新年にまつわる気になる表現を2つ。
ひとつは、Happy New Year!
そう、A はないのです。不定冠詞は不要なのです。
「お誕生日おめでとう」が Happy Birthday!
「メリー・クリスマス」が Merry Christmas!
「おはよう」を A good morning と言わず、「おやすみ」を A good night と言わないのと同じで、
「明けましておめでとう」を A Happy New Year とは言わないのです。
もちろん Birthday や Christmas が数えられない名詞だという訳ではありません。
歌詞にはこんな表現があります。
We wish you a merry Christmas and a happy new year.
こんなのもあります。
And may all your Christmases be white.
ところがお誕生会に出席した時にみんなで歌う唄にはやはり a はないのです。
Happy birthday to you!
どこが違うかといえば、クリスマスも新年も、通常の文章の中に置かれると普通に可算名詞になるのですが、挨拶的な使い方をする場合は、a をつけたりはしないということです。
ちなみにクリスマスは Christmas または Xmas で、X'mas は誤り(このことはまた別の機会にでも)。
もうひとつは「元旦」。
「旦」は地平線から日が昇るさまを描いた象形文字です(そう言われると「うーむ、なるほど」と思うでしょ? でも、どうしてこれが「日が昇るさま」であって「日が沈むさま」ではないかと言われると説明できないんですけど・・・。まあそれは置いといて)
つまり「旦」は「朝」という意味です。「元旦」は「元日の朝」です(「元日」は1月1日です)。
巷には「元旦の夜には」などと言っている人が結構たくさんいます。教えてあげようかなあと思いながら、勇気がなくてできなかったので、この場を借りました。
どうですか。少し勉強になったでしょ。それではまた。
Copyright©:yama-a Jan.2001
[追記]
この文章を公開して3年近く経ったある日、1通のメールが来ました。
曰く「『旦』には『ついたち』の意味もあるので『元旦の夜』は間違いではない」。
なるほど、大概の辞書は「元旦」の項に「元日」という意味も載せているではありませんか!
こうなると明らかに私の負けですね。
で、負けを認めたうえで負け惜しみを書かせてください、ちょっとだけ。
「旦」は上に書いたように「日が昇るさま」の象形文字なので、やっぱり本来は「朝」という意味だったと思います。それが、朝→早い→最初という風に意味が転じたのだと思います。
頂いたメールには、「ついたち」の意味で用いられる他の例として「月旦」という言葉が挙げられていました。いろんな言葉をご存知の方です。
「月旦」とは「ついたち」のことです。だから「年旦」が「元日」の意味だと言われたら納得行くのですが、依然として「元旦」が「元日」と同じ意味だと言われると、なんとなく情けない気がします。
でも、辞書に書いてある限りは、私の負けです。私が調べた限り1980年発行の辞書にすでに載っていたので、最近になって混同されるようになった訳でもなさそうです。
他の文章でも何度か書いているように、言葉は辞書を追い越して先に定着してしまいます。辞書は慣用の後を追いかけるのです。
どうやら私は、その辞書よりも遅れをとってしまったようです。やれやれ。
Copyright©yama-a Nov.2003
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