「やれやれ、手間をかける…しかし、こんなに早く子どもが手に入るとはね…」
魔物は男の子の手を引いて、自分のゲルまで連れていくと、鎖で縛り付ようとしました。
「お婆さん、お婆さん。僕、逃げないよ。だから、縛るのは止めて。」
「ふん、まぁいいだろう。
満月の夜まで、痛い思いをしたくなかったら、おとなしくしているんだよ。」
こうして、魔物のゲルで男の子は暮らしはじめました。
最初の日は、ゲルの片隅で魔物の様子を見ていましたが、次の日にはゲルの外で燃料にするアルガリ(畜フン)を拾い、枯れ枝を拾い集めました。
それを見て魔物はニカニカ。
「ほうほう、働き者だ。
しかし、いくら働いても、満月の夜には、お前の生き肝をもらうよ。」
「うん、わかってる。もう諦めてるから…
でもでも、僕のお父さんと、お母さん、お姉さんは食べたりしないでほしいんだ…
僕、お婆さんのためにがんばって働くから、言うこと何でも聞くから…お願い」
「ふん。ならもっともっと働くんだね。そうすれば、考えてやらないでもないよ。」
こうして、男の子は魔物のために働き、魔物は機嫌よく刀を研ぎながら、満月の夜を指折り数えて待っていました。
やがて、消えていた月が夜空に戻り、一日一日太ってきて、満月まで後二日になった朝のことです、男の子は自分を呼ぶ声に、そーっと起きてゲルから外に出てみると、背中には弓と矢を背負った、仔馬が一頭立っていました。
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