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川廻しのトンネルについて


FILE:S-04 / 川廻しのトンネルについて
 

房総で多く見られる川廻しのトンネル
1 川廻しとは
川廻しというのは、狭い山域で水田の用地を得るためなどの目的で行われた河川土木技術である。
蛇行している河川で、ひとつ山を挟むだけの上流・下流が近接するところ同士などをトンネルでつないでしまってバイパスさせると(支流の本流流れ込みをバイパスさせることもある)、それによって流れが変わって干上がった旧河川床が出来る。この土地を農地などに利用するというもので、主に江戸期に盛んに行われたものと思われる。
トンネルは、そうした古い時代のものであるので、むろん素掘りであって、既に永い年月の経過で自然に溶け込んでいるため、自然の洞窟と勘違いされる場合も少なくないが、通常の風化作用によって、そう簡単に川のトンネルは出来ない。
川廻しの場合、必ずトンネル入口側の左又は右方向に、旧河川床の平地が残っていることになる。こうして川廻しされた地形全体を「川廻し地形」と呼び、かつての川床跡を「フルカワ」、現在の川を「シンカワ」と呼ぶようである。


2 房総で川廻しが多く見られるワケ
房総では、この川廻し地形が数多く見られる。むしろ、他の地方では、ほとんど例を聞かない(新潟にもあるように聞いたことがある)。
これは、房総の侵食の早い地質から、低い山の合間を縫うように、蛇行した川が非常に多く存在することがひとつ。また、やわらかい地質であるために、人力でトンネルを掘りやすかったことが、成立条件を整わせたのだとは思う。もちろん、このようにして少しでも多くの農耕などに使用可能な土地を得たいという需要があったのは当然だろう。
しかし、この工法がどこでいつごろ生まれたものなのか、そして、どうやって、この手軽にトンネルを掘るということが風習化したのであろうか。ひょっとすると房総で生まれたものなのか。このあたり興味は尽きないが、あまり資料もない。
機会があれば、この工法がどのように房総に持ち込まれ広まったか更に調べてみたい。
川廻しのトンネルは、それほど長いものは少なく、せいぜい10m程度の短いトンネルがほとんどであるが、爽やかな水の流れと、地層の縞模様が非常に目立つ、房総の地質特有の水成岩が相まって、その景観は、ときに非常に美しい。
ただし、このトンネルやシンカワ・フルカワとも、「自然」地形ではなく、考えようによっては「遺跡」ともいうことができる。
君津市大坂の川廻しトンネル

3 川廻しの観察ポイント
川廻しは、房総の養老川、小櫃川、小糸川、湊川、夷隅川などの主要河川の支流に数多く見られる。今後ある程度リストアップしたいと考えるが、まずは、自分で国土地理院の25,000の1や50,000の1の地勢図を眺めて探してみるのが楽しい。

【サイト内掲載の観察地】
・ 大坂林道(林道図鑑05)
・ 牛堀の奇岩(特選スポット01)

'05.1.30加筆修正


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