星野選手参戦記
「For The Team」
今年のラリージャパンはプライベートで色々問題があり出場しない予定でした。
ですが、エントリー締め切り当日に急遽出場することが決まり、そこからがドタバタ劇の始まりでした。
そのドタバタ劇は多方面で紹介されているので省略しますが、とくかくパーツが間に合わない、製作が間に合わないという状態でのエントリーになりました。
レキ
と言う事で話しはレキから始めます。
今回は札幌近郊に舞台が移ったため、帯広とはかなり気持ちが違いました。
札幌と言ってもSSで使うコースは苫小牧、千歳、恵庭エリアと慣れ親しんだ場所の為帯広の様なアウェー感覚ではなく完全ホームです。というかマイホーム感覚です(笑)
もう一つの夕張エリアもかつて全日本で良く使用したエリアですので、慣れ親しんだエリアです。
レキ初日のコースは苫小牧西インターすぐ横から入るコース!
そこは、全日本の大先輩であり盟友でもある田中選手の自宅から車で10分ほどの距離しかありません。
当然自分達選手は田中邸に前泊です。田中邸は自分の部屋まで有るほど頻繁に泊まりに来ているので、スーパーリラックスしてしまい、まったくラリージャパンに来ている感覚は有りません(笑)
レキをした印象は、コースはうねりやギャップが多く走りずらそうです。
スピードの出る所は出ますが低速は本州の道のようです。
波乱を予感させるコースでした。
今回札幌ドームでセレモニアルスタートを行ったのですが、観客席と離れているために盛り上がりには欠けました。
セレモニアルは帯広の方が盛り上がりましたね。
ただ、良かった事がセレモニアルスタートまで待ち時間が長かったのですが、選手はドーム内で待機出来るためWRカーやPWRCの車が間近で見放題だった事です。
WRカーは物珍しさに見ただけですが、PWRCの車は同じグループNなので、じっくり観察しました。
下回りも良くチェックして、色々勉強になりました。
以外とワークスでも自分と同じ事をやっているのだと逆に安心した部分も有りました。
DAY1
明けていよいよラリースタートです。
今回は高速での移動が多く移動距離も短いので帯広の様にリエゾンの時間がタイトではなく、多少余裕が出来るかと期待しましたが、今回もタイトでした。
こればかりは何とかして欲しい物です。
結局最初のTCに付いたのが5分前位です。
そこから、ヘルメットを被り準備しなくてはならないのでギリギリです。エアー調整も何とか間に合いました。
いよいよSS1です。ピレリも始めて、エボ10を全開にするのも始めてですから、まずは様子見で走ります。
スタートしてしばらくは上りが続きます。
路面もルーズなので車の動きが収まりません。
リアのバネレートが硬すぎる様で、コーナー途中で急にリアがブレークしてしまいます。
その為アクセルをなかなか開けられません。
それでも、車が出口を向いてからアクセルを踏んでもそこからの加速は凄いです。
エボ10がパワフルなのは感じられます。
上りとはいえ、予想通りブレーキが効きません。
エボ10の車重を止めるには純正のブレーキシステムでは明らかに容量不足です。
ピレリタイヤの特性はそれほど気になりません。
長年タイヤテストに参加させて貰っていると色々な特性のタイヤでいきなり全開にしなくてはならないので、タイヤの特性をつかんで運転を合わせるのには慣れています。
ピレリタイヤはゴムではなく構造でグリップさせるタイプの特性なのでそれに合わせた運転をします。
このタイプの特性のタイヤはグリップ変化に要注意です。
約5kmを過ぎて上りから尾根沿いに走る為フラットなコースになってきました。
リアが唐突にブレイクする挙動を抑える為に、極力ステアリングを切らないでアンダーのままコーナーリングするように運転を切り替えてだんだんにペースを上げていきました。
SS1が終わったら取りあえず減衰力を調整して挙動をマイルドにして、サービスに戻ったらリアスプリングを交換しようと思いながら走っていたのですが、約8km地点位で北斜面に入ると急に雪が出てきました。
コースには無いですがコース脇には雪が積もっています。
ペースダウンしましたが、思ったより滑らないな!
と思った矢先、ブレーキングしたら止まりません!
路面の変化には要注意と判っていたのに・・・。
取りあえず姿勢を変えてコーナーリングに入りますがリアタイヤが外側の雪に乗っています。
ただこの時点では、多少失敗した程度のコーナーリングでした。
少なくともエボ9では何でもない程度のコーナーリングです。
ただエボ10では慣性が強くリアが唐突に出る挙動の為リアがブレイクしてしまい、そのままリアタイヤはアウトに落ちて行きました。
それでも、フロントが道の上にいるので戻れると確信してアクセルを踏んでいたのですが、
そのコーナーをクリアして次のコーナー近くまで行った所で、フロントタイヤが雪に取られて持って行かれてしまいました。
そこからは滑り台を滑るように一気に真横に滑り落ちました。
笹の上に雪が乗っていたらしく、何の衝撃もなく落ちて行きました。
車が止まった瞬間、まず頭によぎったのが、「引退」の二文字でした。
自分はこれまで、道の上からいなくなるコースアウトをした事は1度しか有りませんでした。
その一回も20代半ばの血気盛んな時で、全日本に出だしてすぐの時でした。
明らかに自分の限界を超えてしまって走っていたので、コースアウトは当然の結果でした。
それからというもの、コースアウトは1度も無く自他共に認める「落ちない男」の異名を取る様になりました。
自分では、ドライビングミスをした気がないのにコースアウトしている・・・。
それは、自分のコーナーへのよみが間違えていたか、ドライビングが自分のイメージ通りに出来ていない。
つまりドライビングが衰えている。かのどちらかしか無いのです・・・。
それは、自分の中では「引退」を意味しています。
一瞬の内にそう考えましたが、まずはナビの安全を確認すると、表に出て後続車に危険を知らせるために外に出ます。
出てみると、道から10m位滑落していて、かなりの急斜面です。道まで上ろうとしますが、雪で下が笹の為滑ってしまい、なかなか上れません。
何とか這い上がって、コーナー手前に三角表示板をセットして、OKマークを用意していると後続車がやってきました。
後続車にコーションを知らせている内に少しずつ落ち着き冷静になってきました。
そうすると、車のダメージが気になります。
後続車の合間を縫って車の状態を確認すると奇跡的に外傷はほとんど有りません。
そうこうしているうちに、草間エボⅨがやってきました。
アンチラグの音も高らかに目の前を走り抜けていきます。
廻りのゼッケンから見ても8km位の地点で30秒位早いです。
「あんなに最初から踏んで大丈夫かな~?あいつ!」
とナビの佐藤さんと話していたのですが、そのあとそこから350m先でコースアウトしたとは、その時は、夢にも思いませんでした!
結局心配してした、そのコーナーにコースアウトして、自分の車にぶつかる事も無く全車クリアしてくれました!
何台かは同じようにアウトにはらんで落ちそうになり、ドキドキしましたが!
そして、スイーパーも去りいよいよレッカーがやってきました。
ですが、ちょうど木と木の間に滑り込んだ形になっているので前にも後ろにも引けず、簡単には上がりそうに有りません。
しかも急傾斜で雪です。
レッカーやオフィシャルの方々が色々思考錯誤して、何とかリヤタイヤが地面に上がった時に2巡目のコースカーが来て、「時間が無いので作業を中断してこのまま車を下に落とせ!」とFIAから指示が有ったと無情にも伝えてきました。
結局、逆らっても無駄なので、そのままゆっくりとワイヤーを外すと何とか車はそこに留まってくれました。
「なんとかこのまま落ちないで!誰もぶつからないでね!」と願いながら一旦オフィシャルとコース外に出ました。
そこで車が上がってすぐにサービスに戻れれば非常に楽だったのですが、2週目が終わるまで約5時間待たなくてはなりません。
唯一、良かった事はWRカーの林道の走りを間近で見られた事でしょうか!
PWRCのトップ選手の走りも見られたし色々勉強にはなりました。
迎えに来てくれたサービス員と共に、再び車に近づけた時には雨も降り出し、すっかり辺りは暗くなってしまっていました。
車は、落ちもせず、ぶつけられる事もなく、同じ姿勢のままいてくれて一安心です。
後ちょっとの所まで上がっていたのですぐに車は上がり、下廻りもまったく異常が無いので、そのまま自走でサービス会場の有る札幌ドームに向かいます。
サービス場所に付くと、既に草間車は戻ってきていて明日の再出走に向けて整備されています。
自分のエボ10もリアスプリングの交換と、減衰力の変更をリクエストします。
気持ちを入れ替えて、また明日からマキシマムアタックです!
DAY2
二日目は千歳近郊のステージです。
まずはダートラ場のギャラリーステージからスタート!
マシンは昨日のコースアウトの後遺症も無く何も問題も有りません。だた車は結構暴れ回ります。
コースもうねりが多く飛ばされます。
ゴールするとリアバンパーがはずれかけています。
昨日引き上げる時ワイヤーがリアバンパーに引っ掛かってバンパーが外れてしまったのですが、サービスに修理をお願いするのを忘れていました・・・。
取りあえず、タイラップとガムテープで補強しますが、経験上、一度外れてしまうと直しても簡単に外れてしまいます。
次から林道SSです。
昨日とは違ってリズム良く走れます。
リアスプリングを柔らかくしたのと、減衰力を変更したのが良い結果になって、昨日苦しんだコーナーリング中にリアが急にブレイクする挙動が抑えられて、コントロールしやすくなりました。
順調にSSをこなしていく内に、段々とエボⅩの特性が判ってきました。
エボⅨより大きくて重いので、エボⅨのタイミングで操作すると、車の動きがワンテンポ遅れてしまうのです。
エボⅨよりもステアリングを切った時にフロントの入りが良く、逆にエボⅨよりもフロントは軽く感じてしまうのですが、そこが落とし穴で、フロントが入っても実際に車が曲がり出すまでに時間がかかるのです。これは、インプレッサと同じ特性です。
インプレッサも初期のノーズの入りは良いのですが、実際に曲がり出すまでにラグがあります。
初期の入りに騙されてはいけないのです。
インプレッサはセッティングでそこを改善して行ったのですが、エボ10も改善しなくてはならないですね。
インプレッサはスタビが有効でしたが、エボ10は違う方法が良さそうです。
話しが反れましたが、エボⅨと同じタイミングで操作すると、コーナーリングがワンテンポずれてしまうので、狙い道理のラインに乗りません。
重い分エボⅨよりも早くブレーキングし、エボⅨよりも早いタイミングでコーナーの姿勢を作らなくてはならない事がやっと判りました。
これで、初日のコースアウトの理由が判りました。
エボⅨと同じタイミングで操作しているので、車の動きがワンテンポずれてラインが外に出てしまったのです。
ダートならば誤魔化せたのですが、雪だったのでそのままリアタイヤがアウトに落ちていってしまったためでしょう!
8kmも走ったのにそんな事が判らなかった自分が恥ずかしいです・・・。
マシンの動きも良くなりマシンの特性も判ってきたのでどんどんペースアップしていきます。
ハイスピードセクションでは既にエボⅨを超えていると思わせるほど動きが良いです。
中速コーナーが連続している区間では、中間加速が速すぎて、ナビのノートが読み遅れる程です。
今までストレートだった80~100(実際には2倍の距離160~200m)がストレートに感じないほどコーナーがすぐにきます!
運転しても楽しくなってきて、いくら走ってもコーナーから落ちる気がしなくなりました!
これです!この感覚です!「落ちない男」復活です!
昨日は引退を覚悟するほど落ち込んでいましたが、車を完璧にコントロールする自信があり、コーナーに迷い無く入れる見切り!
この感覚が有るうちはまだ走れそうです!
ただ残念なのは、昨日のレグ撤退の為、後半ゼッケンなので仕方ないですが、
ほとんどタイム計測がされなかった事です。
特にマキシマムアタックをするロングSSは、途中でリタイヤ車がコースを塞いで中断とか、車両火災により中断とかが相次ぎました。
しかも、ステージキャンセルなのに、かかった所要秒がそのままタイムになっていたりとか・・・。
20分以上足止め食っているのがそのままタイムになってしまっていました。
前ゼッケンと2分開いてスタートしたのに1分でスタートしたことになってタイムが1分多かったりとかしました。
順位はどうでも良いのですが、正確なタイムが残らないと、どのセッティングが良かったのが、悪かったのか、判断材料になりません。
まあ、後半ゼッケンなので色々混乱も有りますので仕方ない事ですけどね・・・。
そしてリアバンパーが何度も外れてボロボロになる以外は、ノートラブルで走っていたのですが、二日目の林道の最終SSここもマキシマムアタックをしていたのですが、ゴール手前2~3km地点で突然車の挙動がおかしくなりました。
リアが上下左右暴れ回ります。
何か異変が起きた事には間違い有りません。
暴れる車をなんとかコントロールしゴールしました。
舗装に出て見てみると、右リアのアッパーリンクの2カ所で止まっているうちの1本が折れています・・・。
動きがおかしいわけです。
取りあえず走行は出来そうなのでサービスに連絡して、札幌ドームに向かいます。
札幌ドームのSSをその状態で走ります。
同然かなり走りずらく左コーナーはするつもりはないのに、パワードリフトになってしまいます。
サービスに戻りましたが、その部分のスペアパーツが、無く明日の朝までには何とか間にそうだ!という事でした。
朝のサービスで交換していきましょう!と言う事になり二日目は終了しました。
一方草間エボⅨは札幌ドームに戻ってくる途中で駆動系のトラブルでストップとの情報が!また今年も
二日連続レグ撤退です!話題作りには事欠きません!
DAY3
そして明けて最終日!
なんと朝のサービスにスペアパーツが間に合わない事態に・・・。
チームの指示は次のサービスまで何とかこの状態で走って帰ってきてくれ!
取りあえず、やれるだけの応急処置をしてスタートしました!
自分のポリシーは「与えられた状況の中でベストを尽くす!」
どんなときでも諦めずにその時出来る事の全てを行う!と思って常にラリーに挑んでいるので、この状態でのベストを尽くそうと思いスタートしました。
3日目は雨に降られてコースが非常に荒れています。
最初のSSをスタートした時にはまるでクロスカントリーのコースを走っているようでした。
ジャンクションから広い道になりペースを上げますが、車が真っ直ぐ走りません!
デフが壊れたか、ドライブシャフトが折れたかの様な挙動です。それでもペースを落とさずに走ります。
「大雨でヘビーウェット路面になっているので、ウェットでの挙動変化の激しいピレリタイヤではこの位滑るだろう!」と思いこんで走ります。
他の人も同じようにウェット路面で苦しんでいるはずだ!と。
むろんリアにトラブルを抱えているので右リアには極力入力を入れないようにして、左コーナーは抑えて
右コーナーは思い切り攻めます。
グループNになってからエンジンパワーよりもシャシーが勝っているので、車が暴れ回ると言う事は無くなりましたが今日は違います。
かつてのB車両時代の全日本車の様に、完全にシャシーにエンジンパワーが勝っていた時代の
マシンの動きです。
右に左に上下左右に車が暴れ回ります。
苫小牧近郊特有の粘土質の為雨が降るとヌルヌルになり、ウェットに弱いピレリタイヤと相まって滑りまくります。
何度もコースからはみ出したり、アウトの土手に乗り上げたりしなからも走りました。何故かというと自分が行く所には必ず他の車もはみ出した後があり、みんな同じように苦しんで走っているはずだ!と思っていたからです。
抑える所は抑えて、踏む所は踏む!という走りをしていましたが突然凄まじい衝撃が襲いました!
なんと左側のアームも折れてしまったようです。
さすがにその状態では走れないので、ハザートを点けて徐行します。どうやら左は完全に折れてしまっているようでリアを引きずっています。
それが25kmのロングステージの5km位の地点です。
雨も降り続き視界もどんどん悪くなります。
ゆっくり走っていてもリヤからは衝撃がきます。
何台か後続車に抜かさせましたが、本来来るはずの草間エボⅨが来ません。まさか、リタイヤしたのでは!?
草間が来ればその時点で車を止めてリタイヤしようかとも思っていたのですが、草間がリタイヤしてしまったら自分がゴールしなくては完走ゼロになってしまいます。
何キロ行った時か判りませんが、ついに右のアームも折れてしまいました。
これで完全にリアが落ちフロアを引きずっています。
もう、這うようなスピードしか出せません!
もう、辞めよう!
このまま走ってもタイムアウトする可能性の方が高いです。このまま走れば車に致命的なダメージを負うのは明らかです。
心の中でそう葛藤しながら車を止められる場所を探していました。なかなか止められる場所が見つからないまま走っていましたが、"ここで辞めてしまって良いのか!"
"タイムアウトするかも知れないけど決まったわけではない!自分から辞めてしまってベストを尽くしたと
言えるのか!"と別の自分の叫びに奮い立ちました。
「与えられた状況の中で、ベストを尽くす」いける所まで行こうと自分の中で決めました。
ナビもこの状況の中で黙々とノートを読み続けています。
ナビの気持ちも同じようです!
この20kmの長い事長い事、いつになったらゴール出来るのが、本当に長い道のりでした。
途中最終ゼッケン近くで草間エボⅨが現れてゆっくり抜いていきました。
彼も何かトラブルを抱えているようです。
取りあえずこれで最悪自分がタイムアウトしても大丈夫だろうと安心しました。
もう記憶が無くなるほど長い時間が経ったような気がしてからやっとフィニッシュが出てきました。
その時点で車も人間もボロボロでした!
その時点で次のTCまでタイムアウトする可能性は大でした。
取りあえず、舗装に出てナビがチームに電話すると「帰ってきて欲しい!みんなが待っている!」という
指示でした。
いける所まで行こう!みんなの為に!チームの為に!
次はダートラ場のギャラリーステージです。
何とかギリギリタイムアウト寸前でTCに入れました!
しかし、ダートラ場はさらにコースが荒れ、この車の状態で完走出来るか判りません!
スタートしてみたもののギャップに引っ掛かって進みません。特にゴール手前の上りがフカフカになっていて雪道をFFで進むように何とかゴールしました!
千歳のダートラ場から札幌ドームまで約80km高速を走って行かなくてはなりません。
舗装では何とか普通に走れますが、スピードを出すと車が分解しそうになるのでゆっくりしか走れません。
高速もゆっくり走りながら警察に止められない事を祈っていました!
そのセクション最後の札幌ドームにもタイムアウトギリギリで入れました。
ドームのSSの前に並んでいるとオフィシャルが集まってきます。
この状態で走らせるか?どうか?話し合っています。
正直、ここまで来られたのが奇跡ですから、ダメと言われれば仕方ないと思っていました。やれる事のベストは尽くしました!あとはオフィシャルの判断に従うまでです!
結局、「単独でハザートを点けながらゆっくり走行してくれ!」と言う事になりました。速く走れと言われても出来ない状況でしたが・・・
ゆっくり走ったお陰でギャラリーの顔がよく見えました。
皆、拍手してくれてます。
アナウンサーの「これがラリーだ~!」と叫んでいる声も聞こえます。
サービスにたどり着いた時点で、今回の自分の仕事は終わったと安心しました。
もうラリーが終わったような感覚です。
サービスが一生懸命折れたアームを交換してくれていますが、もう他人事のようです。
あとはもう1セクション走って完走するだけ!と思っていましたが、チームからメーカーから依頼があったので今までと違うパーツをテストしてくれと指示が来ました!
やはり、手を抜いて走らせては貰えないようです!
最後のセクション!今までが嘘の様に静かで乗り心地も良いです!
雨がまた激しくなってきました!コースは悲惨な状況になっています。
それでも、与えられたからにはベストを尽くさなければなりません。
新しいパーツをテストするためにマキシマムアタックです!
雨がどんどん激しくなり、コースが道とは思えないほどに変貌しています。
それでも、指示されたテスト項目があるのでいくつか変更しながら走ります。
さっき地の果てまで位遠く感じた25kmです。
走っていると、ハザードを出してゆっくり走っている車を何台もパスします。
もう後半ゼッケンですから、みんな何かしらのトラブルを抱えてゴールを目指して走っているのでしょう!
そんな人達からすれば、この期に及んで全開で走っている自分は変に思った事だと思います!
ですが、ゆっくり走ったらなんのテストにもなりません。
パーツメーカーは極限状態のテストをして欲しくてパーツを供給してくれているのですから!
その甲斐あってか、車はボロボロになりましたが、何とか壊れずにフィニッシュできました。
そしてそのパーツの初期トラブルを出す事も出来ました。
途中から動きがおかしくなったのはその為だったのでしょう!
”良くこれだけ色々な事が起きるな!”と思った今年のラリージャパンでしたが、何とか完走出来たのは御協力頂いた各パーツメーカーの方々、スポンサーの方々、そしてチームのみんなのお陰だと思います。
この場を借りて御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
星野 博
