ニューイングランド地方の住民、赤い靴下、青いカケス、コウライウグイス、マンタ、双子、白い靴下、王党派、インディアン、虎、戸外運動競技、船員、天使、森林警備隊、勇者、マカジキ、フィラデルフィア市民、万国博覧会、都会人、幼獣(主に子熊)、宇宙飛行士、ショウジョウコウカンチョウ、海賊、赤軍、ビール醸造人、巨人、ひらりと身をかわす人(あるいは、ずるい人)、ダイアモンドガラガラヘビ、ロッキー山脈、スペインの神父。
なんだか分かりますか? 何年か前までは上院議員なんてのもありました。
そう、米国メジャー・リーグの球団のニックネームを並べてみたのです(下にまとめの表あり。上のニックネームの訳はこの表の順に並んでます)。
地元の名物、名産品、代表的産業、観光資源、歴史、あるいはユニフォームの特徴などを見事に織り込んだ、非常にバラエティに飛んだ名前だと思いませんか?
日本のプロ野球のように、単に大リーグを真似たもの、単に強そうなものばかりがはびこるのとは大きな違いがあります。
例えば、読売ジャイアンツ、阪神タイガース(なんでタイガーズじゃないんだろ?)、あるいはかつての阪急ブレーブス(これもブレーブズじゃない)なんてのは大リーグの球団からそのまんま取ってきたものでしょう。
ホークス、ライオンズ、バファローズ、ファイターズ、ドラゴンズなんてのは単に強そうなものを並べただけではないのでしょうか?(まあ、ドラゴンズというのは如何にも東洋っぽいですが…) それぞれ何かちゃんとした謂れがあってつけた名前なのでしょうか? 調べた限りでは、どうもそうではないものが多いみたいです。
あまり強そうな名前には聞こえないのですが、カープというのも実は「魚の長」という意味で採ったのだそうです。つまり、これも似たような発想なんですね──覇を収めそうな、強そうな名前。別に謂れはなし。
謂れがはっきりしていたのは国鉄スワローズ。そう、特急つばめ号から採ったのです。ヤクルトがそのニックネームを引き継いで、一時あんまり弱いものだから何とか強くなりたいと(鉄腕アトムに因んで)ヤクルト・アトムズに改称しましたが、すぐ元に戻しました。
近鉄は一時期パールズだったそうです。近鉄特急で行く伊勢志摩の真珠ですね。ところが、あまりに弱いために、何とか強い名前をということでバファローズになったそうです。今度は球団名(ネーミング・ライツ)を売ることにしたみたいですけど…。
考えてみれば、日本の場合、昔の球団名のほうが「らしい」名前が多かったですね。例えば大映スターズは言うまでもなく「映画スター」に因んでいましたし、対する東映フライヤーズの場合は親会社が同じ映画でも空飛ぶ忍者ものが得意でした。松竹ロビンズというのは何だったんでしょうか?(あんまり古すぎて分からない)
近年のチーム名はとても耳に心地よく響くものが多くなってますが、その分、没個性であるような気がしてならないのです。
ブルーウェーブとかベイスターズなんてのは海沿いの都市のチームらしい名前に思えますが、実は波や星は別に神戸や横浜に限らず、どこの海にも空にもあるものであって、必ずしも「如何にもその都市らしい名前」ではないのです。
MLBに戻りましょう。
ヤンキーズとフィリーズはそのものズバリそこの住人ですね。メッツというのもメトロポリタンズの略ですから都会人です(だからNYらしい名前です)。ドジャーズが訳しにくかったのですが、このチームはもともとブルックリンにあって、「激しく車が行き交う中をひらりとかわして渡っていた」という説と、「都会人はずるがしこい」という説の2つがあります(dodge はドッジボールのドッジで、「身をかわす」という意味です)。
デビルレイズというのは、私は最初「悪魔の光線」かと思ってました。でも何となくそんなはずはない気がして、「タンパ湾というくらいだから魚に関係ありか。そう言えば ray にはエイという意味もあるなあ」と当たりをつけて調べてみると、やはりマンタという意味がありました。
紙面(画面?)の都合で全部は書きませんが、ブルージェイズとかオリオールズとかカーディナルズなどと鳥の名前を持ってくるのも粋だし、かと思えばマーリンズは魚だし、万博会場になったからエクスポズとか、ビール工場が多いからブリューワーズとか、NASAがあるからアストロズなんて、脳天気なほど市に直結した名前です。ロッキーズっちゅうのも、いやはや雄大な名前じゃないですか。
「ダイヤモンドバックス? ダイヤモンドの背後って何だ?」と思って調べてみたら、アリゾナ砂漠にいそうなもの、ダイヤモンドガラガラヘビに突き当たりました。
シカゴは若者の台頭に因んで幼獣というニックネームを選んだようですが、cub には新聞記者見習いという意味もあって、シカゴ・トリビューンという大新聞を抱えるに相応しい名前になっています。
ピッツバーグとフィラデルフィアの2都市はフランチャイズとニックネームが頭韻を踏んでいます。
いいなあ。解りやすいなあ。そして、深いなあ。
もいっかい日本の球団に戻りましょっか。
実は私、日本ハム・ファンなのです。日本ハムが球団を買収した時にファンから球団名を募りました。その結果ファイターズという現在のニックネームに落ち着いたのですが、中に多かったのがエッグズとソーセージーズだったそうです。
日本ハム・エッグズ、日本ハム・ソーセージーズ──これはこれで、いいなあ、解りやすいなあという気もします。もし変えるのであれば、札幌に行くんだから日本ハム・スノウメンっつうのはどうでしょう?
Copyright(c)yama-a Feb.2004
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[付録──大リーグ球団名]
| American League | National League | |
|---|---|---|
| EAST | New York Yankees | Atlanta Braves |
| Boston Red Sox | Florida Marlins | |
| Toronto Blue Jays | Philadelphia Phillies | |
| Baltimore Orioles | Montreal Expos | |
| Tampa Bay Devil Rays | New York Mets | |
| CENTRAL | Minnesota Twins | Chicago Cubs |
| Chicago White Sox | Houston Astros | |
| Kansas City Royals | St.Louis Cardinals | |
| Cleveland Indians | Pittsburgh Pirates | |
| Detroit Tigers | Cincinnati Reds | |
| - | Milwaukee Brewers | |
| WEST | Oakland Athletics | San Francisco Giants |
| Seattle Mariners | Los Angeles Dodgers | |
| Anaheim Angels | Arizona Diamond Backs | |
| Texas Rangers | Colorado Rockies | |
| - | San Diego Padres |
[後日談]
この文章をアップした翌日に、近鉄バファローズが球団名売却を白紙撤回しました。
カープ・ファンの女性の方からメールを頂きました。
広島城は古くから「鯉城(りじょう)」と呼ばれており、また、広島には己斐(こい)という地名があるそうです。己斐には、昔訪れた皇后に鯉を献上したことから名づけられたという伝説があるなど、広島は鯉とは何かと縁が深いのだそうです。
単に「魚の長」じゃなかったんですね。調べが足りず、失礼しました。私は広島カープには何の思い入れもありませんが、その地元密着性には昔から敬意を払っていて、こういう球団がもっともっと増えれば良いなあと思っています。