Amazon のリコメンドに出ていたから存在は知っていました。でも、小山ルミなんてグラビア・モデルだと思っていたから全く買う気はありませんでした。
それが急に買う気になったのはレーベル名を見たからです。レーベル名はソリッドレコードになってました。
ソリッドレコードと言えばまず思い出すのが1988年に発売された『ソリッドレコード夢のアルバム』です。説明するよりも曲目を紹介した方が早いでしょう。
すごいでしょ? 和製ポップス+歌謡ロック+フォークソング+似而非GS+ベンチャーズ+パール兄弟+ハルヲフォン+ピチカート・ファイヴ+ゲルニカみたいな…。これを見ただけで心に響くものがあるという人は私と同好の士であると言えます。私は持っていますが、もちろん今では廃盤でしょう。中古ショップでは1万円を超える値段がついているようです。
で、このアルバムをプロデュースしたのが高護(こう・まもる)氏でした。
株式会社ウルトラ・ヴァイヴの代表であり、書籍『歌謡曲名曲名盤ガイド』の編集兼発行人であり、CDアルバム『70年代歌謡ポップス・セレクション』の監修・選曲・解説者であり、他にもソリッドレコードや Hotwax が手掛けた多くの仕事に係わっています。
そして何よりも、デビュー当時から小川みきを高く評価し、その再評価に精力を注いで遂にCD化にこぎつけた、私にとっては同志であり、大の恩人でもあります(その辺りについてはここに書きました)。
その高護氏と切っても切れないレコード会社がソリッドレコードです。
ソリッドレコードとなるとまた彼が係わっているに違いありません。
それで、レーベル名を見た途端にもう「1click で買う」ボタンを押していました。──それが、小山ルミのアルバム『小山ルミ&ドラム・ドラム・ドラム(紙ジャケット)』でした。届いてみると案の定高護氏がライナーノートを書いていました。
このCDは1972年6月2日にアポロンから8トラックのカートリッジ・テープとしてのみリリースされた小山ルミのアルバム『小山ルミ&ドラム・ドラム・ドラム』(AS-2103)を全曲デジタル・リマスター。アート・ワークを新装して紙ジャケット仕様で復刻したものである。
すごいですね、この目利き。どこからこんなものを発掘してきたんでしょう、と言うより、多分発売の時から知ってたんですよね、そして買って持ってたんでしょうね、高護氏は。
で、高氏の選ぶものに限ってハズレはありません。素晴らしいアルバムです。
ジャケットには如何にも60年代後半っぽいファッションに身を包んだ小山ルミのキュートな写真が載っています。でも、プレイヤーに入れてみると、そんな可愛い子チャン(死語ですね)からは想像もつかないようなしっかりした歌唱力に支えられた数々の名曲が流れてきます。
テレビや雑誌のグラビアを飾ることの多かった小山ルミだが、その神髄が「歌手」にあることは一聴すれば誰もが感じることであり瞬時に理解できる。
なんてさらりと書いてありますが、当時の私の記憶にはその神髄は全く定着していません。ちゃんと聴く耳を持っていた高氏だけが感じ、瞬時に理解し、それを後世に伝えるために尽力して復刻したのがこの作品だということなのでしょう。
タイトルに偽りなく、まずドラム・ドラム・ドラム!です。それに次ぐ印象としてはベース・ベース・ベース! 正調ロック歌謡です!
とにかく選曲がシブイ!ですね。カバーが多いのですが、敢えて定番ヒットは避けてあります。
2)は欧陽菲菲の(「雨の御堂筋」でも「雨のエアポート」でもない)ヒット曲。4)は平山三紀の(「真夏の出来事」以外の)代表曲。8)こそ朱里エイコの爆発的大ヒットですが、9)は尾崎紀世彦の「また逢う日まで」「さよならをもう一度」「愛する人はひとり」に続く4番目のヒット曲です(この曲は私も大好きでした)。
11)はジュリーこと沢田研二がザ・タイガース、PYGを辞めてソロになっての第2弾です。
7)は洋楽カバー。ニュー・シーカーズのヒット曲で、確か全米では1位になったのではなかったかと記憶しているのですが、1972年のコカ・コーラのCMソングとしてのほうが有名かもしれません。
私も全く知らない曲ですが、極め付きが3)で、これは李朱朗という人のデビュー曲にしてベンチャーズ歌謡の隠れた名曲なのだそうです。
12曲のうち4曲が筒美京平作曲ですが、その中に、これまた聞いたこともない曲ですが、都倉俊一が多分まだあまり売れっ子になっていない時代に書いたのではないかと思われる、ちょっと奇を衒った感じの曲(5)もあります。
ともかくアレンジも時代掛かって凄いし、歌も凄い。惜しむらくは、小山ルミという人が多分器用だからなんでしょうが、彼女が4)を歌うと平山三紀に、8)を歌うと朱里エイコになってしまうということです。
ファルセット含めて音域も広いし、声質も変幻自在なので、巧いし魅力的ではあるんですが、やや物真似っぽくて今イチ個性に欠けるような気もしてしまうのです。
そういう意味ではラストにボーナス・トラックとして収められた『孤独の街角』が聴きどころでしょうね。
これもカバーではありますがマジック・ランターンズという聞いたこともないグループの曲(「ヒット曲」と書いてあるのでヒットはしたのでしょうが…。作曲はアルバート・ハモンドらしい)なので、ああ、これが小山ルミ本領の声質、真の歌唱法なのか、とうっとり聴き惚れることができます。
ともかく、こんなものを復刻させてしまう高護氏ってホントにタダモノではありません。高護先生に再度最敬礼!です。
私の Amazon Store にも早速追加しておきました。
Copyright©yama-a Feb.2009
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