ご質問のメールをいただいたので久しぶりに書きます。
これまで30回以上連載してきて、基礎知識めいたことは大体書きつくしたと思っていたのですが、ひとつ抜けてました。
日本人は1日平均何時間くらいTVを見ているのでしょう? この点については何故だか間違った情報を得ている人が多くて、ウチの社長も間違ったことを言っていたことがあるくらいなので、この際ここに書いておこうと思います。1日の平均視聴時間についてはビデオリサーチがずっと統計を取り続けています。
ところで、実際の数字を出す前に、先に注意事項を列挙しておこうと思います。
まず気をつけておいてほしいのは、この手の統計には世帯の数字と個人の数字の2つがあるという点です。つまり、1軒当たりの平均と1人あたりの平均。
例えば、4軒に1軒がDVDレコーダを持っているとすれば、その世帯当たりの所有率は25%です。仮に1軒あたりの家族の人数が2.5人だとすれば(2台持っている家がないとすれば)4×2.5=10人に1人の割合でDVDレコーダを持っている訳ですから、(それらが全て世帯の持ち物ではなく個人の所有物であるとすれば)その個人所有率は10%になります。
だから、所有率などの統計数字を見たら常にそれが世帯の統計なのか個人の統計なのかということを意識してほしいのです。そうでなければ誤った認識を持ってしまいます。
例えば自動車の所有率であれば、世帯の場合と個人の場合ではかなり違ってくるはずです。世帯の場合は、その世帯に車があるかないかですから、1台しかなかろうと4台所有していようと数字は変わりません。
同じようにTVの世帯平均視聴時間となると、4人で見ていようが1人で見ていようが関係なく、要はTVがついていた時間です。4人家族が1人ずつバラバラに2時間ずつリレー形式で見ていても、1人住まいの人がぶっ通しで8時間見ていても結果は同じです。
次に気をつけてほしいのは、平均というものは文字通り平らに均されたものであるということ。
これは平均貯蓄額を考えればよく解ります。国民の平均貯蓄額が発表されると「えっ、そんなにあるの?」と思いませんか? あれは少数の大金持ちが平均を引き上げてしまっているからなんです。
TVの視聴時間でも同じです。少数のTVっ子、TV大好き人間がいれば、その分平均は上がります。
一般に高齢者は非常に長時間視聴しています。また、土日は平日よりも視聴時間が長くなりますので、「1日あたり」を計算した場合に平日の印象よりは長くなります。
さて、以上のことを踏まえた上で、以下の数字をご覧ください。
能書きが長くなりましたが、VRの統計によると1日あたりの世帯(1軒あたり)の視聴時間は約8時間、個人(1人あたり)の視聴時間は約4時間です。
ちなみに、この「1日あたり」の「1日」は前に述べた「全日」と同じで「6時から24時」という定義になっていますので、実際の視聴時間はもっと長くなります。
これは東京でも大阪でもあまり変わりません(他の地区でも統計を取っているかどうか、残念ながら私は定かではありませんが)。また、過去10年とか20年とか遡っても、そんなに大きな変化はありません。
よくTVの衰退が取り沙汰されますが、こと視聴時間という観点からすればとりたてて減っている訳ではないのです。
考えてみれば1日に8時間も稼動している電化製品、4時間も接触しているメディアが他にあるでしょうか?
つまり、TVはまだまだ強いということなんです──いや、これは皆さんにではなく、僕自身に言い聞かせています。
この強いメディアに胡坐をかくのではなく、この強いメディアで何をするべきなのかをもう一度考え直す時期に来ているのは確かです。
Copyright(c)yama-a Aug.2005
目次へ
次回へ
前回へ