「お前、そのしっぽどうしたんだ?」
吾介が聞くと、そいつはしっぽをクルンと回して、こう言った。
「里の犬にやられちゃったんだ。
ここまで逃げてきたけれど、しっぽが痛くて動けないんだ。
ねぇ、吾介さん助けておくれよ…」
「そりゃ、気の毒な…だけど何で犬にやられたんだ?
何か悪さしたんじゃないのか?
第一お前は何もんだ?…もしかして、魔物??」
吾介は思わず二、三歩後退りすると、アカの手綱を握り締めた。
…もしこいつが悪い魔物だったら、何されるかわからんぞ。ここはさっさと逃げたほうが…
「確かに俺は鬼だよ。
村でちょっとばかり悪戯もしたよ。
でもさ…馬のしっぽひっぱったり、牛の水桶に小石入れるぐらい、たいしたこと無いじゃないか…
なのに大勢で追いかけてきて、おまけにでっかい犬が噛み付いて…
俺、痛くて痛くて…やっとここまで逃げてきたけど、俺の住んでる山はまだまだ遠いのに、しっぽが痛くてうまく力が使えなくて…帰れないんだよぉ…。
…もうすぐ冬がくるのに…俺、寒いの駄目なんだ。怪我したままこんなとこで冬になったら死んでしまうよぉ…」
そういうと小鬼はシクシク泣き出したもんだから、人のいい吾介はかわいそうになってしまった。
「判った、判った。助けてやるから、もう泣くな…」
「本当?」
「ああ、とりあえず俺の家に来な。しっぽに薬をつけてやるよ。」
「ありがと…でも、人の薬はきかないよ…」
「じゃあ、どうして欲しいんだ?」
「うん…あのね」
小鬼はちらりとアカを見た。そして…
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