本格国際化の時代を迎えて
〜これから日本に乗り入れそうな外国エアライン〜
'09.10.22
ここ10年余りで、関西国際空港・中部国際空港と新たに国際線をターゲットとした第一種空港が開港し、現在多くの航空会社が乗り入れている。
そして成田国際空港のB滑走路2,500m化が完了し、さらに相互通行が可能な新たな誘導路の工事、一方東京国際空港のD滑走路の工事が着工し、
完成予定の2010年秋にはこちらも大幅に発着枠が増大する見込みだ。
ここでは両空港の完成後の、特に海外から新規に乗り入れ参入が期待される航空会社を中心に考察していきたい。
※極私的な見方をした表現があると思います、不快に感じられた方がいましたらお詫び申し上げます。
| ・完成後、何が変わるか? 完成後の国策としては、 ・発着枠に余裕の生まれる羽田空港に、近距離国際線を乗り入れさせる(羽田の再国際化)。 〜現在羽田とソウル・金浦、上海・虹橋、香港の間に日韓中6社(JAL・ANA・KOREAN・ASIANA・CHINA EASTERN・SHANGHAI AIR)で毎日運航されているシャトル便(定期チャーターとしての扱い)や、スカイマークエアラインによる週末の夜を利用した日韓チャーター便など、羽田で限定的に運航されている国際線はかなり安定した需要を誇っている。これに目を付けた東京都がD滑走路完成・発着枠の大幅増加後、余裕が生まれることを勘案して羽田の再国際化を図ろうと言い出したもの。 現在2010年完成予定を目指して、羽田空港旧国際線ターミナル地区に新たなターミナルの建設が進んでいる。 新国際線ターミナルは10のPBB(Passenger Boarding Bridge)を備え、東南アジア線を始め深夜枠を利用してヨーロッパのエアラインからの就航要望まで来ている。 そして、 ・成田の発着枠も2万回ほど増加する。 B滑走路が2,500mまで延びたので「空港土木設計基準」等にもあるように、ジャンボを始めB滑走路にほぼすべての機体の着陸が可能となった。そのため、今後はB滑走路が着陸専用・A滑走路が離陸専用の運用になる可能性が高い。 ということは現在離陸と着陸で枠がいっぱいになっていたA滑走路の発着枠(スロット)が着陸機の分だけ減るわけで、これにB滑走路からの離陸の分を加えても大分余裕ができる筈なのである。 しかもB滑走路の取り付け誘導路は今まで一本しかなかったが、これをもう一本増設することにより着陸した航空機のエプロンまでの速やかな移動も可能となる。 ここに羽田の再国際化が加わり、東アジア路線の一部便が羽田に移るとなると、更に成田の枠に余裕ができることになる。 ここで日本第一の都市に乗り入れられるチャンスができるわけで、今までチャーター便のみだったエアラインや関西・中部に乗り入れていたエアラインの就航が期待できるわけだ。 実際離陸もB滑走路を使用してB777−200で成田乗り入れを果たしたメキシコ航空(そうとう運航制限していると思われる)や、ウズベキスタン航空のように出発は関西を経由して飛んでいるエアラインもあるぐらい(B滑走路から離陸できるため)で、成田の需要は相当あるように思われる。 ・日本と航空協定を締結し、いずれかの航空会社が就航を検討している国はかなり多い。 航空協定締結国及び定期航空企業乗入れ状況(国土交通省資料) ベルギーやレバノンなど乗り入れがなくなって久しい国も多いが、一方でイスラエルやエチオピアなど定期便がまったく就航したことがない国も多い。 実際は航空協定をまだ締結していなくても、乗り入れを希望するエアラインも存在している。 ここに、2009年度以降、成田を中心に日本に乗り入れてくる可能性のあるエアラインを列挙してみたい。 ただ2009年は世界同時不況と呼ばれていることもあり、今年路線拡張して新規乗り入れを期待するのは難しい見方もありそうだ。 |
| ○世界同時不況脱却の起爆剤 今年は「百年に一度」の世界同時不況と言われている。 収益の悪化した企業はコスト削減のため出張をできるだけ控え、電話やメール、インターネットでの会議などで海外の取引先・子会社とコミュニケーションを取ろうとしている。 そして、航空会社にとって大事な収益源であったファーストクラス・ビジネスクラスの上客が半減した。 日本発着の海外路線の約半分は「格安航空券で乗るようなエコノミークラスの乗客」だけでは収益が成り立たないと聞く→飛ばせば飛ばすほど赤字になるということ。 いま関空のそばに住んでいるのだが、関空はもともと成田よりビジネス客が少なくて、遠距離の路線ほど収益を上げることが難しかった路線。 ここ一年で便数が100便ほど減少した。 その原因は「世界同時不況・原油高・新型インフルエンザ・円高」である。 関空のみならず、成田や中部・福岡などでもエアラインの撤退・減便が続いている。 そして世界のエアラインが再び活性化するには、世界の経済が立て直ることが不可欠。 世界は二度の世界大戦のあと、60年ほどの長いスパンを経て多くの国が独立・経済発展・一部の国を除いて平和を築き上げてきた。 でもここでもう一度戦争を起こしたところで、どこの国の経済も潤うことはない(それはアメリカが起こしたイラクとアフガニスタンの戦争を見れば分かるはず)。 いま、自分が思うに世界同時不況を脱却するには、次の方法ぐらいしかないように思われる。 @環境ビジネス(排出権取引はとてもいいアイデアだと思う) A核軍縮 B北朝鮮の民主化 Cアメリカとイスラム世界の融和・関係改善 この4つ全てが近隣国・そしていろいろな国どうしの交流を活発化させ、資本の投入・経済・技術協力など新たな需要を呼び起こし、雇用も増え経済も活性化する起爆剤になると思われる(逆に他のどの手段も効果的であると思えない)。 そしてA〜Cが全て難題だらけの課題であるのは間違いないのだが、これを実行へと動き始めてるオバマ大統領、成果が見えるところまでがんばってほしい。 人口が65億人を越え、全員が満足に食を手にすることができなくなりつつある現在、もう民族・宗教間の対立でいざこざを起こしてる場合ではないと思う。 地球はこれだけの人口をかかえるにはあまりにも狭すぎる。 ホント、過激派とかゲリラとか心無い行動を起こす人たちには悩まされる。 これしか、平和と不況脱却の道はないであろうから…。 不況を抜け出せれば、またいくつかのエアラインが日本に足を伸ばし、再び日本の空港が賑やかになってくることを期待したい。 |
| 乗り入れの可能性:A…高い B…中程度 C…低い | |
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・CSAチェコ航空(C) チェコのナショナルフラッグキャリアでスカイチームに加盟。 長距離用機材としてA310を保有しており、ニューヨークやトロントなど大西洋線にも就航している。 |
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・エルアル・イスラエル航空(B) イスラエルのフラッグキャリアで、ジャンボやトリプルセブン・767といった長距離機材も保有。アメリカはもちろんのこと、東南アジアにも定期就航しており、日本に乗り入れてくる可能性も高い。 ただ出発時の過剰なセキュリティチェックも有名で、CIQは頭を悩ませるかも。 ※航空協定締結国 |
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・エティハド航空(A) UAEのアブダビ首長国をベースとするエアラインで、もともと新規参入組ながらアメリカやヨーロッパ・東南アジアにもネットワークを広げてきている。 B777−300ERに続きA380も発注しており、中東ではエミレイツ・カタールエアウェイズに続く第三の注目株だ。 今後も豊富なオイルマネーを糧に、勢力を拡大しそうなエアライン。 2010年夏スケジュールより、成田に乗り入れを表明している。 ※航空協定締結国 |
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・エチオピア航空(B) エチオピアのフラッグキャリア。 アフリカではヨーロッパ以外にもネットワークを持つ数少ないエアラインの一つ。 香港・バンコクにも乗り入れているので、路線を延長する形で日本に乗り入れてくる可能性がある。 ※航空協定締結国 |
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・ガルフエア(B) バーレーン・アブダビ・カタール・オマーンが共同出資してできたエアラインで、こちらもA340を導入して少しずつネットワークを拡大してきている。 東南アジアにも乗り入れており、日本をはじめ東アジアにも進出してくる可能性あり。 ※航空協定締結国 |
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・イベリア・スペイン航空(A) スペインのナショナルフラッグキャリアでワンワールドメンバー。 数年前まで成田に乗り入れていたが、路線を集約する形でアジアから撤退してしまった。 現在長距離路線はラテンアメリカ路線に特化している。 業績が比較的好調なのか路線の再拡張計画を示しており、その中で近いうちに再び成田へ就航することが検討されている。 ※航空協定締結国 |
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・クゥエート航空(B) クゥエートのナショナルフラッグキャリア。 イラクの侵攻から解放された後確実に復興を遂げており、もともと石油関係で日本の商社とも取引の多い国。 乗り入れてくる可能性あり。 ※航空協定締結国 |
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・ケニア航空(B) ケニアのナショナルフラッグキャリア。 最近トリプルセブンを導入しヨーロッパの複数の都市に就航させるなど発展を続けている。 このエアラインも東南アジアに就航し、アフリカでネットワークを広げている数少ないエアラインの一つである。 |
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・ラン・チリ航空(A) チリのナショナルフラッグキャリアでワンワールドメンバー。 衰退が続く南米のエアラインの中で成長を続けている希少な存在で、ペルーやアルゼンチンなどにも子会社を持つ。 ヴァリグ・ブラジル航空が撤退した今、南米から唯一の乗り入れエアラインとしてやってくるかもしれない。 |
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・LOTポーランド航空(A) ポーランドのナショナルフラッグキャリアでスターアライアンスに加盟した。 共産体制から解放後少しずつ成長を続けており、現在B767でアメリカやカナダに飛んでいる。 2010年夏スケジュールより、成田へ週3便で乗り入れすることが検討されている。 B787も発注しており、今後もネットワークを拡大する可能性のあるエアライン。 ※航空協定締結国 |
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・マレブ・ハンガリー航空(C) ハンガリーのナショナルフラッグキャリアでワンワールドに加盟した。 もともとB767−200で日本にチャーター便を多数運航していた実績があったが、こともあろうに唯一の長距離機材であったその767を売却してしまった。 同時にブタペスト−ニューヨーク線も休止になり、現在はヨーロッパ内路線のみを運航。 しばらく日本で見ることもできないだろう(涙)。 ※航空協定締結国 |
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・ロイヤルブルネイ航空(B) ブルネイのナショナルフラッグキャリア。 関空開港から2,3年間乗り入れていた実績を持つ。 より需要のあるであろう東京に再就航をしてもらいたいもの。 ※航空協定締結国 |
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・南アフリカ航空(B) 南アフリカのナショナルフラッグキャリアでスターアライアンスに加盟した。 このエアラインも関空開港から2,3年間ヨハネスブルグ−香港線を延長する形で乗り入れていた実績がある。 エジプト航空と並びアフリカ随一の競争力を持つエアラインだけに、日本にも本格就航を期待するもの。 ※航空協定締結国 |
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・サウジアラビア航空(B) サウジアラビアのナショナルフラッグキャリアで2006年9月から関空に就航を果たしたものの、3週間で運航が休止されてしまった。 はっきりした理由はわからないが他の路線は平常に運航しているだけに、仕切り直して日本に定期就航をしてほしいエアライン。 |
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・TAPポルトガル航空(C) ポルトガルのナショナルフラッグキャリア。 他のヨーロッパのメガキャリアと比べると多少地味なイメージがあるが、南北アメリカ・アフリカにもネットワークがありアジアに進出してくる可能性もゼロではないと思われる。 |
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・エアリンガス(C) アイルランドのナショナルフラッグキャリアでワンワールドメンバー。 A330を大西洋線に就航させているがアジア方面には進出しておらず、すぐに乗り入れをする可能性は低い。 |
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・USエアウェイズ(C) アメリカのエアラインでアメリカウェスト航空と合併、その規模を拡大した。 ユナイテッド航空と同じスターアライアンスに属するため、しばらくは日本就航は望めないかもしれない。 が、フィラデルフィア−北京線に就航を発表するなど東アジアにも目を向けている。 ※航空協定締結国 |
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・キングフィッシャー航空(C) インドの新興エアラインで徐々にネットワークを拡大している。 A380も発注しており、今後の発展が期待される航空会社。 ※航空協定締結国 |
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・TAMブラジル航空(B) ブラジルの国内線で発展してきたエアラインで、近年ではB777やA330を使用してヨーロッパや北米など長距離国際線にも進出するようになった。 VARIG・VASPといった大手が倒産しているブラジルにおいて、現在ブラジル最大のエアラインと言える。 ブラジルはBRICSの一翼を担いEMBRAERの本社もある国で、もともと移民も多く日本との結びつきの強い国である。 先ごろ経営の悪化しているJALが運休を発表しているので、その需要を引き継ぐかたちで日本に来てもらえないだろうか。 ※航空協定締結国 |
| ただ、多くの国が日本に乗り入れを希望し始めた2,30年前とは違い、現在のアジアには経済発展をしてきた多くの国家のライバル空港が存在している。 ソウル・インチョン空港、上海・プドン空港、香港・チェクラプコク空港、バンコク・スワンナプーム空港、クアラルンプール空港、シンガポール空港などのハブ空港がひしめき、他大陸のエアラインはどこに乗り入れるかよく吟味しているように思われる。 地の利からいえば、東南アジアはとても有利なところで、ASEAN諸国は相互に経済協力をしてお互いを高めあっていることもあり、特に需要のある香港・バンコク・シンガポールを中心に全大陸から多数のエアラインが乗り入れている。東南アジアの大都市にすぐ乗り継げるし、南回りルートやカンガルールート(ヨーロッパ〜オセアニア路線でドル箱路線と評される)の中継地としてもよく利用されるからだ。 日本はアメリカと東・東南アジアの中継地点としてノースウェスト航空・ユナイテッド航空などがハブにしているが、現在は航空機の航続距離の延長にともない北米−東・東南アジア間のノンストップ便が増え、以前ほど重要な中継地点ではなくなってきている。 これからは、本当に日本に需要のある会社しか乗り入れてこないであろう。 そして、同じ東アジアで北米からノンストップ便が飛ぶソウル、上海は直接の競争関係にあるといえる。 以前ほど経済的に日本がアジアで注目される存在ではなくなっていることが気がかりだが、これからも多くの外国エアラインが日本の空港に乗り入れることを願ってやまない。 |