━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□水処理倶楽部通信■□第211号 2005/10/11(火)■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △△水処理の情報交換と交流誌△△編集発行:通信編集委員会 【発行ページ】http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目 次 ★ お知らせ ★ 高崎浄水場見学会の報告 その2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■ お知らせ ■■ ●「高崎浄水場見学会の報告 その2」 9月16日に中本先生に高崎市の浄水場 を案内していただいた報告、前回からの続きです。 ●2005年度農業施設学会国際シンポジウムの参加申込期限を延長したそうです。 詳しくは、下記のサイトをご覧ください。 http://www.sasj.org/meetings/2005eastasia/2005eastasia.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■ 高崎浄水場見学会の報告 その2 ■■ 報告者 長峰 ========================================= 砂を削ったばかりのきれいなろ過池を通った水よりも、削ってから20日ほど経 ち、藻が繁茂しているろ過池を通った水の方がおいしかったです。「ここでは、20 日経って、ようやく水がおいしくなった頃に、砂を削っています」中本先生が言 いました。そして、こう続けました。「でも、ここにはここのやり方があるので、 それを強く言うことはしていません。現場の人にそっぽ向かれたら調査もできな くなりますから。」 私も畜産農家を回る仕事をしているので、同じような思いをしています。現場に 入れさせてもらえなくなると、仕事になりませんから、現場の人とうまく付き合 っていかなくてはならないのです。中本先生の言葉の端々に、その経験を感じさ せるものがありました。 私は、自宅で生物ろ過をしてみたいと思っているので、どのくらいの深さがあれ ばよいのかを聞いてみたところ、ろ過池は、水深15cm、砂ろ過層1mもあれば十 分だとのことでした。これは浄水場規模での話で、先生の実験室では、バケツを 使って、水深10cm、砂ろ過層30cmで試験しているそうです。「おいしい水のつく り方」には、水深10〜30cmで、砂ろ過層は50cm以上あった方がよいと書いてあ ります。 砂の大きさは0.5〜1mm程度で、大きさは不揃いでもよいとのことです。ここの 浄水場では、かなり均一な砂が使用されていますが、そこまでする必要はないよ うです。 【若田浄水場】 隣接するもう1つの浄水場に移動しました。若田浄水場は、キリンビールが工場 を建設する際に、ビールを作るための水を確保するために、昭和39年に造られ ました。 こちらの施設には10のろ過池があり、そのうちの1つで、砂の削り取り作業を している最中でした。その周辺では、激しい藻の臭いがただよっていました。ま るで、嵐で海草類が大量に打ち上げられた磯臭い海岸のようです。 作業員のおじさんたちが、トンボを使って削り取りをしていました。削る前は緑 色で、削った後は砂の色になっていました。その境目は、まるでよく管理された 野球グラウンドの芝生のあるところと、砂地のところのように見えました。 「降りてみましょう」と中本先生は、その沈殿池の下へとかけられていたはしご を指差しました。 降りてみると、水を含んだ砂が、やんわりと足を受け止めてくれました。削る前 と後の境目に行き、しゃがみ込んで、藻の断面を覗き込みました。削った厚みは 1cmもないほどで、藻の厚さはそれよりも薄くて5mmくらいしかありませんでし た。 私が遠慮がちに人差し指で小さな穴を掘っていると、それを察したのか、先生が、 私の横で片手いっぱいの砂を掘りました。掘ってもいいんだ・・・私は、15cmく らいまで掘ってみました。砂は、藻の層のすぐ下から、見た目、ただの湿った砂 のようになっていました。微生物の膜ができて、ぬるぬるした感じになっている と思っていた私には期待はずれでした。15cm掘っても、砂の様子は変わりません でした。先生に、砂の中には微生物はいないのですか?と聞いてみたところ、昔、 細菌を調べた人がいて、10cmもいかないうちにいなくなると言いながら「おいし い水のつくり方」の42ページの図を示してくれました。 砂のにおいを嗅いでみると、あたりに漂う藻の臭いと同じでした。これは、15cm 掘ったところも同じでした。もし、こんなに臭うのならば、ろ過した水も、かな り臭うはずです。でも、剣崎浄水場で飲んだ水は、臭わなかったのです。つまり、 この臭いは、削り取りの作業のときにだけ出るのだと思われます。藻が水の外に 出たとき、もしかすると死んだとき?に、藻の体内にある物質が出たためなので しょう。 砂には、微生物がそれほどいないので、浄化能力はほとんど期待できなさそうで す。そうすると、5mmもない藻の層が有機物の分解や分解できない物質の吸着を 行っていることになります。ろ過速度は、最大5m/日程度だと「おいしい水のつ くりかた」に書いてあったことを思い出し、計算してみました。24時間×60×60 ÷5000mm×5mm=86.4秒。「先生、1分ちょっとで浄化が行われていることになり ますよ!」と言うと、先生は「そうです。ほとんど瞬間的に浄化が行われている のです。」との答えでした。もちえろん、砂から上の水の部分でも、ある程度の 浄化が行われるのでしょうが・・・微生物の力って、やっぱりすごい。 日頃、微生物を扱っていて感じることは、彼らとは距離的スケールだけでなく、 時間的なスケールも全く違っているということです。それは、単にむちゃくちゃ 速いというだけでなく、むちゃくちゃ遅いものもいます。こういうときに、人間 の持つ感覚が障害になるのだと思わされます。 先生は、沈殿池の中を反対側まで歩き、槽の角まで行くと、排水口の説明をしま した。そこには、オーバーフローした水を排水する管が立ち上がって、上向きに 開口していました。その根元に、砂の削り取り作業のために排水する排水口があ り、土嚢が積んでありました。元はもっと砂の面が低かったのですが、こうして 砂の面を高くし、水深を浅くしたことで水質がよくなったのだそうです。現在の 水深は、私の身長よりちょっと高いくらいでしたから、1.8mくらいでしょうか。 ろ過池を含めて、こちらの施設はコンクリートで造られ、壁面は地面に対して垂 直になっています。中本先生が、壁面を指差しながら「コンクリートが伸び縮み するのを吸収するために、所々コーキング材でつなぐ構造になっています。それ でもクラックが生じて補修しています。」と言いました。見回すと、あちらこち らにひび割れを補修した後がありました。剣崎の槽に比べて、寿命が短そうだと 感じました。 ろ過池に下りたはしごのところまで戻ると、そこには、沈殿池からくる給水管が 出ていました。管は壁から出て90°折れて下に向かって開口しています。そこは、 コンクリートで囲まれた小さな槽の中になっています。つまり、下向きに吹き出 た水が、槽の中で上向きに方向を変えて、沈殿池に流れ出て行くようになってい ます。剣崎浄水場の方も、同じような構造が見えました。水流で砂が流れてしま わないように、水道ができてオーバーフローの配水管にそのまま排出されてしま わないようにとの配慮なのでしょう。 はしごを上って、外に出ました。中では、おじさんたちが、まだ砂の削り取りの 作業をしています。時折、背中を伸ばしながら腰をたたく姿が見られました。こ れだけの広さの、しかも湿って重い砂を削るのは、大変な作業のようです。 こちらの施設は、剣崎に比べて、新しいだけあって、複雑な構造をしています。 取水口から来た水は、混和池を通って沈殿池に行き、そこから関を落ちて、ろ過 池に行きます。 混和池は、1m四方くらいのマスが50個ほど連なっており、上下に互い違いにな るように水が流れるようになっています。これは、雨が降って源水の濁りが強い ときに、凝集剤を投入して自動的に混合されるようにするためのものです。これ は、厚生省の指導に従って、設置されたものです。ところが、凝集剤を投入する と、出来上がった水がまずくなるので、使用されておらず、ただ水が流れている だけだそうです。「水に酸素を取り込ませる効果はあるかもしれませんね」と先 生。 先生は言いました。「この浄水場は、ビール工場のために造られたのが良かった のです。少しでも水質が悪いと、こんな水ではビールが作れないと、すぐにクレ ームがつきました。このおかげで、おいしい水を作るために、してよいことと悪 いことが分かったのです。」 PACなどの凝集剤を使うと、後の生物浄化がうまく機能しなくなるのだそうです。 凝集剤は、多くが凝集して沈殿するが、一部が残ってしまい、これを微生物が嫌 うためだと、先生は考えているそうです。私は、PACを使うと、リンがほとんど 除去されてしまうために、栄養塩が不足して藻類が増えられなくなるのも、理由 の1つになるのではないかと思いました。 先生は続けました。「ろ過漕に藻が出ないように薬剤を散布したら、水質が悪く なり、これにもクレームがつきました。なので、藻はいた方がよいとなったので す。」先生が、ろ過池の藻に着目した原点がこの辺にあるのだろうなと感じまし た。 沈殿池は、ろ過池に比べてずっと小さい面積でした。深さが分からないので、容 量的にはどうか分かりませんが、沈殿池は面積が効果に大きな影響を持つので、 剣崎よりもずっと性能が落ちると思われます。凝集剤を使うから小さくても良い ということになったのか? 沈殿池から出た水は、高さ20cmほどの滝を落ちて いました。酸素を取り込ませようとするための構造なのでしょうか? ろ過池に戻ると、削る作業は、集めた藻と砂をベルトコンベアーで外に運び出す 作業をしていました。搬送する部分はベルトコンベアーですが、砂をベルトコン ベアーに乗せるのは手作業です。ベルトコンベアーを設置する作業も人力です。 砂は、トラックに積まれ、施設の端にある砂を再生する施設に運ばれていました。 その施設へと向かいました。 削った砂はしばらく積んでおくのだそうです。そうすると、藻が腐って白くなり ます。現場にいたおじさんが、10cmくらいの固まりを採ってくれました。元が藻 だとは思えないほど真っ白で、指先で簡単に壊れるほどの軽い固まりでした。腐 るときは、かなり臭いそうです。藻は、堆肥や家畜の餌として、有効活用使でき るのではないかと思いました。 腐らせた後の砂は、大量の水で洗いながらふるいにかけていました。ふるい分け られた後には、巻貝や二枚貝の殻が入っていました。貝類が沈殿池を抜けてくる とは考えられないので、ろ過池で大きくなった、もしかすると繁殖までしている、 のでしょう。 洗った砂は積み上げることで水をきり、乾燥させていました。 施設の入り口にあった、管理棟に行き、施設の責任者にお礼を述べた後、先生は、 取水口も案内してくれました。 【取水口】 浄水場から6.5km離れた川の上流に、堰を切って取水しています。堰は、大きな 自然石が使われており、建造された時代を感じさせるものです。もちろん、水路 を含めて多くの部分がコンクリートになっていました。元々は、農業用水を採っ ているところなので、幅2mほどの水路を、たっぷりの水が流れていました。 その水路に入ってすぐのところの側面に、浄水用の取水口が開いていました。幅 10cmほどの柵があるだけなので、魚も通り放題です。ここから浄水場までは、自 然流下で流れているのだそうです。取水から浄化まで、すべて自然流下で済んで いるなんて、なんてすばらしい施設なのでしょう! 先生に、高崎駅まで案内していただき、そこで別れました。先生には、私たちの 種々雑多な質問、失礼な質問もあったと思いますが、終止、丁寧なお答えをいた だき、ありがとうございました。また、この後に、翌日の効き水パーティー用の 水を随所に採取に行かなくてはならなかったそうで、そのようなことに配慮もせ ずにいた私たちに、予定を大幅に超えるお時間を割いていただき、誠にありがと うございました。 本稿を作成するにあたって、下記のサイトを参考にしました。施設の規模など、 本稿には記述しなかった多くの情報が掲載されています。また、写真や図もある ので、良い参考になると思います。それから、「緩速ろ過・小規模水道応援(団)」 なるものもありましたので、記載しておきます。 見学した場所 http://www.city.takasaki.gunma.jp/sosiki/s-jousui/kinenkan/annaizu.htm 剣崎浄水場 http://www.city.takasaki.gunma.jp/sosiki/s-jousui/shisetsu/kenzaki.htm 若田浄水場 http://www.city.takasaki.gunma.jp/sosiki/s-jousui/shisetsu/wakata.htm 若田浄水場の構造 http://www.city.takasaki.gunma.jp/sosiki/s-jousui/dekiru/dekiru.htm 高崎市の浄水場 http://www.city.takasaki.gunma.jp/sosiki/s-jousui/index.htm 緩速ろ過・小規模水道応援(団) http://www.geocities.jp/watertecjapan/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□水処理倶楽部通信 ■□水処理の情報交換と交流誌■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【お断り】このマガジンは正確さ・完璧さなど保証致しかねますので各自の 責任で確認のうえ、ご利用下さい。また本誌で知りえた情報による損害・ 紛争について一切関知しませんのであらかじめご承知下さい。 ◆配信所:まぐまぐID=0000019863 melma!ID=m00010669 その他の配信所は、配信を停止しました。 ◆登録・変更・解除、バックナンバー、ML、読者掲示板 http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club/ ◆発行:水処理倶楽部通信編集委員会 連絡・投稿先:長峰 nagt@shirakawa.ne.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【編集後記】今回はスペシャル長い通信となってしまいました。さて、金沢で出 会ったいいもの、その2。お寿司屋さんに行くつもりが、ホルモン焼きと書かれ た赤い暖簾に釣られて、ついつい入ってしまった店「金ちゃん」です。10席ほど のカウンターしかないアットホームなお店で、地元の人(もちろん全く知らない 人)と仲良く飲むことができます。私は2晩続けて行ってしまいました。(^o^; ちなみに、ママさんは、踊りが上手な、ものすごい美人(だった)そうです。金 沢に行った際にはぜひどうぞ。(長) 金ちゃんの場所(改行を外してブラウザに入力してください) http://map.goo.ne.jp/route/routemap.php?depa=E136.39.20.749N36.34.32.8&dest=&ZM=12&SZ=1&MAP=E136.39.20.733N36.34.31.194&MT=%C0%D0%C0%EE%B8%A9%B6%E2%C2%F4%BB%D4%CB%D9%C0%EE%C4%AE&sw=&P2=1202E136.39.20.749N36.34.32.8&st=&x=252&y=177