だろう)につないだひもの先を、地上の天秤のような装置の片端
につなげ、その反対側に、それに釣り合うよりも少しだけ軽い重しを乗せてあり
ます。その天秤が、完全にふたを閉じてしまわないように、木の角材を数枚挿ん
でありました。つまり、砂ろ過を通ってくる水の量が多いとき(川からの流入量
が多いときや砂のろ過速度が速いとき)には、排水口が大きく開き、逆の場合に
は排水口の開きを最小限にとどめておくという調節が自動的になされるようにな
っている訳です。新しい方のV字ノッチでは、砂ろ過を通る水の速度が遅くなっ
た場合に、人が調節しないと一時的に水流が止まってしまう可能性があります。

先生が言うには、「水流は倍くらいの増減があっても問題ない。問題となるのは、
急激な流速の変化と、水流が止まってしまうこと」だそうです。大雨などで、一
時的に川の濁度が高まることがあります。そうすると、砂ろ過層が詰まって流速
が低くなってしまいます。それでも、「排水側のバルブを触って、流量を多くす
るようなことはしてはならない」そうです。「バルブをいじらなければ、数日す
れば、微生物が濁りを分解して、流速は元に戻る。もし、バルブをいじって、流
速を高めるようなことをすると、濁り成分が砂ろ過層の奥まで入ってしまって、
分解されなくなってしまう。」とのことだそうです。私は、濁りの多くは無機物
だろうから、それを吸着した藻などが浮上して、オーバーフローに乗って排出さ
れることで、詰まりが解消される部分もあるのではないか?と思いました。


左側のろ過池が先生の調査対象になっているようで、排水側に高精度の濁度計が
付いていました。でも、ここが0以上の値を記録したことはないそうです。ここ
から学生が処理水を採水していました。

いよいよ、塩素消毒前の水の「自己責任の上での」味見のときがきました。小ジ
ョッキにつがれた水を、参加者で交互に飲みました。私は喉が渇いていたのもあ
って、ジョッキ一杯の水をすべて飲んでしまいました(嘘ではないですよ)。先
生に「どんな味ですか」と聞かれ、「カルシウムかマグネシウムの硬度が高いよ
うな感じがしますが、山の苔がたくさん生えたところからわき出した水のようで
す」と答えました。先生は納得できないような顔をしましたが、水を飲んでみて
「ここは砂を削ったばかりだから、まだ微生物が十分に機能できていないようで
す」と言いました。この水は、砂を削ったばかりの左側のろ過層から出た水なの
です。

私が現在住んでいるところは水質の悪いところですが、2年前まで住んでいたと
ころは、人口3000人ほどの山奥なのに、造り酒屋が2つもあるくらいの水質の
よいところでした。私が生まれ育ったところも、田舎の山麓の地下水がうまいと
ころでしたから、効き水には少しばかり自信がありました。おいしいと言ったの
に、先生は首をひねったことに納得できませんでした。

でも、K氏が持ってきた関東地域の水道水の入ったペットボトルの口を、自分の
口に持っていった瞬間に、自分の感覚がおかしい訳でないことを思い知りました。
私は、瞬間的に「うわっ!臭い!」と言って、その水を飲む以前に、ペットボト
ルを持った手を遠ざけました。本当に、塩素剤を入れすぎたプールの水のように
感じたのです。

この感覚は、ここの浄水場の水を飲んだ後の全員が感じたようでした。

K氏は、とっても準備がよくて、エビアン(だったけか?)も持ってきていまし
た。この水を飲んでみると、岩肌から湧き出てきた水の感じでした。一方、この
浄水場の水は、苔の生えたところから湧き出た水の味。

先生は、学生に指示して右側の砂を削ってから最も日が経っているろ過池から、
水を採取してくれました。この水は、先のものよりもずっと苔(藻?)の香りが
薄くなっていました。実は先生たちは、翌日の効き水パーティー用の水を採水に
来ていたそうで、学生はたくさんのペットボトルに、この水を汲んでいました。
私も、隠し持っていた空のペットボトルいっぱいに水を汲んでもらい、持ち帰り
ました。これは家内もおいしいと言っていましたし、焼酎の水割りもgoodでし
た。

いや〜すばらしい見学でした・・・って、これで終わりじゃないんです。つづく!


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【編集後記】この見学の前に農業環境工学関連7学会合同大会のために金沢に行
ってきました。3度目の金沢でしたが、初めてうまいものやいいものに出会えま
した。1つは、はくたかです。大宮から新幹線で越後湯沢まで行き、そこから特
急はくたかで金沢まで行きました。行も帰りも、驚くほど空いました。山間を縫
った路線から突然日本海に出て、親知不の海岸を抜けていきます。2時間半ほど
で、お酒2合ほどを飲んで一服したところで、ちょうど到着、という頃合いの良
さ。気に入りました。(長)





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