話がだんだんプロ仕様になってきて、一般視聴者の方々はそろそろ嫌気がさしてきているかもしれませんが、今回は前回の続きです。
「視聴分数分布」という分析手法があります。僕が番組分析を担当していたときには非常に多用しました。
これはビデオリサーチが有償で配布しているソフトiNEXを使っても、一度設定してクリックすれば出てくるような簡単なものではありません。設定を変えながら何度か集計して、その結果を一度csvにはき出して、それを組合わせて再計算すると言う面倒臭い分析です(次世代ソフトであるiNEX2には標準装備されそうな感じですが…)。
あえてその面倒臭い方法を採用するのはそれなりに明確な分析結果が得られるからなのです。
視聴分数分布は、ある番組のうち何分ぐらい見た世帯が何%くらいあるかを探る分析です。 番組の分数の区切りとして用いるのは、1分・5分・1/3・1/2・2/3・全枠−5分・全枠の7つで、これらを境界線にして7つのカテゴリを作ります。
例えば番組の分数が54分である場合は下記の通りにグループ分けされる訳です。
このそれぞれのカテゴリに属する世帯が何%あるかによって、番組の勢いと見られ方が随分はっきりしてくるのです。
これが所謂ゴールデンタイムの番組であると仮定して説明しますと、まず、1)が70%を超えている(つまり、7割以上の世帯が1分たりとも見ていない)場合は却々「大ヒット番組」の域には達しません。視聴率はせいぜい10%そこそこです。その番組は「多くの家庭で見てもらう」という魅力に欠けているのです。
この数字が60%台に突入してくると「大ヒット番組」になる可能性が高くなります。これが50%台をマークしているとすれば、その番組は多分歴史に残る大ヒット番組です。
でも、逆に考えたら、半分以上の世帯が全く見ていない番組が歴史的大ヒット番組になってしまうんですよ。テレビって所詮その程度のものなのです。
では1)の対極である7)を見てみましょう。この数字が10%を超えている番組はまずめったにありません。54分の番組(通常CM7分を含む)のうちの49分以上見てくれる世帯が1割もあるはずがありません。視聴者に番組を長く見せることがどれだけ困難かがよく解ります。
このカテゴリが10%近くあればもう充分合格点であり、もし仮にこれが常時10%超のレギュラー番組があったら、局はもうウハウハでしょう。
他にも僕たちプロは2)と3)の合計や2)3)4)の合計、あるいは6)と7)の合計数字がどれくらいあるかを見てその番組の勢いを測ります。
もちろん前の回で述べたように、その番組がドキュメンタリーなのかバラエティなのかという、番組の型によっても現れ方が違ってくるのですが、いずれにしてもこれらの数字を基に、我々はその番組が「少しでもいいからみんなが見てみようと思うような番組になっているか」「一度見始めたら最後まで見てしまうような番組になっているか」という判断をしています。
前回と同じ結論ですが、一口に「見る」といっても、それは途轍もない深い世界なのです。
Copyright(c)yama-a Jul.2002
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